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日本の春と言えば、サクラ(桜)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
そんなサクラは、地植えだけでなく、鉢植えでも育てることができることをご存じでしょうか。鉢植えで栽培も可能なのであれば、育ててみたいという方もいらっしゃるかもしれませんね。しかしながら、サクラってどのように育てるの?と疑問に思っている方も多いでしょう。今回は、サクラの基本的な育て方やお手入れについてご紹介していきたいと思います。
そこでこの記事では
- サクラ(桜)ってどんな植物なの?
- サクラの育て方4つのポイントとは?
- サクラに必要な4つのお手入れとは?
- サクラの人気品種3選
- サクラを室内で楽しむ方法とは?
そもそもサクラ(桜)ってどんな植物なの?
サクラ(桜)はどんな植物なのでしょうか。基本情報をおさらいしてみましょう。日本などを原産とするバラ科サクラ属の樹木
サクラ(桜)は日本などを原産とするバラ科サクラ属の樹木です。野生種15種に加え、園芸品種数も300以上存在します。サクラはこれらサクラ属の総称となっています。 また、サクラは基本的に屋外で管理することから、病害虫対策が必要な植物となります。テング巣病やモンクロシャチホコ、コスカシバの幼虫が発生する前に対策が必要です。日本の春の代名詞
皆さんご存じのように、サクラ(桜)と言えば、春に花を咲かせますね。街路樹やお花見などでサクラの開花を心待ちにしている方も多いのではないでしょうか。そんなサクラ(桜)は、日本の春の代名詞と言っても過言ではないでしょう。種類が豊富で花色や咲き方もさまざま
先ほどもお伝えしましたが、サクラは園芸品種だけでも300種類以上存在し、とにかく種類が豊富です。そのため、花色や咲き方もさまざまです。サクラの名前が付くがサクラではない植物
サクラの名前がついていますが、サクラではない植物がいくつか存在しますので、ご紹介します。サクラウツギ
サクラウツギは漢字で桜空木と書きます。サクラウツギの花色が桜色であったためこの名前が付けられたようです。ボスウェリア・サクラ
ボスウェリア・サクラは聖書にも登場する樹木で、フランキンセンス(乳香)のことです。アロマテラピーの精油としても有名です。ボスウェリア・サクラのサクラは「sacra」で、桜とは関係がありません。匂い桜(ルクリア)
匂い桜(ルクリア)は、アカネ科の植物です。見た目が桜に似ていたことに加え、よい匂いがしていたことから匂い桜と呼ばれるようになったようです。サクラの育て方のポイント①置き場所
それでは、サクラに話を戻しましょう。サクラの育て方のポイント4つをご紹介しています。 まず、1つ目のポイントは、置き場所です。サクラはどんな環境を好むのでしょうか。日当たりがよい場所を好む
サクラは、日当たりの良い場所を好みます。また、日陰では、枝が枯れてしまうという性質があります。強い西日や強風の当たる場所は避ける
西日が強い場所や強風の当たる場所は苦手です。風が強いと花や葉が落ちてしまいますので、植える際は、強風が当たらないような場所を選びましょう。鉢植えで育てることも可能
あまりなじみがない方も多いかもしれませんが、サクラは鉢植えで育てることも可能です。サクラを鉢植え栽培をされる方は、風の強い日は避難させてあげましょう。2~3日であれば室内で鑑賞できる
鉢植えのサクラが開花したら、鑑賞したくなると思います。2日~3日であれば室内に取り込んで鑑賞することが可能です。その際は、冷暖房の風が直接当たらない場所に置きましょう。サクラの育て方のポイント②水やり
2つ目のポイントは、水やりです。サクラの水やりは、どのような頻度で与えていけばよいのでしょうか。地植えの場合:乾燥期以外は基本的に必要ない
まずは、地植え栽培の場合の水やりについてご説明します。 地植えの場合、水やりは基本的に不要と思っていただいて問題ありません。しかしながら、夏場の雨が少ないような乾燥しやすい時期には、朝の早い時間帯に水やりを行いましょう。水やりは、2週間に1回を目安に行ってください。鉢植えの場合
続いて鉢植え栽培の場合の水やり方法です。土が乾いたらたっぷりと
鉢植えの場合は、地植えの水やりより頻度が上がります。土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。特に植え付け直後は、まだ根付いていないため土が乾燥しないように日々観察しながら、適宜水やりを行いましょう。朝の時間帯に与えるのがおすすめ
夏場は1日~2日に1回、朝の時間帯に行いましょう。冬場は、乾燥していた時のみ、量を控えめに水やりを行ってください。夏場の乾燥する時期は朝夕の2回あげてもよい
夏場の乾燥する時期は、朝に水やりをしても、夕方には土が乾いていることがあります。そのときは、朝夕2回、水やりを行っても良いでしょう。サクラの育て方のポイント③土
3つ目のポイントは、土です。サクラはどのような土で育てると良いのでしょうか。水持ちがよく栄養豊富な土を好む
サクラは、水持ちが良く(保水性)、栄養豊富な土を好みます。土の材料としては、赤玉土、鹿沼土、川砂、腐葉土、黒土などが良いでしょう。地植えの場合:腐葉土をたっぷり混ぜ込む
まずは地植えの場合の土についてご説明します。 庭に植え付ける前に、腐葉土をたっぷりと混ぜ込んでおくと栄養豊富な土となります。鉢植えの場合
続いて、鉢植えの場合の土についてご説明します。市販の庭木用の土が便利
市販の庭木用の土がありますので、観葉植物初心者はそちらを利用すると良いでしょう。赤玉土4:腐葉土3:黒土3の配合土でもよい
自分で土を調製する場合は、小粒の赤玉土を基本に、腐葉土と黒土をブレンドする、赤玉土4:腐葉土3:黒土3の配合比もおすすめです。赤玉土5:川砂3:腐葉土2でもよい
また、中粒の赤玉土を使って、赤玉土5:川砂3:腐葉土2もおすすめです。サクラの育て方のポイント④肥料
4つ目のポイントは、肥料です。サクラはどのように肥料を施せばよいのでしょうか。元肥:化成肥料と堆肥の混合物を植え穴に入れる
地植えする場合、まず株を植える穴に、元肥(もとごえ)を施します。元肥は、化成肥料を堆肥を混合し、植え穴の底部に入れたら、軽く土を被せましょう。追肥:有機質肥料と緩効性化成肥料の混合物を与える
また、追肥として、有機質肥料と緩効性化成肥料を混合したものを与えます。落葉期の2月~3月
追肥の与えるタイミングは、落葉時期となる2月~3月です。樹勢により花後の5月~6月にも与える
樹勢によっては、花後の5月~6月にもお礼肥として追肥します。肥料は根元から離れた場所に
肥料を撒く際は、株の根元から離れた場所に撒きましょう。サクラのお手入れ
サクラの育て方4つのポイントは、お判りいただけたでしょうか。続いて、サクラを栽培するにあたって必要なお手入れを4つご紹介します。植え付け
1つ目は、植え付けです。植え付けの時期:12月~3月
庭に植え付ける場合、12月~3月頃が適期となります。厳寒期を避ける必要がありますが、サクラの植え付けは、落葉している間に植えつけると覚えていただければよいでしょう。苗木の選び方
サクラは、種からではなく苗木を植え付けるのが一般的です。 苗木を購入する際は、下記の2つのポイントを押さえて選びましょう。- 病気や害虫が発生していないもの
- 樹木の株や枝がしっかりしていること
植え付けのしかた
- 植え付ける場所を選んだら、苗木より一回り大きい植穴を掘ります。
- 庭土に腐葉土を漉き込んだものを植穴に入れ、苗木を植え付けます。
植え替え
2つ目は植え替えです。鉢植えの植え替えのタイミング:2~3年に1回が目安
鉢植えの場合、2年~3年に1回は必ず植え替えが必要となります。植え替えをしないでいると、生育不良や立ち枯れを引き起こしてしまいますので注意しましょう。植え替えの時期:12月~3月
植え替えの適期は植え付け同様、12月~3月頃となります。同じく休眠期のサクラですから傷つけないように優しく作業しましょう。一回り大きな植木鉢に替えると管理が楽に
購入した時の植木鉢は、小さめのことが多いので、必ず一回り大きな植木鉢を用意しましょう。水の管理が楽になります。植え替えのしかた
- 植え替える苗木を植木鉢から引き抜きます。
- 根鉢の根を軽くほぐし、古い土を3分の1ほど落とします。
- 一回り大きな植木鉢の底に、鉢底網、鉢底石を敷きます。
- 苗を入れ、鉢の縁から少し下くらいまで土を入れて位置を調節します。
- 根の隙間にもしっかりと土を入れ込むように割りばしなどで突きます。
- 植え込みが完了したら、支柱を挿します。
- たっぷりと水を与え、半日陰で苗を休ませます。
剪定
3つ目は剪定です。剪定の時期:12月~3月上旬
地植えのサクラの剪定の適期は12月~3月上旬となります。しかしながら、サクラの木は繊細であるため、むやみに枝を切り落とすと、切り口から傷んでしまいますので、無理に剪定を行う必要はありません。ちなみに鉢植えで育てている場合は剪定不要です。成長期に強い剪定をしない
なるべくダメージを与えないためにも、桜の木の休眠期に行います。成長期に強剪定は避けましょう。太い枝の切り口には防腐処理剤などを
サクラは、剪定ばさみからテング巣病という病気に感染することがあるため、剪定前にはさみは消毒しておきましょう。また、剪定したら切り口から菌が入らないよう、防腐処理剤(癒合剤)などを塗布しておきましょう。増やし方
4つ目は、株の増やし方です。サクラの増やし方は、以下に紹介する3つの方法が一般的です。接ぎ木:切り枝を用いるもっとも一般的な方法
1つ目は接ぎ木です。園芸品種は接ぎ木で増やすことができます。切り枝を穂木(ほぎ)として用いて、すでに根を張っている桜の木(台木)に切り枝を接着させて育てる方法です。挿し木:切り花を用いることもできるが、成功率が低い
2つ目は挿し木です。枝を切り取り、新たに土に挿して育てていく方法です。切り花を挿し穂に用いることもできますが、成功率が低いと言われています。 挿し木に挑戦する場合は、挿し穂は切り花であってもそうでなくても、必ず緑色の新枝や、太く成長した枝を選ぶのがポイントです。種まき:種から育てることも可能だが親株と違う花が咲くことがある
3つ目は種まきから増やす方法です。しかしながら、サクラは種まきをしても実生(みしょう:種から発芽したばかりの植物)から育てるのが難しい植物です。不可能ではありませんが、親株と違う花が咲くことがあります。特に園芸品種を増やしたい時にはおすすめしません。サクラの人気の品種を紹介
ここからは、サクラの人気の品種を3つご紹介していきたいと思います。旭山桜:八重咲きの華やかな花で、盆栽としてコンパクトに育てられる
旭山桜は、八重咲の華やかな花を咲かせます。成木でも3m程度までに収まるので扱いやすい品種です。旭山桜は、盆栽で育てられますので、お庭に十分なスペースを確保できない方は、旭山桜を楽しんでみてはいかがでしょうか。関山(カンザン・セキヤマ):八重桜の代表的な品種
関山(カンザン)は、八重桜の代表的な品種です。カンザンの花は、5cmほどの大輪でとても豪華な印象があります。開花時期は、4月中旬~5月上旬頃で、ソメイヨシノが咲き終わった頃に花を咲かせます。
湖上の舞:枝が不規則に曲がる雲竜系という変わった樹形
湖上の舞は、一重咲きの桜です。花色は白~淡いピンク色をしており、直径2~3cmの花を咲かせます。湖上の舞の樹形は、雲竜系と言われる、枝が不規則に曲がった形をしています。こちらも成木で2m~3m程度までとなりますので、盆栽や鉢植えで楽しめる品種です。サクラを室内で観葉植物として楽しみましょう
サクラは、庭木や街路樹のイメージも強いかと思いますが、実は、室内で楽しむこともできます。 サクラを室内で、観葉植物として楽しむ方法3つをご紹介します。切り花で楽しむ
1つ目は切り花です。切り花用の品種も
お花屋さんで購入できる、桜の切り花は、生産者さんが切り枝用に栽培したものです。以下に購入できる桜の切り花の時期をまとめました。- 啓翁桜:正月~2月頃
- 彼岸桜:3月
- 八重咲きの品種:4月以降
長持ちさせるには工夫が必要
購入した桜の切り花が少しでも長持ちさせられたらうれしいですよね。 長持ちさせるためのポイントは、2つあります。ぜひ以下を参考にしてみて下さいね。- 涼しい場所に飾る(つぼみが開くスピードを調整するため)
- 枝に割りを入れる(一文字または十文字に切り込みを入れること)
ミニ盆栽でコンパクトに楽しむこともできる
2つ目は、ミニ盆栽です。代表的な品種は「旭山桜」
先ほども紹介しましたが、「旭山桜」は盆栽として楽しめる代表的な品種です。盆栽の管理のポイント
桜の盆栽は、日当たりや風通しが良い屋外で管理していくのが基本です。また、水やりに関しては、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。春~秋にかけては1日1~2回、冬は1日2~3回程度となるでしょう。苔玉でも楽しむことができる
3つ目は、苔玉です。水不足に注意する
苔玉は鉢に植えられていないため非常に乾きやすく、水不足になりやすいので注意が必要です。特に、サクラは、水切れに弱い植物であるため乾きすぎると良くありません。 苔玉の水やりは、水を張ったバケツなどに、苔玉ごと沈めてしまいます。直射日光の当たらない明るい窓辺で管理
サクラは日当たりの良い場所を好む一方で、苔自体は日陰を好みます。室内での置き場所は、直射日光の当たらない明るい窓辺にしましょう。花が終わったら肥料を与える
サクラの苔玉は、開花までの時期は特に肥料を与える必要はありませんが、花が終わったら肥料を与え始めます。年3回くらい与えるのがおすすめです。- 5月頃:花後の体力回復のため
- 9月頃:夏越し後の体力回復のため
- 11月頃:来春に向けてのエネルギーをつけるため
花後に鉢へ植え替えるのがおすすめ
苔玉のまま、翌年も花を咲かせることは非常に難しいと言われています。そのため、翌年もサクラを楽しみたい方は、花後に鉢へ植え替えるのがおすすめです。 先にご説明した、植え替え方法を参考に植え替えてみてください。【まとめ】サクラの育て方を徹底解説!成長後のケア方法から室内での楽しみ方まで
いかがでしたか。サクラの育て方について解説してきました。 この記事のポイントは- サクラは、日本などを原産とするバラ科サクラ属の樹木である
- サクラの育て方のポイントは4つ 「日当たりの良い場所」「水やり」「水持ちがよく栄養豊富な土」「元肥と追肥」
- 必要なお手入れは4つ 「植え付け」「植え替え」「剪定」「株の増やし方」
- 室内で楽しむ方法は3つ 「切り花」「ミニ盆栽」「苔玉」