ユリの育て方を紹介!球根の準備や植え方から日々のケア方法まで

ユリの育て方を紹介!球根の準備や植え方から日々のケア方法まで
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目次

インパクトのある大きさながら気品ある美しい花姿が目を惹くユリは、贈り物や飾り花としても人気の高いお花です。ユリは意外にも育て方が簡単で、初心者でも管理しやすいのをご存じでしょうか。 そこで今回は
  • ユリの栽培場所
  • ユリの水やり方法
  • ユリの土について
  • ユリの肥料の与え方
  • ユリの植え替え方法
  • ユリの増やし方
について詳しく解説します。 育て方が簡単なユリも適した栽培場所や水やりを徹底することで、より美しく気品あるお花が見られるでしょう。記事の後半ではユリがかかりやすい病気についてもご紹介しています。基本の育て方とトラブルの対処法も知っておくと、初心者でも適切に対処できますよ。

ユリはどんなお花なの?

植物に詳しくない人でも知っていることが多く認知度が高いユリ(百合)は日本では観賞用だけでなく、古くから食用としても親しまれてきました。他にもキリスト教とも深い関係があり、数多くの逸話が存在しています。そのためユリは日本のみならず、世界中で親しまれているお花といえるでしょう。まずはユリの特徴と基本情報をご紹介します。

お花がとても大きく、豪華な見た目で有名

ユリはインパクトのある大きさで白やピンク、オレンジなどさまざまな色の花を咲かせます。開花時期は5~8月で数多くの種類があり、花が咲くタイミングが異なるのも特徴。大きなお花で豪華な印象のあるユリは飾り花や花束だけでなく、花嫁の髪飾りやなどにも使用されるなど一般的な認知度も高く有名な植物です。 名前の由来は細い茎から伸びた大きさのある花が、風に揺られる姿が「揺すり」と呼ばれていたことからきています。漢字の「百合」は百合根の鱗片がたくさん合わさっているように見えることから、数の多さを「百」に例えて付けられました。ユリは豪華な見た目の一方で簡単に育てられるため、自宅の庭や花壇に植えるお花としても人気です。そのため初心者でも育て方のポイントを実践できれば、インパクトのあるユリを咲かせられるでししょう。

ユリの基本情報

科・属名 ユリ科・ユリ属
原産地 アジアやヨーロッパ、アメリカなどの北半球
開花時期 5~8月
花の色 白、ピンク、オレンジ、黄、赤など
別名 リリー(Lily)、マドンナリリー
ユリはユリ科ユリ属での北半球の温帯地域が原産地の植物。高さは50~20㎝で、一度花を咲かせると毎年開花する多年草です。ユリの球根部分は「百合根」と言い、正月料理などの食用にも使用されます。 ユリの種類は100種類以上あり開花時期もそれぞれ異なるのも特徴。上向きに花が咲くスカシユリがもっとも早く5月下旬頃から咲き始め、6月にはラッパのようなシルエットのテッポウユリが開花します。7月以降はウエディングブーケなどにも使用されるオリエンタルユリが咲き始めます。ユリといえば白いお花をイメージする一方で、ピンクや赤、オレンジなど種類によってさまざまなカラーがあるのも魅力です。 ユリはキリスト教にも深く関わる植物で、聖母マリアに捧げた花として有名です。そのためユリには「マドンナリリー」という別名があり、キリスト教では純粋を意味する花とされています。他にも旧約聖書にも「ソロモンの雅歌」としてユリが登場しており、古くから大切にされてきたお花です。

ユリの花言葉

贈り物としても人気のあるユリの主な花言葉には「純粋」「無垢」「威厳」の3つがあります。エレガントで真っ白な花姿が特徴のユリにぴったりで、どれもキリスト教の逸話から付けられている花言葉です。3つの花言葉を合わせてみると、まさに結婚式のイメージが容易に想像できるのも素敵ですね。

純粋

ユリの花言葉「純粋」は白いユリが、キリスト教の聖母マリアに捧げた花であることから付けられています。純粋な気持ちを伝えたいときや、素直な心を持つ相手への贈り物にもぴったりですね。

無垢

ユリの花言葉「無垢」もキリスト教の聖母マリアをイメージすることから付けられています。汚れなくまっすぐな心を持つ相手や結婚式で使用するのにもおすすめの花言葉ですね。

威厳

ユリの花言葉「威厳」は周りの環境に流されず自分の信念を持つ相手への贈り物だけでなく、清らかな心を保ちたいときにお部屋に飾るのにも素敵な言葉です。美しい白いユリと「威厳」という花言葉で、美しいだけでなく芯のある女性がイメージできます。

ユリを育てるときの準備

美しいユリをお家で育てるにはまず準備が大切です。なぜならユリは球根から育てるのが一般的で、選び方にもポイントがあります。その他植え付け方法も鉢植えと地植えでは異なるため、それぞれの育て方のポイントを抑えておくと失敗なく植えられるでしょう。

ユリは球根から育てる

ユリは球根性植物で一度植えると花が終わっても、時期がくると再び開花します。そのためユリは球根から育てる植物で、10~11月の秋に植えます。球根にも良く育つものとそうでないものがあるため、選び方のコツを覚えておきましょう。

ユリの球根の選び方

球根は植物の茎や根などの一部から作られ、栄養分を蓄えています。そのため球根は大きくて重いものを選びましょう。球根が大きいとユリの花も大きく咲きます。他にも表面(鱗片)がスカスカではなく、傷や柔らかい部分がないものを選びましょう。斑点がある球根も避けた方がいいです。球根の下根はついていても問題ありません。

球根の植え付け方法

ユリの球根は下の根(下根)だけでなく、上にも上根と呼ばれる根っ子が生えます。そのため植え付けをするときは球根がしっかり埋まるように、土を深く掘って植えましょう。土を掘る目安は、球根の大きさよりも3倍程度の深さにします

ユリの植え方は2種類

ユリの植え方は2種類で鉢植えと地植えがあります。鉢植えと地植えでは育て方が準備段階から異なるため、それぞれの植え方のポイントをしっかり抑えておきましょう。

プランターなどでの鉢植え

鉢植えの植え付け方法は次のとおりです。
  1. 深さのある鉢に鉢底石を入れる
  2. 鉢底石の上に用土を入れる
  3. 球根の大きさ3倍程度の深さに堀って植える
鉢は球根に土を被せられるよう、十分な深さのあるものを選んでください。上根が土から出てしまうと根が栄養を吸収できず、うまく育たないことがあります。

地植え

地植えの植え付け方法は植える1~2週間前までに土を耕しておき、球根の大きさ3倍程度に土を掘って植えます。地植えで複数のユリを植えるときは、球根3個分の間隔を空けておきましょう。両隣の間隔を十分に開けておくことで植え替えの頻度を少なくできるため、お手入れの手間も省けます。

ユリ(百合)の育て方のポイント①:栽培場所

ユリの球根を無事に植えられたら、あとは適切な育て方ができれば丈夫な花が咲くでしょう。ユリの育て方のポイントはいくつかあります。まずはユリに適した栽培場所を整えましょう。品種の多いユリは種類によって好みの環境も異なるため、自分が育てたいものに適した環境を知っておく必要があります。

ユリは日差しに弱いので、真夏は日差しが直接当たらない場所が良い

ユリは明るい半日陰を好む植物です。そのため直射日光の日差しが当たらない場所で管理しましょう。また土の温度が上昇すると球根が弱ってしまうこともあるため、地面が草で隠れる場所で育てます。土も水はけをよくしておくと、丈夫に育つでしょう。鉢植えの場合も同じく直射日光を避けた半日陰で栽培し、梅雨時期は軒下へ移動するなど工夫しておくと安心です。

また、品種によって栽培場所を変える必要があるので要注意!

ユリには多くの種類があるため、品種によって栽培場所を変えることも失敗しない育て方の重要なポイントです。たとえば先ほどお伝えしたような明るい半日陰を好むものが多い一方で、テッポウユリやスカシユリなどは日当たりのよい場所を好む品種。そのため気温が高い真夏以外は、日当たりのよい明るい場所で育てましょう。ただし高温になる真夏の直射日光や西日に当たりすぎると、乾燥してしまうため注意が必要です。 また日当たりのよい場所を好む品種は、冬になると屋外では弱ってしまいます。そのため土がむき出しにならないように、冬場は枯れ葉などを被せておくと凍結予防できるでしょう。水はけと風通しのよい場所を好むのは品種問わず同じです。

ユリの育て方のポイント②:水やり

ユリの育て方のポイント2つ目は水やりです。水やりは与え方を間違えると根が腐ってしまい根腐れを起こします。根腐れを起こすと最悪の場合、枯れてしまうため注意が必要です。基本的な水やりは同じの一方で、鉢植えでは与えすぎないように慎重にする必要があります。

基本的に、土の表面が乾いてから

ユリの水やりは基本的に土の表面が乾いたのを確認したら与えましょう。ただし地植えの場合と鉢植えでは環境が異なるため、それぞれに水やりのポイントがあります。

鉢植えの場合

鉢植えの場合の水やりは土の表面が乾いたら、鉢底から水がたっぷり流れ出るまで与えます。水を与えすぎてしまうと土が過湿状態になり、通気性が悪く球根が弱ってしまうため注意が必要です。球根が弱るとうまく生育せずに枯れてしまいます。そのため水やりをするときは土の状態を確認してから与えましょう。

地植えの場合

地植えの場合の水やりも土の表面が乾いたら与えます。ただし地植えの場合は定期的に雨が降っていれば、わざわざ水やりをする必要はありません。晴れの日が続き、土が乾ききっているときは水を与えましょう。

ユリの育て方のポイント③ 土

ユリの育て方のポイント3つ目は土です。植物を育てるうえで土台となる土はとても重要。ユリに適した土でないと生育できず、美しい花を見ることはできません。ユリの栽培場所が決まったら、よい土を作りましょう。

ユリは土がとても大切!!

ユリは水はけと通気性のよい環境を好むため、土作りはとても大切。土は配合によって栄養や柔らかさなどが異なります。そのため基本的には鉢植えでは赤玉土6:腐葉土4の割合で育てるといいでしょう。より水はけをよくするには川砂を混ぜるのもおすすめです。地植えの場合は土をほぐすときに堆肥、もしくは腐葉土を混ぜておくといいでしょう。

品種によって土が違うので、園芸店に行くと専用の土がある

ユリは品種によって適した土が異なるため、土作りが難しく感じることもあります。たとえばテッポウユリは粘土質の土を好み、ヤマユリは軽石などを含む軽くて有機質なものが適している品種です。土作りが難しい場合はホームセンターや園芸店に行くと、品種ごとの専用の土が販売されています。 品種別に適した土は次のとおりです。
  • 粘土質の土:テッポウユリ、ロンギフローラム・ハイブリッドなど
  • 水はけのよい有機質な土:オリエンタル・ハイブリッド、ササユリ、ヤマユリ、カノコユリなど
  • 砂質で排水性の高い土:スカシユリ、アジアティック・ハイブリッド、イワトユリなど
鉢植えで栽培するときは市販の「草花用培養土」か球根用の培養土をベースに使用しましょう。水はけをよくしたい場合は先ほど述べたように川砂やパーライトを混ぜるのがおすすめです。

ユリの育て方のポイント④:肥料

ユリの育て方のポイント4つ目は肥料の与え方です。ユリは生育を促すために肥料を与えます。肥料はユリの育つ時期によって与える種類とタイミングが異なるため注意が必要です。また肥料は与えすぎると根が水分を吸収できず肥料焼けを起こすことがあります。そのため肥料は規定の量を守って与えることが大切です。

植え付けるとき

植え付けるときの肥料は鉢植えと地植えともに元肥を加えます。元肥は植物を植え付けるときに与える肥料で緩効性肥料、もしくは有機質の肥料を使用し、ゆっくりと効果を発揮するものです。プランターなどの鉢植えの場合は元肥を用土に加えておき、地植えのときは植え付けの1~2週間前の土を耕す際に混ぜておきましょう。

芽が出た後

植え付け後、芽が出てきたら緩効性肥料を与えましょう。ユリの花が無事に開花したあとも緩効性肥料を与えます。ただし肥料は与えすぎないように注意してください。早く大きくしたいからと肥料を与えすぎると、肥料焼けを起こし根がダメージを受けて枯れてしまいます。そのため肥料を与える際は必ず、規定の量を守って与えることも育て方の大切なポイントです。

【成長したらすること】植え替え

ユリは花が終わったあとの植え替えも大事な作業です。ただしプランターなどの鉢植えと地植えでは、植え替え方法が異なります。適切な育て方と植え替えで、翌年も美しいユリの花が見られますよ。

鉢植え・地植えの場合でも植え替えは必要

ユリは鉢植え・地植えの場合でも植え替えが必要です。植え替え時期は花が終わる10~11月頃。ユリは花が終わると葉や茎は枯れてしまいます。花が終わり枯れたユリの球根を掘り出して、新しい土へ植え替えましょう。

鉢植えの場合

鉢植えで育てている場合は、毎年植え替えが必要です。植え替えるときは必ず、新しい土を用意してください。植え替えの際に掘り出した球根は表面が乾燥しやすいため、すぐに新しい土へ植え付けましょう。

地植えの場合

地植えの場合の植え替えは2~3年おきに行いましょう。ただし先ほど地植えでの育て方のポイントとしてご紹介したように、植物同士の間隔が十分に空いている場合に限ります。間隔が十分でないと栄養が行き届かず、生育に影響がでるためです。生育が気になるようであれば、緩効性肥料を少し与えてみてもいいでしょう。

ユリの育て方【増やし方】

ユリの増やし方にはさまざまな種類があり、球根の鱗片で増やす「鱗片挿し」や茎の下にできた小球根の「木子(きご)」などがあります。しかしほとんどの方法は開花までに2年以上かかるため、球根を使った「分球」という方法が一般的です。今回は種から増やす方法と分球の増やし方をご紹介します。

種の場合

ユリを種で増やすにはまず、花が終わったあとに子房を採取しましょう。子房はユリの花があったところにあります。種子を土に撒くとたくさんのユリの花を咲かせることが可能です。ただし種から育てる場合、開花までには4~5年の年月がかかります。オリエンタルハイブリッドやアジアンティックハイブリッドなどの園芸品種を元に種から育てると、さまざまな種類のユリを楽しめるでしょう。

球根の場合

球根で増やす方法は「分球繁殖」と呼ばれます。大きくなった球根は芽が増え、分離していくのが特徴です。分離した球根を掘り出して、土を落としたら新しい土に植え替えましょう。分球繁殖は初心者でも簡単にユリを増やせる育て方です。

ユリにつきやすい虫やかかりやすい病気

ユリは育て方が簡単な方で、害虫や病気にかかりやすい植物でもあります。植物は病気にかかると弱ってしまい、美しい花姿が見られなくなることも。そのためユリにつきやすい害虫やかかりやすい病気について知っておくと、トラブルが発生しても適切に対処できるでしょう。

つきやすい虫について

ユリにつきやすい虫はアブラムシです。アブラムシは新芽やつぼみに発生し、植物の養分を吸う害虫です。またアブラムシは病気にかかった植物の養分も吸うため、その際に付着した病気を媒介することがあります。そのためアブラムシが大量に発生した場合は、他の植物のウイルスが付着するため最終的には枯れてしまうでしょう。 アブラムシを寄せ付けないためには風通しをよくして、油粕などの窒素が多く含まれている肥料は避ける必要があります。またユリの近くにアブラムシが発生しやすい植物を置かないことも大切です。アブラムシがつきやすい植物には、ガーベラやパンジー、キクなどがあります。これまでご紹介した植え方や育て方のポイントを実践できれば、ある程度の害虫予防はできるでしょう。

かかりやすい病気について

ユリがかかりやすい病気はモザイク病と葉枯病があります。モザイク病は4~10月に発生し、先ほどもご紹介したアブラムシがウイルスを媒介することが原因です。モザイク病にかかると葉や花弁にモザイクのようなまだら模様ができ、生育を阻害します。モザイク病になってしまうと回復できないため、株は処分しましょう。 一方、葉枯病は高温多湿の7~9月に発生し葉や茎、花弁に、茶褐色の斑点をつける病気です。予防するには通気性と排水性のよい土壌で、窒素を多く含む肥料は避けるといいでしょう。葉枯病の場合も被害に遭った葉や茎は、取り除き焼却しておきます。また他の植物への被害を予防するためにも、切り取ったあとのハサミは洗って消毒しておきましょう。

ユリの育て方を紹介!球根の準備や植え方から日々のケア方法までのまとめ

今回はユリの育て方について詳しく解説しました。 今回のポイントは
  • ユリは基本は明るい半日陰で栽培する一方で、種類よっては真夏以外は日当たりのよい場所で育てる
  • ユリのは土の表面が乾いていたらたっぷりと水を与え、地植えの場合は晴れの日が続いたときだけ水やりをする
  • ユリは通気性と水はけのよい土を好み、園芸店では品種によって専用の用土も販売されている
  • 肥料は鉢植えでは元肥を用土に加え、地植えの場合は土を耕す際に混ぜてその後芽が出たら緩効性肥料を規定量与える
  • 花が終わったら鉢植えの場合は毎年植え替えを行い、地植えの場合は2~3年おきでよい
  • ユリをたくさん増やしたいときは種から、早く開花させたいときは球根で増やせるが植え替えの際には乾燥に注意
でした。 ユリは球根から育てるため失敗が少なく、初心者でもお手入れがしやすい植物です。ただしご紹介したように害虫被害や病気にかかりやすいため、適切な環境で管理する必要があります。育て方のポイントと開花後の植え替えなどアフターケアもしっかりしておくと、毎年美しいユリの花で癒されるでしょう。 東京寿園ではユリ以外の植物の記事もたくさん掲載しております。植物にお困りの際はぜひご活用ください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。