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初冬に可憐な花を咲かせるサザンカ(山茶花)は、お庭に取り入れる樹木として人気の植物です。耐寒性や耐暑性があるので育て方も簡単で、花色や花びらのつきかたなど様々な品種からお気に入りを選ぶことができるのもサザンカの魅力のひとつでしょう。そんなサザンカを庭木として育てていくと、お気に入りの品種を挿し木で増やしたいと考える方も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、
- サザンカはどんな植物?
- サザンカはどうやって増やすの?
- サザンカの挿し木の基本情報
- サザンカの挿し木の方法を徹底解説
- 挿し木したサザンカのその後の管理をご紹介
サザンカはどんな植物なの?
まずは、サザンカがどのような植物なのかについてご紹介します。庭木としてや街路樹、公園などの公共施設で地植えされているのを見かけることが多いサザンカは日本の気候にも適した育てやすい植物です。花が少なくなる季節に可愛らしい花をたくさん咲かせてくれるサザンカは、知れば知るほど魅力があふれる植物だと感じさせてくれます。サザンカ(山茶花)はツバキ科の常緑低木
サザンカ(山茶花)はツバキ科の常緑低木です。常緑樹なので寒い冬でも葉を落とすことなく、深い緑色の葉をつけたまま春を待つサザンカ。葉が落ちない特徴から、垣根や目隠しなどとして植えられてきた歴史もあるのです。庭植えだけでなく、サザンカは鉢植えや盆栽としても楽しまれています。また、病気が発生することも少ないのでシンボルツリーとしてもサザンカはおすすめの植物です。花も葉もツバキと似ている
サザンカはツバキ科なので、よく知られたツバキと同じような花を咲かせる特徴があります。光沢のある葉も形や色がツバキととてもよく似ているので、見分けがつかないという方も多いのではないでしょうか。サザンカとツバキは花を咲かせる時期や、散った後の花びらのつきかた、葉の大きさなどで見分けることができます。サザンカはツバキより寒さに弱い
サザンカはツバキよりも寒さに弱い特徴があります。とはいえ、一日に半日ほど光が当たるような場所であれば寒い地域でも地植えにすることができますので、お住いの地域の温度差などを参考にお庭に取り入れてみてはいかがでしょうか。温度が低くても、日当たりなどの環境が合えば寒冷地でも庭植えにすることができます。基本情報
それでは、サザンカの基本情報についてご紹介します。サザンカは日本の西日本で自生している植物なので、日本人にもなじみが深く茶花としても古くから愛されてきました。主に初冬に花を咲かせますが、系統によっては年明けから3月~4月にかけて花を咲かせる品種もあります。科・属名 | ツバキ科ツバキ属 |
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原産地 | 日本、中国 |
開花時期 | 10月~12月 |
花の色 | 白・ピンク・赤・複色 |
別名 | 山ツバキ・小ツバキ・油茶 |
サザンカを増やして楽しもう
では、肝心のサザンカをどのようにして増やしていくのかについてご紹介します。サザンカはいくつかの増やし方を選ぶことができますので、やりやすい方法を選んでみると良いですね。ぜひ、サザンカをお庭で増やして楽しんでみてはいかがでしょうか。サザンカの増やし方3選
サザンカには、「種まき」「挿し木」「とり木」の三種類の方法で増やすことができます。それぞれの方法について、特徴やメリットなどを簡単にご紹介していきましょう。種まき
サザンカは、小さなクリの実くらいの大きさの種をつけます。街路樹などでサザンカをたくさん植えてある場所では、落ちているのをよく見かけるのではないでしょうか。普通の種よりも少し大きめに感じるサザンカの種は、秋か春に種まきをして増やしましょう。花が咲くまで数年かかりますので、芽が出てからもゆっくりと育てたい方におすすめの増やし方です。挿し木
挿し木は、サザンカの増やし方で最もメジャーな方法です。サザンカの元気な枝をカットして新たに用土に植え付けることによって、元々の木と同じようなクローンを作り出すのが挿し木の特徴のひとつでしょう。挿し木は、剪定でカットした無駄な枝を再利用することもできますのでコスパが良く、種まきよりも早く開花が期待できます。剪定の適期は4月ですが、サザンカの挿し木のタイミングに合わせて風通しを良くするために追加の剪定をしても問題ありません。とり木
とり木は取り木とも呼ばれ、挿し木と同じように元気な枝を使って新しい苗を増やす方法です。ただ、枝をカットするのではなく本体の木につけたまま発根を待つ方法で、挿し木でうまくいかない場合でも成功率が上がると言われています。取り木はテクニックや方法にコツが必要ですが、発根すればその後の根付きは良いのでガーデニング経験者はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。取り木の適期は3月~6月がおすすめです。サザンカを増やすのに最適な挿し木
サザンカの増やし方として、三種類の方法をご紹介しましたがガーデニング初心者に特におすすめしたいのが挿し木です。挿し木は用意する道具もそれほど多くありませんし、剪定した時の枝を使えば失敗した時のリスクも少ないの大きなメリットと言えるでしょう。初めてサザンカを増やすという方は挿し木から取り組んでみるのがおすすめです。サザンカの挿し木について知ろう
サザンカの増やし方として、挿し木がおすすめだとご紹介したところで必要な道具や作業を行う適期について解説していきましょう。サザンカの挿し木以外にも、他の植物で作業を行う際に使うことができるはずです。挿し木に適した時期は6月から8月
サザンカを挿し木で増やす場合に適した時期は6月から8月の生育期です。夏場はサザンカの葉や茎の生長が最も盛んになる時期ですので、挿し木をした後の発根率にも期待できるのではないでしょうか。挿し木は乾燥してしまうと発根しない原因となってしまうので、なるべく猛暑になる前に作業を行うのが目安です。準備するもの
では、サザンカの挿し木を行う上でどのような道具が必要なのかご紹介していきましょう。準備するものはいくつかありますが、いずれもお家にあるもので代用できるはずです。購入する時はホームセンターや園芸店が良いでしょう。増やしたいサザンカの枝
増やしたいサザンカの枝を用意します。カットする長さや葉のつきかたなどについては、後ほどの項目でご紹介します。お庭である程度の大きさまで育てたものをカットして使うと良いですね。なるべく青々とした葉のついた若々しい枝を選びましょう。ハサミ
サザンカの枝をカットするためのハサミは、なるべく切れ味の良い園芸用ハサミを用いましょう。新品のものか、除菌したハサミを用いることによって病気の原因となることを防ぐ事ができます。火あぶりにして殺菌したり、消毒液などで消毒するのがおすすめです。よく切れるナイフ
よく切れるナイフはハサミの代用にもなりますし、切り口を改めて斜めにカットする時にも使います。ナイフもまた、新品のものか除菌した清潔なものを用意しましょう。発根促進剤
サザンカの挿し木は比較的に発根率が高いと言われていますが、切り口に発根促進剤を塗布することによってさらに発根率が上がります。成功率をアップさせたい方は、ホームセンターなどで販売されている発根促進剤を購入しておきましょう。赤玉土(小粒)や鹿沼土(小粒)、バーミキュライト、挿し木専用の土
挿し木に使う用土は、小粒の赤玉土や鹿沼土、バーミキュライト、挿し木専用の土などから選ぶことができます。これらの用土は栄養分や肥料成分が入っていない無菌のものになりますので、挿し木に向いているのです。挿し床に用いる鉢
挿し床として用いる鉢は、扱いやすいプラスチックや倒れにくい陶器鉢などが適しています。たくさんの挿し木を行いたい時は、育苗トレーなどにまとめて挿すこともできますよ。割りばし
割りばしは、サザンカのカットした挿し穂を用土に挿す時に穴を空けるために用います。割りばしの一本分で大丈夫です。ピンセット
ピンセットは倒れやすい小さな挿し穂に用土を寄せたり、細かい作業を行う時に用います。必ずしも必要ではありませんが、ピンセットがあると作業が楽になるのではないでしょうか。ジョウロ
ジョウロは挿し木を行った後に、水やりを行うために使いますのでシャワーのノズルをつけてマイルドな水流を作れるようにしておきましょう。ビニール袋
ビニール袋は湿度を保つために、挿し木の後の管理で用います。中身が見えるような透明か半透明のビニール袋を用意しておきましょう。冬場の栽培で温度を保つためにも、ビニール袋は有効です。挿し木の方法:挿し穂の採取
では、実際にどのように挿し木の作業を行うのか段取りを順番に解説していきましょう。まずは、挿し穂の採取の作業についてご紹介します。良い挿し穂を作ることが挿し木の成功への一歩目となるはずです。枝の選び方
挿し木として用いる挿し穂(穂木)にはどのような枝を選べば良いのでしょうか。挿し穂として向いている枝は、その年に伸びた若い枝でみずみずしいものを選びましょう。節が詰まっていて、葉も青々とサイズが揃っているものが見つかると良いですね。日当たりの良い場所で、病害虫の被害が発生していないものから選ぶようにしましょう。ハサミで10〜15cmにカット
挿し木に使う枝は10㎝~15㎝の長さにハサミでカットします。後ほど、切り口をキレイにカットし直しますので、この段階ではバッサリと切り残しがないように思い切ってカットしましょう。水に浸す
乾燥しないように、切り口を水に浸します。挿し穂を水に浸して乾燥を防ぐとともに、葉を減らしたりという調整の作業に移りましょう。挿し木の方法:挿し穂の調整
挿し穂の準備ができたところで、次に切り口をキレイにしたり葉を落としたりという調整の作業について解説していきます。葉を整理する
挿し穂にたくさんの葉がついていると、そこから水分が蒸散して乾燥してしまいます。そのため、挿し穂の葉をある程度、落として整理する必要があるのです。下側の葉はすべて落としてしまうとともに、大きすぎる葉は半分にカットすると良いでしょう。最終的に残っている葉は上部に3枚~4枚くらいが理想です。切り口を斜めに切り戻す
清潔なハサミやナイフを使って切り口を斜めに切り戻しましょう。斜めに切ることによって、発根する面積が増えるとともに水分の吸収も良くなります。斜めにカットした後は、先ほど浸していた水に再度、入れて1、2時間くらい吸水させましょう。吸水させている間に挿し床の準備を行います。挿し木の方法:木を挿す手順
挿し穂の吸水をしている間に、用土を鉢に入れたりといった挿し床の準備を行いましょう。挿し床の用意
用意した鉢や育苗トレーに、赤玉土や挿し木専用土などの肥料分が入っていない無菌の用土を入れましょう。ふちのギリギリまで入れずに、数㎝下げて土を入れます。鉢穴から土が漏れるようでしたら、鉢底ネットを用いましょう。土を入れたら少し、トントンと打ち付けて土を安定させます。挿し穂を挿す前にしっかりと水やりを行い用土を湿らせておきましょう。発根促進剤をつける
十分に吸水させた挿し穂の切り口に発根促進剤を塗布します。市販の発根促進剤の使用方法を参考に適量つけておきましょう。発根促進剤をつけた後に軽くたたいて、余分な粉は払い落としておきます。挿し穂を土にさす
用意した挿し床に割りばしで穴をあけて、挿し穂を半分~3分の1の長さまで土に挿します。挿し木した後は、ピンセットで土を寄せて安定させておきましょう。水やりを行った後に、鉢ごとビニール袋をかぶせて半日かげの場所で乾燥させないように管理します。発根して新しい葉や芽が出てきたら、鉢植えとして育てて大きく栽培したあとに庭などに植え付けをおこないましょう。挿し木後の季節に応じたサザンカの管理
挿し木の手順がわかったところで、その後の管理についてご紹介します。挿し木後の管理を上手に行うことによって、失敗する可能性も減りますので忘れずにチェックしておきましょう。挿し木後から夏は直射日光を避け、湿度の高い場所へ
夏に挿し木の作業を行った後、秋になるまでは強い日差しを避けて日陰の湿度の高い場所で管理します。どうしても乾燥しやすくなってしまいますので、ビニール袋をかぶせて湿度を保つとともに温度が上がりすぎないように日陰で育ててあげましょう。夏の直射日光は弱らせる原因にもなってしまいますので、過湿と遮光に注意して管理します。秋は弱い光や外気に当ててみよう
秋になったらビニール袋を定期的にはずして、弱めの光や外気に当てる時間を増やしていきましょう。強い日差しの日は遮光するとともに、寒い日は日当たりの良い場所で保温するようにメリハリをつけた管理を心がけます。冬に入る前にビニール袋は完全に外してしまって大丈夫です。温度が下がってきたら、水やりは乾燥を防ぐ程度の量を与えて控えめにすることを心がけましょう。冬は暖房のない暖かい場所に置き、乾かさないように管理
冬場は暖房のない暖かい場所が適しています。温室の中や暖かい軒下、暖房の直接当たらない玄関などの室内などで、湿度をたもって管理しましょう。乾かし過ぎると枯れる原因となるので霧吹きなどで湿度をあげるとともに、定期的に水やりを行います。【まとめ】サザンカを増やしたいなら挿し木がおすすめ!時期や手順を徹底解説!
いかがだったでしょうか。 サザンカの挿し木の手順や、その後の管理についてご紹介させていただきました。挿し木の成功率を上げるコツは、適切に作業を行うことだけでなくその後の管理にあると言えます。乾燥させすぎないように季節を通して湿度を保つように心がけることと、定期的に水やりを行うことが重要なのです。また、発根するまでは挿し穂をぐらつかせないように注意して触りすぎない栽培を心がけましょう。 この記事のポイントは以下の通りです。- サザンカは日本が原産の常緑低木で、ツバキ科なのでよく似た見た目をしている
- サザンカは挿し木や種まき、取り木で増やすことができる
- サザンカの挿し木は6月~8月の生育期の行う
- サザンカの挿し木を行う時は切り口の乾燥に気を付ける
- 挿し木したサザンカは乾燥と過湿に気を付けて管理する