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フランネルフラワーは、雪のように白く美しい花を咲かせる植物です。輝く星の形に似た花びらにはグリーンの縁どりがあり、とても可愛らしい花ですね。品種改良が進んでおり、近年ではご自宅でも栽培できる園芸品種が流通しています。そこでこの記事では、フランネルフラワーの育て方をご紹介します。
記事のポイントはこちらです。
- フランネルフラワーの基本情報
- 4つのポイントで知るフランネルフラワーの育て方
- フランネルフラワーのお手入れ方法
- フランネルフラワーをドライフラワーとして楽しむ方法
- フランネルフラワーの中でも人気がある品種とは?
そもそもフランネルフラワーってどんな植物なの?
育て方の解説する前に、フランネルフラワーの基本的な情報をご紹介します。原産地や特性について知ることで、植物に合った環境や育て方がわかるため、ぜひご覧ください。オーストラリアを原産とするセリ科アクチノータス属の多年草
フランネルフラワーはオーストラリアを原産とするセリ科アクチノータス属の多年草です。白い花びらの先に緑色の縁が入っており、可愛らしく清楚な印象の花です。もともと輸入の切り花として流通していましたが、近年は日本でも品種改良が進んだため、鉢花としても出回るようになりました。四季咲きの品種がいくつかあります。葉や花が毛織物のようにふわふわと柔らかい感触
フランネルフラワーは、葉や花の部分に細かい毛が生えています。ふわふわと柔らかいフランネル(毛織物)の手触りに似ていることから、「フランネルフラワー」という名がつきました。清楚な白い花を咲かせ、ウェディングブーケにもよく用いられる
フランネルフラワーは、緑色の模様が入る清楚な白い花を咲かせるため、ウエディングブーケなどにもよく用いられます。「高潔」「清楚」「いつも愛して」など、花言葉もウエディングシーンにぴったりですね。フランネルフラワーの白い花は、純白のドレスとも相性が良く、清楚で上品な雰囲気を演出します。フランネルフラワーの育て方のポイント①置き場所
育て方のポイント1つ目は置き場所についてです。適切な環境で栽培してあげると、植物は元気に育ってくれます。日当たりのいい場所を好み、高温多湿を嫌う
オーストラリアの暖かく乾燥した地域が原産のため、日当たりの良い場所を好みます。耐暑性・耐寒性・高温多湿が弱い性質なため、季節に合わせて適切な管理をしてあげましょう。鉢植えで管理する場合は、テラコッタや素焼き鉢など厚みがある鉢で栽培することで暑さから根を守ることができるためオススメです。地植えの場合
地植えで育てている場合に適した栽培場所について解説します。注意点とあわせてぜひ参考にしてみてください。雨が当たらないよう軒下などに植える
フランネルフラワーは高温多湿に弱く、雨の当たる場所に置くと花や葉が傷みやすくなります。そのため、地植えにする場合は軒下など雨の当たらない場所に植えるとよいでしょう。ただし、日光が不足すると花が付かなくなるため、日当たりの良い場所を選ぶことも大切です。冬はビニールなどで防寒する
フランネルフラワーは霜に当たると枯れてしまうため、冬期の防寒対策が必要です。支柱を立ててその上からビニールなどを被せるとよいでしょう。日差しが出る日中は外して湿気がこもるのを防いであげます。 ビニール袋だけでは不安な場合は、段ボール箱などでさらに覆うとより保温効果が高まります。段ボール箱は植物の大きさに合わせて切って、上からかぶせます。雪が降る場合は、雪の重みでつぶされないように注意してください。 または発泡スチロールに棒を立て、ビニールを張ると簡易温室になります。夜は閉めておき、朝になったら開けて日光に充分に当て、夕方また閉めます。 ビニール以外にも、園芸用の不織布や寒冷紗などを使うと、より効果的な防寒対策ができます。鉢植えの場合
季節によって移動できる鉢植えでの栽培方法についてご紹介します。置き場所や育て方に気を付けることで元気に育ってくれます。雨の掛からない日向に置く
乾燥した気候を好むフランネルフラワーは、雨の掛かる場所に置くと、花や葉が傷んだり、病気にかかりやすくなります。鉢植えで育てる場合も屋外で育てる時と同様に、雨の掛からない日向に置くとよいでしょう。霜や降雪のある地域では室内に取り込んで冬越しする
フランネルフラワーは霜に当たると枯れてしまうため、霜や降雪のある地域では、冬は室内に取り込んで管理することをおすすめします。昼間は日が当たる窓辺、夜間は部屋の中央に移動させるなどして5℃以下にならないように気をつけてください。フランネルフラワーの育て方のポイント②水やり
育て方のポイント2つ目は水やりについてです。地植えと鉢植えでの水やり管理が異なります。地植えの場合:基本的に不要
地植えの場合は、根付いたらほとんど水やりの必要はありません。ただし、夏場などの水が蒸発しやすい時期や、乾燥しやすい場所に植えているときは様子を見て水やりします。乾燥気味の土を好むとはいえ、完全に乾燥すると枯れてしまうため、観察をして適切な水やり管理をしてあげましょう。鉢植えの場合:土が乾いたら与える
鉢植えの場合は、土の表面が乾いてきたら鉢の半分くらいの水を与えるとよいでしょう。花や葉に水がかからないように注意しましょう。フランネルフラワーの育て方のポイント③土
育て方のポイント3つ目は土についてです。植え付ける用土に注意することで生育への影響が変わってきます。水はけのよい酸性の土を好む
フランネルフラワーを含むセリ科の植物は、酸性の土を好みます。根腐れや生育不良を起こさないように、水はけのよい酸性の土で育ててあげましょう。鉢植えの場合
鉢植えでの育て方に適した土についてご紹介します。不向きな土を使用すると生育が悪くなるため、フランネルフラワーに合った土で育ててあげましょう。酸度無調整ピートモス5:鹿沼土5の配合土など
フランネルフラワーは、酸度無調整ピートモスと鹿沼土を5:5の割合で混ぜた配合土が向いています。市販の草花用培養土などは、あらかじめアルカリ性に配合されているものが多く、酸性土壌が適しているフランネルフラワーには不向きなため、使用すると枯れてしまう恐れがあります。酸性にブレンドしたブルーベリー用の土でも育てられる
酸性にブレンドされた市販のブルーベリー用の土でも育てられます。酸性度が高く、フランネルフラワーの根の呼吸や栄養吸収に適しています。フランネルフラワーの育て方のポイント④肥料
育て方のポイント4つ目は肥料についてです。適した時期や与え方についてご紹介します。高濃度の肥料は肥料焼けを起こすことも
フランネルフラワーは根が繊細なため、肥料の濃度が高すぎると肥料焼けをして根が傷んでしまいます。肥料焼けとは、肥料の塩分が植物の根にダメージを与えて、水分や栄養の吸収ができなくなる状態のことを言います。肥料は薄めにして与えるのがポイントです。葉が白っぽい場合は肥料切れの可能性
フランネルフラワーは、生育期に十分な肥料を与えないと、葉が白っぽくなったり、生育が遅くなったりすることがあります。肥料切れの場合は、規定量の2倍ほどに薄めた液体肥料を週に一度の間隔で与えるとよいでしょう。地植えの場合:肥料は基本的に不要
地植えの土壌には、もともと植物が育つために必要な栄養素が含まれています。また、フランネルフラワーは根が深く張るため、土壌中の栄養素を吸収しやすい植物です。地植えで育てる場合は肥料を与えなくても十分な生育ができます。鉢植えの場合
鉢植えの場合の肥料の与え方について解説します。適切な肥料を与えて、元気に花が咲くようにサポートしましょう。春と秋に緩効性肥料を置き肥する
花の発育を促進して開花期を長くするため、春と秋に緩効性肥料を置き肥することがおすすめです。緩効性肥料は用土の表面に散布し、水やりの際に溶け出して根に吸収されます。株が弱っていたら薄めた液肥を定期的に与える
株が弱っている場合は、薄めた液体肥料を定期的に与えることで根の活力を高め、花の色や形を良くします。液肥を与える前には必ず水やりをして土を湿らせておき、規定量の2倍に薄めて週に1回程度与えると良いでしょう。夏場の施肥は控えめに
フランネルフラワーは夏場の高温多湿に弱い植物のため、肥料は控えめに与えるのがよいでしょう。 夏は肥料を与えないか、液肥を薄めて少量だけ与えます。フランネルフラワーのお手入れ
お手入れをすることで、花付きに良い影響を及ぼします。株の健康を維持するためにも、育て方に気を付けてお手入れを定期的に行いましょう。植え付け・植え替え
植え付け・植え替えは4月~5月頃・9月~10月頃が適期です。夏の暑い季節や、冬の寒い季節は避けましょう。フランネルフラワーは根がとても繊細なため、植え付け・植え替えをする際は根鉢をくずさないように注意しましょう。植え付けのしかた
鉢植えの場合は、水はけのよい酸性の土を用意します。用土には、緩効性の固形肥料を混ぜておきましょう。庭植えの場合は、日当たりと水はけがよく、雨のかからない軒下などに植えつけます。土は酸性を好むため、石灰は施さないでください。根鉢を崩さないように注意して、植えつけを行いましょう。根を傷つけると枯れる原因になります。植え付け後は、鉢植えのものは日当たりのよい、雨の当たらない場所に置いて管理していきましょう。植え替えのしかた
植え替える前に、枝を5cm程度切り戻します。新芽や花芽の生長を促すために、株の形を整えておきましょう。 植え替える鉢は、根鉢よりひと回り大きなものを選びます。鉢の底には、水はけを良くするために軽石や鹿沼土などを敷きます。水はけのよい酸性の土を用意し、鉢の半分ほどに用土を入れます。鉢から根鉢を取り出すときは、鉢の側面を軽く叩いて、根鉢が緩むのを待ちます。 根鉢を新しい鉢に入れて、空いた部分に用土を詰めます。用土を詰めたら、軽く押さえて固めます。植え替えたら、たっぷりと水を与えましょう。その後、日陰の風通しの良い場所に置いて、根が鉢に馴染むのを待ちます。根が鉢に馴染んだら、日当たりの良い場所に移動します。直射日光を避け、雨の当たる場所には置かないようにしましょう。剪定
剪定をすることで樹形を整えたり、風通し良くして病害虫から植物を守ることができます。フランネルフラワーの剪定に適した時期と方法をご紹介します。暑くなって草姿が乱れたら切り戻しを行う
切り戻し剪定は、8月頃に行います。枝を5cm程度切り戻すことで、株の形を整え、新芽や花芽の生長を促すことができます。また、風通しが良くなり、病害虫発生の予防にもなります。切り戻す際は、必ず枝に葉を何枚か残すようにします。葉がないと、株が枯れてしまう可能性があります。
古くなった葉を取り除く
古い葉は光合成能力が低下しているため、株全体の生育に悪影響を及ぼし、病気や害虫の温床になります。古くなった葉を取り除く際は、葉の付け根から切り取りましょう。
花後の管理
花が咲き終わった後には、花がら摘みなどを行って管理します。花がら摘みを行うことで、次の開花期にもたくさんの花を咲かせてくれます。4月~6月、9月~12月
フランネルフラワーの開花時期は、4月~6月と9月~11月です。次の花芽の形成を促進させるため、花後には花がら摘みをしましょう。花がら摘みを行う時期は、花が閉じる・花の中心部が茶色くなるなどの開花が終わる合図が出たら行います。花がらを放置しておくと病害虫発生の原因にもなるため、こまめにカットしましょう。花がら摘みのしかた
花がら摘みは、花の付け根からカットすることがポイントです。花がらを放置しておくと株の見栄えを損ねるだけでなく、栄養分の無駄遣いにもなります。花がら摘みを行って次の花芽の形成を促進させましょう。種まきでの増やし方
フランネルフラワーは種まきで増やすこともできます。種まきの方法と種まき後の育て方について解説していきます。適期:5月
種まきは5月の適期に行うとよいでしょう。この時期に種をまけば、翌年の春に花を咲かせることができます。種まきから開花までは、約6ヶ月かかります。種まきから十分に成長させるために、日当たりのよい場所で育てましょう。花をそのままにして種を採取する
種は購入することもできますが、前年に開花した花をそのままにしておくと種ができるため、採取して種まきに使用することができます。フランネルフラワーの花は開花後1ヶ月程度で種が熟します。種が熟すと花弁が落ち、花穂の中央に種が残ります。種が熟していることを確認するには、花穂の中央を触ってみるとよいでしょう。種が熟していると、ポロポロと取れやすくなります。種を採取したら、紙袋やペーパータオルなどに入れて乾燥させます。直射日光を避けて、風通しのよい場所で乾燥させましょう。種が完全に乾燥したら、封筒などに入れて保存します。保存する際は、湿気がこもらないように注意しましょう。種まきのしかた
市販の種まき用の用土か、赤玉土や鹿沼土を使います。5mmほど土をかぶせ、発芽するまでは毎日水やりしましょう。種まき後、発芽までに1~2ヶ月程度かかります。発芽して本葉が2~3枚になったら鉢上げします。種まきで育てたフランネルフラワーは成長が遅いため、株分けや植え替えは2年目以降に行いましょう。ドライフラワーにして楽しめるフランネルフラワー
フランネルフラワーは、花や葉がふわふわした感触をもち、水分が少ないため乾燥しやすくドライフラワーとして楽しむことができます。質感が損なわれず色褪せしないため、ナチュラルな雰囲気の素敵なドライフラワーになりますよ。美しく咲いたときに収穫する
ドライフラワーにする方法はとても簡単です。美しく咲いたときに刈り取って、風通しの良い場所に逆さにして吊るしておくだけ。ポイントは摘み取ってすぐのフレッシュな状態で吊り下げましょう。風通しの良い場所で乾燥させる
収穫したあとは風通しの良い場所で乾燥させます。乾燥させる方法は、花の茎を紐やワイヤーなどで束ねて、逆さにして吊るしておくだけです 。1~2週間でドライフラワーが出来上がります。美しい花をドライフラワーで長く楽しみましょう
ドライフラワーになったフランネルフラワーは、ハーバリウムやキャンドルなどのハンドメイド素材としても人気があります。ナチュラルで優雅な雰囲気を演出でき、色あせも少ないため、長く楽しむことができます。フランネルフラワーの人気の品種を紹介
フランネルフラワーの中でも人気がある品種をご紹介します。ぜひお気に入りの品種を見つけてみてください。リトルエンジェル:真っ白の星のような花を咲かせる
リトルエンジェルは、エンジェルスターやフェアリーホワイトなどの品種に比べて草丈や花が小さく、コンパクトなことが特徴です。また、 リトルエンジェルは小輪で多花性なので、花束やアレンジメントにもおすすめです。真っ白の星のような花を咲かせ、緑色に縁どられた花先はさわやかな印象を与えます。天使のウィンク:小ぶりの花をたくさんつける
天使のウィンクは、小ぶりの花をたくさんつける園芸品種です。花の直径は約2~3cmで、白いふわふわの花弁と明るいグリーン色の花芯が特徴です。天使のウィンクは、従来のフランネルフラワーよりも小型で花も小輪で茎の長さも短めのため、コンパクトで寄せ植えに入れるのにぴったりの新品種です。エンジェルスター:低温・高温に強く病害虫が付きにくい
四季咲きの園芸品種の中でも、特に人気が高いのはエンジェルスターです。花つきが多く、ほぼ一年中花を咲かせます。花はやや小振りで、白とエメラルドグリーンの色合いが可愛らしいのが特徴です。耐寒性が強く、0度まで耐えることができます。病害虫にも強いため、初心者でも育てやすい品種です。【まとめ】フランネルフラワーの育て方を紹介!お手入れ方法から人気の品種まで
フランネルフラワーの育て方についてご紹介しました。 今回の記事のまとめはこちらです。- フランネルフラワーの名前の由来は、花や葉に生えている細かい毛がフランネル(毛織物)の感触に似ていることからきている。
- 育て方のポイント1つ目、置き場所は日当たりが良い場所に置き、高温多湿の環境を避ける。
- 育て方のポイント2つ目、水やりは地植えの場合は基本的に必要なく、鉢植えの場合は土が乾いたら鉢の半分くらいの水を与える。
- 育て方のポイント3つ目、フランネルフラワーに使用する土は、水はけが良く酸性の土が適している。
- 育て方のポイント4つ目、肥料は地植えの場合は特に必要なく、鉢植えでは春と秋に緩効性肥料を置き肥する。
- 冬は凍らないように室内に取り込むか、霜よけ対策をする必要がある。
- 植物の健康を維持するためには、剪定や花がら摘みなどを定期的に行ってお手入れをしてあげるとよい。
- フランネルフラワーはドライフラワーとして長く楽しむことができる。