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カラフルな花色が美しいインパチェンスは、春から秋にかけての園芸で人気が高いお花のひとつです。比較的に育てやすく、初心者やちょっとしたスペースのガーデニングにもおすすめのインパチェンスですが、基本的な育て方を知っていないと枯らしてしまう可能性もあります。また、病気やトラブルが起きた時の対処方法もガーデニングを始める前に知っておきたいですね。 そこでこの記事では、
- インパチェンスはどんな植物?
- インパチェンスの育て方①置き場所
- インパチェンスの育て方②水やり
- インパチェンスの育て方③土壌づくり
- インパチェンスの育て方④肥料
- インパチェンスの育て方⑤冬越し
- インパチェンスに多い病害虫と対処方法
- インパチェンスの上手な剪定方法をご紹介
- インパチェンスの植え替え方法を解説
- インパチェンスの増やし方
- インパチェンスとニューギニアインパチェンスの違いは?
インパチェンスとはどんな植物?
まずは、インパチェンスがどんな植物なのかをご紹介します。インパチェンスは5月のゴールデンウィークから7月の夏場にかけて、お花屋さんや園芸店でポット苗を見かけることが多いかもしれません。ピンクや白、赤といった花色が多いインパチェンスにはどれだけの種類があるのでしょうか。アフリカホウセンカとも呼ばれる熱帯原産の植物
インパチェンスは、「アフリカホウセンカ」とも呼ばれる熱帯が原産のツリフネソウ科の植物です。基本的には春から秋にかけての生育期に花を楽しむことのできる植物で、寒い地域では冬越しが難しいと言われています。インパチェンスは、別名にアフリカホウセンカとついている通り、アフリカの高地で多く自生している植物です。ツリフネソウ属をラテン語でインパチェンスと呼ぶことからつけられた名前だと考えられています。初夏から秋にかけて花を咲かせる一年草
初夏から秋にかけて花をよく見かけるインパチェンスは、日本では一年草として取り扱われています。原産地の熱帯地方やアフリカ地方では冬場も地植えにして育てることができるので多年草として生育していますが、日本の気候では冬越ししにくい植物なのです。次々と花を咲かせるので、シーズン中は長く花を楽しむことができるのもインパチェンスの魅力のひとつでしょう。春には開花して、秋口まで楽しめるのでお庭のガーデニングには欠かせない花材なのです。一重や八重咲きまで様々な種類がある
一昔前までは、一重のインパチェンスしか見かけることはありませんでしたが近年では品種改良が進み、八重咲き、半八重咲き、アップルブロッサムに代表されるバラ咲きのインパチェンスが多く販売されています。色々なメーカーから販売されているので、品種も多様で春のガーデニングシーズンには毎年、珍しいインパチェンスを見ることができるのです。特にバラ咲きのアップルブロッサムは、柔らかい薄ピンクの花弁がバラのように広がりゴージャス感を感じさせてくれる人気の品種です。耐陰性があり生育も早く育てやすい
インパチェンスは耐陰性があるため、半日かげの場所でも元気に成長してくれます。花を育てにくい日陰の場所でも花をつけることができるので、初心者にも向いた植物だと言えるでしょう。また、ワンシーズンでこんもりとした苗にまで成長するのでプランターなどに植えても十分に見栄えのする特徴もインパチェンスが好まれるポイントなのでしょう。地植えより室内の鉢植えで育てるほうが適している
インパチェンスは地植えよりも、鉢植えで育てるほうが適しています。というのも、インパチェンスの苗は降雨が当たりすぎると弱ってしまうことがあるのです。鉢植えであれば、雨の場合は軒下に取り込むこともできますし管理がしやすいメリットも挙げられます。耐陰性があるインパチェンスですが、基本的にはお日様の光を好む植物ですので鉢植えで育てて天候によって日当たりの良い場所に移動してあげるのも良いですね。インパチェンスの育て方①:置き場所
インパチェンスの基本的な情報がわかったところで、肝心の育て方についてご紹介していきましょう。インパチェンスの育て方の一番目として、置き場所について解説していきます。日当たりと風通しの良い場所
インパチェンスは日当たりと風通しの良い場所が適しています。耐陰性があるインパチェンスですが、定期的に日光浴をさせてあげることが必要です。室内であれば風通しの良い、窓場などでカーテン越しの光に当ててあげるようにしましょう。地植えにするときは、あまり雨が当たらないような軒下の花壇などが適しています。耐陰性があるため日陰でも育てることが可能
インパチェンスは耐陰性があるので、日陰で育てることもできます。ある程度、日当たりの悪い北向きの場所や午前中だけ光が当たるような場所でも大丈夫ですよ。花付きが悪くなってきたと感じたら、日当たりの良い場所に移動させてあげることで対処しましょう。真夏の直射日光は避ける
インパチェンスは真夏の直射日光が長時間当たるような場所で育てると、日光に負けて葉焼けを起こしたり弱ったりしてしまう可能性もあります。真夏の直射日光は避けるように、半日陰の場所に移動させてあげたり落葉樹の下に地植えするなどして強すぎる日差しが当たらないように気を付けてあげましょう。インパチェンスの育て方②:水やり
インパチェンスの育て方の二番目として、水やりの方法を解説していきます。水やりは頻度や方法を間違えると根腐れなどを引き起こして枯れてしまう可能性もありますので注意しましょう。土の表面が乾いてから水やり
インパチェンスの水やりは、基本的には土の表面が乾いてから与えるようにしましょう。インパチェンスは雨に弱いとご説明しましたが、水やりの際に葉や花に水がかかってしまうことも嫌います。水やりをするときは根元に直接かけるようにして、株の全体を全体を濡らさないように気を付けながら行いましょう。鉢底から溢れるくらいたっぷりと
インパチェンスの水やりの量は、鉢植えやプランター栽培の場合は鉢底から水があふれるくらいたっぷりと行いましょう。地植えの場合は、基本的には水やりの必要はありません。乾燥が続くような気候の場合のみ、土に水をしみこませるようにして水やりを行いましょう。インパチェンスの育て方③:土壌作り
インパチェンスの三番目の育て方のポイントとして、土壌作りについて解説していきます。インパチェンスは過剰な水分には弱い植物ですので、土壌も排水性の良いものを選ぶようにしましょう。水はけの良い土が適している
インパチェンスは水はけの良い土を好みますので、水やりした後に水分がしっかりと排水されるように心がけて用土を作りましょう。水はけが悪いと、インパチェンスの葉や花が傷みやすいだけでなく根腐れを引き起こして枯れてしまうこともあります。市販の草花用培養土でも育てることが可能
インパチェンスを植える時は、園芸用の培養土や草花培養土を選んで土壌作りを行いましょう。ホームセンターなどで販売されている一般的な培養土で問題ありません。培養土を自作する時は、赤玉土や鹿沼土を混ぜ込んで排水性を高めてあげる必要があります。インパチェンスの育て方④:肥料
インパチェンスの育て方の四番目のポイントとして、肥料について解説していきます。たくさんの肥料を必要とせずに成長してくれるインパチェンスですが、花数を増やしてたくさんの花を観賞するためには生育期の肥料が必要になってきます。花が咲く時期に追肥を施す
インパチェンスは、花が咲く生育期を中心に追肥を施すのが良いタイミングです。この開花時期に追肥をすることによって、たくさんの花がつくとともに長持ちしてくれるメリットがあります。春から初夏にかけて花が咲く時期になったら、市販の液肥や置き肥を与えましょう。植えつけの際に元肥を施す
生育期の追肥の他に、植え替えや植え付けの際に元肥を施す必要もあります。元肥は株を大きく成長させる効果がありますので、新しい土にインパチェンスを植える時は忘れずに元肥を与えましょう。元肥として与える肥料は、緩効性の化成肥料か油粕などの有機肥料がおすすめです。インパチェンスの育て方⑤:冬越し
前述したようにインパチェンスは寒さに弱いため、冬越しが難しい植物です。育て方の工夫をすれば冬越しもまったく不可能というわけではありませんので、冬越しにチャレンジしてみるのもおすすめですよ。寒さに弱いため一年草として扱われる
インパチェンスは寒さに弱いので、日本では一年草の草花として扱われています。春から秋にかけて花を咲かせた後は、種をこぼして環境が合えばまた次の年に成長して花を咲かせてくれます。原産地のアフリカを含む、熱帯地域では冬越しの必要がないため多年草として冬も地上部を残している姿を見ることができますよ。寒さと湿度を管理すれば冬越も可能
日本の気候でも、寒さと湿度を上手に管理すれば冬越しすることも不可能ではありません。霜や寒風に当たってしまうとすぐに枯れてしまうので、冬越しを試してみるときは秋になったら温室や室内に取り入れてあげましょう。インパチェンスの耐えられる最低気温は、5℃~10℃だと言われていますので室内であっても温度が下がりすぎないように注意が必要です。また、過湿にも乾燥にもならないように湿度管理も気を付けてあげましょう。冬の昼間は、良く日の当たる室内で育ててあげるのがポイントです。インパチェンスに多い病害虫と対処法
この項目では、インパチェンスに多い病害虫と対処方法をご紹介します。インパチェンスはこんもりと茂り可愛らしいシルエットを作ってくれる植物ですが、その分、密集しやすいので病気や害虫が発生すると一気に蔓延してしまいますので、早めに気づいてあげるようにしましょう。灰色かび病
灰色かび病は、粉をふいたように灰色のカビが葉や花に広がる病気です。高温多湿に弱いインパチェンスは、水やりが過度だったり梅雨の時期に湿度が高すぎたりすると灰色かび病が発生しやすくなってしまいます。見つけた時の対処方法は、病気になった葉や花を切り取ることにあります。ただ、カビの菌糸が広がっている可能性も考えられますので予防もかねて市販の殺菌剤をスプレーしてあげましょう。最近では、お手軽に散布できるベニカなどのスプレータイプの殺菌剤も販売されています。ハダニ
ハダニは葉の裏や花のつけ根にまとまって発生する害虫です。小さな灰色や白のダニが集まって発生しますので、見つけた場合は市販の殺虫剤が効果的です。対応害虫にハダニと記載されているものを用いましょう。ハダニは、そのままにしておくと不快なだけでなく植物から吸汁をして苗を弱らせてしまうので早めに対処する必要があります。インパチェンスの剪定のポイント
インパチェンスをキレイなシルエットでたくさんの花を咲かせるためには、剪定が欠かせない作業です。必ず行わなければならないというわけではありませんが、剪定をしないままだと徒長して株が乱れてしまうのでシーズン中に一回は剪定をしてあげましょう。7月頃に切り戻しをおこなうと花が美しく咲く
インパチェンスは、7月ごろに切り戻し剪定を行うのがおすすめです。春に植えたインパチェンスは数か月である程度の大きさに成長して花を咲かせているので、梅雨が明けた7月を目安に全体の3分の1程度の大きさに切りそろえてあげましょう。切り戻し剪定を初夏に行うことによって、花や葉のつやが良くなるとともに花数も増えてくるはずです。また、真夏に花を咲かせない時期を作ることによって株が休むことができ、秋にたくさんの花を新しくつけてくれることが期待できるのです。切り戻しのやり方
では、どのように切り戻し剪定を行うのか解説していきましょう。切り戻しのやり方は素人でも難しくないので、清潔なハサミを用意したら早速始めてみましょう。- 全体の3分の1くらいのサイズになるように茎や葉をカットしていきます。
- カットする場所は節の部分にあるわき芽を残すように切っていきます。
- わき芽がわからない場所も、3分の1程度の長さにカットしていきましょう。
- 少し離れて全体を見て、形を整えます。
- 切り戻しをしたら、液体肥料を施しておきましょう。
- 数週間で新しい葉や茎が伸びてきますので、徒長した部分があれば再度、カットします。
インパチェンスの植え替え・植え付けのポイント
続きまして、インパチェンスの植え替えや植え付けのポイントを解説していきます。植えつけは購入したポット苗を地植えに変えたり、寄せ植えとして他の苗とともに大きな鉢に植える時に行います。一年草であるため基本植え替えは不要
インパチェンスは一年草であるため、シーズン中の植え替えは基本的には行わなくて大丈夫です。ポット苗で買った場合に、プランターに植え替えたり大きな鉢に寄せ植えをしたりする場合のみ、植え替え・植えつけを行いましょう。インパチェンスを鉢やポットから取り出したら、少しだけ根をほぐして新しい土に植え付けましょう。その際に、元肥を忘れずに施しておくとその後の生長が豊かになります。根詰まりをおこしたら植え替えをする
インパチェンスは基本的には植え替えは不要な植物ですが、ポット苗などで根鉢が小さくまとまってしまっている場合は根詰まりを起こしやすくなってしまいます。インパチェンスが根詰まりを起こしたら植え替えを行うようにしましょう。根詰まりをしているかどうか見分けるポイントは、水の吸収が悪くなっていること、鉢の底から根がはみ出ていることなどが挙げられます。植え替えを行うことによって、根の成長が促されて地上部の葉や茎もさらに元気に育ってくれるはずです。インパチェンスの増やし方
インパチェンスの基本的な育て方がわかったところで、増やし方についてご紹介します。インパチェンスは、種を採取して翌年の発芽を待つ「種まき」と春に行いシーズン中に苗を作る「挿し芽」という方法で増やすことができますので、たくさんの苗を作りたい方はぜひ試してみましょう。挿し芽
挿し芽は春の5月前後に作業を行いましょう。芽のついたインパチェンスの茎をカットして、赤玉土や挿し芽用土などの水はけの良い土に挿して発根を待ちます。挿し穂を作った後は、下の葉や芽をカットして水揚げしてから挿しましょう。そのまま水挿しとして発根を待つことも可能です。メネデールなどの発根促進剤を使うとさらに発根率が上がりますよ。数週間で根が出てきますので、ポット苗などに移植して大ききなるまで育てましょう。挿し芽はワンシーズンではあまり大きな苗になることが少ないので、可能であれば室内や温室などで冬越しができるといいですね。種まき
種まきはインパチェンスの種を採取して、翌年の春に播種することでたくさんの苗を作る増やし方です。3月~6月が種まきの適期ですが、発芽には温度が必要なので5月に入ってから行うのがおすすめですよ。種まき後は60日ほどで芽がでるはずです。インパチェンスを種まきから育てる時は、それなりに大きい苗になるまでは半日かげの風通しの良い場所で育てるようにしましょう。ニューギニアインパチェンスとインパチェンスは何が違うの?
最後に、よく質問のあるインパチェンスとニューギニアインパチェンスの違いについてご紹介します。同じインパチェンスという名前がつく二つの植物ですが、どのような違いや見分け方があるのでしょうか。
ニューギニアで自生している品種から作られたもの
ニューギニアインパチェンスは、ニューギニアで自生している品種から園芸用に改良されたものです。インパチェンスと比べると苗も花も大き目で、豪華な苗を楽しむことができるのがニューギニアインパチェンスの魅力です。品種改良される前の野生種はインパチェンスとニューギニアインパチェンスは異なるのですが、見た目はとても良く似ています。このニューギニアインパチェンスをさらに改良したサマーインパチェンスという品種も近年では人気が高まっています。サマーインパチェンスは株がかなり大きくなり、その分だけ花を咲かせてくれる魅力が人気です。インパチェンスより大きく華やかに育てられる
ニューギニアインパチェンスは、花も葉も大ぶりなので華やかに育てることができます。一株でも充分に大きく成長してくれますので、大きめの鉢に植え替えて楽しむのも良いですね。インパチェンスの葉は卵型なのに対して、ニューギニアインパチェンスの葉は色も濃くとがっている特徴があります。そのため、ニューギニアインパチェンスはより南国風のエキゾチックな印象があるのではないでしょうか。育て方に大きな違いはありませんので、ニューギニアインパチェンスも風通しの良い半日かげの場所で管理してあげましょう。【まとめ】インパチェンスの育て方を徹底解説!成長後のケアから病害虫の対処法まで
いかがだったでしょうか。 春から秋にかけてのガーデニングには欠かせないインパチェンスについてご紹介させていただきました。インパチェンスは耐陰性があるので、日陰で育てる花材としては特に優秀で多くの方に好まれています。花色や花の形も様々で選びがいがあるのもインパチェンスの魅力のひとつですね。ぜひ、春の園芸シーズンにはインパチェンスを取り入れてみてはいかがでしょうか。 この記事のポイントは以下の通りです。- インパチェンスは熱帯地域が原産の一年草の草花
- インパチェンスの育て方①置き場所は風通しの良い日当たりの良い場所や半日陰
- インパチェンスの育て方②水やりは土の表面が乾いたら株元にたっぷりと与える
- インパチェンスの育て方③用土は排水性の高いものを選ぶ
- インパチェンスの育て方④肥料は生育期に元肥と追肥を行う
- インパチェンスの育て方⑤冬越しは室内や温室の暖かい場所で管理する
- インパチェンスは灰色かび病やハダニが発生しやすいので、早めに見つけて薬剤で対処する
- インパチェンスを7月に切り戻し剪定することで秋にまたたくさんの花を咲かせてくれる
- インパチェンスは基本的には植え替えの必要はない
- インパチェンスの増やし方は挿し芽と種まきがある
- インパチェンスとニューギニアインパチェンスは葉の形で見分ける