目次
鮮やかで金魚のような花びらが特徴のキンギョソウは、初心者でも育てやすくガーデニングでも人気の植物です。お手入れが簡単とはいえ、キンギョソウの育て方にはいくつかのポイントがあります。 そこで今回は
- キンギョソウの置き場所
- キンギョソウの水やり方法
- キンギョソウの土作り
- キンギョソウの肥料の与え方
- キンギョソウに多い病害虫と対処法
- キンギョソウのお手入れ
キンギョソウとはどんな植物?
ピンクや赤色、黄色など鮮やかなカラーの花が人気のキンギョソウ。カラフルに群生した姿はまさに金魚のような色合いで、明るい雰囲気が魅力です。キンギョソウの基本的な育て方をご紹介する前に、まずはどんな植物なのか詳しく解説します。地中海原産の宿根草
キンギョソウは南ヨーロッパや北アフリカなどの地中海原産の宿根草(しゅっこんそう)です。宿根草とは生育が止まる休眠期に葉や花を枯らせる植物のこと。英名は「スナップドラゴン」と呼ばれ、世界には約40種類の品種が存在するといわれています。高温多湿の日本では一年草として扱われる
キンギョソウは毎年花を咲かせる園芸品種ではあるものの、日本のような高温多湿の環境では夏前になると枯れてしまい翌年は咲きません。そのため日本では一年草として扱われ、秋頃にタネを撒いて春の開花を待ちます。日本で一年草として扱われるキンギョソウは、植え替え作業が必要ありません。高温多湿に弱く一年草である一方、植え替えの手間がなくタネからでも簡単に育てられる園芸品種として人気です。八重咲きや班入りなど様々な品種
キンギョソウは品種によって八重咲きや斑入りの花など、さまざまな品種があります。草丈も1m以上あるものや50cm程度の小型の品種などがあり、同じキンギョソウでも違った雰囲気を楽しめるのも魅力です。大きさに合わせて花壇やプランター栽培、切り花など、自由な育て方ができるでしょう。4月~6月に開花する
キンギョソウの開花時期は4月~6月で、春~初夏にかけて花が咲きます。品種によっては温室栽培もできるため、冬に開花させることも可能。温室栽培では草丈が1m程度のものが多いのが特徴です。色はピンクや白色、赤や黄色など、さまざまなカラーがあります。キンギョソウの育て方①:置き場所
ここからはキンギョソウの育て方を詳しく解説していきます。キンギョソウの育て方のポイント1つ目は置き場所です。キンギョソウの適切な置き場所で抑えるべきポイントは、主に2つで、ここでは冬越しについても解説します。日当たりの良い場所で管理
キンギョソウは日当たりの良い明るい場所で管理しましょう。日光が当たらない場所では、茎が伸びすぎて不格好になる間延びという症状が出る可能性があります。庭植えをする場合は日当たりの良い場所を選んで植えつけてください。鉢植えの場合は明るい場所で管理しますが、気温が高い真夏の直射日光には弱いため、明るい日陰に移動しておきます。水はけの良い場所を好む
キンギョソウは日当たりの良い場所に加えて、水はけの良い環境を好みます。そのため風通しが良く、水はけの良い土を使用した環境が最適です。通気性や水はけが悪いと害虫が発生しやすくなり、病気にかかってしまうこともあるため注意しましょう。耐寒性もあり冬越しの作業は必要ない
キンギョソウは耐寒性がある植物のため、冬越しの作業は必要ありません。そのため風通しの良い明るい場所で管理できれば、植えっぱなしが可能。ただし苗が小さいときは霜よけを行い、鉢植えの場合は室内へ移動しておくと安心です。また高温多湿には弱いため、雨が溜まりやすい場所では弱ってしまいます。庭植えにする場合は可能であれば、雨が当たりにくいところに植えつけるのがおすすめです。キンギョソウの育て方②:水やり
キンギョソウの育て方のポイント2つ目は水やりのしかたです。キンギョソウの水やりは時期によって注意すべき点もあります。生育がスムーズになるよう適切な水やり方法はチェックしておきましょう。土の表面が乾いてから水やり
キンギョソウは土の表面が乾いてから水やりをします。冬場は生育が止まるため、水やりはほとんど必要ありません。そのため冬場は土が過湿状態にならないよう、乾燥気味に管理します。冬の屋外で栽培するときの水やりは、日中に行ってください。冬の夜間や早朝は凍結する可能性があるため、キンギョソウを傷めないためにも慎重に行いましょう。乾燥気味を好むため過湿には注意
キンギョソウは多湿の環境では根腐れしやすく弱ってしまうため、水やりのしすぎには注意が必要です。必ず土の表面が乾いているか確認してから水やりをしましょう。ただし種まき後は発芽するまで水やりをして、土が乾燥しないように注意してください。また水やりの際は、花に直接水がかからないようにしましょう。花に水がかかると弱って枯れることがあるため、株元に水やりをしてください。キンギョソウの育て方③:土作り
ンギョソウの育て方のポイント3つ目は土作りです。土は植物のベースとなる部分で、生育にもっとも影響を与えます。そのためキンギョソウに適した土を使用することで、元気な花を咲かせてくれるでしょう。キンギョソウの育て方で覚えておきたい土作りのポイントをご紹介します。水はけの良い土であれば大丈夫
キンギョソウは水はけの良い土であれば、丈夫に育ちます。花壇などに地植えする場合は苦土石灰(くどせっかい)を混合しておくと、雨が降ったときでもアルカリ性の土が保てます。鉢植えの場合は赤玉土6:腐葉土4:川砂1の配合で作るのもおすすめです。 赤玉土は保水性と保肥性、通気性に優れた用土。腐葉土は枯れ葉や微生物が原料となった土で、通気性と保水性があるのが特徴です。川砂は川などから採れる砂で、土に混ぜると水はけを良くしてくれます。市販の草花用培養土でも育てられる
水はけの良い土を配合するのが面倒な場合は、市販の草花用培養土でも育てられます。市販の草花用培養土はすぐに使えてホームセンターや園芸店でも購入できるため、初心者にもおすすめです。キンギョソウの育て方④:肥料
キンギョソウの育て方のポイント4つ目は肥料の与え方です。植物の成長を促し、丈夫に育つようサポートしてくれる肥料も与え方を間違えると、キンギョソウを弱らせてしまい逆効果になります。元気なキンギョソウを維持するためにも覚えておきたい肥料の与え方は次のとおりです。地植えの場合は肥料は必要ない
まず地植えで育てている場合は、肥料を与える必要はありません。鉢植えの場合は生育が活発な春と秋に肥料を与えます。肥料は与えすぎないためにも、水で1000倍に希釈した液体肥料を2週間に1回与えてください。鉢植えの場合も真夏と真冬の肥料は控えましょう。生育が緩やかな時期に肥料を与えると、根が弱ってしまうため必要な時期にのみ散布します。植えつけの際に元肥を施す
キンギョソウは地植えの場合は定期的な肥料は不要の一方で、植えつけ時には元肥を施します。元肥には固形タイプの緩効性肥料を置き肥するのがおすすめです。緩効性肥料はゆっくりと効果を発揮する肥料で、あらかじめ混ぜておいても問題ありません。キンギョソウに多い病害虫と対処法
キンギョソウの育て方のポイントを解説してきました。ここからは育て方と一緒に知っておきたい病害虫と対処法について解説します。キンギョソウには2つの病気に加えて、害虫が発生することがあるため、早期発見できるように症状や対処法をチェックしておきましょう。灰色かび病
灰色かび病は枝や葉が茂ったときに発生しやすい病気です。名前のとおり灰色の粉のようなカビが発生します。花がらをそのままにしていたり、枯れた葉を放置していると灰色かび病にかかりやすくなるため注意が必要です。茂った枝はカットして風通しを良くしておくことで対策できます。立ち枯れ病
立ち枯れ病とは苗のときに発生しやすい病気で、高温多湿の環境下で悪化します。水はけの良い土を使用して、通気性の良い環境を保つことが大切です。立ち枯れ病になってしまった場合は、株ごと早めに処分しましょう。そのままにしていると他の植物にも感染するため早めの対処が必要です。アブラムシ
キンギョソウに発生しやすい害虫はアブラムシで、春から秋にかけて葉の裏や茎につきます。黄色や緑色のボディで成虫の大きさは約1.5mmです。とくに暖かい春の発生が多いため、葉裏チェックしておきましょう。アブラムシを発見したら殺虫剤で駆除するか、歯ブラシや粘着テープで丁寧に取り除いてください。取り除く際は土に落ちないようにビニールシートを敷くなど注意して作業しましょう。キンギョソウの日々の手入れ①:剪定
ここからはキンギョソウの育て方と一緒に覚えておきたい、日々のお手入れをご紹介します。日々のお手入れで大切な1つ目の作業は剪定です。成長スピードが早いキンギョソウは、適切な時期に剪定することで害虫予防にもなります。開花期間が長いためこまめな切り戻しが必要
キンギョソウは開花時期が長いため、こまめな切り戻しが必要です。切り戻しとは乱れた植物の形を整える剪定方法。キンギョソウは春と秋に開花するためそれぞれの花が終わったら切り戻しをすることで、次の開花時期に美しく咲いてくれます。込み合った枝葉を切り戻す
キンギョソウを切り戻しで剪定する方法は簡単で、混み合った枝葉をカットするだけです。茎の葉はすべてカットせず、残しておきます。草丈は3分の1程度までカットして問題ありません。切り戻し後は日当たりの良い場所で管理します。キンギョソウの日々の手入れ②:花がら摘み
キンギョソウの育て方と一緒に覚えておきたい日々のお手入れ2つ目は花がら摘みです。花がらとは咲き終わった花のことで、そのままにしていると生育に悪影響を及ぼすことも。花がら摘みの必要性について詳しく解説します。開花期間が長いため都度必要な作業
キンギョソウは開花期間が長いため、花がら摘みは花が咲きおわるたびに必要な作業です。花がらをそのままにしていると種を作ろうと栄養を吸収するため、次の花の期間が短くなります。そのため花がらを取り除くことで、生育バランスを整えられるでしょう。また花が終わったら、土に落ちた花がらも回収しておきます。見た目を整える目的や病気の予防になる
花がら摘みは見た目を整えるだけでなく、病気の予防にもなる大切な作業です。花がらをそのまま放置していると葉も茂り風通しが悪くなります。花がらを放置して風通しが悪くなると、灰色かび病やアブラムシが発生する可能性も。害虫や病気を予防するためにも、花が終わったら花がら摘みをして風通しの良い環境を維持しましょう。キンギョソウの苗の選び方
キンギョソウの苗は春と秋に出回ることが多い一方で、質の良いものを選ばないと上手く咲かない可能性もあります。無事にキンギョソウの花が咲くように苗の選び方のポイントをチェックしておきましょう。キンギョソウの苗を選ぶときは、次の2つのポイントを確認してください。株元がぐらついていないものを選ぶ
キンギョソウの苗を購入するときは、株元がぐらついていないものを選びましょう。茎がひょろひょろと伸びて、株元が弱々しいと花がつかない可能性もあります。花つきを良くするためにも苗を選ぶときには、株元がずっしりとしている丈夫なものを選んでください。葉色の濃いものを選ぶ
苗を選ぶときに株元と一緒に注目したいのが葉色です。質の良い苗は葉や茎が濃い緑色をしています。葉が黄色いと弱っている可能性があるため、避けましょう。同時に葉に虫がついていないかも確認しておくと安心です。キンギョソウの植え付けのポイント
苗の選び方がわかったら、次は植えつけのポイントをマスターしましょう。植えつけはキンギョソウを育てるための第一段階でもあります。種まきのポイントはもちろん、苗から育てる場合にも必要な植えつけの注意点も要チェックです。種まきのポイント
種から育てる場合は春、もしくは秋頃に、土を入れた育苗ポットやトレイに種まきをしましょう。発芽するのに適した気温は18℃~20℃程度で、種まきをして1週間程で発芽します。種をまいたら土はかぶせずに風通しの良い明るい場所で管理してください。発芽後、葉が7枚以上つくまではこまめに水やりをして、土が乾燥しないように注意しましょう。葉が7枚以上ついたら、いつでも植えつけできる状態です。植え付けに適した時期
キンギョソウの苗が育ち、葉が7枚ほどついたら植えつけができるようになります。植えつけに適した時期は10月下旬~11月上旬が最適です。あまり遅くなってしまうと、霜の影響で生育が悪くなり、花がつきにくくなります。植えつけのポイント
植えつけする際は育苗ポットから取り出したら、根鉢が崩れないようにします。根鉢が崩れると根を傷めてしまう可能性があるため、できるだけそのままの状態で植えつけてください。また花壇などに 地植えする場合は一度植えるとなかなか移動できないため、霜が当たらない明るい日陰に植えつけましょう。 鉢植えの場合は鉢底に軽石→土の順に入れて、植えつけます。苗が小さい場合は無理に植えつけずそのまま育苗して、春になってから植えつけることも可能です。キンギョソウの増やし方
カラフルなカラーがあるキンギョソウを庭植えにしていると、もう少し増やして鮮やかなお庭にしたいと思う方もいるかもしれません。キンギョソウは種まきと挿し芽という方法で増やすことが可能です。キンギョソウの育て方と一緒に覚えておきたい、2つの増やし方について解説します。種まき
キンギョソウの増やし方1つ目の方法は種まきです。キンギョソウは花が終わると鞘(さや)にタネをつけます。放置していると自然と地面に落ちるため、種まきで増やしたい場合は枯れた花茎を摘んでタネを採っておきましょう。採取したタネは湿気を避けるために、紙に包むか封筒で保管するのがおすすめです。種まきは春か秋頃に行い育苗ポットなどで育てて発芽し、葉が7枚ついたら植えつけます。先ほどご紹介した植えつけ方法と同じやり方で問題ありません。挿し芽
キンギョソウを増やす2つ目の方法は、挿し芽です。挿し芽とは春から秋に切り取ったわき芽を土に挿して育てる方法。具体的にはわき芽を10cmほどカットし土に挿します。土に挿したあとは明るい日陰で管理し、根が出るまで乾燥しないように水やりをしてください。発根したら鉢に植え替えて、通常の管理をします。わき芽を挿す用土は保水性と通気性に優れた赤玉土がおすすめです。キンギョソウの名前の由来は?
ここまでキンギョソウの育て方やお手入れ方法を詳しく解説しました。今回ご紹介したキンギョソウは金魚に似ているだけでなく、他のシルエットにも例えられているのをご存じでしょうか。最後はキンギョソウの名前の由来についてちょっとだけお伝えします。ふっくらとした花の形が金魚に見えることが由来
和名のキンギョソウ(金魚草)は名前のとおり、花の形が金魚に見えることが由来となっています。名付けられたのは江戸時代で、中国での名前も「金魚草」です。鮮やかな赤や黄色、ピンクなど斑入りの花びらは、とくに水槽で泳ぐ金魚のようにひらひらと美しいですよね。英名では「スナップドラゴン」と呼ばれる
キンギョソウの英名は「スナップドラゴン」で、花の形がドラゴンの口に似ていることから付けられました。日本語にすると「噛みつく龍」という意味で、ドラゴンの口に似た花に寄ってきた虫が食べられるように見えることが由来といわれています。日本と海外でこんなにも意味が異なる名前なのも不思議ですね。【まとめ】キンギョソウの育て方を徹底解説!名前の由来や成長後のお手入れまで紹介
今回はキンギョソウの育て方について詳しく解説しました。 今回のポイントは- キンギョソウは風通しの良い明るい場所で管理する
- キンギョソウは土の表面が乾いたら水やりをして、冬場は乾燥気味にする
- キンギョソウは水はけの良い市販の草花用培養土などを使用する
- キンギョソウは植えつけ時に元肥、春と秋に肥料を与えるが地植えの場合は不要
- キンギョソウに多い病害虫には灰色かび病や立ち枯れ病、アブラムシがあり、茂った葉はカットし風通しを良くしておくことで予防できる
- キンギョソウは病害虫予防と生育バランスを整えるために、花が終わったら切り戻しと花がら摘みをする