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緑色の葉っぱに真っ白な白粉がかかったかのような、素敵なコントラストを見せてくれるハンゲショウ。上品で慎ましやかな姿は人気が高いです。境内の池に群生しているハンゲショウは実に素敵だから、ぜひ自分でも育ててみたい!と思われた方も多いのではないでしょうか。自分の家にハンゲショウを植えるならば、枯らさずに上手に育て、増やしてきたいですよね。そこで、今回はハンゲショウの育て方に焦点を当て、解説していきます。
本記事を読むと
- ハンゲショウの基本情報
- ハンゲショウの育て方(水やり)
- ハンゲショウの育て方(育てる場所)
- ハンゲショウの育て方(肥料)
- ハンゲショウの育て方(土)
そもそもハンゲショウ(半夏生・半化粧)ってどんな植物なの?
ハンゲショウの育て方について見ていく前に、まずハンゲショウとはどんな植物なのかということを確認していきましょう。日本やフィリピンなどを原産とするドクダミ科ハンゲショウ属の多年草
ハンゲショウ(半夏生または半化粧)は、北海道をのぞく日本及び東南アジアに広く分布している植物です。ドクダミ科ハンゲショウ属に属する多年草です。日本でも色々な場所に点在していますが、湿地を好むので池の周辺などに群生していることが多いです。白い花穂が開花する頃にすぐ下の葉が半分真っ白になる
ハンゲショウの花は、ドクダミのように穂状に小さな花が集まって咲きます。開花期は6月から8月頭頃で、半夏の頃に花穂が立ちます。この時、花に近い葉3枚ほどの表面が白色に変化します。白くなる部分は茎に近い部分だけで、葉先は白くなりません。地下茎で増えるため地植えにするとよく広がる
ハンゲショウはドクダミのように地下茎で増えます。繁殖力が高く、土壌さえ合えばあっという間に群生します。直植えにすると、予想以上のスピードで群生されてしまうかもしれません。その時は、適宜間引きをしながらハンゲショウの場を確保するようにして下さい。「はんげしょう」の名前の由来は二つ
はんげしょうには実は二つの漢字が宛てられています。一つは「半夏生」、もう一つは「半化粧」です。半夏生:半夏生のころに花を咲かせるから
夏至から11日目にあたる半夏、大体7月2日頃に葉が白くなって花が咲くことから、はんげしょう(半夏生)と命名されたそうです。半化粧:葉が半分白くなることから
はんげしょうにしばしば使われる「半化粧」という漢字は、どちらかというと当て字だとされています。葉が半夏の頃に半分だけ白くなる様は、まるで葉が半分だけお化粧をしたかのように見えることから「半化粧」の字が用いられるようになったと言われています。ハンゲショウの育て方のポイント①置き場所
ここまではハンゲショウの基本情報でした。ここからは、いよいよハンゲショウの育て方について解説していきます。まず、ここではハンゲショウの育て方のポイントともなるハンゲショウの置き場所について解説していきます。湿潤で明るい半日陰~日向を好む
ハンゲショウは湿り気のある環境と日当たりが大好きです。半日陰でも育ちますが、日光に当たることで綺麗な白斑が入るようになるので、ハンゲショウの綺麗な半化粧を見たい方はできるだけ日向で、沢山日光を与えて育てるようにすると良いでしょう。日当たりが良いほうが葉の斑がきれいに入る
ハンゲショウは多少の日陰でも育ちます。しかし、日光不足になってしまうと白い斑がきちんと入らなくなってしまいます。白い斑が入ってこそのハンゲショウなので、できるだけ日光に当てて育てるようにしましょう。地植えの場合:水辺や池の近くなどは管理が楽
ハンゲショウが自生する時はたいてい水辺や池など湿地周辺です。これはハンゲショウが湿り気をとても好むからなのです。そのため、自宅でハンゲショウを育てる時も水はあげ過ぎかもしれないぐらいあげなくてはいけません。地植えにするならば多少株元が水に浸かるぐらいの場所に植えるのがおすすめです。地面に植えてしまうと夏場の水やりや管理が大変になってしまうので、できるだけ保水性が高い場所や粘土気質の土壌に植えるか、睡蓮鉢や池など水辺に植え育てるようにすると良いでしょう。 睡蓮鉢をハンゲショウだけで埋めてしまうはちょっとという方は、ハスの花と一緒に育ててみても良いでしょう。白いハンゲショウとピンク色や黄色のハスの花との相性はとてもよく、素敵です。白色のハンゲショウを際立たせたい時にも、黄色やピンク色、赤色などの華やかな色味を持つハスは良いコンビになってくれますよ。ちなみに、ハスの開花時期は5月から10月頃で、ちょうどハンゲショウが花を付ける時期と被るというのもポイントです。鉢植えの場合:大きめの鉢で育てる
鉢植えで育てる場合も湿潤な環境作りに力を注ぎましょう。できるだけ土を湿った状態にさせておくためにも、鉢は大きめなものを用意します。地下茎を伸ばし群生する準備ができた時のためにも鉢は大きい方が良いと言えるでしょう。ハンゲショウの育て方のポイント②水やり
ハンゲショウの育て方で一番大事なのが水やりです。ここではハンゲショウの水やりについて詳しく解説していきます。乾燥を嫌うため水切れに注意
ハンゲショウは湿潤な環境を好むため、乾燥は大の苦手です。地植えの場合でも鉢植えの場合でもとにかく土を乾かせてはいけません。水辺周辺で育てない限り、頻繁な水やりが必要になります。特に夏場は1日3回から5回水やりが必要になる場合があります。 他の植物は水やりのし過ぎで根腐れが心配されることがありますが、ハンゲショウは滅多なことで根腐れは起こしません。むしろ乾燥によって根をダメにしてしまうことがあるので、気を付けましょう。地植えの場合:土が渇ききらないようこまめに水やりを
水辺ではなく、土に地植えする場合、とにかく土が渇ききらないように頻繁な水あげを心掛けましょう。ハンゲショウは日光を好むので、日当たりの良い場所に植えることになります。日当たりの良い場所の土はとにかく乾きやすく、特に水はけのよい土質の場合、あっという間に乾いてしまいます。梅雨にシーズンや冬場は土が渇ききる心配はあまりありませんが、夏のシーズンは水切れにならないよう注意が必要です。特に夏場に花が咲くので、水が不足して花を咲かせる前に枯れてしまったということがないよう、気を付けて下さい。鉢植えの場合:水を張った受け皿を敷くとよい
鉢植えの場合も水切れに注意が必要です。多くの植物は鉢の受け皿に水が残らないよう注意しますが、ハンゲショウは逆です。受け皿に水が溜まった状態をキープしなくてはなりません。それぐらい土に水分が必要なのです。ハンゲショウは根腐れを起こさないので、心配せずに沢山水をあげるようにしましょう。それがハンゲショウの上手な育て方の一番のポイントになります。ハンゲショウの育て方のポイント③土
ハンゲショウの育て方、ここまで置き場所や水やりについてみてきましたが、次は土について解説しています。水はけがよく保水性のある土を好む
ハンゲショウは水はけがよく、それでいて保水性のある土を好みます。園芸用の赤玉土などでも問題ありませんが、田んぼの土などがより適していると言えます。地植えの場合:荒木田土など
地植えの場合は、水生植物によく用いられる荒木田土を使ってみると良いでしょう。荒木田土は赤玉土よりも粘土気質が多く含まれている分、保水性に優れているのです。鉢植えの場合
鉢植えの場合も、荒木田土を用いると良いでしょう。ない場合は、園芸用の赤玉土を用いますが、可能であれば粘土質の土を少し混ぜてあげます。こうすることで、通常の赤玉土よりも重い土になり、保水性が確保できるようになります。 鉢植えの場合、鉢の底に鉢底石を敷いた上で土を入れるようにします。ハンゲショウは湿潤な土を好みますが、同時にある程度の水はけの良さも求めるので、鉢底石を用いることで土の環境がハンゲショウ好みに整うのです。ハンゲショウの育て方のポイント④肥料
ハンゲショウの育て方の最後のポイントは肥料です。ハンゲショウの白い斑を美しく出すためにも肥料は重要な要素となってくるので、ここでしっかり育て方のポイントを押さえていきましょう。白斑を美しく出したい場合は多めに肥料を施す
ハンゲショウは基本的に肥料いらずと言われるほど強い植物です。しかし、ハンゲショウ特有の白い斑を美しく出すためにはある程度の肥料が必要とも言われます。窒素分が多すぎると斑がきれいに白くならないことも
ハンゲショウの白い斑を美しく出すためには肥料が必要です。元肥に緩効性化成肥料を用土に混ぜて用い、追肥としても緩効性化成肥料を与えていきます。しかし、ここで気を付けたいのが、肥料の成分です。肥料の成分で窒素が多いものは避けましょう。窒素が多すぎると花は蕾を付けなくなります。花が出来ないのであれば葉に白い斑が入ることもなくなってしまいます。もし、シーズンになっても花がいっこうに付かなさそうであれば、それは窒素が過剰になってしまっていることを疑いましょう。よく育っているなら無理に与えなくてよい
ハンゲショウはドクダミ科の植物です。ドクダミは何のケアをしなくてもアッという間に群生してしまいますよね。その力はハンゲショウにも見られます。基本的になんの肥料がない場所でも水と日光さえあればどんどん仲間を増やして群生していくハンゲショウ。家で育てる場合も基本的に肥料は必要ないのです。元気に育っているのであれば、無理に肥料を与える必要は全くありません。ただし水やりだけは忘れずに頻繁に行って下さい。地植え・鉢植え共通の与え方
地植えと鉢植え両方に用いることができる肥料の与え方は以下の通りです。元肥:緩効性化成肥料を混ぜ込む
元肥は緩効性化成肥料を用い、用土にあらかじめ混ぜ合わせておきます。この肥料に窒素が多く含まれていると花付きが悪くなってしまうので、気を付けて下さい。追肥:春に緩効性化成肥料か固形油かすを施す
追肥も緩効性化成肥料を用います。固形の油かすを土の中に埋め込んでも良いです。追肥を行う時期は蕾が付く前、春です。鉢植えの場合
鉢植えにおける肥料の与え方は以下の通りです。薄めた液肥を受け皿にためておく方法
ハンゲショウは乾燥を嫌うため、受け皿に水を残しながら水やりする方法を先に紹介しました。追肥はこの受け皿に溜まった水を利用して行います。1000倍に薄めた液を受け皿に水と共に入れておきましょう。もし受け皿の水が少なく減ってきてしまった時には、同じ肥料を1000倍に希釈してまた水と共に受け皿に入れておくようにして下さい。固形肥料を置き肥する方法
薄めた液を用いるのはちょっとという方は、固形の肥料を1か月に1回、株元に置き肥して下さい。ハンゲショウは肥料を与えなくても育ちますが、肥料は大好きなので、どんどん減ります。冬の休眠期は肥料を与えない
ハンゲショウは晩秋を過ぎると朽ちます。生長しないので肥料を与える必要もありません。冬の休眠期は肥料は必要ないと覚えておくと良いでしょう。ハンゲショウのお手入れ
ここまでハンゲショウの基本情報、ハンゲショウの育て方について詳しく見てきました。ここからは、ハンゲショウのお手入れ方法について解説していきます。より美しいハンゲショウを育てるためにも参考にしてみて下さい。植え付け・植え替え
ハンゲショウの植え付けや植え替えは2月から3月のシーズンに行うのが良いです。植え付けのしかた
掘り上げた地下茎を切り分けて、植え付けを行います。鉢底石を敷いた鉢の1/3程度のところまで土を入れます。そして真ん中に切り分けた根を入れ、また土をかぶせます。最後に水をたっぷりやって植え付け完成です。植え替えのしかた
今使っている鉢よりも一回り、二回り大きい鉢を用意し、そこに保水性の良い土を入れます。この時もできるだけ鉢底石は用いるようにすると良いでしょう。地下茎が切れないよう丁寧に堀り上げ、それを用意した鉢に植え替えます。植え替えた後は水をたっぷりあげましょう。鉢皿にも水が入っていることを確認し、植え替えから5日間ぐらいは、受け皿の水を毎日変えるようにしましょう。冬越し
ハンゲショウは実はあまり寒さに強くありませんが、そこそこの耐寒性は備えています。耐寒性があまり強くない
関東以南での越冬は特に問題ありません。しかし、耐寒性はあまり強い方ではないので、例年よりも冷え込む冬の場合は、防寒対策を施してあげた方が良いでしょう。寒冷地では不織布やワラで防寒対策を
強い霜が降ったり、地面が凍ってしまうほど寒い場合や寒冷地では防寒対策が欠かせません。不織布やワラで覆い、越冬できるようにサポートしましょう。室内管理をする場合は、暖房で乾燥させ過ぎないよう気を付けて下さい。病害虫:特に発生しやすいものはない
ドクダミ同様ハンゲショウは病害虫に大変強い植物です。特に発症しやすい病気もなければ、発生しやすい害虫もいません。殺虫剤なども特に散布する必要はありません。株分けでの増やし方
ハンゲショウは繁殖力旺盛なので、地植えにしているとあっという間に地下茎を伸ばし、群生していきます。株分けの適期:芽出し前の2月~3月
鉢植えは特に芽が出る前の2月から3月の時期に株分けを行います。掘り上げた地下茎から根を切り分け、別の鉢に植え替えて下さい。株分けのしかた
掘り上げた地下茎から根を切り分け、切り分けたものを鉢や庭に植えます。繁殖力が高いので、土壌さえ合っていればあっという間に増えます。【まとめ】ハンゲショウの育て方を紹介!美しい斑の出し方からお手入れ方法まで
ハンゲショウの育て方について、ハンゲショウの基本情報からハンゲショウの育て方でポイントとなる置き場所、水やり、土、肥料などをみてきましたが、いかがでしたでしょうか。 ハンゲショウはとても丈夫な植物なので、基本的にあまり管理は必要ありません。 しかし、きちんと育てていくには、ある程度の管理が必要なのも事実です。特に、水やりと肥料やりに関しては他の植物と異なる点もありましたね。各植物にはそれぞれ相応しい管理方法があります。ハンゲショウの半化粧をしっかりみるためにも、生育環境はきんと整えてあげたいものですね。 本記事のポイントは- ハンゲショウの白い斑を美しく出すには肥料が必要
- ハンゲショウの上手な育て方は水やりにかかっている
- ハンゲショウの白い斑は肥料に窒素が多すぎると作られない
- ハンゲショウの育て方で重要なのは湿潤な環境と日光
- ハンゲショウの育て方でポイントになるのは土