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フクシア(ホクシア・ホクシャ)は、下向きに咲くイヤリングのような形の花が特徴的な植物です。鮮やかな花色とユニークな花姿が人気で、ハンギング仕立て・スタンダード仕立て・リング仕立てなど、さまざまな仕立てで楽しめるため、ご自宅で栽培している方も多いのではないでしょうか?今回の記事では、フクシアを栽培したい方に向けて、くわしい育て方を解説します。
- フクシアはどんな植物?
- フクシアの育て方4つのポイント
- フクシアのお手入れ方法
- フクシアの中でも人気の品種は?
そもそもフクシア(ホクシア・ホクシャ)ってどんな植物なの?
フクシア(ホクシア・ホクシャ)の育て方について知りたい方へ、まずはフクシアがどんな植物なのか基本的な情報をご紹介します。特性を知ることで、適切な環境での育て方のヒントになります。中南米などを原産とするアカバナ科フクシア属の植物
フクシアは中南米などを原産とするアカバナ科フクシア属の植物です。フクシア属は約100種類あり、その中でもさまざまな園芸品種が作出されています。「貴婦人のイヤリング」とも呼ばれる独特な形の花を咲かせる
フクシアの花は下向きに咲く特徴があり、独特な花姿がイヤリングに似ていることから「貴婦人のイヤリング」と呼ばれるようになりました。フクシアの花の色は、ピンク・赤・白・オレンジ・紫など多彩です。品種によって花の大きさや形も異なります。開花時期は4月~7月上旬、10月中旬~11月
フクシアの開花時期は、4月~7月上旬、10月中旬~11月です。日本の気候では、春と秋の涼しい時期に開花します。フクシアの育て方のポイント①置き場所
育て方のポイントひと1つ目として、置き場所について解説します。フクシアは季節ごとに置き場所を変えることで花付きが良くなる植物のため、ぜひご覧ください。地植えで育てることもできるが、夏に直射日光に当たりすぎると枯れる恐れも
フクシアは地植えでも育てることができます。ただし、夏の暑さや直射日光に当たりすぎると弱って枯れてしまう恐れがあります。鉢植えで育てると季節に合わせて場所を移動できるため、地植えでの育て方が大変な場合は、鉢植えで育てるとよいでしょう。春・秋の場合:日当たりと風通しの良い場所で育てる
フクシアの開花時期である春と秋は、日当たりと風通しの良い場所で育てるとよいでしょう。花付きが良くなり、株の形も整いやすくなります。夏の場合:涼しく風通しの良い半日陰で育てる
フクシアはもともと涼しい場所で自生する植物のため暑さに弱く、高温多湿の環境では花がしおれたり株自体が弱ります。夏は涼しく風通しの良い半日陰で育てましょう。夏越しさせるためには、直射日光を避け、葉焼けや高温多湿による病害虫の被害を防ぐことが大切です。冬の場合:室内に取り込むか、軒下の日当たりの良い場所で管理する
フクシアは寒さに弱く、5℃以下になると枯れる恐れがあります。冬の場合、室内に取り込むか、軒下の日当たりの良い場所で管理するとよいでしょう。夜間に光を当てると開花期間が延びる
フクシアは1日12時間以上の暗い時間が続くと、開花が抑制されてしまう長日植物です。夜間に蛍光灯などの光を当てると、開花期間が延びる性質を持っています。フクシアの育て方のポイント②水やり
育て方のポイント2つ目として、水やりについて解説します。季節ごとに水やりのしかたが変わってくるため、ぜひご覧ください。土が渇いたらたっぷりと
フクシアは、水切れに弱い植物です。土が乾燥すると、葉が萎れたり黄色くなるなどの症状が出ます。土が乾いたら、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水やりを行うようにしましょう。株元に水をかけるのがポイント
葉や花に水がかかると、病害虫の原因になることがあります。フクシアの水やりは、株元に水をかけるように行うのがポイントです。夏の水やり
フクシアの夏の水やりについてのポイントを解説します。フクシアは夏の暑さに弱いため、株が高温多湿にならないように適切な水やりを行いましょう。涼しい午前中に行う
フクシアの夏の水やりは、涼しい午前中に行うとよいでしょう。暑い時間帯に水やりをすると、根腐れや蒸れによる病害虫の発生につながる可能性があります。夕方に葉水と打ち水を行うとよい
フクシアが夏の暑さに当てられないように、夕方になってから葉水をしたり、鉢の周囲に打ち水を行うことで、気化熱で植物の温度を下げてあげるとよいでしょう。葉水は植物の葉や茎に水を吹きかける方法です。葉水をすることで、葉や茎の温度が下がり、蒸れを防ぐことができます。また、葉水で葉の表面についた汚れを落とすことで、病害虫の発生を妨げる効果があります。鉢の周囲に水を撒く打ち水も株にとって効果的です。打ち水をすることで、鉢の周囲の温度が下がり、根腐れを防ぐことができます。夏と冬は水やりを控えめに
夏の暑い時期に水やりをしすぎると、根腐れや蒸れによる病害虫の発生につながる可能性があります。冬の寒い時期の過度な水やりは、根腐れや凍害の原因になる可能性があります。夏と冬は水やりの控えめな育て方を意識するとよいでしょう。フクシアの育て方のポイント③土
育て方のポイント3つ目として、土について解説します。植物に合った土を使用することで株が元気に育ってくれます。
水はけのよい土を用いる
フクシアの育て方の注意点として、水がすぐに鉢底から流れ出るような、水はけのよい土を使用することが大切です。根腐れの原因となる土壌中の酸素不足を防ぐことができます。市販の草花用培養土8:日向土2の混合土など
フクシアに使用する土は、市販の草花用培養土8:日向土2の混合土などがよいでしょう。市販の草花用培養土は、鉢花や草花を育てるために作られた土のため、水はけと保水性のバランスがよくフクシアに適しています。市販の草花用培養土に日向土を混ぜることで、より水はけのよい土を作ることができます。赤玉土7:腐葉土3の配合土でもよい
フクシアを育てるための土として、赤玉土7:腐葉土3の配合土でもよいでしょう。水はけのよい赤玉土と保水性と肥沃性に優れた腐葉土を混ぜることでも、フクシアに適した土を作ることができます。ハンギング仕立ての場合は土を軽くする
ハンギング仕立てのフクシアは、鉢が下向きに吊り下げられるため、土が重いと鉢が重くなり、倒れやすくなってしまいます。また、土が重いと水やりの際に鉢底から水が流れ出にくくなり、根腐れの原因になる可能性があります。ハンギング仕立てにする場合は、土を軽くする育て方を意識するとよいでしょう。フクシアの育て方のポイント④肥料
育て方のポイント4つ目として、肥料について解説します。肥料を適切な時期に与えることで、花付きに影響するため、ぜひご覧ください。生育旺盛なものには肥料を施す
生育旺盛な時期には葉や茎がよく伸び、花もたくさん咲きます。肥料を施して、栄養を補給してあげましょう。施肥の時期:生育期の4月~6月、9月~10月
フクシアの施肥の時期は、生育期の4月~6月、9月~10月の2回です。夏と冬は生育が衰えて根の活動も弱まるため、肥料を与える必要はありません。緩効性化成肥料を置き肥する
緩効性化成肥料はゆっくりと効くため、根に負担をかけずに肥料を与えることができます。液体肥料のように頻繁に与える必要がないため、手間がかかりません。置き肥する際は、用土の表面から2~3cm程度の深さに埋めて施します。液肥を与える
液肥を与える場合は、週に1~2回程度薄めた液体肥料を与えます。用水1リットルに対して、液体肥料を1~2ml程度薄めて与えましょう。夏と冬は肥料を与えない
夏は気温が高く、フクシアの根の活動が弱まるため、肥料を与えても吸収されにくくなります。冬は気温が低く、根が凍結する恐れがあるため、肥料を与えると根腐れの原因になることがあります。フクシアの生育が緩やかになる夏と冬は肥料を与えないほうがよいでしょう。フクシアのお手入れ
フクシアの育て方で重要なお手入れ方法について解説します。定期的にお手入れをすることで、株の健康を維持することができます。植え替え
フクシアは定期的に植え替えをしてあげる必要があります。植え替えのタイミングや時期について解説します。水はけが悪くなったり根がよく張っていたら植え替える
根が詰まってくると水はけが悪くなり、根腐れの原因になります。株の水はけが悪くなったり根がよく張っていたら、植え替えの時期です。植え替えのタイミング:2年に1回が目安
フクシアの根は生長が速いため、2年に1回程度の植え替えで根詰まりを防ぐことができます。また、用土が古くなると、水はけや通気性が悪くなるため、定期的な植え替えが必要になります。植え替えの時期:4月~6月中旬、9月中旬
植え替えの時期は、生育期の4月~6月中旬、9月中旬の2回です。フクシアの生育が盛んな4月~6月は、植え替えを行うことで根が新しい土に馴染みやすくなり、生育が促進されます。9月中旬はフクシアの生育が落ち着く時期です。この時期に植え替えを行うことで、根が新しい土に馴染む前に冬が来るため、根腐れのリスクを減らすことができます。植え替えのしかた
鉢底から根が出てきている場合は、鉢を逆さまにして株をゆっくりと取り出します。根が絡まっている場合は、根をほぐして取り出しましょう。根鉢の周りの古い土を根が傷つかないように注意しながら落とします。鉢底に鉢底石を敷き、新しい用土を鉢の半分程度入れます。根鉢を鉢の中心に合わせて、新しい用土を足しながら植え付けます。鉢底から水が流れ出るまで、たっぷりと水やりをします。植え替え後は、しばらくは水やりを控えめに管理しましょう。冬越し
フクシアは、冬になると葉が落ちて休眠期に入ります。休眠期中は生長が止まるため、水やりを控えめに、肥料与えないように注意しましょう。寒さに弱いため、最低気温が5℃を下回る前に室内に取り込みます。フクシアが冬越しできるように、寒い時期の育て方には十分注意しましょう。秋の花後に枝先を軽く刈り込む
刈り込む際は、枯れた枝や弱った枝、重なり合っている枝などを切り落としましょう。秋の花後に枝先を軽く刈り込むことで、翌年の開花を促すことができます。温暖な気候では屋外で冬越しできる
関東より西などの温暖な気候では、屋外で冬越しさせることも可能です。屋外で冬越しをする場合は、マルチングなどをして霜よけ対策をしましょう。挿し木での増やし方
フクシアは挿し木で増やすことができます。挿し木の適切な時期と方法を解説します。挿し木の適期:春か秋
挿し木の適期は春か秋です。春と秋はフクシアの成長が活発で、根付きやすい時期です。秋に挿し木をしておくことで、翌年の春に開花させることができます。根付きやすい温度は15℃以上です。そのため、夏や冬の寒い時期は挿し木は避けたほうがよいでしょう。挿し木のしかた
フクシアの挿し木は、新芽が伸びた枝を使用するのが一般的です。挿し穂の長さは、約10cm程度が目安です。切り口は斜めに切り、下葉を2~3枚取り除きます。挿し穂を挿す用土は、赤玉土やバーミキュライトなどの水はけがよい用土がおすすめです。土を湿らせてから挿し穂を3~4cmほどの深さで挿し、土が乾かないように水やりをし、直射日光に当たらないように半日陰で管理します。3週間~1ヶ月ほどで根付き始めます。根がしっかりと張ったら、鉢に植え替えて育てましょう。花がら摘み
花がら摘みをこまめに行うことで、フクシアを健康に育て、長く花を楽しむことができます。実が付かないようこまめに摘み取る
フクシアの花がらをそのままにしておくと、実がなります。実をつけると、株の力が弱まり、次の花付きが悪くなることがあります。また、実が付くことで病害虫が発生する原因にもなります。花弁がしぼみ始めたら、実が付かないようにこまめに花がらを摘み取るようにしましょう。花がら摘みのしかた
花弁がしぼみ始めたら、花茎を一緒に摘み取ります。花びらだけ取るとガクが残り結実してしまうため、必ず花茎から摘みましょう。手で摘み取るのが難しい場合は、ハサミや剪定ばさみを使っても構いません。切り戻し
切り戻しを行うことでフクシアの株が大きく茂り、花付きが良くなります。適期に切り戻しを行って、長く花を楽しみましょう。切り戻しの適期:梅雨
フクシアの花が咲き終わる梅雨の時期が切り戻しの適期です。切り戻しを行うことで風通しがよくなり蒸散を防ぐため、夏越しがしやすくなります。切り戻しのしかた
草丈の半分程度をカットし、葉を数枚残すように切り戻します。切り戻し後は、風通しや日当たりのよい場所で管理して光合成を促しましょう。様子を見つつ、土が乾いてから少量ずつ水やりを行っていきます。フクシアの人気の品種を紹介
フクシアの花はイヤリングのようなベル形で可愛らしい花をたくさん咲かせます。その中でも人気の品種を3種類ご紹介します。プーニー:コンパクトながらたくさんの枝を出し、花を咲かせる
プーニーは花つきがよく、春から秋まで次々と愛らしい花を咲かせる品種です。白・ピンク・赤・紫など複色が多く、さまざまな花色があります。立性タイプのプーニーは樹形がまとまってコンパクトなため、管理がしやすく人気があります。ブランカ:イヤリングのような形の柔らかい色の花を咲かせる
ブランカは、フクシア・プーニーの品種の一つで、開花すると可憐なピンクと白の2色咲きになります。株はプーニーと同じく立性タイプで、花が大きく見ごたえがあります。イヤリングのような形の柔らかい色の花を咲かせるブランカは、インテリアとしても人気があります。ルージュブラン:赤と白のコントラストが印象的
ルージュブランは花びらの先端が赤色で、中心が白色になっています。ツートンカラーになっている鮮やかな赤と白のコントラストがとても美しく、目を引く品種です。ルージュブランは、華やかな花色と愛らしい花姿で人気のある花です。【まとめ】フクシアの育て方を紹介!お手入れのポイントから人気の品種まで解説
フクシアの育て方について解説しました。育て方のポイントを抑えることで、元気に育ってくれます。 今回の記事のポイントは- 4月~7月上旬と10月中旬~11月がフクシアの開花時期。
- フクシアは季節ごとに合わせた育て方が必要なため、移動可能な鉢植えで育てると、比較的手軽に楽しむことができる。
- フクシアは暑さや寒さに弱いため、夏・冬の育て方に注意する。
- フクシアは暑さや直射日光に弱いため、夏は半日陰で育てるとよい。
- 冬の時期は5℃以下になると寒さで弱ってしまうため、室内に取り込んで管理する。
- フクシアは長日植物のため、夜間に光を当てると開花期間が延びる。
- フクシアは2年に1回の植え替えを行うことで、根詰まりを防いで健康な株を維持できる。
- 切り戻しや花がら摘みなど、定期的なお手入れで株の健康を保つことができる。
- 挿し木で新しいフクシアの株を増やすことができる。