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個性的なフォルムと初心者でも育てやすいことで人気の多肉植物。買ったままのポットではうまく育たないことがありますから、多肉植物に合った鉢に植え替えて元気に育つ環境を整えてあげたいですよね。しかし、鉢には様々な種類・サイズがありますから、どの鉢を選んだらよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。実は、多肉植物の特徴を踏まえて適切な鉢を選ぶことさえできれば、多肉植物はかんたんに育てることができます。この記事では、
- 元気に育てるために鉢がいかに重要か
- 多肉植物に合った鉢を選ぶためのポイント
- おすすめの鉢の種類
- 選んだ鉢に植え替える方法
- 植え替え後のお世話から増やし方まで
について詳しく丁寧に解説します。この記事を参考に、多肉植物に合った種類・大きさの鉢を選んで、いきいきと元気に育つ環境を整えてみてくださいね。鉢の選び方だけではなく、植え替え後のお世話から増やし方まで解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
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多肉植物の鉢ってそんなに重要なのか
丈夫で、初心者にも育てやすいと人気の多肉植物。多肉植物に合った鉢を選ぶことは、そんなに重要なことなのでしょうか。鉢選びはすごく大切
乾燥地帯などを原産地とする多肉植物を元気に育てるためには、乾燥気味に育てることがコツです。そのため、鉢の中が常にジメジメしている、そんな環境は絶対に避けなければなりません。多肉植物といえども水やりは必要ですから、水を溜め込まずに上手に排出してくれる鉢を選ぶことがとても重要です。多肉植物は成長に合わせて鉢の交換が必要
多肉植物は比較的ゆっくり成長する植物です。しかし、鉢植えの多肉植物は成長すればいずれ鉢が狭くなってしまうため、大きめの鉢に植え替える必要がでてきます。場合によっては、購入した段階で鉢を交換した方がいいこともあるでしょう。必要なタイミングで鉢を交換しないと、根が詰まって育ててきた多肉植物が枯れてしまうかもしれません。【基本】おさえておきたい多肉植物の鉢の選び方
ここでは、多肉植物を選ぶ上でポイントとなる、植木鉢の素材、穴の有無、鉢の大きさについて詳しく説明します。多肉植物の栽培に適した植木鉢とはどんな鉢なのでしょうか。条件①:植木鉢の素材
多肉植物の栽培に適した植木鉢の素材は、水はけのよいものです。水はけのよい素材としては、素焼き鉢、スリット鉢、モスポット、陶器鉢などがあります。水はけの悪い素材を使った鉢は、鉢の中がジメジメとした環境になりやすく多肉植物がうまく育ちません。条件②:鉢植えの穴あり or 穴なし
植木鉢には底に穴があるものと穴がないものがあります。多肉植物の鉢植えとして適しているのは底に穴があるものです。底に穴が空いていることにより、余分な水を穴から排出することができます。穴なしの鉢でも多肉植物を育てることはできますが、穴なしの鉢は土の中が湿った環境になりやすいため水やりの方法などで対策する必要があります。条件③鉢の大きさ
植え替えの手間をはぶくために大きめの植木鉢を選んでしまう方もいますが、大きすぎる鉢で育てると、- 植物が水分を吸わないためジメジメと湿った環境が続きやすい
- 根が横に広がってしまううまく育たない
【おすすめ】多肉植物に合う鉢を紹介
ここからは、多肉植物の栽培に適したおすすめの植木鉢の種類を厳選して紹介します。機能面に優れ、見た目もよく、しかも手に入れやすい植木鉢とはどんなものでしょうか。素焼き鉢(テラコッタ鉢)
粘土をシンプルにそのまま焼き上げた素焼き鉢。植木鉢といえば、昔ながらの素焼き鉢を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。素焼き鉢のうち、洋風デザインのものはテラコッタ鉢とも呼ばれています。メリット
- 表面にごく小さな穴が空いているため、通気性と排水性に優れている
- 特に、鉢の側面からも水分が蒸散し土が渇きやすいため多肉植物の栽培に適している
デメリット
- プラスチック製の鉢に比べると重い
- 強度が弱いため、割れやすい
スリット鉢
植木鉢の側面から底面にかけてスリット(切り込み)が入っているスリット鉢。プラスチック製のものが多く、スリットを空けることで通気性や排水性が改善されているのが特徴です。メリット
- スリット(切り込み)のない鉢と比べて、通気性と排水性がよい
- プラスチック製のものが多く、軽くて壊れにくい
- 手頃な価格帯のものが多い
デメリット
- 水やりをしたとき土が溢れやすい
- 虫が侵入しやすい
モスポット
長い時を経て植木鉢に苔(モス)が生えてきたような、アンティークな風合いが特徴のモスポット。植えられた植物とよく馴染み、おしゃれな雰囲気を醸し出します。メリット
- 素焼き鉢の一種であり、通気性と排水性に優れる
- 素朴な風合いがあり、植物と一体感のある佇まいが美しい
デメリット
- プラスチック製の鉢に比べると重い
- 強度が弱いため、割れやすい
陶器鉢
粘土を釉薬を塗って焼き上げた陶器鉢。デザイン性が高く、可愛らしいものから洗練された大人の雰囲気を感じさせるものまで様々なテイストの鉢が揃っています。メリット
- デザインが豊富で、置きたい場所の雰囲気に合わせて鉢を選ぶことができる
デメリット
- 重量があるため、気軽に鉢を移動できない
- 素焼き鉢に比べ、通気性や排水性がやや劣る
【実践】失敗しない多肉植物の植え替え方法
ここでは、植え替えに必要なアイテムと具体的な手順について解説します。多肉植物に合った植木鉢を選んだ後には、新しい植木鉢に植え替える必要があります。どのようにしたら失敗せず、多肉植物を植木鉢に植え替えることができるでしょうか。多肉植物の植え替えに必要なもの
多肉植物の植え替えには、植木鉢のほかにいくつか必要なものがあります。多肉植物の土
多肉植物は乾燥気味に育てることがポイントですから、ジメジメと水分の多すぎる状態が苦手です。水はけのよい土を選びましょう。水はけの良い土には、赤玉土、鹿沼土、日向土などがありますが、多肉植物の土として販売されている土を使用するのがわかりやすくて簡単です。スコップ
土を植木鉢に入れるために、スコップがあると便利です。鉢のサイズに合った大きさのスコップを選ぶのがポイントです。鉢底ネット
鉢底に穴の空いている植木鉢に植え替える場合には、鉢底ネットを用意します。鉢底ネットを設置することで、水やりをしたときに土がこぼれ出たり、穴から虫が侵入したりすることを防ぐことができます。なお、台所で使うような水切りネットを代用することも可能です。鉢底石
鉢の底に敷く鉢底石を用意します。鉢底石を設置することで、水はけをよくすることができます。水やりをした時鉢のサイズに合わせて大きすぎない鉢底石を選びましょう。ピンセット or 割りばし
多肉植物にはトゲがあるものもあります。ピンセットや割り箸は、細かい作業を安全に行うことができるため便利です。多肉植物の植え替え手順
基本的な植え替えの手順について説明します。なお、土が湿った状態では作業が難しいため、植え替えの1週間ほど前から水やりを控えて乾燥させておくと良いでしょう。鉢底にネットと軽石を敷き詰める
まずは、植木鉢の鉢底の穴を覆うように鉢底ネットを敷きます。水切りネットを鉢底ネットの代わりとして使う場合には、あらかじめ鉢底のサイズに合わせてカットしてから使用します。次に、鉢底石(軽石)を鉢底ネットの上から敷き詰めます。目安としては、植木鉢の高さの5分の1くらいの高さまで敷き詰めます。多肉植物を抜き、新しい鉢に入れる
植え替え先となる植木鉢の準備ができたら、多肉植物をもとの鉢から抜き出して新しい植木鉢に入れます。トゲがある多肉植物の場合はトゲに注意しながら、ピンセットや割り箸を使って抜き出します。このとき、植木鉢の真上に引っ張り上げるよりも植木鉢を少し斜めに傾けた方がスムーズに抜き出すことができます。新しい植木鉢に入れる前に古い土は軽く落としておきましょう。土を入れる
最後に、多肉植物の土を新しい植木鉢に入れます。まずは、多肉植物の周りにスコップでザッと土を流し入れましょう。鉢いっぱいに土を入れてしまうと、水やりをしたときに水や土が溢れ出てしまうため、少し余裕を持った高さまでにとどめておくのがコツです。それから、ピンセットや割り箸を使って土をならせば植え替え作業は終了です。【ケア】多肉植物の植え替え後のお世話方法
ここでは、植え替え後の多肉植物のお世話の方法を解説します。ちょっとしたコツをおさえておくだけで、多肉植物はかんたんに育てることことができます。日光が優しく当たるところに置くようにする
多肉植物を育てるには、日光を十分に当てることが必要です。日光が不足するとひょろひょろと育ってフォルムが悪くなってしまいますから、日当たりの良い場所に配置して元気に育てましょう。ただし、夏の直射日光を苦手とする多肉植物も多いので、基本的には厳しい日差しは避けて日光が優しく当たるところを選びます。水やりは季節によって頻度を変える
多肉植物には、水を必要とする時期(成長期)と水をほとんど必要としない時期(休眠期)があります。水をほとんど必要としない時期にたっぷり水やりをすると枯れてしまう原因にもなりますから、季節によって水やりの頻度を変えましょう。春・夏は土が乾いてから与える
多肉植物が水を必要とする時期(成長期)は種類によって異なりますが、生育期には土の中までしっかり乾いてから水やりをします。水の量は、鉢底の穴から水が溢れ出るくらいまでたっぷりと与えます。秋・冬は乾かすようにする
多肉植物が水をほとんど必要としない時期(休眠期)は種類によって異なりますが、基本的には休眠期には水やりを止めて乾燥させます。肥料は成長期にのみ与えるくらいがベスト
多肉植物は、もともと栄養分の少ない土地で自生しており、比較的ゆっくりと成長するという性質があります。そのため、あまり多くの肥料を必要としませんから、特に休眠期には肥料を与えないようにしましょう。成長期に少量の肥料を与える程度で十分です。なお、販売されている多肉植物の土には肥料分が含まれていることが多いため、植え替え時に多肉植物の土(肥料分入り)を使用した場合はしばらく肥料を控えるようにします。【応用】伸びすぎたと思ったら多肉植物を増やす
ここでは、応用編として多肉植物を増やす方法を説明します。増やすと聞いて、「難しい」と諦めるのは早すぎます。実は、多肉植物は生命力が強く初心者でも簡単に増やすことができますから、ぜひ試してみてください。多肉植物の増やし方3選
ここでは、多肉植物の増やし方の中から、葉挿し、挿し木、株分けという3つの方法を紹介します。葉挿し
たった一枚の葉から株を育てる「葉挿し」。時間はかかりますが、その手順はとても簡単です。- 葉を1枚、つけ根から丁寧にもぎとる
- 平らな容器に土を敷きならし、もぎとった葉を寝かせて置く
- 明るい日陰で容器ごと管理し、葉のつけ根から根が出てくるのを気長に待つ
挿し木
茎の中ほどから切り取ったものを土に挿して育てる「挿し木」。伸びすぎが気になったときに挿し木で増やすのがおすすめです。こちらも手順はとても簡単です。- 茎を中ほどからハサミで切り取る
- 立てた状態にして明るい日陰で管理し、乾かしながら根が出てくるのを待つ
- 根が出てきたら、土に植える
株分け
子株を親株から分離して育てる「株分け」。エケベリアやハオルシアなど子株が出るタイプの多肉植物は、株を分けるだけで増やすことができます。絡まった根を手でほどいて株分けする種類や茎をカットして株分けする種類など、種類によって株分けの方法は異なります。ハイドロカルチャーで育てると手入れが簡単!
室内で土を使うことに抵抗がある方には、ハイドロカルチャーという選択肢があります。ハイドロカルチャーとは、清潔で衛生的な土を使わない栽培法のことです。ハイドロボール、根腐れ防止剤などを用意する必要はありますが、土を使わない分だけ手入れが簡単です。また、ガラス製など透明の容器を鉢として使用することで、容器の中の水の量を目で確認することができるメリットがあります。多肉植物の鉢に関する質問
ここからは、多肉植物の鉢についての質問にお答えします。実際に鉢を選ぼうとすると疑問点もたくさんありますよね。多肉植物の鉢を選ぶ前に、より理解を深めておきましょう。
Q. 多肉植物を寄せ植えする際の鉢はどれくらいの大きさがいいですか?
A,窮屈にならないくらいがいい。 植物の大きさと土の量とのバランスが大切ですから、植木鉢が大きすぎても小さすぎてもよく育ちません。寄せ植えする多肉植物同士が窮屈にならないよう、ひとまわり程度大きいサイズの鉢を選びましょう。Q. プラスチック鉢でハイドロカルチャー栽培をしたいのですが、ダイソーにゼオライトって販売していますか?
A,ダイソーではゼオライト(根腐れ防止剤)を販売しています。 在庫は店舗にもよりますが、「カラーゼオライト」という商品名でハイドロカルチャーに適した根腐れ防止剤も販売しています。Q. かわいい鉢やおしゃれな鉢はセリアなどの100均にありますか?
A,100均にも、おしゃれな鉢、かわいい鉢がたくさんあります。 セリアやダイソーなどの100均では園芸用品の品揃えにも力を入れており、店舗にもよりますがいろいろな素材とデザインの植木鉢を取り揃えています。また、セリアなどの100均にはおしゃれなグッズやかわいいグッズがたくさんありますから、植木鉢の代わりになるようなグッズを探して手作りしてみてはいかがでしょうか。Q. 鉢の代わりにペットボトルを使って手作りできますか?
A,はい。ペットボトルで簡単に手作りできます。 作り方は、空のペットボトルを上半分と下半分に切り離して、上半分を上下ひっくり返して下半分に差し込むだけです。上半分が鉢の代わり、下半分が受け皿の代わりになります。飲み口がちょうど鉢底の穴として機能するため、水はけも良く多肉植物が元気に育ちます。多肉植物の鉢はとても大切!鉢の選び方や育て方のコツを徹底解説のまとめ
ここまで、多肉植物の栽培に適した鉢の選び方だけではなく、鉢を選んだ後の植え替えの方法から育て方・増やし方まで詳しく解説してきましたがいかがだったでしょうか? この記事のポイントは、- 水はけがよく、ひとまわり大きいサイズの鉢を選ぶことで多肉植物は元気に育つ
- 特におすすめの鉢は、素焼き鉢(テラコッタ鉢)、スリット鉢、モスポット、陶器鉢
- 失敗せずに植え替えするためには、必要なもの(多肉植物の土、鉢底ネット、鉢底石など)を用意して手順に沿って行うことが大切
- ちょっとしたコツを知っていれば、かんたんに多肉植物を育てて増やすことができる