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カルミアは常緑低木の植物で花とつぼみの姿が特徴的なことから、庭園や公共の公園などで観賞用に栽培されていることが多いです。また、様々な品種が流通しており庭木として人気が高まっています。
ただ、カルミアは適切な育て方をしないときちんと成長しなかったり、枯れてしまうこともあります。
そこで今回は、
- カルミアってどんな植物?
- カルミアの育て方
- カルミアの剪定方法
- カルミアの摘心方法
- カルミアの増やし方
- カルミアの種類
カルミアってどんな植物?
ここからは、カルミアはどのような植物なのか基本情報について説明していきます。園芸する植物に迷っておられる方は是非参考にしていただけたらと思います。カルミアの基本情報
ツツジ科であるカルミアの学名は「Kalmia latifolia」で、草丈・樹高は1~3mほどとなっています。耐寒性は普通ですが耐暑性はやや弱くなっているため、適切な育て方をすることが重要です。植物名 | カルミア |
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学名 | Kalmia latifolia |
草丈 | 1~3m |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | やや弱い |
日本では樹高1~3mほどにとどまるツツジ科の常緑低木
カルミアは日本では樹高1~3mほどにとどまるツツジ科の常緑低木です。花色は白、赤、ピンク、茶といった種類があります。原産地では樹高10mほどにまで成長する
カルミアは原産地である北米やキューバでは樹高10mほどにまで成長することも珍しくありません。このようにカルミアは成長環境によって大きく違う成長パターンを示すことがありますが、日本では育てやすい常緑低木となっています。庭木として人気の植物
カルミアは赤やピンク、白といった鮮やかな色合いの美しい花を咲かせるので、庭木としても人気の植物です。適切な育て方と生育環境があることで長く育てることができるので、初心者でも問題なく育てることができます。特徴的な花とつぼみの姿をもつ
カルミアは特徴的な花とつぼみの姿を持っています。また、花が終わった後の時期も美しい葉や枝を楽しむことができ、四季折々の魅力があります。開花期間は初夏から梅雨入りにかけて約1カ月ほど
カルミアの開花期間は初夏から梅雨入りにかけて約1ヵ月ほどとなっています。他の植物と比べても開花期間が長く、終わった花は散らずに茶色くなって残ります。濃い緑色の葉に関しては通年観賞することができます。葉がシャクナゲに似ていることからアメリカシャクナゲとも呼ばれる
カルミアは葉がシャクナゲに似ていることからアメリカシャクナゲとも呼ばれています。中には「アメリカシャクナゲの方が聞き馴染みがある」という方もいらっしゃるかもしれません。カルミアの育て方【植え付け】
まず、カルミアの適切な育て方として「植え付け」について説明していきます。植え付けによってカルミアの生育状況が大きく変わってくるため、正しい方法を把握しておきましょう。春から秋が植え付け適期
春から秋がカルミア植え付けの適期となります。具体的には、3月から4月上旬、9月下旬から11月が適切なタイミングです。深植えにならないように注意する
カルミアは浅い根を持つ植物であり、根が表面に近いところに広がります。そのため、深植えにならないよう注意しなければなりません。植え付けの際は浅く植えて、根の部分が地表に近い位置になるようにしましょう。カルミアの植え付け手順
カルミアの植え付け手順は以下の通りです。- 直射日光を遮ることができる場所を選ぶ
- 植え付けのための幅広く浅めの穴を掘る
- カルミアの根が広がるようにセットする
- 根を傷付けないよう注意しながら土を詰めて固定する
- 植えた後は豊富な水を与える
カルミアの育て方【用土】
次のカルミアの育て方のポイントは「用土」です。カルミアは酸性の土壌を好むため、適切な用土を選定しましょう。水はけと保水力のバランスのいい土に植える
適切な育て方のポイントは、水はけと保水力のバランスのいい土に植えるということです。水はけが悪いと根腐れの要因となってしまいますし、保水力が無くても栄養を十分に行き渡らせることができません。pH5.0~6.0の酸性土壌を好む
カルミアはpH5.0~6.0の酸性土壌を好みます。そのため、初心者であれば園芸店などで購入できる酸性土壌ミックスを活用することをおすすめします。土を作るときの目安
ここからは、土を作るときの目安について説明していきます。できるだけ水はけや保水力に優れた有機質が多い土を作っていきます。赤玉土4:鹿沼土2:ピートモス3:バーミキュライト1
赤玉土4:鹿沼土2:ピートモス3:バーミキュライト1の配合土を作ります。赤玉土4:鹿沼土2:ピートモス3:バーミキュライト1の配合とすることで、水はけが良く保水力に優れた土にすることができます。市販の山野草用培養土1:赤玉土1
市販の山野草用培養土1:赤玉土1の配合土もおすすめです。市販の山野草用培養土1:赤玉土1の配合土であれば初心者の方でも作りやすいというメリットがあります。カルミアの育て方【置き場所】
次のカルミアの育て方のポイントは「置き場所」です。置き場所によっては上手く育たないこともあるので注意が必要です。半日陰で風当たりの弱い場所に置く
カルミアは半日陰で風当たりの弱い場所に置きましょう。たとえば、木陰や他の高木の下、建物の側面などに置くのがおすすめです。夏の直射日光に当たると葉が枯れるので注意
夏の直射日光に当たると葉が枯れてしまうので注意が必要です。また、風が強すぎても花や葉が傷ついてしまうことがあります。鉢植えの場合は室内に入れましょう。株元を腐葉土などでマルチングして暑さを和らげる
夏は直射日光を避けると共に、株元を腐葉土などでマルチングして暑さを和らげましょう。これによって乾燥を防ぐこともできます。カルミアの育て方【水やり】
次のカルミアの育て方のポイントは「水やり」です。水は与えればいいというものではなく、適切なタイミングで与えることが重要となります。春から秋の生育期間にかけては土が乾いたらたっぷり水をあげる
春から秋の生育期間にかけては土が乾いたらたっぷり水を与えましょう。春から秋の生育期間はより水分が必要となります。夏場は午前中の早い時間か夕方に水やりをする
夏場は午前中の早い時間か夕方に水やりをしましょう。夏場は水分が早く蒸発してしまうため、昼間の水やりは避けた方が良いでしょう。カルミアが枯れる原因のほとんどが水やり
カルミアが枯れてしまう原因のほとんどが水やりです。カルミアは根が細く、乾燥と多湿に弱いため適切な量の水を適切なタイミングで与えないと枯れてしまう可能性があります。カルミアは乾燥と多湿に弱いので水やりの調整が難しい
カルミアは乾燥と多湿に弱いので水やりの調整が難しいです。そのため、定期的に観察して様子を見ながら行いましょう。水やりチェッカーなどを用いてしっかり管理する
水やりチェッカーなどを用いてしっかり管理することが重要です。水やりチェッカーは植物の土壌中の湿度を測定するためのもので、適切な水分量を受け取っているかどうかを確認することができます。カルミアの育て方【肥料】
次のカルミアの育て方のポイントは「肥料」です。カルミアに必要な栄養分を適切に提供することで、健康的な育て方をすることができます。冬場の2月頃に寒肥と花後にお礼肥を施す
冬場の2月頃に寒肥と花後にお礼肥を施しましょう。寒肥は主に冬季に植物に与えられる肥料で、お礼肥は植物に感謝を示す意味で与えられる肥料です。油かす3:骨粉1の割合で混ぜた肥料を
油かす3:骨粉1の割合で混ぜた肥料を与えましょう。これにより、更にカルミアが成長しやすくなります。地植えの場合は根の周りに穴を数か所ほって肥料を埋める
地植えの場合は根の周りに穴を数か所ほって肥料を埋めましょう。カルミアはそこまで根が長くないので、肥料を浅く埋め込むイメージです。鉢植えの場合は株元に置き肥する
鉢植えの場合は株元に置き肥します。置き肥をすることで、カルミアが必要な栄養分を吸収できるようになります。カルミアの育て方【病害虫】
最後のカルミアの育て方のポイントは「病害虫」です。病害虫によって症状が出て花や葉が枯れてしまうケースも多くなっているため注意が必要です。病気
カルミアがかかる可能性がある病気には様々なものがあります。それぞれの症状に対する対策方法について知っておきましょう。適切な育て方をしていても病気にかかってしまう可能性はあるので注意が必要です。褐斑病
褐斑病は植物の葉などに発生する真菌性の病気です。褐斑病が進行して全体に斑点が広がると感染した葉が乾燥して枯れることがあるため、定期的な観察を行い防疫剤の使用などを検討しましょう。花腐菌核病
花腐菌核病は果実を腐敗させてしまう病気です。花腐菌核病が進行すると、感染した部分が褐色や黒色になってしまいます。この病気はカルシウムの不足によって引き起こされることが多いため、カルシウムを含む堆肥や石灰に替えることで対策することができます。ペスタロチア病
ペスタロチア病は主に湿度の高い環境で発生し、黒色の斑点が広がっていきます。感染した葉や花はなるべく早めに剪定して、他の植物との接触を避けましょう。また、防疫剤の使用も有効です。害虫
カルミアを育てる際、害虫にも注意が必要です。ここからは主な害虫について説明していきます。グンバイムシ
グンバイムシは体長3ミリメートルほどの昆虫で、葉の汁液を吸汁します。定期的にカルミアを観察してグンバイムシを見つけたら駆除しましょう。アブラムシ
アブラムシは体長1~4ミリメートル程度で、グンバイムシと同じく葉の汁液を吸汁します。アブラムシの発生時期は4月から6月、9月から10月の間となります。ハマキムシ
ハマキムシの幼虫は葉を巻いてその中で生活し、葉を食べ尽くすこともあります。ハマキムシを駆除するためには、葉ごと摘み取って幼虫を取り除いたり生物農薬を使用します。カルミアの剪定方法
ここからは、カルミアの剪定方法について解説していきます。適切な剪定を行うことで健康な育て方をすることができ美しい形状を維持することができます。剪定は開花後6月くらいまでに行う
剪定は開花後6月くらいまでに行いましょう。開花後6月くらいまでに行うことで、植物に大きな負担を与えることなく形状を整えることができます。剪定後は枝枯れしやすいので高頻度な剪定は控える
剪定後は枝枯れしやすいので高頻度な剪定は控えましょう。剪定は慎重に行っていくことが重要です。カルミアの剪定手順
カルミアの剪定手順は以下の通りです。- 枯れた枝や病気になった部分を剪定
- 植物の形を整えるために長く伸びた部分や乱れている部分を剪定
- 次の花芽は残しておく
カルミアの摘心方法
ここからは、カルミアの摘心方法について説明していきます。カルミアは花付きがよいがついた蕾をそのまま開花させると弱る
カルミアは花付きがよいですが、ついた蕾をそのまま開花させると咲かせすぎで株が弱ります。そのため、適宜摘蕾をした方が長く健康的に成長させることができます。10月から2月に膨らみだした蕾を半分程度摘み取る(摘蕾)
10月から2月に膨らみだした蕾を半分程度摘み取りましょう。こうすることで、植物全体のエネルギーを限られた花に集中させることができます。カルミアの摘蕾手順
カルミアの摘蕾手順は以下の通りです。- 望ましくない花芽や葉芽を選ぶ
- 剪定鋏を使って慎重に摘蕾する
- 落ちた花芽や葉芽を片付ける
カルミアの増やし方
ここからは、カルミアの増やし方について説明していきます。カルミアの育て方も重要ですが、増やすことができればより長く美しい花を楽しむことができます。カルミアは種まきととり木で増やすことができる
カルミアは種まきととり木で増やすことができます。野生種の場合は種、園芸品種の場合はとり木がおすすめです。カルミアの種まき方法
カルミアの種まき方法は決して難しくありません。ポイントを押さえて適切に行いましょう。秋に果実を回収して種を取り出す
まず、秋に果実を回収して種を取り出します。10月から12月に水ゴケなどに種をまく
10月から12月に水ゴケなどに種をまきます。春に発芽し秋に鉢あげを行う
春に発芽するので、秋には鉢上げすることができます。カルミアの種まき手順
カルミアの種まき手順は以下の通りです。- 種を収穫する
- 種を発芽させるための準備をする
- 発芽したら湿度を保ったまま育てる
- 芽が一定の大きなになったら植え替えする
カルミアのとり木方法
ここからは、カルミアのとり木方法を説明します。とり木を行うのは5~6月
とり木を行うのは5~6月が適切です。カルミアのとり木手順
樹皮を枝の直径の2倍ほどの幅ではいで、十分に湿らせた水ゴケを巻いてポリシートで包みましょう。発芽には3ヶ月以上かかる
発芽には3ヵ月以上かかるので、根気よく観察をしていきましょう。カルミアを挿し木で増やすのは難しいので注意
カルミアを挿し木で増やすのは難しいです。他の植物と同様と思わないよう注意しましょう。カルミアの種類
ここからは、カルミアの様々な種類について説明していきます。オスボレッド
オスボレッドは蕾が濃紅ピンクで花はピンクとなっています。オスボレッドは色の対比を楽しむことができます。ピンクボール
ピンクボールは花穂に小さなボール状の花が咲きます。そのため、ピンクボールは個性的な品種として人気があります。エルフ
エルフは蕾が薄いピンク、花は白となっています。エルフは他のカルミアと一緒に植えることで花が引き立つようになります。レッドクラウン
レッドクラウンは蕾と花の外側が濃いピンクになっています。また、レッドクラウンの花の内側には赤褐色の斑が入っています。【まとめ】カルミアの育て方を徹底解説!庭での置き場所から人気の品種まで
ここまで、カルミアの育て方や剪定・摘心の方法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか? この記事のポイントは、- カルミアは花とつぼみの姿が特徴的で、庭園や公共の公園などで栽培されている
- カルミアの育て方のポイントは「植え付け」「用土」「置き場所」「水やり」「肥料」「病害虫」となる
- 適切なタイミングで剪定や摘心を行うことが大事
- カルミアは増やすことができる
- カルミアには様々な種類がある