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真っ赤なルビー色の実が印象的なローゼル。ローゼルの実を使ったハーブティーやジャムは健康や美容に良いと有名ですね。そこから、「ローゼル=ハーブ」と思われている方も多いようです。確かに、実の部分に関してはハーブとしての効能があると言えるでしょう。 しかし、ローゼルの花は観葉植物として楽しむことができ、ローゼルそのものも自分で育てることができるのです。ローゼルの実が好きな方、自宅でローゼルを栽培してみませんか。 本記事では、ローゼル初心者の方でも安心してローゼルの育成に取り組めるよう、詳しくローゼルの育て方について解説していきます。 具体的には
- ローゼルの基本除法
- ローゼルの種まき
- ローゼルの水やり
- ローゼルの置き場
- ローゼルの剪定方法
ローゼルってどんな植物?
ローゼルの育て方について見ていく前に、まずローゼルとはどんな植物なのか、その基本情報を確認しておきましょう。ローゼルの基本情報
ローゼルは熱帯アフリカ(西アフリカ)原産の植物で、アオイ科芙蓉属に属しています。 ローゼルは、白またはクリーム色の花弁を持つ、花芯が真っ赤な花を付けますが、これが同じアオイ科に属するオクラの花とよく似ているのは大変有名です。植物名 | ローゼル |
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学名 | ハイビスカス・サブダリファ |
草丈 | 1.5m-2m |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
アフリカ西南部原産の多年草
ローゼルはアフリカ西南部原産の多年草植物ですが、日本はアフリカほど暖かい気候にないため、越冬が難しく、一年草や二年草とされることがほとんどです。 アフリカ原産の植物だけあり、耐暑性にはとても優れていますが、寒さにはめっぽう弱いです。日本で育てる場合、冬場は室内の暖かいところで育成していくのが望ましいです。花壇や鉢・プランターなど様々な場所で育てることができる
ローゼルは草丈が1.5mから2mと高いですが、プランター栽培や花壇でも問題なく育てることができます。ただし、移動できない花壇に植えてしまうと、越冬の際に寒さで枯れてしまうことがあります。できるだけ室内に移動できるもので育てていくのが、上手なローゼルの育て方にも繋がります。ハイビスカスティーやジャムの原料に使われる
ローゼルは、赤色が美しいハイビスカスティーやジャムの原料として用いられます。ハイビスカスティーの原料はハイビスカスだと思われている方も多いようですが、ハイビスカス・サブダリファことローゼルが原料になっているのです。ちなみに、ハイビスカスとは、「神に捧げる花」という意味だそうです。中国や台湾ではローゼルのことを洛神花と言い、古くから薬やお茶として親しまれてきたそうです。食べるのも育てるのも人気な植物
ローゼルは美容と健康の強い味方であることから、特に女性に人気のハーブとなっています。それと同時に、可愛らしい花から独特の形の蕾、果実へと変化していくローゼルを見るのもまた面白いと、最近ではローゼルを育てる人が増えてきているのも事実です。 ローゼルは、寒さにさえ注意すれば、初心者でも無理なく育てていくことができる植物なので、試してみたいという方はぜひローゼル育成にチャレンジしてみて下さい。ローゼルの育て方【種まき】
ローゼルの基本情報について確認してきました。ここからは、本記事の本題でもある「ローゼルの育て方」について、まずは種まきから解説してきます。 種からローゼルを育てたいという方、食した残りの種からローゼルを育てようと考えている方は特に必見です。ローゼルの種まきの時期は4月から5月が適期
ローゼルの種まきは春に行います。暖かくなり始め、気候が良い時期にやるのがポイントです。月でいうと4月から5月の時期が良いとされています。気温が低いと発芽しない
ローゼルはアフリカ原産の植物なので、ローゼルの育て方の中でもとにかく暖かさが重要な要素になってきます。発芽条件においても、気温が低い日が続いてしまうとしっかり発芽できなくなってしまうのです。 種まきはしたものの、種まき以降気温が低くなってしまっていると感じる場合には、室内に入れて暖かさを十分に与えるようにしてあげましょう。 因みに、発芽に必要な温度は20℃から25℃ぐらいだと言われています。寒春に当たってしまうと上手く発芽できないこともあるので、発芽できそうな環境作りにも力を入れてみましょう。屋内で早めにまいて苗を作っておくのもよい
ローゼルの種は、花が咲いてから50日から60日ぐらいのものを収穫すると良いとされています。開花時期は大体秋の9月から10月にかけてなので、種は遅くも12月には取れます。取れてすぐの種を土にまけば、それだけ早くローゼルの苗を育てることができます。ただし、時期が寒い時期なだけに室外ではまず発芽を成功させることはできないでしょう。種の収穫後すぐに種まきをしたいというのであれば、屋内で種まきをして育てていきましょう。本来の種まきシーズンである春ごろには立派な苗が育っていることでしょう。ローゼルの種まき手順
ローゼルの種まきの手順は以下の通りです。- 種まき用のポットを用意する
- ポットに市販の培養土を入れる
- 用意した種をポットに入れ、種が隠れるぐらいを目安に、上から培養土をかける
- 土が乾かない程度に水をやる(水の勢いが良いと種が流されてしまうので気を付けること)
ローゼルの育て方【植え付け】
ローゼルの育て方で次に見ていくのは植え付けについてです。実は、ローゼルの育て方の中でも一番重要になっているのがこの植え付けなのです。植え付けは5月から6月が適期
ローゼルの植え付けは5月から6月が最も良いとされています。つまり、発芽してすぐのものをしっかり植え付ければ良いということです。発芽したての苗は、なよっとしていて頼りなく、無理やり植え付けては切れてしまうのではと心配される方もいるでしょう。しかし、ローゼルはそこまでひ弱な植物ではないので、すぐに植え付けに回しても問題ありません。植え付けの時期が遅れると果実が熟れる前に枯れるので注意
ローゼルの育て方でもっとも重要なのが、植え付けの時期なのです。これは、ローゼルの苦手とする冬とも関係があります。 種まき、植え付けそれぞれがちょっとずつ遅くなってしまうとどうなるでしょう。花が咲くのも、種ができるのもどんどん遅くなってしまいますよね。場合によっては収穫時期がずれ込んで、年明けになってしまったなんてこともあるかもしれません。暖かいアフリカであれば問題ないでしょう。しかし、日本の冬はローゼルには過酷すぎるため、枯れてしまうのです。せっかく育ててきたローゼルも果実が程よく熟れる前に枯れてしまってはなんの意味もありません。収穫時期から逆算して、植え付けの時期が遅れないよう気を付けるようにしましょう。 また冷夏などに当たるとローゼルの生育も鈍くなります。どんな時でも20℃を下回らないよう、ローゼル育成の環境管理にも目を向けていれば、枯れることはまずないでしょう。2株以上を植える場合は株間が60cmになるようにする
ローゼルは生長すると草丈が1.5m以上、大体2mにもなります。それだけ大きな株になるので、群生させる場合は、ローゼルとローゼルの株の間に距離を設けなくてはいけません。万が一60cm未満で株を植え付けてしまうと根詰まりなどが生じ、どちらの株もしっかり生育しなかったり、実を付けなかったりといった事態に陥ってしまう可能性が高まってしまいます。2株以上植える場合は、株と株の間を必ず60cmはあけるようにして下さい。スペースがあるのであれば、1mあけるのがおすすめです。また、間隔を1mあける場合は、必ず双方の株に支柱を立て、倒れないように工夫しましょう。ローゼルの植え付け手順
ローゼルの植え付け手順(地植え)は以下の通りです。- 植え付ける場所をよく耕す
- 耕したところに腐葉土(ない場合堆肥)を混ぜる
- 60cm間隔で苗株を植え付ける
- 水やりをする
- 大き目の鉢を用意する
- 鉢に市販の草花用培養土(もしくは赤玉と腐葉土を6:4の比率で混ぜる)を入れる
- 苗株を植え付ける
- 水やりをする
ローゼルの育て方【置き場所】
ローゼルの育て方で次に解説するのは置き場所です。暖かい場所を好むローゼルを育てていく上で、置き場所選びはとても大切になってきます。日当たりの良い場所に置く
日光と暖かさが大好きなローゼルをしっかり育てていきたいというのであれば、日当たりの良い場所におきましょう。葉焼けなどの心配も特にはないので、直射日光を気にする必要もありません。むしろ、日陰や暗室はローゼルの生育を妨げてしまう原因になるので、絶対に置かないようにしましょう。やむを得ない事情で一時的に暗い場所や寒い場所に置く場合は、できるだけ早く日光のよく当たる場所に戻してあげるようにして下さい。そして、十分な日光浴をさせてあげましょう。日照時間が足りないと花が咲かないので注意する
日光を好む植物は日光不足で生育が阻害されることがあります。ローゼルも例外ではなく、日照時間が足りないと生育が妨げられ、結果として花が咲かないといった事態に陥ることも少なくありません。曇り空の日が続き、日照時間が足りていないのではと感じる場合は、できるだけ日光が当たっている場所を探し、十分な日光浴させてあげるようにしましょう。夜間も明るい場所には置かない
日光や明るい場所が好きならば、夜間も明るい場所に置いておいても問題ないだろうと思われるかもしれません。しかし、ローゼルは短日植物です。日が短くなってくることを感じることで開花準備に入る植物なのです。このため、植物の体内時計をしっかり機能させ、生育を促進させるためにも、夜間明るい場所でローゼルを育ててはいけないのです。 もし、これまでローゼルを育てたことがある方で、夜も明るい場所に置いていたという方は、きっと花が咲かなかったり、枯れてしまったりしたのではないでしょうか。 日照時間が足りないのも問題ですが、夜間しっかり睡眠時間も与える必要があるということは覚えておくと良いでしょう。連作障害を起こす可能性があるので昨年と同じ場所には植えない
ローゼルの実はミネラルが実に豊富です。それだけ実に栄養があるということは、生育過程で土壌から沢山の栄養を得ているということが分かります。言い換えると、植え付けから始まり収穫までいったローゼルの株の土壌は栄養がスカスカ状態ということになります。そこにまた同じローゼルの苗を植えて栽培したらどうなるでしょう。生育不良になることは火を見るより明らかです。 ローゼルは連作障害を起こす植物として知られているので、また来年もローゼルを楽しみたいと考えているのであれば、まったく違う場所に植え付けをするようにして下さい。鉢植えの場合は、使用済みの土は捨てて、新しいものを利用するにしましょう。ローゼルの育て方【水やり】
次にローゼルの育て方で気になる水やりについて見ていきます。
地植えの場合
ローゼルはアフリカでも乾燥地域で生育する植物のため、水やりは最低限で問題ありません。基本的に水やりしなくても元気に育つ
ローゼルは基本的に水やりをしなくて良い植物で、管理がとても楽なのです。水よりも日照時間の方が重要で、水不足には耐えられる力を持っていますが、日照時間不足には耐えられません。もしローゼルに元気がないなという場合は、水不足よりも日照不足の可能性を疑った方が良いでしょう。乾燥が続いたときに水をたっぷりあげる
ローゼルは基本的に水やりは不要なのですが、あまりにも雨が降らず、乾燥が続くという場合には一度たっぷりと十分な量の水を与えましょう。与え過ぎると根腐れを起こす可能性があるので、くれぐれもあげ過ぎには注意して下さい。鉢植えの場合
鉢植えの場合は乾燥がより顕著になるので気を付けて水やりをしていく必要があります。土の表面が乾燥したらたっぷり水をあげる
鉢植えやプランター栽培の場合は、地植えと違い、土の奥の奥に水気があるわけではありません。そのため、表面が乾いてきたら、内部も乾燥しつつあると判断します。土の表面が完全に乾ききったら、一度たっぷりと水をやりましょう。特に夏場は乾燥に注意し、逆に冬場は乾燥させ気味に越冬すると良いでしょう。水切れすると枯れるので注意する
鉢植えやプランターの場合、鉢の内部が完全に乾燥してしまうと水切れが起き、ローゼルは枯れてしまいます。どんなに暑さや乾燥に強い植物でも鉢で育てる際には水切れに気を付けなくてはいけません。乾燥が続いてしまったら、しっかりと水をあげましょう。この時、受け皿には水が残らないよう気を付けて下さい。ローゼルの育て方【肥料】
ローゼルの育て方をここまで、種まき、植え付け、置き場所、水やりと見てきましたが、肥料はどうなのか気になりますよね。ここでは肥料について解説しています。6月~11月の生育期に緩効性肥料を月に1回追肥する
生育期は日光の光をたっぷり浴び、ぐんぐん成長していきます。ローゼルの生長に必要なのは日光であることはこれまで沢山述べてきましたが、肥料ももちろん必要です。成長を支える重要な要素である肥料。ローゼルは生育期の間は、緩効性の肥料を月に1回ペースで追肥するのが望ましいです。花が咲いてから収穫までのラストスパートの時期は付き2回ペースで追肥しても良いと言われています。ただし、猛暑が続く夏日と冬場は追肥は行いません。生育旺盛な植物で、肥料切れさせないのが元気に育てるコツ
ローゼルは太陽の恵みと土壌の恵みでぐんぐん大きくなる植物です。肥料を与えるのをうっかり忘れてしまうと実のできが悪くなってしまったり、実が小さくなってしまったりといった弊害も出てきます。肥料切れだけは起こさないよう気を付けましょう。ローゼルの剪定方法
ローゼルの育て方の中でよく分からないというのが剪定なのではないでしょうか。結論から言いますと、ローゼルの剪定は基本的にやる必要がありません。しかし、より健康的で美しいローゼルを生育していくのであれば剪定が必要になることもあります。ローゼルは基本的に剪定をする必要はない
ローゼルは剪定が特に必要ではない植物です。植物は育ててみたけれど、剪定には自信が無いという方でも問題なく育てられるのがローゼルだと言えるでしょう。しかし、ローゼルは背が高くなってしまう植物でもあります。室内で生育していく場合、大きくなりすぎてしまうと部屋が大変な状態になってしまいます。そうなる前にある程度の剪定は必要になってくるでしょう。 また、害虫が発生してしまったり、枝先が枯れてしまったり、株が病気になってしまった場合は、ダメになった部分を中心に剪定する必要が出てきます。冬越しした場合は春に枯れた枝を剪定する
ローゼルを越冬させると必ず寒さでダメになってしまう枝が出てきます。ダメになってしまった枝は迷わず切り捨てましょう。前年に成長した新芽だけを3本ほど残しておけば問題ありません。古いものはどんどん捨て、新しいものに栄養がいくようにします。ローゼルのボリュームを出したいときは摘心を行う
生育期に摘心を行うことで、弱い枝や芽が排除され、健康的な枝だけがより健やかに生長していくことになります。葉も元気になり、花もしっかり咲いてくれるようになります。摘心は生育期に行う
摘心は、伸び盛りの生育期に行います。生育期に行うことで生育力が抜群の枝葉に、より一層栄養が行き渡り、全体的にボリュームが出る木に成長するのです。 ただし、花芽を誤って切ってしまうと、その年の花や実の付きがとても悪くなってしまうので注意が必要です。ローゼルの剪定手順
ローゼルの剪定手順は以下の通りです。- 剪定バサミ、ガーデニング用手袋を用意する
- 枯れた葉、病気が見られる葉をまずカットする
- 枯れた枝をカットする
- 伸びすぎてしまった枝や葉をカットして形を整える
ローゼルの増やし方
ローゼルを増やしたい場合、一般的に用いられる方法は種まきになります。ローゼルは種まきによって増やせる
ローゼルの増やし方は、種まきで増やす方法が一般的によく知られています。花が開花してから50日前後で種を取り出し、それをまたまくことで、新たなローゼルを芽吹かせることができます。一つのローゼルが終わったらまた新しいローゼルを買ってこなくてはいけないというわけではないので、とてもエコな植物として愛育している人は多いのです。ローゼルの食べ方
ここまでローゼルの育て方について詳しくみてきました。意外と管理やお手入れが難しくない植物だと分かったのではないでしょうか。では、最後にローゼルの美味しい食べ方について解説してきます。ローゼルの果実には毒性があるが食べ過ぎなければ問題ない
ローゼルの実は緑色をしていて、水にさらすとオクラのような粘り気が出てきます。この実、実は弱毒性があります。毒といっても致死性のものではなく、食べ過ぎると吐き気などを催すといった程度のものになります。 ただし、アレルギーに敏感な方はローゼルの毒に当たってしまう可能性が高いと言われているので注意して下さい。一般的には多く食べなければ問題ないとされています。サラダにして食べる
ローゼルは実、花だけではなく葉も食べられるのです。葉は、生でサラダに混ぜて食べるのが一般的です。ちょっと噛み応えのある葉は、ローゼル独特の酸味をほのかに感じさせ、さっぱりした味を楽しませてくれます。天ぷらにして食べる
独特に香りと触感に抵抗があるという方は、ローゼル葉の天ぷらがおすすめです。熱を通すことで、葉も柔らかくなり、酸味も弱まり、より食べやすくなるのです。また、ローゼルの実部分も同様にてんぷらにしても美味しいです。独特の味や香りを緩和したいという方には天ぷらが特にお勧めです。ハーブティーにして食べる
ローゼルと言えばハイビスカスティーという方も多いでしょう。実を取り除いた赤い包と萼を乾燥させ、同じく乾燥させたローズヒップの花とブレンドさせて用いるのが一般的ですね。ルビーレッドの美しい色が印象的なハイビスカスティー。ちょっぴり酸味が効いて、後味がすっきりしているのもこのお茶の特徴と言えるではないでしょうか。疲労回復に絶大な効果を発揮してくれるので、慢性的な疲れに悩まされている方はぜひお試し下さい。【まとめ】ローゼルの育て方を紹介!種まきのしかたから食べ方まで徹底解説
ローゼルの育て方について詳しく見てきましたが、いかがでしたでしょうか。 今回の記事では- ローゼルの育て方で特に重要なのは日照時間
- ローゼルの剪定は基本的に不要だが、取り入れることで上手な育て方に繋がる
- ローゼルの育て方で重要なのは土壌づくりと追肥
- ローゼルの育て方で要注意なのは温度
- ローゼルは短日植物であるため、「夜」は必要