シャクヤク(芍薬)は挿し木できる?成功する増やし方の方法を紹介!
皆さんはシャクヤクという植物をご存じでしょうか。シャクヤクは初夏~夏に花を咲かせる植物で、日本ではボタンのように観賞植物として育てられてきました。開花時期になると全国各地でシャクヤクのお花を楽しむイベントが開催されるなどして現在でも愛されています。もしかしたら、今この記事を読んでいる方の中にもお庭でシャクヤクを栽培している方がいらっしゃるのではないでしょうか。
お世話を丁寧にしていても、何気ないトラブルなどによってシャクヤクが枯れてしまうことがあるかもしれません。それを避けるために、予備としてシャクヤクを増やしておきたいという方は多いでしょう。それだけでなく、よりたくさんのシャクヤクを栽培したいためシャクヤクを増やしたい方もいらっしゃるかと思います。
植物の栽培経験が長い方の場合、植物を増やす方法である挿し木を行おうと考えるのではないでしょうか。しかし、この記事で取り扱うシャクヤクの場合は増やし方に注意が必要です。
この記事では、
- そもそもシャクヤクの枝で挿し木はできるのか
- シャクヤクの一般的な増やし方とその理由
- シャクヤクの株分けによる増やし方とポイント
- シャクヤクに似た植物、ボタンの増やし方
- シャクヤクを用いたボタンの接ぎ木の方法とポイント
について解説いたします。
この記事を読むことでシャクヤクやボタンの増やし方や、増やすときに注意するべきポイント。増やした後の管理やお世話の方法を知ることができます。また、シャクヤクだけでなくボタンを育てている方向けにシャクヤクを用いるボタンの接ぎ木の方法について解説いたします。シャクヤクやボタンを増やしたい方はもちろん。これからシャクヤクやボタンを育ててみたい方の役に立つでしょう。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
シャクヤクの枝で挿し木はできる?
まず、シャクヤクの枝で挿し木を行うことはできるのでしょうか?挿し木は最もメジャーな増やし方ですよね。多くの観葉植物や多肉植物、ハーブ、花は枝を切り取って水に活けたり土に挿す挿し木によって増やすことができます。しかし、植物によっては挿し木では増やせない、または何らかの原因によって増やしにくいことがあります。まずはシャクヤクは挿し木で増やすことができるのかどうか解説いたします。
一般的にシャクヤクは挿し木で増やすことができない!
最初に結論を述べると、一般的にシャクヤクは挿し木で増やすことができません。挿し木は様々な植物を増やす方法として利用されているためかなり意外ですよね。それでは、なぜシャクヤクは挿し木で増やすことができないのでしょうか。下記ではシャクヤクを挿し木によって増やすことができない原因や理由について解説いたします。
シャクヤクは草本であり、木の状態で育つ植物ではないから
シャクヤクを栽培したことがある方やシャクヤクの実物を見たことがある方はシャクヤクの姿やライフサイクルを想像してみてください。実は、シャクヤクは木ではなく草本植物と呼ばれるグループに分類されています。春先に土から芽を出して花を咲かせ、夏から秋にかけて栄養を蓄えて冬には地上部が枯れるというライフサイクルを送っていることにお気づきでしょうか。つまり、シャクヤクは木の状態で育つ植物ではなく、冬になると地上部が枯れてしまうことが原因で挿し木ができないと言われています。
シャクヤクの切り花で挿し木を成功させた事例はある!
先ほどはシャクヤクは挿し木できないと解説いたしました。しかし、実はシャクヤクの挿し木を成功させた事例は存在します。下記ではシャクヤクの挿し木の成功事例と取り組む際の注意点や心構えについてご紹介いたします。
ネット上の掲示板にはシャクヤクの挿し木の成功者もいる
インターネット上にある掲示板ではシャクヤクの挿し木に成功したという書き込みが確認されます。もしも本当であれば、シャクヤクもわずかな確率ではあるものの挿し木によって増やすことができると言えそうです。
シャクヤクの挿し木の成功率は定かではないため失敗を覚悟しよう
しかし、ほとんどの場合シャクヤクの挿し木は上手くいかないとされています。実際にいくつかのサイトではシャクヤクの挿し木について記載がされているものの、その数はかなり少なくほとんど失敗に終わっているようです。インターネットの書き込みによると可能性はゼロではないものの成功率が定かではないため、もしもシャクヤクの挿し木に挑戦する方は失敗を覚悟して行うことをおすすめします。
挿し木に挑戦する方は、発根が成功のサインなので根を確認しよう!
挿し木をした後、発根が確認できるかどうかが成功か失敗かを分けると言われています。もしもシャクヤクの挿し木をして発根が確認出来たら根っこがとれないように丁寧に扱いながら栽培を続けてみてくださいね。
シャクヤクの増やし方は「株分け」が確実!
シャクヤクを挿し木で増やすのは成功確率がとても低いことが分かりましたね。それでは、シャクヤクはどのような増やし方で増やす必要があるのでしょうか。シャクヤクに適した増やし方についてご紹介します。
シャクヤクは球根植物であり、株分けで増やすのが一般的
シャクヤクは地中の球根に栄養を蓄え毎年花を咲かせる球根植物でもあります。そのため、シャクヤクは主に株分けと呼ばれる方法で増やされています。株分けも挿し木と同様有名かつ簡単な増やし方のためぜひチャレンジしてみてくださいね。なお、挿し木も株分けも親と全く同じ遺伝子を持つクローン個体になります。花色や大きさなどは親株とおおよそ同じになりますよ。
シャクヤクを株分けする時期は根が伸びる9月から10月ごろ
シャクヤクの株分けは根っこが伸びる9月から10月頃に行いましょう。十分に暖かく、かつ温度も安定していて過ごしやすい時期です。また、夏に蓄えた栄養によって株分け後の発根や成長がスムーズに行われますよ。9月から10月以外の時期の場合、特に真冬や真夏は気候が厳しくなおかつ栄養も豊富には蓄えることができていないため株分けを失敗しやすいです。そのような不適切な時期はできるだけ避けるようにしてくださいね。
シャクヤクの株分けのやり方
それではシャクヤクの株分けの方法について解説いたします。株を掘り上げることになるため初心者の方は少し難しいと感じてしまうかもしれませんが、株分けはいたって簡単な増やし方です。不安な方も手順を一つずつ確認しながら株分けを行えばきっと上手に作業することができるはずですよ。
根を切らないように土から株本を取り出す
まずは根を切らないようにシャクヤクを土から掘り出してください。鉢植えでシャクヤクを育てている場合は植え替えを行うときのように鉢から取り出してしまいましょう。また、地植えにしている場合は枝が伸びている範囲よりも少し広めに掘り出すと上手に掘り出すことができるはずですよ。
特に地植えの場合根っこの範囲gあ分かりにくく根を切断してしまうかもしれません。しかし、多少の根っこの切断によって失敗することはないため、あまり神経質にならずに掘り上げてしまうのがポイントです。
1株当たり3~4つの赤色の新芽を残すように根を分ける
続いてシャクヤクの株を分けていきます。この時のポイントとして、分けた1株当たり3~4つの新芽を残すように分けるようにしましょう。芽が一つもないとその株は株分けに使用することができないためご注意ください。なお、新芽は赤色をしているため土を洗い流すとすぐにわかるでしょう。
次に植え付ける際は株の周りに殺菌剤を塗り病害虫を防止する
分けた株は鉢や地面に植えつけていきます。この時に注意するポイントとして植え付け前に株の切り口に殺菌剤を塗り土壌にいる病気の感染や害虫が切り口から侵入するのを防止しましょう。この工程を行わなくても元気に育つことはあるものの、確実に増やしたい場合は殺菌剤を塗っておきましょう。なお、発根しない、発芽しても元気がないなどの症状がある場合は病気に冒されている可能性が高いため症状の改善が見られない場合は別の植物への感染を防ぐためにも早めに処分しましょう。
その後は病害虫の侵入や根へのダメージを防ぐためにできる限り清潔で無肥料、または低肥料の土に植え付けて生育に応じて肥料や水やり、植え替えなどといったお世話を行ってください。植えつけてから数日は日陰の環境で栽培して、その後は日陰を避けた日当たりの良い場所で日光によく当て、最適な環境で育てることできっと根が活着することでしょう。
シャクヤクに似たボタンは挿し木で増やすことができる?
シャクヤクによく似たお花であるボタンは挿し木で増やすことができるのでしょうか?シャクヤクは草本植物であることから株分けによって増やすということを先ほど解説いたしました。しかし、実はボタンは草本植物ではなく木本植物です。木本植物であるボタンを挿し木で増やすことはできるのかどうかについて解説いたします。
ボタンも挿し木で増やすのは一般的でない
ボタンも挿し木で増やすのはあまり一般的ではありません。木本植物であるのに、どうしてボタンは挿し木ではあまり増やさないと言われているのでしょうか。下記ではボタンの挿し木がなぜ行われていないのかについて解説いたします。
挿し木すると発根より先に枝から菌が入り込む
ボタンの枝を挿し木すると発根よりも先に枝の切り口から菌が入り込んでしまいます。殺菌剤を塗る、低肥料かつ清潔な土であってもあまり良い結果が得られないためボタンの挿し木は難しいと言われています。成功する可能性はゼロではありませんが、土壌環境をコントロールすることは難しい以上ダメもとで行うのがよさそうです。
ボタンの挿し木も失敗を覚悟で行おう
ボタンの挿し木を行う際も失敗を覚悟して行うと良いでしょう。剪定枝を有効利用したい時などに、気軽な気持ちで挿し木をするのがおすすめですよ。なお、剪定した後に出る剪定枝は後述する接ぎ木にも使用することができます。確実に増やしたい場合は接ぎ木に使用するのが良いでしょう。
ボタンはシャクヤクに接ぎ木して増やすのが一般的
なお、ボタンはシャクヤクに接ぎ木ををして増やすのが一般的です。ここでは接ぎ木とはそもそもどのような増やし方なのかや、なぜ接ぎ木にシャクヤクを用いるのかについて解説いたします。
接ぎ木は台木に枝を挿して融合して増やす方法
接ぎ木とは、台木と呼ばれる別の植物に増やしたい植物(穂木)の枝を挿して融合させて増やす方法のことを指します。今回の場合台木はシャクヤク、穂木はボタンということになります。接ぎ木を行うことでボタンに多いうどんこ病などの病気や毛虫などの害虫に強くなったり、生育が早くなるなどのメリットがあります。特にボタンの場合はシャクヤクに接ぎ木をすることで成長が早まり、葉っぱを食害する毛虫に強くなり、かなり育てやすくなるため多くのボタンはシャクヤクに接ぎ木をして増やされています。
しかし、あまりにも遠縁の植物や相性の悪い植物の場合接ぎ木を行うことはできないというデメリットもあります。分類上近い植物であっても接ぎ木ができない場合もあるためご注意くださいね。
ボタンの接ぎ木は9月頃
ボタンの接ぎ木は温度が安定した9月頃に行います。シャクヤクの株分け同様適期外に接ぎ木を行うと失敗する確率が高くなってしまうためできる限り避けてください。特に真冬は真夏はボタンにとって厳しい時期のため特に成功確率が下がってしまいます。
ボタンの接ぎ木のやり方
それではボタンをシャクヤクに接ぐ接ぎ木の方法について解説いたします。株分けと比べると手順が多く少し難しいものの、方法を覚えてしまえば簡単に行うことができるようになりますよ。
台木のシャクヤクの根と剪定したボタンの枝を用意する
まずは台木のシャクヤクの根と剪定したボタンの枝を用意しましょう。枝はできる限り切り取ったばかりの、新鮮なものを用意するのがコツです。なお、どうしても新鮮な枝が用意できない場合は乾燥を避けるために十分に水に浸けて水分を吸収させ、使用前に水切りを行うと良いでしょう。水分が抜けカラカラに乾燥してしまった枝や根は接ぎ木に使用できないためご注意くださいね。
根の側面に切り込みを入れ、牡丹の枝を接ぎ木する
シャクヤクの根の側面にカッターやナイフなどを用いて2~3cmほどの切り込みを入れて、その隙間にボタンの枝の切り口の部分にピッタリくっつくように接ぎましょう。できる限り茎の太さが近い場所を選ぶのがおすすめです。また、病気が感染しないように病気のシャクヤクやボタンは使用しせず、使用するカッターやナイフは消毒を行うようにしましょう。
シャクヤクとボタンを固定する
耐水性のあるテープやロープ、針金を用いて切り口の部分でシャクヤクとボタンを固定します。外れないようにかつ傷つけないように適切な力加減で固定するのがポイントです。プラスチック製のもので固定する場合分解されにくいため接ぎ木してあることを忘れないようにして自然にプラスチックが流出しないようにしてくださいね。
接ぎ木したボタンを植え付ける
接ぎ木したボタンはすぐに土に植えつけましょう。肥料が含まれている土では肥料焼けをオオ越す場合があるため低肥料の土で育てましょう。その後のお手入れは通常のボタンと同様です。最初は日光を避け、徐々に鳴らしつつ最適な環境で育てていくことできっとボタンが発芽することでしょう。基本的なボタンの育て方をしつつ植え替えなどを行って大きくしていきましょう。
まとめ
今回はシャクヤクの増やし方や方法、管理のコツやポイントについて解説いたしました。シャクヤクは挿し木ではなく、株分けで増やした方が良いことやその理由が分かりましたね。シャクヤクを育てる時や増やす時にはこの記事を参考にしてみてください。
この記事のポイントは、
- シャクヤクは草本植物のため挿し木を行うことはできない
- 挿し木の成功事例はあるものの、成功率はとても低い
- シャクヤクは球根を分ける株分けによって増やすのが良い
- 株分けをした後は殺菌剤を切り口に塗り病気や害虫の発生を防止すると良い
- ボタンは挿し木ではなくシャクヤクに接ぐ接ぎ木によって増やすことが多い
- 接ぎ木を行うことで病害虫に強くなり育てやすくなる
です。
シャクヤクを増やすときにはこの記事を参考にして株分けを行ってみてくださいね。シャクヤクを増やしておくと開花期にはきっと美しい景色を楽しむことができますよ。また、シャクヤクによく似たお花であるボタンも接ぎ木という方法で増やすのがおすすめです。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
最後になりましたがここまで読んでくださりありがとうございました。東京寿園では植物や園芸についての記事を多く掲載しております。ガーデニングをしていて何か困ったことがある時にはぜひほかの記事も読んでみてくださいね。きっと役に立ちますよ。