目次
鰻などにかける薬味として有名なサンショウ(山椒)。サンショウは古くから日本に自生する植物ですから地植えでも鉢植えでも育てることができ、サンショウの実を収穫する楽しみもあります。実は栽培の難易度がやや高いとされているサンショウですが、ちょっとした育て方のコツを押さえれば初心者でも育てることができます。 この記事では、
- サンショウ(山椒)とは
- サンショウの上手な育て方のコツ(①置き場所)
- サンショウの上手な育て方のコツ(②水やり)
- サンショウの上手な育て方のコツ(③土作り)
- サンショウの上手な育て方のコツ(④肥料)
- よくある病害虫と対処法
- 日々の手入れのポイントとは
- サンショウを収穫するには
- サンショウの選び方
- 失敗しないサンショウの植え付け・植え替え方法
- サンショウを増やすには
- 枯れてしまう? サンショウによくあるトラブル
サンショウ(山椒)とはどんな植物?
まずは、サンショウ(山椒)という植物について解説します。山椒といえば鰻の薬味など料理に使う調味料として知られていますが、植物としてのサンショウ(山椒)にはどんな特徴があるのでしょうか。実だけでなく葉や木の皮も薬味として使われる
サンショウ(山椒)は日本や中国を原産とするミカン科サンショウ属の植物です。ミカン科の植物ですから葉っぱからは柑橘類の香りが漂います。果実だけではなく葉っぱや木の皮も薬味として使われており、その爽やかな香りと辛みによって古くから薬味として利用されています。3〜4月の春の時期に芽をふく若い芽を特に「木の芽」と呼びます。木の芽は煮物に添えられるなど、3〜4月の旬の食材として日本料理には欠かせません。2~5mほどの高さに育つ落葉低木
サンショウは落葉低木ですから、秋になると葉を落として冬を越し、春になってから新芽を出します。サンショウが成長すると、2〜5mほどの高さまで育ちます。大きく育ちすぎて困る場合には、剪定によって高さを抑えるとよいでしょう。雄株と雌株の異なる株が存在する
サンショウには雌雄があり「雄株」と「雌株」という異なる株が存在します。山椒の実が実るのは雌株だけです。雄株には山椒の実は実りません。また、雌株だけで育てても山椒の実は実りません。雌株と雄株を一緒に育てて受粉させることによって雌株に実がなります。中には朝倉山椒のように雌雄同体の品種もあります。朝倉山椒は一本でも実がなります。栽培の難易度は少し高いが初心者でも育てることが可能
サンショウは栽培の難易度はやや高めです。古くから日本に自生しているからといって育て方が簡単なわけではありません。育て方のコツを知らずに栽培すると失敗してしまうかもしれません。ただし、育て方のコツを押さえれば、初心者でも十分育てることは可能です。この記事では育て方のコツをわかりやすく解説していますから、この記事を参考にすれば初心者でも失敗なくサンショウを育てられることでしょう。盆栽としても楽しむことができる
サンショウは日本に自生する植物で地植えやプランター、鉢植えのほか、古くから盆栽として親しまれてきました。盆栽に向いている品種もありますから、サンショウを盆栽として楽しむこともできます。サンショウの育て方①:置き場所
ここでは、サンショウの育て方のうち「置き場所」について解説します。地植えをすることが多いサンショウですが、鉢植えにして室内で育てたりプランターを使ってベランダで育てたりすることもできます。日当たりの良い場所を好む
サンショウは日当たりの良い場所を好みますから、日の当たる場所で育てることが基本です。ただし、湿り気のある林で自生するサンショウですから、乾燥しすぎないことが大切です。半日陰でも育つ
日当たりの良い環境を好むサンショウですが、半日陰でも育ちます。日当たりの良い場所に適当なスペースが確保できない場合には、半日陰の場所で育てても構いません。室内でも栽培することができます。乾燥と真夏の日差しには弱い
湿り気のある林で自生するサンショウは、乾燥しすぎる環境が苦手です。真夏の日差しや西日が強く当たるなど乾燥しやすい場所は避けましょう。寒さに強いため冬越しの作業は必要ない
古くから日本で自生するサンショウは、寒さに強い植物です。日本のほとんどの地域で屋外で冬越しすることができます。冬越しのための作業も特に必要ありません。サンショウの育て方②:水やり
ここでは、サンショウの育て方のうち「水やり」について解説します。乾燥した環境が苦手なサンショウは、特に「水切れ」に注意が必要です。鉢植えの場合は土の表面が乾いたら水やり
乾燥した環境が苦手なサンショウは乾燥させてはいけませんが、水分が多すぎても「根腐れ」を起こす原因となります。乾燥しすぎないように、湿度が高くなりすぎないように水やりを行う必要があります。鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら水やりするとよいでしょう。特に夏の水切れに気を付ける
サンショウは根をあまり深く広げませんから、地中深くから水分を吸収することができません。水切れを起こしやすい植物ですから、特に夏の水切れには気をつけましょう。サンショウの育て方③:土作り
ここでは、サンショウの育て方のうち「土作り」について解説します。サンショウに適した土とはどんな土なのでしょうか。水はけの良い土が適している
サンショウの用土には水はけの良い土が適していますが、腐葉土を混ぜ込むことがポイントです。自分で配合する場合には、用土は赤玉土5:腐葉土4:川砂1の割合で配合するとよいでしょう。地植えで育てる場合には、腐葉土を混ぜ込むことでサンショウに適した土になります。市販の草花用培養土でも育てられる
サンショウは、市販の草花用培養土でも育てることができます。用土を自分で配合する手間がかかりませんから便利です。サンショウの育て方④:肥料
ここでは、サンショウの育て方のうち「肥料」について解説します。肥料はどの時期に、何を与えればよいのでしょうか。冬の落葉期に油かすを与える
サンショウに肥料を与える時期は、冬の落葉期です。肥料は油かすを用いますが、株の周囲に浅い溝を掘って油かすをまくとよいでしょう。生育に応じて夏~秋にも与える
夏から秋にかけてサンショウが弱っている場合には、油かすを与えることで回復します。葉や実を収穫した後に株が弱ることがあるため、収穫した後には注意深くサンショウの様子を観察しましょう。サンショウに多い病害虫と対処法
ここでは、サンショウに多い病害虫と対処法について解説します。サンショウによくある病害虫の被害とはどんなものなのでしょうか。白絹病
サンショウの根元に絹のような白いカビが生えたら、白絹病です。じめじめと極端に湿った環境で発生する病気です。白絹病に感染したら復活させることはできませんから、株全体を処分するしかありません。白絹病を予防するためには、極端に湿った環境を避けることが大切です。アゲハチョウの幼虫
サンショウはアゲハチョウの幼虫がつくことがあります。アゲハチョウの幼虫は葉っぱを食べますが、食べるスピードが早いため気づいたらほとんどの葉っぱが食べられてしまうことも。アゲハチョウの幼虫は見つけ次第、すぐに駆除しましょう。サンショウの日々の手入れ
ここでは、サンショウの日々の手入れについて解説します。定期的に手入れをすることによって、サンショウは元気に育ちます。落葉の時期に剪定をする
サンショウの剪定は、葉っぱが落ちている落葉の時期に行います。樹形が乱れにくいサンショウですが、剪定を行うことによってサンショウ全体の風通しや日当たりが良くなります。重なっている枝や伸びすぎた枝を剪定しましょう。なお、サンショウの枝には鋭いトゲがありますから、トゲが刺さらないようにゴム手袋を着用して剪定を行います。根回し
サンショウの植え替えは枯れる原因となるためなるべく避けたいですが、植え替えが必要になったときには、根回しを行って準備しましょう。根回しとは太い根を切って、そこから細い根を出させることです。植え替えの半年ほど前に根回しを行うことによって、根付きが良くなります。サンショウの収穫のポイント
ここでは、サンショウの収穫のポイントについて解説します。果実を収穫するためにサンショウを育てている方もたくさんいらっしゃることでしょう。収穫のポイントを押さえて失敗せずに収穫してみてください。6月~7月にサンショウの実を収穫できる
サンショウの実を収穫できるのは、6月〜7月の時期です。実がなるのは雌株だけで、雄株にはサンショウの実はなりません。実がなったら早めに収穫する
サンショウは実がなったら早めに収穫することがポイントです。9月頃にかけて実は熟していきますが、実がだんだんと硬くなっていきます。サンショウの選び方のポイント
ここでは、サンショウの選び方のポイントについて解説します。サンショウが多く流通する時期に、ポイントを押さえて選ぶことが大切です。初夏にサンショウの苗木が流通する
サンショウの苗木は、初夏の時期に多く流通します。初夏の時期にホームセンターや園芸店などを訪れれば、サンショウの苗木が並んでいることでしょう。葉が傷んでいないものを選ぶ
サンショウの苗木を選ぶときには、葉っぱの状態をよく観察することが大切です。葉っぱが傷んでいるものや枯れているものは避けて、葉っぱが元気よく茂っているものを選びましょう。雄株と雌株を間違えないよう注意
サンショウの実を実らせたい場合には、雄株と雌株を一緒に育てる必要があります。雄株だけ、雌株だけを育ててもサンショウの実はなりません。雄株と雌株を間違えないように注意が必要です。サンショウの植え付け・植え替えのポイント
ここでは、サンショウの植え付け・植え替えのポイントについて解説します。サンショウの植え付けや植え替えは慎重に行う必要がありますから、ポイントを押さえて失敗を避けましょう。サンショウの根は繊細
サンショウの根は弱く繊細ですから、植え付けや植え替えで根を触ることによって枯れることがあります。植え付けは、落葉期に当たる冬の時期に行いましょう。植え替えをする際は根の周りの土を崩さない
サンショウの根は繊細ですから、そもそも植え替えを避けることが基本です。やむをえず植え替えを行うときには、落葉期に行います。根になるべく影響を与えないように、根の周りの土を崩さないように植え替えることがコツです。サンショウの増やし方
ここでは、サンショウの増やし方について解説します。サンショウを増やすためには、種まきから実生させる方法と挿し木で増やす方法があります。
種まきから実生させる
サンショウは種をまいて実生させることができます。10月頃、熟した実から種を取り出したら、すぐに種まきをします。タネを保存しておいて、春になってから種をまくこともできます。挿し木で増やす
サンショウは挿し木で増やすことができます。秋の時期、9月〜10月に次の手順で挿し木を行います。- 若い枝を選んで10cm〜15cmの長さで切る
- 切った枝の葉を2〜3枚残して他の葉っぱは切る
- 切った枝の切り口を斜めにカットしてから、発根剤を入れた水に浸けて1時間ほど置く
- 赤玉土を容器に敷き詰めて、切った枝を挿す
- 日陰で管理して根が出るのを待つ
- 新芽が出たら鉢に植え替える
【よく起こるトラブル】サンショウの葉が枯れる原因は?
ここでは、サンショウによく起こるトラブルについて解説します。サンショウの葉が枯れる原因はどんなことが考えられるのでしょうか。葉が落ちる・枯れるなどのトラブルは起こりやすい
サンショウの栽培は少し難易度が高く、葉が落ちる・枯れるなどのトラブルが起こりやすい植物です。サンショウによく起こる葉が落ちる・枯れるなどのトラブルの原因を知って、トラブルの原因を取り除くことが大切です。水切れを起こしている
サンショウにとても多いトラブルが、水切れです。サンショウは根をあまり深く広げませんから、地中深くから水分を吸収することができません。乾燥に弱く水切れを起こしやすいため、特に夏の時期には水切れに注意が必要です。ワラなどを根元に敷いて土の乾燥を防ぐのもおすすめです。日差しが強すぎる
湿り気のある林で自生するサンショウは、日差しが強すぎると枯れてしまうことがあります。日当たりの良い場所に置いて育てることが基本ですが、西日が強く当たる場所や真夏の日差しが照りつける場所は避けましょう。害虫のせい
アゲハチョウの幼虫に葉っぱを食い荒らされてしまうことがあります。アゲハチョウの幼虫や卵を見つけたらすぐに駆除しましょう。卵を産みつけられることを防ぐために、防虫ネットで覆うことも有効です。植え替えや環境の変化
サンショウは植え替えや鉢植えの置き場所を変えるなどの大きな環境の変化があると枯れてしまうことがあります。そのため、サンショウの植え替えは行わないことが基本です。どうしても植え替えする必要があるときには、落葉期に周囲の土ごと植え替えるようにしましょう。サンショウ(山椒)の育て方!トラブルの対処法から収穫まで解説のまとめ
ここまで、サンショウの上手な育て方のコツだけではなく、よくある病害虫の対処法、日々の手入れ、収穫方法、サンショウの選び方、植え付け・植え替え方法、増やし方など詳しく解説してきましたがいかがだったでしょうか。 この記事のポイントは、- サンショウ(山椒)とは、薬味として使われる落葉低木。雌雄があり「雄株」と「雌株」がある。栽培難易度はやや高いがコツを押さえれば初心者でも育てられる
- サンショウの置き場所は、日当たりの良い場所か半日陰を選ぶことが育て方のコツ。乾燥と強い日差しには弱いが、寒さには強いため冬越しは簡単
- 乾燥した環境が苦手なサンショウの水やりは、土が乾いたら水を与えることが育て方の基本。夏の水切れには特に注意が必要
- サンショウの土作りは、赤玉土5:腐葉土4:川砂1の割合で配合して水はけのよい土を作ることが育て方のコツ。市販の草花用培養土も便利
- サンショウの肥料は、落葉期に油かすを与えるとよい。弱っていたら夏から秋に肥料を与えてもよい
- よくある病害虫は白絹病とアゲハチョウの幼虫。白絹病に感染したら株を処分し、アゲハチョウの幼虫はすぐに駆除する
- 日々の手入れのポイントは、剪定は落葉期に行うことなど
- サンショウの収穫は、6月〜7月の時期。実をつけたら早めに収穫することがコツ
- サンショウは流通の多い初夏の時期に、葉が傷んでおらず元気に生い茂っているものを選ぶとよい
- サンショウの植え付け・植え替えは冬の落葉期に行う。ただし、植え替えはできるだけ避けることが基本
- サンショウを増やすには「種まき」と「挿し木」の2つの方法がある
- サンショウは葉が落ちる・枯れるなどのトラブルを起こしやすい。「水切れ」「強すぎる日差し」「害虫」「植え替えや環境の変化」などのトラブルの原因を取り除くことが育て方のコツ