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皆様もおなじみのオリーブの木。お料理をされる方はオリーブオイルとしてよく利用されていることかと思います。オリーブは銀色がかった見た目をしており、引き締まった印象のあるシンプルで美しい植物です。 そんなオリーブを現在育てている方の中には、「オリーブをもっと増やしてみたい!」「実をもっと収穫してみたい!」といった理由で、オリーブの増やし方を知りたい方もいるのではないでしょうか? 今回の記事では、「オリーブを育てているけど、どうすれば増やせるの?」と言う方に向けて、オリーブの増やし方で最も簡単な「挿し木」での増やし方を以下の流れで解説していきます。
- そもそも挿し木って何?オリーブは挿し木で増やせるのかどうかも解説
- オリーブを挿し木するならこの2つの時期にしましょう!
- オリーブを挿し木する際に必要な準備を具体的に解説
- 失敗しないオリーブを挿し木する方法をご紹介!
- 挿し木の成功率をアップするポイントは?
- 実はペットボトルを使った挿し木はとても簡単!やり方を解説
- 挿し木した後にするオリーブの鉢上げについてご紹介
- まとめ
オリーブの木は挿し木で増やせるの?
それでは、そもそもオリーブの木は挿し木で増やせるのかどうかについて解説していきます。しかし、「そもそも挿し木がわからない」と言う方もいらっしゃると思うので、まずはそういった方にも安心してお話を聞いていただくために、そもそも挿し木とは何かについて解説するところから始めていきましょう!そもそも挿し木とは
そもそも「挿し木」とは、剪定によって切った枝を新しい土に植え、発根させて増やす方法のことを言います。10cmほどのサイズに枝をカットして土に植えるだけでいいので、初心者の方でも簡単に挑戦できる増やし方になっています。オリーブは挿し木で増やすことができる
そんな「挿し木」と言う増やし方は、オリーブでは実践できるのでしょうか?結論から言うと、もちろん挿し木でオリーブは増やすことができますよ!先ほどもお話ししたように、挿し木はやり方を知れば初心者の方でも簡単に増やすことができるので、「初めてオリーブを増やすことに挑戦する」と言う方にもピッタリな方法ですよ。剪定のタイミングで出た枝からも増やせる
特に簡単なやり方としては、剪定のタイミングで出た枝を利用して挿し木することです。「剪定」と言う専門用語がでてきましたが、簡単に説明すると「剪定」とは、オリーブの木の風通しを良くしたり、好みの高さを保つことや病害虫の発生を防ぐために、清潔なハサミで定期的に木の形を整えることを「剪定」と言います。水栽培での挿し木は難しい
挿し木は土での栽培方法を前提に行う増やし方ですが、水栽培は土を使わない栽培方法で、ハイドロカルチャーという育て方があります。 水栽培なので土のように手間をかけずに済むこと、土は虫が湧きやすいので室内に置くのに抵抗がある方などには栽培方法としてはハイドロカルチャーはおすすめですが、今回の「挿し木」においては、難しいのでおすすめできません。土での挿し木に慣れてきて難しいと感じなくなってきてから、やってみることをおすすめしますよ。オリーブの木の挿し木の時期は2期間ある
では、基本的なオリーブの挿し木の方法がお分かりいただけたところで、お次はどんな時期・期間に挿木をしたらいいのかについて解説していきます。大きく分けて2つ期間ありますので、それをまずは確認していきましょう。5〜7月:緑枝挿し
1つ目は5月から7月の緑枝挿しです。緑枝挿しとは、夏が始まった5月から7月の時期になって成長が止まった、幹から伸びてきた枝(新梢)を作った挿し穂を挿し木することを言います。適期は5月から7月です。2月ごろ:休眠枝挿し
2つ目は2月ごろの休眠枝挿しです。休眠枝挿しで利用する枝葉、剪定で切り落とした枝を挿し穂にします。時期の目安はサクラの芽吹きと同じであると言われており、日本においても南の温暖な地域ではサクラが芽吹く直前の2月ごろ、寒冷地はもう少し後が適期です。オリーブは休眠枝挿しが一般的なやり方
一般的にオリーブはこの休眠枝挿しを利用して挿し木することをお勧めしています。土に植える挿し木用に挿し穂の選び方も、剪定で必要無くなってカットした木の枝でいいので、気負いすることなく挿し木することができるので、よくこの休眠枝挿しを利用して増やされる方がいます。オリーブの挿し木するときに準備するもの
オリーブの挿し木に適した2つの時期がお分かりいただけたところで、続いてはオリーブを挿し木するときに準備するものを、1つ1つ具体的に解説していきます。これらを準備できれば今すぐにでも挿し木をすることができるでしょう。では、一緒に見ていきましょう。挿し穂を取るオリーブの木
1つ目は「挿し穂を取るオリーブの木」です。先ほどもお話ししたように、まず一番に必要なのはオリーブの木であり、それに加えて、挿し穂です。この挿し穂と言う挿し木に使う木の枝を用意することで、初めて挿し木して増やすことができます。水を入れる容器
2つ目は「水を入れる容器」です。1つ目に用意した挿し穂を、すぐに土に植えて挿し木するのではなく、ひとまず水に数時間つけることで水を吸収させる過程を踏んであげる必要がありますよ。擬似的に挿し木前のオリーブの状態に似せてあげることで、小さなオリーブの木を新たな鉢で育てるイメージです。小さな鉢
3つ目は「小さな鉢」です。挿し木する際は、鉢に土を入れて、そこに挿木をして大きく育てていきます。現在のオリーブの鉢と同じ大きさの鉢や、やや小さい程度の鉢ではなく、これから挿し木するその挿し穂のサイズに合った小さな鉢を用意してください。大きすぎたり小さすぎるとよく育たないので注意が必要です。用土
4つ目は「用土」です。以下で紹介する用土のどちらでもお好きな方を選んで挿し木していただいてOKです。初心者の方や手間のかかる用土の配合をしたくないと言う方は、市販されている挿し木用の土がおすすめ。こだわりを楽しみたい方は赤玉土または鹿沼土がおすすめですよ。ではそれぞれの特徴を見ていきましょう。挿し木用の土
1つ目の用土は「挿し木用の土」です。「挿し木用の土」は、市販されているもので全然OKです。芽根しやすいように土そのものに販売元が決めた土の種類や、ブレンドがなされていることも多いので、ビギナーの方でも簡単に始められるという特徴があります。赤玉土または鹿沼土
2つ目の用土は「赤玉土または鹿沼土」です。「赤玉土」は園芸において基本的な用土であり、挿し木においては王道の土です。そのため挿し木の成功率も高く、失敗知らずの用土です。「鹿沼土」は軽石質で通気性と排水性に優れており、鮮やかな黄色の土になることが特徴的です。どちらも挿し木に適しているので、こだわって挿し木したい方にはおすすめです。発根促進剤
最後は「発根促進剤」です。役割としては、挿し木に適した挿し穂を水に数時間つけた後に、発根促進剤を塗っていきます。そうすることで発根の成功率をアップすることができ、「初めてやって失敗したからもうやりたくない」などという失敗体験を格段に減らすことができますよ。おすすめです。失敗しない!オリーブの挿し木の方法
さて、ここまではオリーブの挿し木に必要な準備するものを解説してきました。具体的に何が必要なのかを理解することで、これから実際に挿し木する際の手間をグッと下げることができますよね。では、ここからは失敗しないオリーブの挿し木の方法について詳しく解説していきます!1. 育ったオリーブの木から枝を切る
まずは今育てているオリーブの木から、挿し木に適した挿し穂を選び、剪定してください。長さは約10cmほどでいいでしょう。清潔なハサミでなるべく無駄のないようにカットしてあげましょう。2. 挿し穂の余分な葉をカットする
続いては、挿し木に適した挿し穂をよく確認してみましょう。そうすると、まだ葉っぱがついていますよ。その葉っぱは必要ないので、余分な葉っぱはカットし、綺麗な状態にしてあげましょう。挿し木する際の邪魔になってしまうので、ぜひやってくださいね。3. 切り口を斜めに切り、数時間水につける
お次は、挿し穂の切り口を斜めにカットしてあげましょう。斜めにカットすることによって、先ほどもお話ししたように、数時間挿し穂に水を吸収する際に、水を挿し穂が吸収しやすくなります。こうすることで時間短縮にもなるので、ぜひ覚えておいてください。4. 根に発根促進剤を塗る
続いては、根に発根促進剤を塗っていきましょう。発根促進剤を丁寧に塗ることで、「挿し木してみたけど失敗してしまった...」ということを格段に減らすことができる優れものです。発根しやすくなるので、失敗したくない方はぜひ購入して塗ってみてください。5. 湿らせた用土に挿し穂を挿す
お次は、湿らせた用土に挿し穂を刺していきます。先ほど挿し木する際に用意するといいものの中で解説したように、用土は市販の挿し木用の用土でも、赤玉土または鹿沼土でも構いません。どちらでもお好きな方を選んで、挿し穂にあった適切なサイズの鉢に挿してください。6. 湿らせた用土に挿し穂を挿したら完了
これで完了になります。特に難しいところもなかったのではないでしょうか?準備するべきものを準備して、あとは新芽が出るまでしばらく半日陰の場所に1ヶ月ほど置き、適宜水やりをしながら様子を見て育てていくだけで、どんどんと成長していきますよ。オリーブの挿し木の成功率をあげるポイント
ここまでお話ししてきたやり方で挿し木するだけでも十分増やすことができますが、ここからはより成功率をアップさせるために意識するといいポイントを3つ解説していきますので、ぜひ参考に挿し木してみてください。直射日光の当たらない半日陰で管理
1つ目は直射日光の当たらない半日陰で管理することです。先ほどお話しした手順で挿し木した後にいきなり屋外の直射日光の当たる場所に置くと、うまく育てることができません。上手に育てるには、まずは新芽が出るまでしばらく半日陰の場所に1ヶ月ほど置いて管理してあげるようにしましょう。土が乾かないように水やりをする
2つ目は土が乾かないように水やりをすることです。2月ごろに休眠枝挿しをするのであれば、まだ冬の時期なのでそこまで神経質に気にする必要もないですが、5月から7月の緑枝挿しであれば、温暖な時期なので特に土が乾かないように水やりをすることに注意してください。土が乾いたのを確認したら、たっぷりと水やりをするよう心がけましょう。カビが発生しないように温度調整
3つ目はカビが発生しないように温度調整することです。温度や湿度が高いと、オリーブはカビの一種である炭そ病にかかり、葉や枝に白色や黒い円形の斑点が出ます。放っておくと被害が拡散し、葉や幹を枯らしてしまうので、温度と湿度管理は日頃から一定にし、特に梅雨時期には注意が必要です。ペットボトルを使った密閉挿し木も簡単
さて、ここまでのお話でオリーブの挿し木についての知識がよくお分かりいただけたかと思います。 しかし、実は面白いことに挿し木はもう一つ「密閉挿し」と言うやり方があります。今までの挿し木の方法と「密閉挿し」を知ることで、どちらか簡単な方やお好きな方を選んで挿し木することができますよ。ぜひやってみてください。鉢の代わりにペットボトルを用意する
まず、今までの挿し木と違うのが、用意するものです。それはどこにでもあるペットボトル。このペットボトルを準備していただければ、いつでもそこでも簡単に挿し木できるのです!「とにかく簡単に挿し木をしてみたい!」と言う方にはうってつけのやり方ですね。それではまずはペットボトルを準備しましょう。密閉さしの手順
それでは「密閉挿し」の手順を解説していきます。誰でも簡単に挿し木することができるのでぜひ最後までやり方をチェックしてみてくださいね。1. 空のペットボトルをよく洗浄し、真ん中で半分にする
まずは空のペットボトルを用意し、よく洗浄しましょう。大きさはどこにでもある一般的な500mlのペットボトルで構いません。それではこのペットボトルを真ん中で半分にカッターやハサミでカットしてください。2. 挿し穂の準備は通常の挿し木と同様
お次は、挿し穂を準備しましょう。挿し穂は先ほど解説した通常の挿し木と同様のやり方でOKです。剪定の際にでた枝でいいので、それを確保し、余分な葉っぱを取り除いておくだけでいいので簡単ですよね。3. ペットボトルの底に無菌のバーミキュライトを入れる
続いては、ペットボトルの底に無菌のバーミキュライトを入れていきましょう。バーミキュライトというのは、天然のケイ酸塩鉱物のこと言います。特に無菌のバーミキュライトを使用することで、挿し木をする際に病害虫の発生の確率を減らすことができます。4. 水を1/3程度注ぐ
そして、水を1/3程度注ぎ入れましょう。密閉挿しをする上で最も注意したいのはカビです。カビは小さな細菌ですので、なるべくジョーロなどは使用せず、リスクを減らすために水道から直接水やりをしてください。5. オリーブの挿し穂を挿す
そうしたら、オリーブの挿し穂をそこに挿しましょう。挿すのが難しければ、先に割り箸などの細いもので穴を開け、根本がぐらぐらしてしまわないようにしっかりと根本を固めるように意識しながら挿してください。6. ペットボトルの上部を被せて、テープで密閉させる
最後はペットボトルの上部を被せて、テープで密閉させたら完成です。お疲れ様でした。挿し木した後のオリーブの鉢上げ
ここまでご紹介してきたやり方で無事オリーブの挿し木に新芽が出てきたら、次は適宜鉢上げをしてあげる必要があります。鉢上げとは何かというと、成長した挿し木を新たな鉢に移植することです。ここからはその鉢上げのポイントを解説していきます。鉢上げのポイント
では、ここからっは鉢上げのポイントを解説していきます。これからご紹介する3つのポイントを参考にすれば、失敗せずに鉢上げすることができますよ。ぜひ参考にしてみてくださいね。新芽が出るまで鉢上げしない
1つ目は、「新芽が出るまで鉢上げしないこと」です。鉢上げの目的はあくまで成長した新芽を新たな鉢に移植してより大きくすることにあるので、必ず「新芽が出るまで鉢上げしないこと」は守るようにしてください。ゆっくり優しく、挿し穂を引っこ抜く
2つ目は、「ゆっくり優しく、挿し穂を引っこ抜くこと」です。焦る気持ちを前に丁寧な作業をするのはいささか難しいように感じるかもしれませんが、ここはかなり重要なポイント。優しく挿し穂を引き抜くことで、根や挿し穂に与える影響を最小限にすることができますよ。怖い場合は土ごと鉢から取り出す
3つ目は、「怖い場合は土ごと鉢から取り出すこと」です。ポイント2つ目と重複してしまいますが、根っこや挿し穂は引き抜くとなると必ず傷ついてしまいます。そのダメージを最小限にするために、もし怖いようであれば土ごと鉢から取り出すのもいいでしょう。鉢植えへの植え替え
以上のポイントを押さえて、鉢上げをすると、鉢上げした後も元気に育ってくれることでしょう。新たな鉢に植え替えする際は、以下の手順を参考に植え替えしてみてください。- あらかじめ用意した土に、挿し穂よりもひと回り大きな穴を掘ります。
- 挿し穂の根鉢を手で軽くほぐし、古い土を落とします。
- 挿し穂の株元が地面と同じ高さになるよう植え付けましょう。
- 植えた挿し穂が倒れないように、土をかぶせてあげましょう。
- バランスをみて植え付けできたら、たっぷりと水やりをして完成です。
地植えへの植え替え
お次は鉢上げした挿し穂を地植えする場合の地植えの手順を見ていきましょう。地植えも鉢植え同様に難しくないのですぐにできますよ。- 植え付け前に、挿し穂よりもひと回り大きな穴を掘ります。
- 掘った土に石灰や肥料を混ぜ合わせてしばらく置いておきます。
- 1〜2週間後、穴の底に肥料を軽く敷いて、上から土をかぶせましょう。
- 中央に挿し穂を置き、2/3ほど土に埋めてください。
- 植え穴のまわりに掘った土を高く盛って、水を与え完成です。
ハイドロカルチャーへの植え替え
最後はハイドロカルチャーへの植え替えです。鉢上げした鉢を土ではなく水栽培のハイドロカルチャーに植え替えするので緊張したり難しく考える方もいるかもしれませんが、実は簡単なのでぜひ以下の手順を参考に植え替えしてみてください。- 容器を用意しましょう。
- 水洗いしたハイドロボールを容器の1/3ほどまで入れてください。
- 容器の中心に挿し穂を入れ、ハイドロボールの高さを調節してください。
- 周りにハイドロボールを敷き詰めて、安定させます。
- 容器の1/4ほどまで水を注ぎ入れて完成です。
【まとめ】オリーブの木を挿し木で増やす!成功率を上げる時期やコツを徹底紹介
いかがだったでしょうか?オリーブの挿し木での増やし方がよくお分かりいただけたのではないでしょうか!今すぐに誰でも簡単にやれるので、ぜひ挑戦してみてください。 今回の記事のポイントは、- オリーブは挿し木で増やせるが、水栽培での挿し木は少し難しい
- オリーブは5月から7月の緑枝挿しと2月ごろの休眠枝挿しがあるが、休眠枝挿しの方が一般的
- オリーブは剪定時に出た枝で挿し木できる
- 挿し木の成功率を上げるには、直射日光の当たらない半日陰で管理し、土が乾かないように水やりをすることが肝心
- ペットボトルを使えば簡単に「密閉挿し」という挿し木をすることができる
- 鉢上げ後は、鉢植え・地植え・ハイドロカルチャーなど好きな植え方で植え替えできる