目次
"春の花木として、日本人になじみ深い「桜」。公園や河原、名所の桜は長年植えられていますが、寿命について気になりませんか。今回は桜の寿命について詳しく紹介します。 そこでこちらの記事では
- 桜の寿命の定義
- 桜の種類ごとの寿命
- ソメイヨシノの寿命が短い理由
- 桜の盆栽や切り花の寿命
桜の木の寿命はどれくらい?
春の花の代表である桜。公園や河原には桜が植えらており、桜の木の下でお花見をしたことがある方も多いと思います。そんな桜の寿命についてご存じでしょうか。お花見でなじみ深い桜の木の寿命について解説します。寿命の定義はあいまい
植物において寿命の定義はあいまいで、はっきりと「○○年」ということは難しいです。明確な年数で言うのは難しいといわれる
明確な年数でいうのは難しいとされています。そもそも、桜にはさまざまな品種があり、いずれも寿命に違いがあることをご存じでしょうか。品種によって寿命に違いがあるため、大分類での桜の寿命と言っても、どの桜の寿命のことをさすのか、または平均を指すのかもわからないためです。木の種類だけではなく生育環境なども影響する
桜の木の種類だけでなく、生育環境などにも影響するため寿命がどのくらいとはっきり答えることができません。例えば、同じ日本でも沖縄と北海道では、生育環境が全く異なります。桜の花が咲く時期も違います。そのため、寿命も異なり、品種によっては、育つこともできない桜もあるかもしれません。どの植物もそうですが、植物の寿命はあいまいなものとして考えておきましょう。最長は山高神代桜の樹齢2000年
桜の最長樹齢は山高神代桜の2000年とされています。山高神代桜は山梨県北社市にあり、日本最古の一本桜です。老木ながらも他の桜よりも早くに咲く姿には、生命力を感じられるでしょう。東京の桜が寿命を迎えることが危惧されている
東京の桜が寿命を迎えることが危惧されていることはご存じでしょうか。ここでいう桜は、「ソメイヨシノ」と呼ばれるサクラです。なぜ東京の桜が寿命を迎えるのか見ていきましょう。東京で咲く桜は昭和30年代に植樹されたものがほとんど
東京で咲く桜は昭和30年(1955年)代に植樹されたものがほとんどです。この時に植樹されたのは、「ソメイヨシノ」であり、ソメイヨシノの寿命は60年ほどとされています。そのため、東京で咲く桜は、すでに老木であり、枯れるかもしれない危険があるのです。桜の名所の中目黒の桜も老齢化が進んでいる
桜の名所の中目黒の桜も老齢化が進んでいます。東京には中目黒をはじめ、台東区の上野恩腸公園や武蔵野市の井の頭恩腸公園など桜の名所が多く点在しますが、いずれも老齢化が進んでおり、危機的状況です。老齢化が進むと、樹木が倒木する恐れがあります。危機的状況を改善するために、剪定や植え替えが必要です。東京以外にも、青森県の弘前公園など桜の名所は日本全国にありますが、弘前公園などでも桜の老齢化は進んでおり、問題となっています。種類ごとの寿命のちがい
桜(サクラ)の種類ごとの寿命の違いを大きく分けて3種類紹介します。- ヤマザクラ
- ソメイヨシノ
- しだれ桜
ヤマザクラ:200年~300年ほど
ヤマザクラの寿命は200年~300年ほどとされてます。ヤマザクラは本州(関東以西)・四国・本州に分布する桜です。ヤマザクラは、日本に自生する桜の野生種であるため、強健な性質を持っています。そのため、他の桜と比べても、長く生育することが可能です。理由としては、ヤマザクラは野生種として古くから山の中で咲いている姿からも想像しやすいでしょう。ソメイヨシノ:60年ほど
日本でもっとも有名な桜でもあるソメイヨシノ。ソメイヨシノの寿命は60年ほどとされています。ソメイヨシノは「染井吉野」と書きます。染井吉野は、母をエドヒガン桜、父をオオシマザクラとする交配種です。日本全国のソメイヨシノは、台木と呼ばれる別の木に接ぎ木をして短期間に増やしたものを植えています。いわゆる染井吉野のクローンです。一斉にクローンのソメイヨシノを植えているため、すべてが寿命を迎えてしまいます。全国のソメイヨシノの名所は、現在では寿命問題に悩まされています。全国的に、この問題を解決しないと、桜を楽しめなくなるかもしれません。しだれ桜:100年を超える
しだれるように花が咲く「しだれ桜」の寿命は100年を超えます。しだれ桜にも細かく品種があるので、一概に何年と寿命は表現しにくいですが、100年は超えるとされています。日本の三大桜の1つである福島県の「三春滝桜(ミハルタキザクラ)」は「ベニシダレザクラ(紅枝垂桜)」であり、樹齢1000年以上の天然記念物です。ソメイヨシノの寿命が短いといわれるわけ
紹介した桜の中でも、ソメイヨシノの寿命が短いことがわかります。また、他の桜と比べても寿命が短いと言われるわけを解説します。ソメイヨシノの寿命の平均は約60年といわれる
ソメイヨシノの寿命の平均は約60年と言われています。この年数は、100年を超えるこの多い桜の寿命の中でも短い年数です。桜の中では短命
ソメイヨシノは桜の中でも、短命な品種です。平均で60年なので、環境によっては100年近く生きるかもしれませんが、それでも、100年くらいが限界です。もちろん、元の環境が悪かったり、外的要因によって環境が急に変わったりすると、管理が難しく60年よりも短い寿命になることもあります。説①ソメイヨシノの元祖がストレスに弱かった可能性
ソメイヨシノが短命である説を紹介します。一つは、ソメイヨシノの元祖がストレスに弱かった可能性です。種から育てることができないため、挿し木や接ぎ木で増やす
ソメイヨシノは、エドヒガン桜とオオシマザクラの交配品種であることはわかっていますが、実は自然交配で生まれたのか人工交配で生まれたのかはっきりしていません。ソメイヨシノは自家受粉できない桜なので、自分では種を作ることができないため、挿し木や接ぎ木で増やします。挿し木や接ぎ木で増やす桜は、種から育てた桜に比べてストレスに弱い傾向があります。最初のソメイヨシノかその台木がストレスに弱かった可能性がある
最初のソメイヨシノか、その台木がストレスに弱かった可能性があります。ソメイヨシノが品種として確立されたのは、江戸時代とされており、昔から日本で愛されてきた桜です。しかし、その時代では現在ほど化学が発展していないため、ストレスや台木の強さはわからなかったのでしょう。結果として、ソメイヨシノはストレスに弱いとされ、その理由によって寿命が短いと考えられています。説②成長スピードが早いから
二つ目の説は、成長スピードが早いからです。成長が早いと老木になるのも早い
成長が早いと老木になるのも早いです。植物は品種によって、成長スピードが異なります。早く大きくなるものもあれば、時間が経たなければ大きくならないものも。ソメイヨシノは、成長が早いため、老木になるのも早いと考えられます。老木は外的ストレスへの耐性も弱い
当然、老木は外的ストレスへの耐性も弱いです。老木であればあるほど、生育が衰えるので、水や光、土、風などの外的ストレスに弱くなります。成長が早いほど、老木になりやすく、外的ストレスにも弱くなるわけです。結果として、寿命が短くなるとされています。老木はストレスの耐性だけでなく、病気にも弱いです。ストレスが原因で病気にもなることも。成長スピードが早いことは、良い面もあり悪い面もあります。樹齢の見分け方
桜の樹齢についてわかってくると、樹齢の見分け方は「どこで判断しているのか」気になりませんか。樹齢の見分け方について紹介します。樹齢を見分けるのはプロでも難しい
樹齢を見分けるのはプロの樹木医でも難しいとされています。桜の花や枝、幹などを見て総合的に判断するための知識が必要なためです。樹木医はさまざまな樹木の知識が必要なので、桜に詳しいだけではプロとは呼べません。そんな樹木医でも樹齢を見分けるのは難しいとされています。樹齢によって花の色の濃さが変わることも
桜は樹齢によって、花の色の濃さが変わることもあるとされています。桜と言えばピンク色ですが、ピンクであっても白っぽいものから濃い色合いのものまでさまざま。これは同じ品種であってもです。老木であるほど、水分や栄養を吸収しにくいので、花の色が変化しやすいと考えられます。もちろん、環境も影響するので、一概には言えませんが、樹齢によって花の色の濃さが変わることはあります。若年期の特徴
桜の若年期の特徴は以下の4つです。- 斜め上に30㎝以上伸びた枝が多い
- つぼみとつぼみの間隔が5~10㎝くらい
- 幹の樹皮は灰色っぽく、ツルっとしており、縞模様がある
- 幹の太さは、大人が抱けるほど
中年期の特徴
中年期のソメイヨシノの特徴は以下の4つです。- 斜め上に伸びた枝の数が少なく、長さも30㎝に満たない
- つぼみとつぼみの間隔が3㎝~5㎝くらい
- 幹周りが太くなり、大人でも抱けない方が出てくる
- 幹の樹皮は黒っぽく縦に筋が入り、ゴツゴツした印象
老木期の特徴
老木気のソメイヨシノの特徴は以下の4つです。- 斜め上にスッと伸びた枝がほとんどなく、あっても5㎝~10㎝ほど
- つぼみとつぼみの間隔が狭く、1㎝くらい
- 幹周りが太く、抱きかかえられない
- 幹の樹皮が全体的に黒っぽく、ゴツゴツしている
桜の盆栽や切り花の寿命はどれくらい?
桜の木の寿命がわかると、盆栽や切り花の寿命も気になりませんか。桜は庭木や街路樹以外にも盆栽としても愛されており、切り花としてもお部屋に飾ったりプレゼントしたりすることも多いでしょう。盆栽や切り花の寿命も解説します。桜盆栽の寿命は数十年程度
桜盆栽の寿命は数十年程度です。こちらも、品種や育て方、環境によって、寿命は左右されるのではっきりとした年月はわかりません。しかし、上手に育てることができれば一生を共にするパートナーとなるでしょう。切り花は12月~4月くらいまで楽しめる
桜の切り花は12月~4月くらいまで楽しむことができます。桜の切り花は、早ければ12月の時期に蕾で出回ります。冬から春に近づくにつれて、次第につぼみが開いてくるでしょう。切り花の水を綺麗な状態に維持して、しっかりと吸水できる環境にしておくことがポイントです。3~4月であれば、花開く直前の桜の枝を切り花として手に入れることもできます。しっかりお手入れしたら長く楽しむことができる
盆栽であっても切り花であっても、しっかりお手入れしたら長く楽しむことができます。特に盆栽は、剪定や植え替え、肥料などを定期的に行うことが重要です。ぜひ、元気に育てて長く楽しんでください。枯れそうな場合は元気な枝を挿し木で増やすのも◎
桜盆栽が枯れそうな場合は、元気な枝を挿し木で増やしましょう。枯れそうな桜をそのままにしておくと、いずれ枯れてしまうかもしれません。枝に元気があるうちに、挿し木をして管理。苗木を増やしておくと、元の桜が枯れても心配いりません。春~夏のあたたかい季節に挿し木をしてみてください。もちろん、普段から手入れをこまめに行い、枯れないように育てることが重要です。梅と桜はどちらのほうが寿命が長い?
桜と同じくらいに愛されている花木に梅があります。梅と桜はどちらのほうが寿命が長いかご存じでしょうか。桜と梅の違いについて紹介します。花が咲く期間は梅の方が長いといわれる
花が咲く期間は梅の方が長いと言われています。なぜなら、梅は、早春のまだ肌寒い季節に花が開くためです。気温が低い時期の花は、長期間咲き続けます。桜は、十分に気温が安定した春に咲くため、花は早くに散ります。地域によっては、雪が降る中で庭木の梅の花を観賞することもできるほど、梅の花は寒さにも強く長期間咲きます。梅の木としての寿命は100年~300年
梅の木としての寿命は100年~300年です。梅も品種や環境によって断言はできませんが、同じバラ科の植物として最長でも300年は育ちます。梅も桜同様に日本人に愛されている花木なので、日本各地に梅の花で有名な観光地があります。梅の実が多く収穫できるのは25年程度
梅は花を楽しむだけでなく、果実を楽しむことができます。梅には、花が美しい花梅と果実を収穫するための実梅がありますが、基本的にはどちらも変わりはありません。梅の実が多く収穫できるのは苗木から25年程度です。それ以降は、徐々に実が少なくなってしまいます。とはいえ、まったく実らなくなるわけではないので安心してくださいね。【まとめ】桜の寿命はどのくらい?ソメイヨシノの寿命が短い理由まで解説!
ここまで桜の寿命について解説してきましたがいかがですか。 この記事のポイントは- 桜の寿命の定義はあいまいなもので、品種や環境によって左右されるため、○○年という決まりはない
- ヤマザクラの寿命は200年~300年程度、ソメイヨシノは60年程度、しだれ桜は100年以上
- ソメイヨシノの寿命が短い理由は、「ソメイヨシノの元となった桜や台木がストレスに弱かった説」「ソメイヨシノの成長スピードが早い説」の2つがある
- ソメイヨシノの盆栽の寿命は数十年であり、切り花は12月~4月が寿命