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ヤブコウジ(十両)は古くから日本人に愛されてきた山野草で、葉に入る黄色・白の斑や、葉の縁が金平糖のような形になる「コンペ」と呼ばれる葉形が多くの方に受け入れられました。 そして、ヤブコウジは耐寒性や耐暑性があり、栽培もしやすいことから初心者の方にもおすすめの観葉植物となっています。 ただ、ヤブコウジは栽培しやすくはあるものの、適切な育て方や植え付け・植え替えをしないと上手く生長しなかったり枯れてしまう可能性があります。 そこで今回は、
- ヤブコウジ(十両)とはどんな植物?
- ヤブコウジの育て方
- ヤブコウジに多い病害虫と対処法
- ヤブコウジの日々の手入れのポイント
- ヤブコウジの植え付けのポイント
- ヤブコウジの植え替えのポイント
- ヤブコウジの増やし方
- ヤブコウジの盆栽を作ってみよう
ヤブコウジ(十両)とはどんな植物?
ヤブコウジ(十両)は寄せ植えや鉢植え、盆栽といった様々なスタイルでの育て方をすることができ、丈夫であることからとても人気のある山野草です。 ここからは「ヤブコウジの基本的な情報が知りたい」という方に向けて、ヤブコウジの特徴と用途について説明していきます。サクラソウ科の常緑木本植物
ヤブコウジはサクラソウ科の常緑木本植物です。常緑木本植物は一年を通して葉を枯らさず、常に緑色の葉となっているものを指します。 常緑木本植物は葉が枯れたり落葉したりしないため、寒冷地などの厳しい条件下で生存するのに適しています。小さくて赤い実をつける
ヤブコウジは小さくて赤い実をつけます。この赤い実は庭園や風景に美しいアクセントを加えることができるので、ヤブコウジの人気がある一つの要因になっています。背が低く日陰でも大丈夫なため育てやすい
ヤブコウジは背が低く日陰でも大丈夫なため育てやすいという特徴があります。逆に強すぎる日差しを浴びるのを好まないため管理する際は注意しましょう。 ヤブコウジは北海道から沖縄まで幅広く生育することができ、適応力はかなり高いといえます。お正月に縁起のいい植物として使われる
ヤブコウジはお正月に縁起のいい植物として使われます。古くから正月の縁起物として千両や万両と共に寄せ植えにされてきました。中でも班入りの品種は高値で取引され、お金と幸運を呼び込む存在として「明日への幸福」という花言葉が付けられました。グランドカバーとして使われることも
ヤブコウジはグランドカバーとして使われることもあります。グランドカバーとは地面を覆い隠すために植えられる低い植物の総称で、低い背丈であることと地面を覆い隠せるよう密な葉となっていることが求められます。 園芸する際にグランドカバーとして使うことで景観を美しくでき、土壌の保水力を向上させることが可能です。ヤブコウジの育て方①:置き場所
まず、ヤブコウジの育て方のポイントとなるのは「置き場所」です。適切な環境での育て方をしないと栄養不足となり成長が鈍化してしまったり、病害虫によって深刻なダメージを受ける可能性が高まります。風通しの良い半日陰か日陰が適している
ヤブコウジは風通しの良い半日陰か日陰で育てましょう。ヤブコウジは強い直射日光に弱く、半日陰か日陰での育て方が適しています。 また、風通りの良い場所で育てることによって、新鮮な空気が供給できたり、病害虫の予防をすることが可能です。冬は凍らないようにひなたで管理する
冬は凍らないようにひなたで管理しましょう。葉や茎などが凍ってしまうと、組織の損傷や代謝の停止などによって枯れてしまう可能性があります。ヤブコウジの育て方②:水やり
次のヤブコウジの育て方のポイントは「水やり」です。植物に過剰に水やりをすると、根部が酸欠によって腐ってしまったり、土壌中の栄養分が流出してしまう可能性があります。 適切な水分管理は健康的な育て方をする上で必須なので、水やり鉢植えでの育て方をする場合は土の表面が乾いたら水やりをしましょう。ヤブコウジは乾燥を嫌うので、水切れには注意が必要です。地植えの場合は基本不要
地植えでの育て方をする場合は、水やりは基本不要です。ただ、夏の暑い時期は状態をチェックして、枯れてしまうことがないようにしましょう。少し乾燥気味に育てるのがコツ
冬の寒い時期は水やりを控え、少し乾燥気味に育てるのがコツです。冬でも根は成長するため、水やり自体は行いましょう。ヤブコウジの育て方③:土作り
次のヤブコウジの育て方のポイントは「土作り」です。土作りは植物が十分な栄養を得て健康的に生長するために重要となります。 土壌に栄養分が無かったり排水に問題がある場合、植物がきちんと生長せずに枯れてしまうケースもあるので、土作りはしっかりと行っていきましょう。水はけの良い土が適している
ヤブコウジを健康的に育てていくためには、水はけの良い用土が適しています。水はけの良い土壌は通気性が高く、酸素が根に効果的に供給されるため生育を促進できます。 また、水はけの良い土は水分がすぐに排水されるので、根腐れも防ぐことが可能です。赤玉土3:腐葉土1、鹿沼土2:軽石1がおすすめの配合
赤玉土3:腐葉土1、鹿沼土2:軽石1がおすすめの配合です。赤玉土はケイ酸とアルミニウム、鉄からできており、粒状になっているため水はけの良い用土になります。また、腐葉土は樹木が腐敗してできた有機物が混ざり合った土壌で、こちらは豊富な有機物(栄養源)を持っていることから、赤玉土と腐葉土を配合することによりヤブコウジに適した土を作ることができます。 また、鹿沼土は風化した軽石が主成分となっており、この土を配合することによって水はけが良く、保水性にも優れた土壌にすることが可能です。ヤブコウジの育て方④:肥料
最後のヤブコウジの育て方のポイントは「肥料」です。適切に肥料を与えることによって植物が必要とする栄養を補い、健康的に生長するのをサポートできます。 ただ、肥料は多く与えれば良いというわけではなく、過剰な肥料は土壌の塩分濃度を上げてしまい排水されにくくなることから、根腐れが起きる可能性が高くなります。 また、過剰な肥料を植物が吸収しすぎると有害となり枯死することもあるので、適切な量の肥料を適切なタイミングで与えましょう。肥料が無くても育つが実をつけたい場合は肥料があるとよい
ヤブコウジは肥料が無くても育ちますが、実をつけたい場合は肥料があると良いでしょう。肥料を与えることによって全体に栄養分を供給でき、実を付けやすくなります。4月~11月の生育期に緩効性肥料や油かすを与える
4月~11月の生育期に緩効性肥料や油かすを与えましょう。緩効性肥料は栄養素を長期間にわたって植物に供給できるという特徴があり、4月~11月の生育期に与えることでより生長を促進できます。2~3カ月に1度ほどでよい
ヤブコウジに肥料を与えるのは2~3ヵ月に1度ほどで問題ありません。あまり頻繁に与えすぎても良くないので、2~3ヵ月に1度のペースにしておきましょう。ヤブコウジに多い病害虫と対処法
ここからは、ヤブコウジに多い病害虫とその対処法について説明していきます。病気や害虫による被害が周辺の植物にまで広がると取り返しのつかないことになる可能性もあるため、見つけたら素早く対処することを心掛けましょう。アブラムシ
アブラムシは通常2~4ミリメートル程度の小型昆虫で、主に植物の新芽やつぼみに集まって汁を吸います。それだけではなく、ウィルス病の媒介もするため、病気が広がってヤブコウジが枯れてしまう可能性もあります。 アブラムシへの対処方法ですが、まず粘着テープや歯ブラシで取り除く方法があります。それでも残ってしまう場合は殺虫剤を使用しましょう。アブラムシは放っておくと増えてしまうので、見つけたら早期に対処することが重要です。ハマキムシ
ハマキムシは「葉巻虫」と書き、葉を巻くことで植物の光合成を妨げて枯らしてしまいます。その際にもちろん葉や芽を食害するので、早期に駆除することが重要となります。 ハマキムシは一度発生すると被害が拡大する可能性があるため、もし被害が広範囲となってしまったら農薬や殺虫剤を使いましょう。 ハマキムシを発見するポイントは「葉がくるりと巻かれている」ことで、他にも葉の表面にハマキムシの糞が付いていたら警戒が必要です。ヤブコウジの日々の手入れのポイント
ここからは、ヤブコウジの日々の手入れのポイントについて説明していきます。適切な育て方と手入れをしていくことによって、健康的な成長をサポートできます。剪定は基本必要ない
ヤブコウジは剪定は基本必要ありません。ヤブコウジは自然な形状で成長していく品種のため、基本的には手を付けず、メンテナンスをしたい場合に手入れをしていくと良いでしょう。バランスを整えたい場合や徒長した枝がある場合は剪定する
ヤブコウジはバランスを整えたい場合や徒長した枝がある場合に剪定を行いましょう。栽培して年数が経過すると樹形が悪くなってくる場合があるため、その際に剪定をしていけば問題ありません。ヤブコウジの植え付けのポイント
ここからは、ヤブコウジの植え付けのポイントを説明していきます。植え付けは何となく行えば良いというものではなく、タイミングを誤ると上手く生長させることができません。 また、植え付けをする土も大事になるため、なるべく水はけが良く栄養分が含まれた土を選定しておきましょう。2~4月か9~11月が植えつけの適期
2~4月か9~11月が植えつけの適期です。2~4月は新芽が伸びてくる前の時期、9~11月は涼しい時期であるため、ヤブコウジに与えるストレスを軽減できます。新芽が伸びている時期は植えつけをしない
新芽が伸びている時期は植えつけを避けましょう。新芽が伸びている段階では植物が成長に必要な栄養や水分を集めているため、植えつけをすると必要なエネルギーが確保しづらくなり、ヤブコウジに大きなストレスを与えてしまいます。水はけの良い土に植えつける
水はけの良い土に植えつけましょう。水はけの良い土に植えつけることによって、酸素が根に行き渡りやすくなり根腐れなどを予防できます。ヤブコウジの植え替えのポイント
ここからは、ヤブコウジの植え替えのポイントを説明していきます。植え替えをする際は根鉢の状態を見て、根鉢が過度に絡まり合っていないか確認しましょう。植え替えの頻度は数年に1回が目安
植え替えの頻度は数年に1回が目安です。頻繁に植え替えをしてしまうと植物にとって大きなストレスとなってしまうので注意しましょう。新芽の伸びる時期は避ける
新芽の伸びる時期は植え替えは避けましょう。この時期に植え替えをすると植物の受けるストレスが大きくなってしまい、成長を阻害する可能性があります。ヤブコウジの増やし方
ここからは、ヤブコウジの増やし方について説明します。挿し木
ヤブコウジは挿し木で増やすことができます。挿し木では、親のヤブコウジから取った茎や葉を土中に挿して、それが根を生やして新しく育つのを待ちます。 挿し木をすることで比較的手軽に増やすことができるので「何をしたらいいのか分からない」という方は試してみることをおすすめします。種まき
種まきで増やす方法もあります。9月下旬から12月にかけて熟した果実を収穫して果肉を落とした後、種まきをしましょう。種をまいたら乾かさないように管理していけば春頃に発芽します。株分け
株分けでは、ヤブコウジの地下茎などを分割して新しいものを育てていきます。株分けをした後に適切な育て方をすることによって健康的に生長していきます。 株分けではできる限り茎葉のついている株を切り分けるのがポイントです。ヤブコウジはかなり丈夫なので地下茎のみでも根が出てきますが、株分けを成功させる可能性を更に上げることができます。ヤブコウジの盆栽を作ってみよう
ここからは、ヤブコウジの盆栽を作るポイントを説明していきます。ヤブコウジは美しい花を咲かせるので観賞価値が高く、盆栽にも最適です。ヤブコウジは盆栽に仕立てて育てることができる
ヤブコウジは盆栽に仕立てて育てることができます。盆栽にすることでヤブコウジをコンパクトにでき、小さくてかわいい赤い実や葉に入る斑を楽しめます。 ヤブコウジは季節によって葉の色や花が変化するため、間近で季節の移り変わりを感じられるのは大きなメリットといえるでしょう。また、ヤブコウジは苔玉でも育てることができ、苔玉とすることでより趣のある外観を楽しめます。用意するもの
盆栽での育て方をする際に用意するものは以下の通りです。- ヤブコウジの苗
- 赤玉土
- 鉢
- アルミ針金
- ペンチ
- ハサミ
- 割りばし
作り方
盆栽を作る具体的な手順は以下の通りです。- アルミ針金をペンチでカットして鉢から伸びるようにしておく
- 手で苗を固定して赤玉土を入れていく
- 鉢の中に隙間ができないよう割りばしなどでつく
- アルミ針金を苗の根元でねじり止め幹が直立するよう固定
【まとめ】ヤブコウジの育て方を紹介!お手入れ方法から盆栽の作り方まで解説
ここまで、ヤブコウジの育て方や植え替え・植え付けの方法、増やし方や盆栽への仕立て方について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか? この記事のポイントは、- ヤブコウジは初心者の方でも育てやすく様々なスタイルで楽しめる
- ヤブコウジの育て方として「置き場所」「水やり」「土作り」「肥料」が重要となる
- ヤブコウジに多い病害虫は早期に対応することが大事
- ヤブコウジは基本的に剪定が必要ない
- ヤブコウジの植え付けはタイミングが重要
- ヤブコウジの植え替えは数年に1回が目安
- ヤブコウジは挿し木や種まき、株分けで増やすことができる
- ヤブコウジは盆栽に仕立てて育てることが可能