目次
春の花壇を彩るヒヤシンス。毎年春になると、ボリュームのある花と良い香りが私たちをひきつけてくれますね。この花姿や香りの良さから、ヒヤシンスが大好きという方も多いのではないでしょうか。 一方で、ヒヤシンスの育て方について、正しく理解できているでしょうか。ヒヤシンスの置き場所や土、肥料の与え方など分からないことはありませんか。ヒヤシンスを育ててみたい、初心者でも育てられそうなの?と考えている方に向けて、ヒヤシンスの育て方について詳しく解説していきたいと思います。 そこでこの記事では
- ヒヤシンスってどんな植物なの?
- ヒヤシンスの育て方のポイント4つとは?(置き場所、水やり、土、肥料)
- ヒヤシンスのに必要な5つのお手入れとは?
- 水栽培の方法は?
- ヒヤシンスの育て方について困ったときは?
そもそもヒヤシンスとはどんな植物?
そもそも、ヒヤシンスとはどんな植物なのでしょうか?ヒヤシンスの基本情報についてご説明したいと思います。地中海沿岸が原産のユリ科ヒヤシンス属の球根植物
ヒヤシンスは、ギリシャなどの地中海沿岸が原産の球根植物です。キジカクシ科ヒヤシンス属に属しますが、ユリ科とされることもあります。春を代表する花
ヒヤシンスは春を代表する花の一つですね。毎年3月~4月(寒冷地では、4月~5月頃)に開花時期を迎えます。草丈は20cm程度と比較的小ぶりですが、ボリューム感のある花姿はとても目を引きます。花色の豊富さと甘い香りが特徴
ヒヤシンスの野生種は、青紫色の花色が多いですが、園芸種は赤、ピンク、白、黄、青、紫と、花色がとても豊富です。その花々は甘く強い香りを持つのも特徴的です。また、球根の表皮は、これから咲く花色と似た色であると言われます。球根を見るとおおよその花色を知ることができるでしょう。ダッチ系とローマン系という種類がある
ヒヤシンスにはダッチ系とローマン系という種類が存在します。 ダッチ系ヒヤシンスは、オランダで品種改良された園芸種が主です。花数が多く、花付きが良いため、より見た目が華やかな種類です。庭植え、鉢植え(プランター)、水栽培で栽培が可能です。 一方でローマン系ヒヤシンスは、1つの球根から複数の茎が伸び、花数が少ないためダッチ系に比べると小ぶりな印象の種類です。庭植えが一般的です。桃色の花が密につくフォンダントという品種が人気
ダッチ系ヒヤシンスの中でも、桃色の花が密集したように咲くフォンダントという品種が人気です。淡い色のヒヤシンスがお好みの方はぜひフォンダントをお迎えしてみてはいかがでしょうか。育てやすい人気の植物
ヒヤシンスは、耐寒性も強く育てやすい植物と言われています。ヒヤシンスが育てやすいと言われる理由はどこにあるのでしょうか。プランターや花壇、鉢植えでも育てやすいコンパクトな大きさ
草丈が20cm~30cmほどであると、基本情報でお伝えしましたね。プランターや花壇、鉢植えでも育てやすいサイズのため、お庭のスペースが限られている方や、ベランダなどで楽しみたい方にも管理しやすい大きさです。水栽培でも育てられる
ダッチ系の園芸種であれば、ヒヤシンスは、庭植え、鉢植えのみならず、水栽培でも育てることができます。土を使わない水栽培であれば、ヒヤシンスを、お部屋の中でも楽しむことができますね。保育園でヒヤシンスを育てているところも多い
幼稚園や保育園でも、教育の一環として園児と一緒にヒヤシンスを育てているところが数多くあるようです。何色の花が咲くのか楽しみにしながら一生懸命お世話している姿を想像すると、とても微笑ましい光景ですね。ヒヤシンスは、保育園の花壇での栽培はもちろん、水栽培も可能です。水栽培であれば準備するものも少なく、子どもと一緒にできるのも魅力です。また、耐寒性もあるため、日本全国で育てることができます。ヒヤシンスの育て方のポイント①置き場所
ここからは、ヒヤシンスの育て方のポイントについて解説していきます。ヒヤシンスの育て方のポイントは、4つあります。順にご説明します。 1つ目のポイントは、置き場所です。
日当たりと風通しが良い場所に植えるとよい
ヒヤシンスは、日当たりと風通しの良い場所を好みます。鉢植えや庭植えであれば、日当たりが良く、霜が当たらないような場所を選びましょう。室内などよく日に当たらない場所だと花付きが悪くなる
ヒヤシンスは多くの花が付くのが特徴的の植物ですよね。その花付きを良くするためには、日当たりは大切なポイントです。庭植えなどの屋外の日当たりは前述した通りですが、室内で育てる場合、日当たりが十分でない場合、花付きが悪くなりますので、注意しましょう。寒さに当てることで花芽をつける
一方で、ヒヤシンスを冬の寒さに当てることも大切です。ヒヤシンスは、寒さに当たることで花芽を付けるという特徴がありますので、花芽が付くまでは、しっかりと屋外の寒さに当てましょう。よく花を咲かせるための置き場所
以上のことを踏まえて、ヒヤシンスの花をよく咲かせるための置き場所は以下の通りです。良く日にあたる場所で育てる
1つ目は、日当たりのいい場所で育てることです。日陰でも育たないことはないですが、花数が減ったり、開花しないといったことにもつながります。ぜひ日当たりの良さは確保しましょう。冬の間も戸外で管理する
2つ目は、冬も戸外で管理することです。花芽が付くまでは、戸外で管理することで、翌春にはヒヤシンスのボリューム感のある花が咲きます。戸外に置いておくと害虫が気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、ヒヤシンスは害虫による被害はあまりないことが知られています。 花芽が出てからは、室内に取り込んでも構いません。室内に取り込んだ場合、開花が多少早まる可能性もあります。ヒヤシンスの育て方のポイント②:水やり
2つ目のポイントは、水やりです。ヒヤシンスの水やりは、どのようなタイミングでどのくらい与えるのでしょうか。乾燥させすぎないように注意
水やりは、基本土が乾燥してから与えることが多いですが、ヒヤシンスは、用土を乾燥させすぎてはいけません。土の表面の乾き具合を日々観察しておきましょう。10月~5月の生育期は土が渇いたらたっぷりと
ヒヤシンスの生育期は10月から翌年の5月くらいまでです。その時期は、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。また、水やりは、午前中~お昼頃までに行いましょう。夕方や夜に水やりをすると、夜の冷え込みで、根を痛めることがあります。休眠期は水やりを控える
ヒヤシンスは夏場7月~9月頃に休眠期に入ります。この時期は、水を吸う力が弱まるため、休眠期は、水やりを控えましょう。ヒヤシンスの育て方のポイント③:土
3つ目のポイントは土です。どんな用土を準備すればよいのでしょうか。
水はけがよくふんわりとした軽い土がよい
ヒヤシンスは、地植え、鉢植えする場合共に、水はけが良く、ふんわりとした軽い土を好みます。土が固いと、ヒヤシンスの根の生長が妨げられるため、軽い土が好ましいです。水はけが悪いときは砂やパーライトを加える
基本的には、市販されている草花用の土や、球根用の土で問題ありませんが、市販品でも水はけが悪いと感じる場合は、砂やパーライトを加えると水はけを改善することができます。鉢植えの場合
鉢植えの場合のおすすめの用土について、もう少し詳しくご説明いたします。市販のハイポネックス培養土がおすすめ
市販品であれば、元肥が配合されているハイポネックス培養土がおすすめです。こちらは、緩効性肥料として、マグァンプKが配合されています。赤玉土7:腐葉土3の混合土でもよい
ご自身で土をブレンドする場合は、赤玉土と腐葉土の割合7:3がおすすめです。その際、元肥として、緩効性の化成肥料と苦土石灰も混ぜておくと良いでしょう。ヒヤシンスの育て方のポイント④:肥料
4つ目のポイントは、肥料です。肥料はどのように与えると良いのでしょうか。鉢植えも地植えも元肥を与える
用土の説明でも軽く触れましたが、鉢植えでも地植えでも、用土に元肥を混ぜ込んでおきましょう。地植えの際の用土は、30cmほどの深さまで土を掘り起こし、元肥としてマグァンプK中粒などを混ぜておきましょう。芽が出てから開花するまでも定期的に液肥を施す
ヒヤシンスは、定期的に肥料を施すことでたくさんの花を咲かせることができます。芽が出て開花するまでは、1週間~10日に1回の頻度で液体肥料(液肥)を与えます。その際の液肥は、ハイポネックス原液などが一般的です。花後になったらカリが多めの肥料でお礼肥を行う
花が咲き終わる時期になったら、今後の球根を充実させるためにカリ成分が多く含まれている肥料を用いて、追肥を行います。これをお礼肥と言いますが、花後にお礼肥を施すことによって、来春に開花するためのエネルギーを蓄えることができます。肥料の与えすぎに注意
一方で、肥料の与えすぎには注意しましょう。肥料をあげすぎると、株が弱々しくなってしまうこともあります。肥料の用法や分量を守り、ヒヤシンスの様子を見ながら調整していきましょう。特に花後はヒヤシンスの休眠期前のため、与えすぎると土に肥料分が残ってしまい、球根を腐らせてしまうこともありますので注意してください。ヒヤシンスのお手入れ
これらの4つのポイントを押さえれば、球根植物初心者でもヒヤシンスを育てることが可能です。 これら4つのポイントに加え、以下では、ヒヤシンスに関するお手入れ5つを解説していきたいと思います。植え替え
1つ目は、植え替えです。ヒヤシンスは植え替えが必要なのでしょうか。植えっぱなしでも育てられる
ヒヤシンスは植えっぱなしでも長い期間育てることができます。しかしながら、長年植えっぱなしの場合、土の中が根で込み合い、生育不良になってしまうことがあります。そのため、タイミングを見計らって植え替えをしてあげると良いでしょう。鉢植えの植え替えのタイミング:花が終わって地上部が枯れたら
鉢植えでヒヤシンスを育てている場合、花が咲き終わって、地上部が枯れてきたら植え替えのタイミングとなります。地植えの植え替えのタイミング:2~3年に1回が目安
地植えで栽培している場合は、2年~3年に1回程度を目安に植え替えを行うと良いでしょう。その際は、後述します「分球」のついでに行うのがおすすめです。植え替えのしかた
植え付けのしかたは特に難しいことはありません。 長く育てていると、土が痩せてくるので、新しい用土を準備してください。庭や鉢から、球根を優しく掘り起こし、用意した新しい用土に植え付けましょう。剪定
2つ目は、剪定です。ヒヤシンスの剪定は花後に行います。花がら摘みを行う
ヒヤシンスは、たくさんの花が咲きますが、枯れた花を手で摘み取る必要があります(花がら摘み)。枯れたまま放置してしまうと、種を作ろうとエネルギーが消費されてしまい、株が弱ってしまうためです。この時、葉は光合成をしながら、翌年の花を咲かせるためのエネルギーを蓄えているため切りません。剪定時は、葉と花茎は傷つけないように、一輪ずつ花がらだけを摘みましょう。病気の予防にもなる
枯れた花はカビが発生することもあり、それが原因で病気になってしまうこともあります。花がらを摘むことで、病気(黄腐病や白腐病)の予防にもなりますから、枯れた花を見つけ次第、こまめに葉ながら摘みを行っていきましょう。ちなみに、ヒヤシンスは害虫による被害はあまりないといわれています。夏越し
3つ目は、夏越しです。どのように夏越しさせればよいのでしょうか。夏に休眠を行う
ヒヤシンスは夏場、休眠期に入ります。この時期のヒヤシンスは、茎や葉が枯れ、球根だけの状態になります。土に植えっぱなしでも夏を越すことは可能ですが、できれば掘り起こした方が良いでしょう。球根を掘り上げて保管するとよい
夏になったら、球根を掘り上げて乾燥させ、保管するのがおすすめです。掘り起こした球根から、葉や根、土を取り除いたら、ネットなどに入れて日陰で風通しの良く、涼しい場所で保管しましょう。その際、球根を腐らせる原因となるため、水洗いはしないでください。植え付け
4つ目は、植え付けです。ヒヤシンスは、どのように植え付けすると良いのでしょうか。球根の選び方
毎年、秋頃に園芸店やホームセンターなどでヒヤシンスの球根が販売されます。購入する際は、病気がなく、ずっしりと重みがある、大きな球根を選んでください。芽出し球根を買う方法も
また、同じ時期に、芽出し球根のポット苗も流通しているので、苗から育てたい方はそちらを購入しても良いでしょう。植え付けの時期:10月~11月の秋
ヒヤシンスを球根から育てるときは、10月~11月頃が最適です。秋に植え付け、翌春に綺麗な花が咲くのが楽しみですね。植え付けのしかた
まずは庭植えする場合の植え付け方法についてご説明します。 まずは植え付けするために必要なものは以下のものです。- ヒヤシンスの球根(芽出し球根)
- 培養土
- スコップ
- 手袋
- 鉢、プランター(深さがあるものがおすすめ)
- 鉢底石
- 鉢底ネット
- 植付ける庭の土に、元肥を撒き、よく耕します。
- 深さ5cmほど掘り、球根を植え付けます。この時、球根と球根の間隔を、球根約1~2個分を目安にして植えましょう。
- 15号サイズの鉢に球根3つ程度を目安に、鉢底ネット、鉢底石、培養土を入れます。
- 深さ3cm~5cmくらい土を掘り、球根を植え付けます。
ヒヤシンスの増やし方
5つ目は、増やし方についてです。ヒヤシンスは増やすことができるのでしょうか。分球によって増やすことが可能
ヒヤシンスは、分球という方法によって株を増やすことができます。分球とは字の通り、球根を分けることを言います。ダッチ系の分球の仕方
ダッチ系ヒヤシンスは自然に分球していくことはありませんので、手を加える必要があります。- ヒヤシンスの休眠期に当たる7月頃に球根を掘り起こします。
- ①の球根の底に、半分くらいの深さまで、しっかりと十字の切り込みを入れます。
- 秋の植え付け時期まで、涼しい場所で保管します。
- 切れ目には、小さな球根ができますので、それを分けて植えることで球根を大きくしていきます。
ローマン系の分球の仕方
ローマン系ヒヤシンスは、自然に分球していくのが特徴です。自然に分球して球根が増えていくので、地植えの場合、植えっぱなしにしているとあたり一帯にどんどん増えていくでしょう。水栽培での育て方
ここまでは、土栽培でのヒヤシンスの育て方についてご説明してきました。一方でヒヤシンスは、水栽培でも育てることができることをご存じでしょうか。水栽培の育て方についてもご説明したいと思います。用意するもの
用意するものは以下の2つです。ヒヤシンスの球根
水栽培用として販売されているヒヤシンスの球根がおすすめです。花瓶やペットボトルなどの容器
水栽培の容器は、簡単なもので構いません。花瓶やペットボトルなどの根の様子が見える透明な容器を用意しましょう。水栽培のコツ
水栽培のコツは4つあります。コツをつかめば、初心者でも気軽にヒヤシンスの水栽培を楽しむことができます。それでは順に説明していきます。寒さに当てて管理する
ヒヤシンスがうまく咲くためには寒さに当てることが大切です。球根を購入してきたら、水栽培をスタートする前に1ヶ月ほど冷蔵庫などで寒さに当ててあげましょう。冷蔵庫に植物を入れるというのはあまり馴染みがないかもしれませんが、ヒヤシンスの栽培には一般的な方法です。水栽培開始後は、暖房をつけない部屋など、できるだけ涼しい場所で管理しましょう。水を入れ替える
1週間に1度を目安に、水を入れ替えましょう。水が汚れていると、カビが生えたり球根が腐ったりすることがあります。根の出具合によって水を調節する
容器に水を入れすぎてしまうと根腐れを起こしてしまいます。ヒヤシンスの発根直後は、根の先端だけが水に浸かるようにしてください。根が伸びてきたら、球根と根の間に1cm程度すき間が空くくらいの水の量に調整しましょう。メネデールを用いる
メネデールは名前の通り「芽や根」が出やすくなる、植物のサプリメントのような役割があります。ヒヤシンスの根の生長をサポートしてくれます。水栽培のやり方
水栽培の手順についてです。- ヒヤシンスの球根を載せる容器をよく洗います。
- 球根に土がついている場合、根を傷つけないよう手で球根の土を落としみずですすぎます。この時手袋を付けると着用すると肌がかぶれるのを防ぐことができます。
- 準備した花瓶やペットボトル容器に、水と根腐れ防止剤を一握りほど入れます。
- 容器にヒヤシンスの球根をのせます。
育て方に困ったら相談してみましょう
ヒヤシンスに限らず、植物を育てていると、何か分からないことが出てくるかもしれません。育て方に困ったときは、以下のサイトや施設で相談してみると良いでしょう。『みんなの趣味の園芸』などの情報サイト
1つ目は、園芸情報サイトです。「みんなの趣味の園芸」というサイトは、園芸相談Q&Aというコーナーが設けらています。そこで、植物栽培の相談をしたり、ご自分がアドバイスできることがあれば、他の方の相談に回答してあげることもできます。ぜひ一度、「みんなの趣味の園芸」を覗いてみると良いでしょう。園芸相談ができる『緑の相談所』
2つ目は、「緑の相談所」です。こちらは、一般家庭での花、植物の栽培方法について相談できる施設で、全国に設置されています。相談時間や休館日など施設によって異なりますので、相談したいことがある方は、一度検索してみましょう。【まとめ】ヒヤシンスの育て方を徹底解説!成長後のケア方法から水耕栽培の方法まで
いかがでしたか。ヒヤシンスの育て方について解説してきました。 この記事のポイントは- ヒヤシンスは地中海沿岸が原産の球根植物で、ダッチ系とローマン系の種類がある
- ヒヤシンスの育て方のポイントは4つ 「日当たりと風通しが良い場所」「水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと」「水はけの良い軽い土」「元肥、定期的な液肥、お礼肥を施す」
- ヒヤシンスに発生するお手入れは5つ 「植え替え」「花がら摘み」「球根を掘り上げる」「植え付け」「分球」
- ヒヤシンスは水栽培でも栽培可能である