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皆さんはサフランという植物の育て方を知っていますか?サフランは秋に咲くクロッカスの一種で、もともと染料・香料・薬草として栽培されており、今では観賞用としてもよく知られています。例えば、パエリアやサフランライスの黄色い色は、サフランの赤色の雄しべからつけられたものです。とはいえ、サフランをいざ育てるとなるとどうすれば良いのかわからないという人も多いと思います。 そこでこの記事では、
- サフランとはどんな植物?
- サフランの育て方
- サフランの増やし方
サフランとはどんな植物?
まずはサフランとはいったいどんな植物なのかというところからご紹介していきたいと思います。サフランはアヤメ科クロッカス属の秋植えの球根で、ヨーロッパ南部が原産地の植物です。それでは、サフランについて項目別に順にみていきましょう。秋咲きのクロッカスの一種
サフランは秋咲きクロッカスの一種で、代表ともいえるお花です。香りや色付けのために収獲して使われるハーブですが、お花が美しいことから園芸・インテリア用としても栽培されています。クロッカス同様、地面から茎がすっと伸びて大きなお花を咲かせ、水や土がなくてもお花を咲かせるところが特徴として挙げられます。スパイスや染料、薬として使われる高級品
サフランは3千年以上も前から中近東でスパイス・染料・薬・ハーブとして使われる高級品でした。サフランは、大きな花びらと中心部に目立つ鮮やかな黄色の雄しべ・紅赤の柱頭を持つ雌しべが特徴的な植物です。柱頭は一つのお花に3本しか持たず、この紅赤の柱頭を一つずつ手で摘み取り収獲し乾燥させる手法で、古来から極めて稀なスパイスとして様々な料理で用いられていました。鑑賞用としても利用されている
サフランは既にご紹介したように、パエリア・ブイヤベース・サフランライスなどの料理に欠かせないスパイスの一つとして古くから使われてきました。一方サフランととても良く似た植物にクロッカスがありますが、こちらは観賞用として栽培されているため、「花サフラン」と呼ばれています。昨今ではサフランも観賞用として多く栽培され利用されるようになりました。高温多湿に弱い
サフランは寒さにとても強いですが、高温多湿に弱いため、球根が腐らないように注意する必要があります。高温多湿の時期には「ネダニ」が発生することがあるため、必ず春以降植えっぱなしにせず、掘り上げて風通しの良い涼しい場所で球根を保管するようにしてください。サフランの育て方①:置き場所
次にサフランの育て方をポイント別にご紹介していきたいと思います。サフランはどのような「置き場所」で育てるのがベストなのでしょう?是非読み進めて、サフランの育て方のポイントをマスターしてくださいね。日当と風通しの良い場所で管理
サフランは日当たりと風通しの良い場所を好み、春から秋にかけては乾燥気味に育てるのがポイントです。サフランはもともと地中海沿岸部で生息している植物のため、日当たりで生育具合が大きく左右されます。日照不足になると花つきが悪くなりますが、お花を見るのは1年限りで球根をお皿や器に置いて楽しもうと思っている人は、日陰で育てても特に問題はありません。また葉が繁ってきたら間引いて日光が良く当たるように剪定を行うことも大切な育て方のポイントです。酸性の場所を嫌う
サフランは酸性の土壌を嫌うので、植え付ける前に苦土石灰を混ぜておくことで、サフランの好む中和した土壌を作れます。サフランに適した鉢植えの土は、園芸店やホームセンターなどで販売されている草花用の培養土・赤玉土(小粒)6:腐葉土3:堆肥1の割合でブレンドされている土がおすすめです。また、地植えで育てる場合は、腐葉土・堆肥などが入った土を使うと簡単にサフランを育てられます。サフランの育て方②:水やり
次にサフランの「水やり」から見る育て方の注意点をご紹介したいと思います。サフランは過湿した土は苦手で、乾燥気味に育てる方が無難です。そのため、水やりはサフランを育てる上で大変重要な育て方のポイントの一つです。土の表面が乾いたら水やり
サフランの水やりは、土の表面が乾いたら水を与える方法で行いますが、この時土に指を入れて湿り気を確認する作業を行うと分かりやすいためおすすめです。また冬の時期はサフランの休眠期のため、葉が枯れて来たら水やりを行う程度がベストです。寒い時期は土が凍る方がサフランにとっては一大事なので、土が凍結するのを防ぐためにも乾燥気味に育てるようにしてください。地植えの場合は、降雨のみで特に水やりを行う必要はありませんが、夏場に乾燥が長く続くようなら水を与えるようにしてください。加湿にならないよう注意
サフランの球根は乾燥気味の環境を好むため、必ず過湿気味にならないように注意しながら管理する必要があります。水の与えすぎで土が湿っている状態だと、球根からカビが生えて腐って枯れてしまいます。特に冬の時期に地植えのまま放置し霜に当たってしまうと一気に弱ってしまうため、必ず土から掘り上げて風通しの良い所で乾燥気味に保管するように心がけてください。サフランの育て方③:土作り
それではサフランの「土作り」から見る育て方のポイントについて項目別にみていきましょう。サフランは酸性の土壌を嫌うことは既にご紹介しましたが、それ以外にどのような点に注意を払いつつ管理すれば良いのでしょう。水はけと通気性が良い土が適している
サフランに適した土は、水はけと通気性に優れており、適度な保水性のある土です。サフランは蒸れに弱いため、土に湿気がこもりにくい土が必須です。とはいえ、水を与えてもすぐに水分が抜けてしまう土だと、サフランが栄養分を根から吸えないため元気に育ちません。ガーデニングという育て方をサフランでしようと思っている場合も同じです。市販の草花用培養土でも育てられる
サフランは「花の土」などの市販の草花用培養土で育てられます。ホームセンターや園芸店で販売されている市販の土は、サフランが育つのに程よくバランスの取れた土のため、安心して利用が可能です。またサフランは球根自体でお花を咲かせられるため、水も土も使わずに育てられる植物でもあります。配合する場合は赤玉土7:腐葉土3
サフランの土を自分で配合して作る場合は、「赤玉土7:腐葉土3」の割合で混ぜ合わせた土がおすすめです。サフランは通気性・保水性を併せ持った土が適しているため、この点を心掛けながらサフランに合った土壌を作ることが大切です。また土にしっかり養分を与えることで、翌年にお花を咲かせる育て方をすることもできますよ。サフランの育て方④:肥料
では次に「肥料」から見るサフランの育て方について項目別にご紹介していきたいと思います。サフランにとって肥料はとても大切なポイントのため、読み進めて理解を深めてくださいね。元肥として緩効性肥料を施す
サフランを植え付ける場合は、元肥として緩効性の化成肥料を規定量の半分程度を土にしっかり混ぜ合わせておくことが大切です。来年も同じ球根で花を咲かせたい場合は、開花後に球根に栄養を与えるための追肥を行うことで、何年も奇麗なお花を咲かせることが可能です。是非サフランへ感謝の気持ちを込め追肥を行い、次の年もお花を見られることを楽しみに管理してあげてください。今年咲いたお花の様子を写真に写して残しておくことで、来年や再来年に咲いたお花と比較することもできますし、写真を拡大して室内のインテリアとして飾っても素敵です。追肥は開花後の11月と生育期の2月下旬に行きたい肥料を施す
サフランに行う追肥は、お花が咲き終わった後の11月および生育期の2月下旬の年2回ほど行います。肥料としては化成肥料を適量分のみ株元に撒くようにしてください。肥料は窒素が多いと球根が貧弱になるため控える方が無難です。その代わり、リン酸が豊富に入っている肥料を与えることをオススメします。サフランに多い病害虫と対処法
ここからはサフランを育てていると必ず遭遇する病害虫と対処法についてご紹介していきます。対処法を知っておくことで、サフランがもし病害虫に犯されても慌てず対処できますよ。軟腐病
サフランがかかりやすい病気の一つに軟腐病というものがあります。軟腐病の特徴として腐った嫌な臭いをサフランが発することが挙げられます。特に窒素の多い肥料を与えることでこの病気にかかりやすくなり、球根がとろけたように柔らかくなって腐ることからこの病名がつけられました。この病気にかかった球根は枯死してしまうため、特に注意が必要です。収穫後の果物でもよく発生する病気で、対処法としては土に混ぜる元肥を少なめにし、開花後・生育期の肥料は窒素ではなくリン酸の多く入っている液肥で追肥を行う育て方をすることをおすすめします。ネダニ
サフランに発生しやすい害虫としてネダニがまず挙げられます。これは、5~7月の高温時期に発生しやすい害虫で、肉眼で見えないほどの小さい虫です。ダニという名前がついていますが実はクモの仲間で、サフランの球根の根を食べて最悪の場合枯らしてしまいます。対処法としては、湿気の多くなる梅雨前に土から掘り起こして奇麗に水洗いし、しっかり乾燥させて管理する育て方を行うことで被害に遭うことはありません。サフランの日々の手入れ
それではサフランの日々のお手入れ方法についてご紹介していきましょう。サフランを元気に育てる上で欠かせないポイントをわかりやすくまとめるので、是非参考にしてサフランを順調に育てる育て方の参考にしてくださいね。花がら摘み
サフランの花がら摘みは、お花が咲き終わったらお花を引き抜き行います。お花の根元をつまみ、お花全体を引き抜くようにし、この花がら摘みが終わった11~12月頃に追肥を行うことで、来年もまた奇麗なお花を見ることができます。もしこの花がら摘みを行わずそのまま放置すると、種ができてしまい株も弱ってしまいます。そのため、お花が咲き終わったら必ず花がら摘みを行うようにしてください。球根の掘り上げ
サフランの球根の掘り上げは、葉が全体の2/3以上枯れた春頃に球根を堀り上げ管理します。掘り上げた球根は雨が当たらず風通しの良い日陰に吊るし、葉が完全に茶色く枯れるまで放置します。枯れた葉は順次取り除き、新しくできた子球を親球から外してネットなどの通気性の良い袋に入れ、次の植え付け時期まで管理します。この過程を行うことで、毎年サフランを元気に育てることができます。芽かき
サフランの球根の脇から出ている余分な小さな芽からはお花が咲かないため、掻きとってから植え付ける(芽かき)ことが大切です。お花を全ての枝(茎節)から咲かせるためには、秋に芽摘みを行うことが重要な作業で、先端の赤身を帯びた1㎝未満の茎節からはお花となる芽(花芽)ができないため、小さな茎節は全て摘み取っておくことが大切です。サフランの植え付けのポイント
大切に育てているサフランを上手に育てるためには植え付けを行う必要があります。ここからはサフランを植え付ける場合のポイントについて項目別に分かりやすくご紹介していきます。
8月下旬から9月下旬が適期
サフランの植え付けを行う時期は8月下旬から9月下旬の晩夏から初秋の時期が適切です。この時期を逃してしまうとお花が小さくなってしまう傾向が高いため、注意してください。球根の植え付け方は、球根約1個分の深さの土に植え付けることでお花がたくさん咲いてくれます。地植えの場合では球根2個分の深さに植え付けるとベストです。鉢植えの場合は5号鉢に5~6球植えつける
ガーデニングをするためにサフランの球根をいくつかまとめて植え付けたい場合は、5号鉢に5~6球植え付けるようにしてください。植え付ける深さは球根2個分ほどで、水はけのよい土を利用することが大切です。植え付けたら日当たりの良い場所で管理するようにしてください。庭植えの場合は5~10cm程度の間隔で植えつける
サフランを庭植えにする場合は、球根を植え付ける間隔を5~10㎝程度あけ、球根2~3個分の深さに植えることが大切です。また風通しの良い日向に植えるようにすることで、サフランが順調に育ってくれます。さらに庭植えで水はけの悪い場所に植えてしまった場合は、腐葉土などの有機物とパーライトや川砂などをすきこんでおくことが必要になります。球根を浅植えしない
鉢植え・庭植えとも、必ずサフランの球根を浅く植え付けないようにしてください。もし浅く植えてしまった場合、芽はたくさん出ますが花つきが悪くなるため、植え付ける深さには注意を払うように心がけてください。サフランの球根の増え方として、古い球根の上に新しい球根ができるという特徴を持っています。そのため、浅植えにすると翌年の球根が小さくなってしまうため、なるべく深い場所にきゅこんを植え付けておくことが重要です。サフランの増やし方
ではサフランを増やすにはどのような方法があるのでしょう。大切に育てているサフランを順調に増やしていけたら、サフランの育て方のマスターも近いですよ。分球で増やすことができる
サフランは「分球」という方法でどんどん増やせます。分球とはサフランの数個まとまっている球根をそれぞれ一つずつ分離させることをいいます。サフランの球根は親球の上に新たにできた子球がまとまって乗っている形をしているため、バラバラに分けてそれぞれを育てていく必要があります。分球した球根は、次回の植え付け時期まで風通しの良い所に置くことで順調に管理できます。蕾が伸びてきたら摘み取る
サフランを分球し植え付けた後、小さな球根を速く大きくするためには蕾が伸びて来たら摘み取ることが大切です。もし蕾を摘み取らずにそのままにしておくと、いつまで経っても球根が大きくならず、お花にばっかり養分がとられてしまう結果になります。蕾が伸びて来たら蕾ごと摘み取ることで、葉と球根に養分を留めて、小さな球根を大きく育てられます。サフランの水栽培に挑戦してみよう
サフランは水栽培でも十分育てられます。もし室内でサフランを育てたい場合など、清潔な状態でサフランを育てられるためおすすめの育て方ですよ。サフランは土なしでも育てることが可能
サフランは土なしの水栽培でも十分育てられますし、土なし・水なしの状態で球根をそのまま放置するだけでも開花するとても不思議な植物です。お皿や器に入れてお部屋に置いておくだけで奇麗なお花を見られます。サフランを水栽培で育てる時期は9月頃がおすすめです。9月頃に水栽培をスタートさせると10~12月頃にはお花を咲かせてくれます。用意するもの
では具体的にサフランの水栽培を行う場合、どのようなものを用意すればよいのでしょう?- 容器(ジャムの空き瓶など、どんなものでも大丈夫)
- サフランの球根
- 水
【まとめ】サフランの育て方を徹底解説!成長後のお手入れから水栽培の方法まで
この記事ではサフランの育て方について主に解説してきましたがいかがでしたか?- サフランは秋咲きのクロッカスの一種である
- サフランは古来よりスパイス・染料・薬として使われる高級品である
- サフランは高温多湿に弱く、近頃では観賞用としても育てられている
- サフランの育て方のポイントには「置き場所」「水やり」「土作り」「肥料」が挙げられる
- サフランがかかりやすい病気には「軟腐病」があり、気を付けたい害虫としては「ネダニ」が挙げられる
- サフランの日々のお手入れには「花がら摘み」「球根の掘り上げ」「芽かき」がある
- サフランの植え付けのポイントとして、時期・間隔・深さが重要である
- サフランは分球で増やし、蕾が伸びて来たら摘み取るようにすべきである
- サフランは水栽培の育て方をしても十分育つ