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初心者でも育てやすい花木のギョリュウバイ。冬に開花する花は小さいながらもかわいらしく、園芸愛好家に人気があります。本記事ではギョリュウバイの育て方について、基本的なポイントを解説します。
そこで今回の記事では、
- ギョリュウバイの基本情報
- ギョリュウバイの育て方6つのポイント
- ギョリュウバイの植え替え・剪定・挿し木の方法とは?
ギョリュウバイってどんな植物?
ギョリュウバイの基本情報をご紹介します。原産地や性質についてくわしく説明しますので、育て方のヒントにしてくださいね。ギョリュウバイの基本情報
ギョリュウバイは、梅に似た美しい花を咲かせます。学名は「Leptospermum scoparium」。「Leptospermum」は、ギリシャ語の「leptos(細い)」と「sperma(種子)」からなり、細い種子を持つことを表しています。「scoparium」は、ラテン語の「scopa(ほうき)」から来ており、ほうきのように細く分岐した枝を持つことを示しています。植物名 | ギョリュウバイ |
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学名 | Leptospermum scoparium |
草丈 | 30cm~5m |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 普通 |
オーストラリアやニュージーランド原産の常緑低木
ギョリュウバイはフトモモ科ギョリュウバイ属の常緑低木です。オーストラリアやニュージーランドが原産です。大きくなると5mにまで成長する
原産地では、高さ5mにまで成長する大木になります。日本では鉢植えや庭木として栽培されることが多いため、高さは1~4m程度です。葉が御柳(ギョリュウ)という樹木の葉に似ている
ギョリュウバイは中国原産の落葉樹、御柳(ギョリュウ)の葉に似ています。細長くて先端がとがっている葉を持っています。花は梅の花に良く似ている
ギョリュウバイの花は、梅の花に良く似ています。花色は赤・ピンク・白などがあり、花形は一重咲きや八重咲きなどがあります。開花期は11月~6月頃で、冬から春にかけて長く楽しめます。葉の色が赤茶色になるブロンズ葉の品種もあります。御柳と梅を合わせてギョリュウバイと呼ばれるようになった
ギョリュウバイは梅の花のように見える花姿と、御柳と同じように細長く先端がとがった葉をもつ樹木です。そのため、御柳と梅を合わせて「ギョリュウバイ(御柳梅)」と呼ばれるようになりました。マヌカハニーの原材料となる花を咲かせる
ニュージーランドの先住民であるマオリ族の言葉では、ギョリュウバイは「マヌカ」と呼ばれ、マヌカハニーの原材料となる花を咲かせます。名前に聞き覚えがある方も多いのではないでしょうか?マヌカハニーが採れる品種は、白い花を多く咲かせるレプトスペルムム・スコパリウムと呼ばれる種類です。高い抗菌作用や美容効果があるとされ、世界中で人気のあるマヌカハニー。ピロリ菌駆除力や殺菌力を持ち、胃炎に対しても効果があるとされています。庭木や盆栽として人気の植物
梅の花のような小さくて可愛らしい鮮やかな色の花を咲かせるため、庭木として植えると、庭を彩るアクセントになります。葉が細長く枝も細かく茂るため、盆栽として仕立てることもできます。ギョリュウバイは和モダンなミニ盆栽として高い人気があります。ギョリュウバイの育て方【植え付け】
育て方の1つ目として、植え付けについてご紹介します。植え付けの時期から手順まで解説していきます。植え付けは春から初夏の間に行う
植え付けは春から初夏の間に行います。この時期は根が活発に活動するため、根付きがよく生長も促進されます。ギョリュウバイの種は極小のため、苗木から育てる方法がおすすめです。鉢植えに植え付ける場合は2回りほど大きな鉢に植え付ける
鉢が小さすぎると、根が張り切れず生長が抑制されてしまいます。また、根詰まりを起こす原因にもなり、根腐れや病害虫の被害に遭う可能性があります。そのため、鉢植えに植え付ける場合は、2回りほど大きな鉢を選ぶようにしましょう。地植えの場合は30cmほどの深さがある植え穴に植え付ける
ギョリュウバイの根は深く張るため、30cmほどの深さの植え穴を用意しましょう。根がしっかりと張り、生長が促進されます。ギョリュウバイの植え付け手順
鉢植えの場合は、購入した鉢より2回り大きな鉢を用意して、鉢底ネットから鉢底石の順番に敷いていきます。用土を入れ、苗を支えながら土をかぶせます。その後は水をたっぷりと与えて、日当たりと風通しがよい場所で管理しましょう。 地植えの場合は、30cmほどの深さの植え穴を掘り、植える土に腐葉土などを混ぜておきましょう。堀り穴に苗を植えて、土をかぶせます。根付くまでは水を与え、その後は雨水で育っていきます。ギョリュウバイの育て方【用土】
育て方について2つ目として、用土について解説します。ギョリュウバイの性質に合わせた土を選んで健康に育てましょう。過湿に弱いので水はけの良い場所に置く
過湿に弱いギョリュウバイは、水はけが悪いと根腐れを起こして枯れてしまうことがあります。育て方のポイントとして、水はけの良い場所に置くことが大切です。市販の花や野菜用培養土が簡単でおすすめ
ギョリュウバイは、水はけの良い土を好みます。市販の花や野菜用の培養土は、水はけが良く肥料も含まれているため、初心者の方にも扱いやすい用土です。ギョリュウバイの育て方【置き場所】
育て方の3つ目として、置き場所について解説します。適切な場所で管理しましょう。日当たりと風通しの良い場所に置く
日当たりや風通しが悪い場所は枝が間延びして花付きが悪くなります。日当たりと風通しを意識した、株にとって良い場所に置いてあげましょう。真夏の強い西日が当たる場所は避ける
ギョリュウバイはやや暑さに弱く、葉が傷んでしまう可能性があります。真夏に西日が強い場所は避けてください。夏場の育て方に気を付けて半日陰に移動させるとよいでしょう。耐寒性が強くないので寒冷地では鉢植えにして冬場は室内で冬越しする
耐寒性が強くないギョリュウバイは、冬の間の育て方にも注意しましょう。霜や雪に当たると葉が傷んで枯れてしまう恐れがあります。寒冷地では鉢植えにして冬場は室内で冬越しすることで、霜に当たらずに冬を越すことができます。ギョリュウバイが枯れる目安は-5℃
ギョリュウバイは-5℃程度まで耐えられますが、それ以下の温度になると枯れる可能性が高くなります。オーストラリアやニュージーランドが原産地のため、日本より暖かい気候に適している植物です。特に霜や雪に当たると葉が傷んでしまうため注意が必要です。ギョリュウバイの育て方【水やり】
育て方の4つ目として、水やりについて解説します。鉢植えと地植えでは水やり方法が変わりますので、ぜひご覧ください。鉢植えの場合
鉢植えで育てている場合の水やりについて解説します。注意点もあるため、ぜひご覧ください。土の表面が乾燥したらたっぷり水をあげる
ギョリュウバイは水切れに弱いため、土の表面が乾いたらたっぷり水をあげるとよいでしょう。ただし、土が過湿状態になると根腐れを起こすため、受け皿に溜まった水はすぐに捨てるようにしましょう。土が乾燥した状態が長く続くと枯れるので注意する
土が乾燥した状態が長く続くと枯れる可能性が高くなります 。枯れた株は復活させることが難しいため、水やりはこまめに行うようにしましょう。ギョリュウバイは葉が硬く水切れの判断が難しいので注意する
ギョリュウバイは葉が硬く、水切れを起こしてもすぐにはしおれないため、水切れの判断が難しいのが特徴です。土の乾燥状態をこまめに確認するようにしましょう。地植えの場合
地植えで育てる場合の水やり方法について解説します。鉢植えとは水やりのしかたが異なるため、注意点とあわせてご覧ください。根付くまではしっかり水やりをする
地植えで育てる場合、根付くまではしっかり水やりをする必要があります。ギョリュウバイは水切れに弱いため、根が張っていない状態で水切れを起こすと枯れてしまいます。根付いてからは基本的に水やりをする必要はない
根付いた後は雨だけで十分育つため、水やりは不要です。ただし、夏の暑い時期や冬の乾燥した時期は、土が乾いたら水やりをするようにしましょう。ギョリュウバイの育て方【肥料】
育て方5つ目として、肥料についてご紹介します。株が健康に育っていけるように正しい肥料の与え方を知っておくとよいでしょう。ギョリュウバイはあまり肥料を必要としない
ギョリュウバイは、肥料を与えなくても十分に育つことができる丈夫な花木です。肥料を施す場合は、適切な時期に、ギョリュウバイの性質に合わせた量を与える必要があります。春と秋に緩効性肥料を根元に施す
肥料を与える場合は、春と秋に緩効性肥料を施せば十分です。緩効性肥料は土の中に長い時間効き続けるため、追肥の必要はありません。肥料の与えすぎは逆効果なので注意する
肥料の与えすぎは逆効果のため、注意が必要です。肥料を与えなくても十分に育つため、過剰に肥料を与えると、枝が徒長して花付きが悪くなることがあります。ギョリュウバイの育て方【病害虫】
育て方6つ目として、病害虫について解説します。病害虫は植物にとって天敵であるため、ギョリュウバイにはどんな病害虫の被害があるのか知りたい方はぜひご覧ください。ギョリュウバイはとくにかかりやすい病害虫はない
比較的丈夫な植物なため、とくにかかりやすい病気や害虫などがありません。初心者の方にも育てやすい植物です。枯れてしまう場合は他の原因を探す
枝葉が枯れてしまう場合は、水切れ・風通しの悪さなど、病害虫以外の原因である場合も考えられます。水やりや剪定などの管理を適切に行って、元気なギョリュウバイを育てましょう。ギョリュウバイの植え替え方法
植え替えをすることで、根詰まりなどの防止に繋がります。株が元気に生長し、美しい花を咲かせてくれるように、育て方に気を付けて定期的に植え替えを行いましょう。鉢植えのギョリュウバイは2年に1度植え替える
ギョリュウバイは根がよく張るため、鉢が根詰まりすると、生長が悪くなったり、花付きが悪くなったりすることがあります。鉢植えで育てている場合は、2年に1度植え替えを行いましょう。植え替え時期は5~6月が適期
植え替え時期は、5月~6月が適期です。この時期は生長が旺盛な時期であり、根が活発に伸びるため、植え替えによるダメージを最小限に抑えることができます。ギョリュウバイの植え替え手順
古い鉢から株を抜き出します。鉢から抜き取ったら土を傷つけないように注意しながら手で軽くほぐし、黒く変色している・長く伸びきった根をハサミで切り取りましょう。新しい鉢に鉢底石を敷き、用土を入れます。株を鉢に植え、用土を隙間なく入れてあげましょう。鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えます。植え替え後は日陰で管理し問題なさそうであれば日向に置きなおす
植え替えは株にとって大きなストレスとなります。植え替え直後に直射日光に当ててしまうと、葉焼けなどのトラブルを引き起こす可能性があります。明るい日陰で10日ほど養生しましょう。この期間に順調に生長していれば、日向に置きなおしても問題ありません。ギョリュウバイの剪定方法
ギョリュウバイは剪定することで美しく咲く花木です。適切な時期と方法で剪定して魅力を引き出しましょう。株の内部にまで日が当たらず風通しが悪くなったら剪定する
ギョリュウバイは枝を密集させて生長する性質があるため、放っておくと株の内部にまで日が当たらず、弱ってしまいます。また、風通しも悪くなるため、病害虫が発生しやすい原因になりかねません。株の内部にまで日が当たるように、剪定を行いましょう。剪定の時期は花が咲き終わった5~6月が適期
剪定の時期は、花が咲き終わった5月~6月が適期です。生長が旺盛な時期のため、剪定によるダメージを最小限に抑えることができます。枝葉が込み合っている箇所を切り落とすすかし剪定を行う
ギョリュウバイは、「すかし剪定」という方法で剪定を行います。すかし剪定は、全体が枯れている枝や地面に向かって生えている枝などを根元から切り取り、全体のシルエットからはみ出している部分を表面に沿って切りそろえていく剪定方法です。ギョリュウバイの場合は、枝葉が込み合っている部分を切り落としていきます。すかし剪定は樹形を整えるとともに、風通しや日当たりを良くします 。ギョリュウバイのすかし剪定の手順
剪定バサミを用意し、病原菌の予防のために刃先を清潔に拭いておきます。脚立を使って、花木全体を見渡せる高さに立ちます。高さが2~3メートルになることもあるため、脚立を用意しておくとよいでしょう。まずは全体が枯れている枝や地面に向かって生えている枝など、不要な枝を根元から切り取ります。 次に、「すかし剪定」で花が咲き終わった枝を中心に、全体のシルエットからはみ出している部分を表面に沿って切りそろえていきます。すかし剪定をする際は、枝の間隔を均等にするように心がけましょう。また、枝の先端に花芽がある場合は、花芽を残して切ります 。花芽は小さな蕾のようなもので、翌年に咲く花のもとになります 。 すかし剪定が終わったら、根元に出たゴミを袋に入れます。ゴミを放置すると病気や害虫の原因になるため、必ず処分しましょう 。ギョリュウバイを挿し木で増やす方法
ギョリュウバイは、挿し木で新しい株を増やすことができます。挿し木の適切な時期や手順・注意点・挿し木後の育て方について解説します。挿し木は3~4月か9月に行う
挿し木は3月~4月か9月が良い時期です。この時期は花を咲かせるための力があるため、挿し木を行う際にダメージを受けても問題なく育ちます。ギョリュウバイの挿し木手順
枝を10cm~15cmほどの長さに、切り口が斜めになるようにカットしましょう。切った枝(挿し穂)を水の入った容器に1時間ほどつけます。鉢に用土を入れ、水につけていた枝を土に挿します。挿し木後は乾燥させないように水切れに注意する
挿し木後は風通しの良い半日陰に置き、乾燥させないように水切れに注意しましょう。挿し木後は根がまだ十分に発達していないため、水切れを起こすと枯れてしまう可能性があります。昼間は蒸発しやすいため、朝か夕方に土の根元までしっかりと湿らせるように水を与えましょう。【まとめ】ギョリュウバイ(マヌカ)の育て方を紹介!植え付けから冬越しまで
ギョリュウバイの育て方について解説しました。育て方が比較的簡単なため、園芸初心者にもおすすめの花木です。 今回ご紹介したギョリュウバイの育て方についてのまとめはこちらです。- ギョリュウバイは苗木から育てる方法が一般的で、植え付けは春から初夏の間に行う。
- 用土は市販の花や野菜用の培養土など、水はけの良い土で育てる。
- 日当たりと風通しの良い場所での育て方がよいとされるが、真夏の強い西日が当たる場所は避ける。
- 耐寒性が強くないため、雪や霜に当たらないように寒冷地では鉢植えにして冬場は室内で冬越しをさせるとよい。
- 鉢植え管理の場合は土が乾かないように水やりが必要だが、地植えの場合は雨水で十分に育つため、基本的に水やりは不要。
- 肥料は春と秋に緩効性肥料を施すだけで十分育ってくれる。
- ギョリュウバイは比較的丈夫な花木なため、とくにかかりやすい病気や害虫などがない。
- 根詰まり防止のため、2年に一度植え替えを行うのがおすすめ。
- 葉が密集して風通しが悪くなったら、剪定を行う。
- ギョリュウバイを増やしたい場合、3月~4月か9月に挿し木を行って増やすことができる。