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ミヤコワスレ(都忘れ)は、春の訪れを告げる花として、古くから親しまれてきた植物です。清らかで可憐な花姿が魅力で、庭植えはもちろん、鉢植えでも育てやすいのが特徴です。
そこで今回の記事では、
- ミヤコワスレの基本情報
- ミヤコワスレの育て方4つのポイントとは?
- ミヤコワスレの植え替え・植え付けやお手入れ方法
- ミヤコワスレの増やし方は?
- ミヤコワスレの人気の3品種
そもそもミヤコワスレ(都忘れ)ってどんな植物なの?
ミヤコワスレの育て方を解説する前に、基本的な特徴をご紹介します。性質を知ってミヤコワスレに適した環境と育て方で管理してあげましょう。日本を原産とするキク科シオン属の植物
ミヤコワスレ(都忘れ)は、日本を原産とするキク科シオン属の植物です。花言葉は「別れ」「また会う日まで」「しばしの憩い」など別れにまつわるものが多く、その由来は順徳天皇の島流しの物語に関係しています。日本の伝統文化や歌にも登場する、日本人に愛されてきた花です。ミヤマヨメナを園芸用に改良したもの
ミヤコワスレは、ミヤマヨメナという野生種から園芸品種として改良された植物です。ミヤマヨメナは、日本の各地に自生する淡い青紫色や白色の花を咲かせます。ミヤコワスレの花色は淡い青紫色・青・ピンク・赤紅・白など、ミヤマヨメナよりも色数があります。江戸時代から茶花などに用いられ、切り花としても流通している
ミヤコワスレは、江戸時代から茶花などに用いられ、切り花としても流通している植物です。日本の花として古くから親しまれており、和歌や俳句にも詠まれています。派手さはありませんが、清楚な感じのとても美しい花です。ミヤコワスレの育て方のポイント①置き場所
育て方のポイント1つ目は置き場所についてです。ミヤコワスレに適した環境で育てて、株の健康を保ちましょう。日当たりと水はけのよい場所を好むが、強い日差しは苦手
ミヤコワスレは日当たりと水はけのよい場所を好みますが、強い日差しは苦手です。夏場は半日陰に移動させたり、日除けをしたりしてあげる必要があります。夏の間の育て方にはとくに注意しましょう。地植えの場合:遮光ネットやよしずで日差しを調節する
ミヤコワスレは暑さに弱いため、地植えで育てている場合は夏場の強い日差しから守ってあげる必要があります。遮光ネットやよしず(葦のすだれ)で日差しを調整しましょう。遮光率は50%程度にして明るさを保つようにすると、光合成によって健康に育つことができます。風通しを悪くしないように注意してください。鉢植えの場合:6月~秋頃は半日陰に置く
鉢植えの場合、6月~秋頃は半日陰に置くとよいでしょう。 夏場は日差しを遮ることで、花持ちを良くしたり、病害虫の発生を防いだりすることができます。遮光ネットやよしずなどを使って日除けをしたり、日陰に移動させたりしてあげましょう。ミヤコワスレの育て方のポイント②水やり
育て方のポイント2つ目は水やりについてです。栽培方法や季節によって水の与え方が変わります。適切な水やりをしてあげましょう。地植えの場合:水やりはほぼ不要
地植えで育てている場合、水やりはほぼ不要です。ただし、極端に乾燥するときは水を与えてあげます。特に夏場は乾燥しやすい季節のため、観察しながら水やりを行いましょう。鉢植えの場合
鉢植えで育てている場合の水やり方法を解説します。季節ごとにも注意するポイントがありますので、ぜひご覧ください。土の表面が乾いたらたっぷりと
鉢植えの場合、水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与えましょう。受け皿に溜まった水はすぐに捨てて、土の湿度が高くならないように管理します。水の与えすぎは、根腐れを起こして枯れる原因になるため、土の乾き具合をよく見て水やりを行いましょう。適切な水やりを行うことで、美しい花を咲かせることができます。真夏はとくに水切れに注意
真夏は気温が高く土が乾きやすいため、水切れのリスクが高まります。鉢の中が乾燥するとすぐに水切れ症状が出てしまいます。水切れ状態が続くと枯れてしまうため、真夏は特に水を切らさないように注意しましょう。冬に花が落ちても水やりは継続する
鉢植えの場合、冬に花が落ちても水やりは継続しましょう。冬の水やりは午前中に行うのがベストです。寒い時期の午後に水をやると夜までに土が適度に乾かず、気温が下がる夜の間に残った水分が凍り、株を傷めることになります。また、早朝の水やりも植物を痛める原因になるため、水やりは日が昇って気温が上がったタイミングで行いましょう。腐葉土などでマルチングすると乾燥を防げる
腐葉土などでマルチングすることで、乾燥を防げるだけでなく、土の環境を改善することができます。マルチングとは、土の表面に腐葉土やバークチップなどの有機物を敷き詰めること。ミヤコワスレは乾燥に弱く、湿り気のある土を好みます。ミヤコワスレの育て方のポイント③土
育て方のポイント3つ目は土についてです。土が合わないと生育不良になるなどのトラブルの原因になるため、ミヤコワスレに合った土を用意してあげましょう。水はけのよい土を好む
ミヤコワスレは水はけのよい土を好みます。美しい花を咲かせるために、水が溜まりにくく、根が呼吸しやすい土壌を用意してあげましょう。地植えの場合:腐葉土や堆肥を混ぜ込んで耕す
地植えで育てる場合、腐葉土や堆肥を混ぜ込んで耕すとよいでしょう。土の保水力や肥沃度を高めるとともに、土の酸性度を調整する効果があります。鉢植えの場合
鉢植えでの育て方に適した用土をご紹介します。市販の土を使用する場合と自作する場合の両方について解説します。市販の草花用培養土に鹿沼土を1~2割加えるとよい
市販の草花用培養土に鹿沼土を1~2割加えると鉢植えでのミヤコワスレに適した用土になります。鹿沼土は水はけと保水性を高めるとともに、土の酸性度を調整する効果があります。自作する場合は赤玉土5:腐葉土3:酸度調整済みピートモス2の配合土など
自作する場合、赤玉土5:腐葉土3:酸度調整済みピートモス2の配合土などが適しています。水はけのよく弱酸性の土になるため、ミヤコワスレに適した環境を整えることができます。ミヤコワスレの育て方のポイント④肥料
育て方のポイント4つ目は肥料についてです。肥料は与える量やタイミングが植物によって変わりますので、注意点とあわせてご覧ください。元肥:緩効性化成肥料を土に混ぜ込む
植え付け時に元肥として緩効性化成肥料を土に混ぜ込むとよいでしょう。緩効性化成肥料は、栄養素をゆっくりと植物に与えることができるため、肥料焼けする心配がありません。地植えの場合:基本的に肥料は必要ない
地植え栽培の場合は、基本的に肥料は必要ありません。植え付け時に緩効性の化成肥料を混ぜ込んでおけば、その後は追肥の必要はないとされています。土壌の状態によっては、開花中や花後に同じ肥料を少量与えると花つきがよくなる場合もあります。鉢植えの場合:緩効性化成肥料を施す
鉢植え栽培の場合、緩効性化成肥料を施すとよいでしょう。植え付け時に土に混ぜ込みますが、鉢植えの場合は追肥として開花中と花後にも与えると効果的です。3月~6月の開花期
3月~6月の開花期に緩効性化成肥料を施します。開花期は多くの栄養を必要とするため、肥料を与えると次々に花を咲かせてくれますよ。株元に1回程度与えるか、薄めた液体肥料を2週間に1回程度与えるとよいでしょう。花後
花後に肥料を施すことで、次の開花を促すことができます。花が咲き終わったら、追肥として緩効性化成肥料を株元にばらまきます。また、秋にも1度与えておくとよいでしょう。暑さで弱っている場合は肥料を止める
暑さで弱っている場合は、肥料を与えることでさらに弱らせてしまう可能性があります。肥料を止めて休ませ、株を回復させてあげましょう。アルカリ性土壌を嫌うため石灰質肥料は与えない
石灰質肥料は、土壌をアルカリ性に傾けます。ミヤコワスレはアルカリ性土壌と相性が悪く生育不良を起こす可能性が高いため、石灰質肥料は与えないようにしましょう。
ミヤコワスレの植え替え・植え付け
ミヤコワスレの育て方について、植え替えと植え付けの適期や手順をご紹介します。植物へのダメージが少なくなるように注意しながら行いましょう。植え付け
植え付けの適期と手順について解説していきます。良い苗の選び方もご紹介しますので、ぜひご覧ください。植え付けの適期:5月~6月、9月~10月
ミヤコワスレの植え付けは5月~6月、9月~10月に行いましょう。秋に植え付ける方が高温多湿を避けられるためオススメです。苗の選び方
ミヤコワスレは種ができづらく流通数が少ないため、苗から育てるのが一般的です。苗選びがとても重要で、元気のない苗を選んでしまうとそのまま枯れてしまうことも珍しくありません。根がしっかり張っていて葉色が濃く、株全体が大きい苗を選びましょう。ポットを持って少し揺らし、根元がグラつかないか確かめてみましょう。植え付けの手順
土は弱酸性のものを用意しましょう。苗の根鉢の2~3倍程度の深さの植え穴を掘ります。植える際は、株と株の間に葉が触れる程度の間隔をあけます。根を傷つけないように苗を植え付け、土をかぶせてしっかりとおさえましょう。植え付け後、たっぷりと水やりをします。植え替え
植え替えをすることで、根の成長が促進され、元気に育ちやすくなります。鉢植えと地植え、それぞれの方法をご紹介します。鉢植えの植え替えのタイミング:1年に1回が目安
ミヤコワスレは根がよく伸びて根詰まりを起こしやすいため、鉢植えの場合は1年に1回の植え替えが目安です。鉢底から根が伸びて出てきたら、一回り大きめの鉢に植え替えましょう。地植えの場合は株分けを兼ねて3~5年に1回行うとよい
地植えの場合は株分けを兼ねて3〜5年に1回植え替えるとよいとされています。同じ場所で長く育てていると、根が張りすぎて他の植物の成長を妨げたり、病害虫が発生原因にもなります。同時に株分けをすることで、新しい苗を増やすこともできます。
植え替えの時期:花後すぐか、9月下旬~10月頃
植え替えの適期は花後すぐか、9月下旬〜10月頃です。植え替える際は根鉢を3分の1ほど崩すと根付きやすくなります。植え替えの手順
植え替える前に、水やりを控えて土を乾燥させます。鉢から株を抜き出し、古い土や枯れた根を取り除きましょう。一回り大きな鉢に新しい用土を入れて株を植え付け、土を軽く押さえましょう。植え付けたらたっぷりと水やりをします。日陰に置いて、根付くまで様子を見ましょう。ミヤコワスレの増やし方
ミヤコワスレは株分けと挿し木で増やすことができます。新しい株を増やして、たくさんの花を楽しんでみてはいかがでしょうか。株分け
株分け方法について解説します。植物へのダメージを軽減するため、適期に行いましょう。株分けの時期:花後の6月、9月下旬~10月
株分けの適期は、花が咲き終わったあとの6月か、涼しくなった秋の9月下旬~10月です。6月は花後で株の勢いが衰えていないため、株分けしても株が元気に育ちます。9月下旬~10月は、休眠期に入る前で根が活動を活発化しているため、株分けしても根が活着しやすいでしょう。植え替えと同時に行うと効率
株分けと植え替えを同時に行うことで、ミヤコワスレの負担を軽減することができます。また、植え替えをする際に株を数株に切り分けることで、作業を効率化できるためオススメです。株分けのしかた
株分けをする前に、水やりを控えて土を乾燥させます。鉢から株を抜き出し、古い土や枯れた根を取り除きましょう。株を3~5芽ほどつけてナイフで切り分けます。一回り大きな鉢に新しい用土を入れて、株を植え付けて土を軽く押さえましょう。その後はたっぷりと水やりをします。日陰に置いて、根付くまで様子を見ます。挿し木
ミヤコワスレは、挿し芽で比較的簡単に増やせる植物です。挿し芽の方法をご紹介しますので、ぜひ挑戦してみてくださいね。挿し木の時期:4月~花後の6月頃
ミヤコワスレの挿し木の時期は、4月~花後の6月頃が適しています。新芽が伸びていて、挿し芽に適した枝が多くあります。挿し木のしかた
春に伸びた芽を、先端から2~3節ほど切り取ります。2枚ほどの葉を残して茎の中央から下に付いている葉っぱは全て切り落としましょう。切り口を斜めにカットすると水分の吸収が良くなります。切り口を水に一晩ほど浸けた後、赤玉土など清潔な土に茎を挿します。根が出るまで土が乾かさないよう水やりをして、明るい日陰で管理しましょう。4週間ほどで発根する
挿し木をした後は、4週間ほどで発根します。しかし、挿し木の時期や方法、環境などによってうまく発芽しないことも。発根しない場合は、少し時間をおいて様子を見てみましょう。4~5週間ほどたって発根したら、植え替える前に徐々に日光に慣らし、新しい鉢や地面に植え替えを行いましょう。ミヤコワスレのお手入れ
ミヤコワスレの適切な育て方として、定期的なお手入れが必要です。冬越しをさせるための方法や、病害虫についても解説します。剪定
剪定の目的は花付きを良くするためと、株の健康を保つためです。剪定の方法は、切り戻しと花がら摘みの2種類があります。切り戻し
切り戻しとは、伸びすぎた枝・茎などを切り縮めて植物の生長を調整したり、花付きをよくするために行います。脇芽が発達して再び花を咲かせます。3月~4月が切り戻しの適期です。春に咲いた花が少なくなった株や、花後に咲き終わった株に行います。花がら摘み
花がら摘みは、咲き終わった花(花がら)や枯れた葉を摘み取ることです。病気や害虫の予防と、株の見た目を良くします。4月~6月の開花期にこまめに行うと、栄養が行き渡って健康な状態を保つことができます。冬越し
ミヤコワスレの冬の間の育て方について解説します。うまく冬越しできるように対策しておきましょう。寒さには強いが霜や凍結のある地域は注意
ミヤコワスレは寒さには強いですが、霜や凍結のある地域では注意をする必要があります。春からの生育が悪化しないよう、鉢植えの場合は鉢を室内や温室に移動させ、地植えの場合は防寒対策を施しましょう。ビニールで覆うなどの防寒対策をするとよい
冬越しさせるためには、ビニールで覆うなどの防寒対策をするとよいでしょう。鉢植えの場合は鉢全体を覆い、地植えの場合は株元を覆うようにします。水蒸気がこもらないように、ビニールの上部を少し開けておきましょう。地植えの場合は土の上にワラや枯葉を敷き、マルチングをすると保温性が高まります。天気のよい日はしっかり日光に当てる
冬の間は日照時間が短くなるため、天気のよい日は日光にしっかり当てるようにしましょう。日光を浴びることで、株が元気に冬越しすることができます。病害虫
ミヤコワスレの代表的な病害虫である、「うどんこ病」「白絹病」「アブラムシ」について、症状や原因について解説します。病害虫は適切な育て方で予防できる可能性が高まります。日当たりと通気性をよくしたり、水やりや肥料の与え方に注意するなど、病気や害虫への対策をしておきましょう。うどんこ病
うどんこ病は糸状菌と呼ばれるカビが原因の病気で、うどんの粉をまぶしたように白い斑点がつくのが特徴です。うどんこ病にかかったミヤコワスレは、葉や茎の表面に白いかびが生えて生育が悪くなります。発見したら早めに病気の部分を切り取って処分しましょう。また、殺菌剤を散布することで、病気の拡大を防ぐことができます。白絹病
白絹病(しらきぬびょう)は、茎や葉周辺の地面に白色のかびを発生させる病気です。白絹病にかかると植物が褐色に変化して生育不良になり、ひどいときには枯れてしまいます。 気温が25℃以上で通気性が悪く多湿になると発生しやすくなるため、注意しましょう。変色した部分を根こそぎ取って殺菌消毒をして対処をします。土ごと入れ替えないと再発するやっかいな病気です。アブラムシ
アブラムシは新芽や花芽に発生して植物の栄養を吸汁し、生育を阻害します。繁殖力が旺盛なため、大量に発生した場合は殺虫剤で駆除する必要があります。ミヤコワスレの人気の品種を紹介
和を感じさせる花姿のミヤコワスレ。ここからは、ミヤコワスレの中でも人気が高い品種「浜乙女」「みのる紫」「瀬戸の白雪」をご紹介します。浜乙女
浜乙女は、かわいらしいピンクの花を咲かせる改良品種です。草丈が高いため、切り花としても楽しめます。みのる紫
みのる紫は、中大輪の花を咲かせる品種です。濃い紫色の花は切り花として部屋に飾ると楚々とした佇まいで存在感を放つことでしょう。瀬戸の白雪
瀬戸の白雪は、純白の花を咲かせる園芸品種です。可憐で清楚な印象を与えてくれます。【まとめ】ミヤコワスレ(都忘れ)の育て方を紹介!切り戻しや株分けの方法まで
ミヤコワスレの育て方について解説しました。 今回の記事のポイントはこちらです。- ミヤコワスレは、日本を原産とするキク科シオン属の植物。
- 育て方のポイント1つ目である置き場所は、夏場は強い日差しを避けて遮光対策をしたり、移動させて半日陰で育てるとよい。
- 育て方のポイント2つ目、水やりは地植えの場合は基本的に必要がなく、鉢植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりの水を与える。
- 育て方のポイント3つ目、土は弱酸性のものを使用する。
- 育て方のポイント4つ目、肥料は地植えでは必要なく、鉢植えでは緩効性化成肥料を施すとよい。
- 定期的に剪定や植え替え・植え付けを行って、生育しやすいようにお手入れをする。
- ミヤコワスレは、株分けや挿し木で増やすことができる。