目次
アンゲロニアは初夏から秋までの長期間、鮮やかで可憐なお花を長く楽しめる植物。比較的簡単に栽培できるため、初心者の方にもおすすめです。
そこで今回の記事では、
- アンゲロニアの基本情報
- アンゲロニアの育て方4つのポイント
- アンゲロニアのお手入れ方法
- アンゲロニアの中でも人気の品種とは?
そもそもアンゲロニアってどんな植物なの?
育て方を解説する前に、アンゲロニアがどんな植物なのかをご紹介します。どのような環境に耐性があるのか、育て方のヒントになるため、ぜひご覧ください。中央アメリカ~南アメリカを原産とするゴマノハグサ科アンゲロニア属の植物
アンゲロニアは、中央アメリカから南アメリカの熱帯から亜熱帯に約30種が分布する植物です。学名は「Angelonia」で、オオバコ科アンゲロニア属に分類されます。アンゲロニアの名は、天使をラテン語で表した「Angelos(アンゲロス)」が由来と言われています。形がラベンダーに似ていることから、「エンジェルラベンダー」という別名があります。ただし、ラベンダーはシソ科のため、別の種類の植物です。ピンク、白、紫、青、複色など様々な色の花を咲かせる
アンゲロニアはピンク・白・紫・青・複色など様々な色のお花を咲かせる植物です。花壇やプランター、ハンギングバスケットなどで幅広く楽しむことができます。また、切り花としても長持ちします。花の美しさだけでなく、甘い香りも魅力的で、お祝いのギフトとしても多く販売されています。開花時期が6月~10月と長く、次々に咲く花を楽しめる
アンゲロニアは開花時期が6月~10月と長く、次々に咲く花を楽しめる植物です。色数が多く草丈も大きいものから小さいものまで種類があるため、園芸・ガーデニングなど寄せ植え向きです。暑さと強い日ざしによく耐え、さらに半日陰でも育ちます。多年草に分類される植物ですが、耐寒性は低いため、日本では一年草として扱われることが多いようです。草丈の高い品種は寄せ植えで花壇の背景にも
草丈の高い品種は寄せ植えで花壇の背景にも適しています。草丈が高い品種の一例として、「カリータ」シリーズがあります。このシリーズは草丈が約60cmになり、紫・ローズ色・白・ラズベリーなどの花色があります。寄せ植えで花壇の背景に植える場合は、草丈の低い品種や他の草花とのバランスを考えて、適切な間隔をあけて植えましょう。アンゲロニアの育て方のポイント①置き場所
育て方のポイント1つめの、置き場所についてご紹介します。アンゲロニアの性質に適した環境で栽培してあげることで、元気に育ちます。日向の少し湿り気のある場所を好む
原産地である熱帯・亜熱帯地域は日照時間が長く、気温や湿度が高い環境です。そのため、アンゲロニアは日向の少し湿り気のある場所を好みます。1日に最低でも数時間は日に当てる
アンゲロニアは日光に当てることで生育や花つきがよくなります。1日に最低でも数時間は日に当てるようにしましょう。西日の当たる場所は避ける
育て方の注意点として、西日の当たる場所は避けたほうがよいでしょう。葉先が焼けてしまったり、土が乾燥しすぎてしまいます。乾燥よりもやや湿り気を好む性質があるため、直射日光や西日が当たって乾燥しやすい場所は不向きです。アンゲロニアの育て方のポイント②水やり
育て方のポイント2つめの、水やりについてご紹介します。地植えと鉢植え栽培でも水やりの方法が変わります。植物の性質に合わせた適切な水やりを行いましょう。乾燥よりもやや湿り気を好む
アンゲロニアは乾燥よりもやや湿り気を好みます。土壌の乾燥を防ぐために、水やりをこまめに行う必要があります。地植えの場合:真夏の乾燥期には水を与える
地植えの場合は、基本的には雨の水分で十分です。しかし、真夏の乾燥期など晴れが続いて土が乾燥しているときは、株の根元まで水分が行き渡るように水やりをしましょう。鉢植えの場合:土の表面が乾いたらたっぷりと
鉢植えの場合、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与える必要があります。水やりの回数は季節や気温によって変わりますが、真夏の暑さが何日も続くような時期には、朝と夕方に2回水を与えるようにすると良いでしょう。鉢の底に溜まった余分な水は捨てて、根腐れを防ぎましょう。アンゲロニアの育て方のポイント③土
育て方のポイント3つめの土についてご紹介します。とくに屋外では環境に合わせた土を使用する必要があるため、ぜひご覧ください。水はけがよく保水力のある土を好む
保水力のある土は水分を適度に保持して、根に必要な水分を供給できます。また、根腐れを起こさないように、水はけのよい土も必要です。アンゲロニアには水はけがよく保水力のある、水分のバランスがとれた土を使用しましょう。地植えの場合
地植えで栽培する際の土について解説します。水はけの悪い場所ややせた土地での育て方に活用できる方法のため、ぜひご覧ください。水はけの悪い場所は盛り土をしたり腐葉土を混ぜ込む
水はけの悪い場所に植えると、根腐れや病気にかかりやすくなります。花つきにも悪い影響が出るため、水はけの悪い場所に植える場合は、盛り土をしたり耕して腐葉土を混ぜ込んでから植えるといいでしょう。やせた土地には元肥を施す
やせた土地では栄養が不足して花つきが悪くなることがあります。植え付け時に元肥として緩効性化成肥料や完熟堆肥を混ぜ込んでおくと、根づきがよくなり、花の発色や持続性が向上します。鉢植えの場合
鉢植え栽培で使用するとよい土を解説します。元気に生育できるように育て方に気を付けて、植物に適した土を使用しましょう。草花用培養土で育てられる
アンゲロニアは鉢植えで育てる場合、草花用培養土で問題なく育ちます。草花用培養土は水はけと水持ちのバランスが良く、アンゲロニアに適した土壌です。赤玉土5:腐葉土3:酸度調整済みピートモス2の配合土など
赤玉土5:腐葉土3:酸度調整済みピートモス2の配合土などは、アンゲロニアを鉢植えで育てるのに適している土です。水はけと保水力のバランスが良く、必要な酸性度(pH5.5~6.5)を保つことができます。アンゲロニアの育て方のポイント④肥料
育て方のポイント4つめの肥料についてご紹介します。花つきがよくなったり生育が活性化するため、適切に肥料を与えてあげましょう。元肥:リン酸分の多い緩効性化成肥料を施す
元肥はリン酸分の多い緩効性化成肥料を施すとよいでしょう。リン酸分は花付きを良くする効果があります。植え付けの際に用土に混ぜ込んでおくと、開花時期が長いアンゲロニアに適した栄養補給になります。施肥の時期:6月~10月
アンゲロニアの施肥の時期は、開花期間の6月~10月です。アンゲロニアは開花時期が長く、夏の暑さにも強いため、栄養をたくさん必要とします。肥料切れを起こすと花付きが悪くなるため、開花期間中は定期的に肥料をあげるのがコツです。地植えの場合:緩効性化成肥料を施す
地植えで育てる場合、緩効性化成肥料を施すとよいでしょう。植え付けの際に用土に混ぜ込んでおくと、花付きが良くなります。鉢植えの場合:緩効性化成肥料と液体肥料を併用する
鉢植えで育てる場合、緩効性化成肥料と液体肥料を併用しましょう。開花期間中は緩効性化成肥料だけでは不十分なため、液体肥料も週1回程度定期的に与える必要があります。液体肥料は水やりの際に希釈して与えてください。アンゲロニアの植え替え・植え付け
アンゲロニアの植え替えと植え付けについてご紹介します。冬越しさせるための方法とあわせてご覧ください。植え付け・植え替えの適期:5月~7月
アンゲロニアの植え付け・植え替えの適期は5月~7月です。アンゲロニアは耐寒性が低い植物のため、最低気温が10℃以上になってから植えるようにしましょう。植え付け
植え付けをするための苗の選び方と手順をご紹介します。注意点とあわせてご覧ください。苗の選び方
葉につやがあり、茎がまっすぐ上に伸びている苗を選びましょう。花が咲いている苗よりも、つぼみが多い苗の方が花期を長く楽しめます。植え付けの手順
水はけがよく保水力のある用土を準備して植え付けを行います。地植えの場合は、品種によって草丈が異なるため、草丈の低いものは花壇の全面に、高く成長する品種はほかの植物の背景になるように植え付けましょう。植え付け直後は、しっかりと水を与えて土と根の密着を促します。その後は、土の表面が乾いたら水やりを行いましょう。草丈が高いものには必要に応じて支柱を立てる
アンゲロニアは花の重さで倒れやすいため、植え付ける際は草丈が高いものには必要に応じて支柱を立てておきます。支柱は株の中心に差し込んで、茎を縛りつけます。支柱は木製や竹製のものがおすすめです。植え替え
植え替えについて解説します。安全に冬越しさせるためにきちんとした手順で植え替えを行いましょう。冬越ししない場合は植え替えは不要
冬越ししない場合、植え替えは不要です。室内で冬越しさせて翌年も育てる場合などは、新しい土を使って植え替えます。植え替えの手順
9月頃にアンゲロニアの株を掘り起こします。根を傷つけないように注意してください。土や枯れた根を取り除き、鉢に用土を入れてから鉢の中央に株を置き、根元を覆うように土をかぶせます。土が株の高さの半分くらいになるように調整しましょう。鉢の底に水が溜まらないように、鉢底石や鉢皿などを使って鉢を高くしてください。鉢を室内の日当たりの良い場所に移動させます。水やりは冬場は週に1回程度、土が乾いたら行います。肥料は冬場は必要ありません。春になって新芽が出てきたら、液体肥料を2週間に1回程度与えてください。春になって霜の心配がなくなったら、鉢を外に出したり、花壇に植え付けしましょう。アンゲロニアの増やし方
アンゲロニアは種まきと挿し木で増やすことが可能です。株を増やして花壇を華やかに彩りましょう。種まき
アンゲロニアの種はとても小さいため、扱いには注意が必要です。種から育てると花が咲くまでに時間がかかりますが、いちから自分で育てた花はとても愛着がわきます。ぜひ挑戦してみてくださいね。種まきの適期:5月~6月
アンゲロニアの種まきの適期は5月~6月です。発芽温度が20度~25度程度のため、気温を見ながら種まきしましょう。種まきのしかた
ポットなどを使って2~3粒ほど種をまいたら、薄く土を被せます。水やりは土が乾いたら行い、発芽までに1週間ほどかかります。発芽したら日当たりの良い場所に移し、定植するまで育苗します。挿し木
挿し木の手順をご紹介します。挿し木して増やした株に対しての注意点もあるため、ぜひご覧ください。挿し木の適期:春か秋
挿し木の適期は、真夏を除いた春~秋です。挿し木には高温多湿は不利になるため、真夏は避けましょう。挿し木のしかた
2節のある茎をカットして30分~1時間水に浸してから、挿し木用土に挿します。挿し木した苗は、日陰で湿度を保ちながら管理します。春に挿し木した場合は、夏には開花する可能性があります。秋に挿し木した場合は、冬越しの対策をして翌年の春に植え付けます。パテント品種は増やしたものを販売できない
挿し木で増やしたアンゲロニアのうち、パテント品種は販売できないため注意しましょう。パテント品種は、特許法に基づいて開発者が特許権を取得した品種のため、開発者の許可なく増殖や販売をすることは違法です。苗のタグやパッケージに「特許出願中」や「特許登録済み」などの表示がされています。パテント品種でない場合でも、育成者権(PVP)という権利がある場合があります。育成者権とは、種苗法に基づいて開発者が登録した品種に対して与えられる権利で、開発者の許諾なく業として利用することは禁止されています。育成者権のある品種は、苗のタグやパッケージに「PVP」や「育成者権」などの表示がされているため、注意してください。アンゲロニアの挿し木は、自分で楽しむ分には問題ありませんが、増やしたものを販売する場合は、品種の権利をよく確認しましょう。アンゲロニアのお手入れ
適切な育て方において定期的なお手入れは株の健康を保つために大切な要素です。支柱立て・剪定・冬越しの方法についてご紹介します。支柱立て
支柱立てについてご紹介します。なぜ支柱立てが必要なのか、適切な時期とあわせてご覧ください。高性品種は風で倒れやすい
高生品種は風で倒れやすいため、支柱を行って支えてあげましょう。支柱は株の中心に差し込んで茎を縛りつけます。支柱は木製や竹製のものがおすすめです。6月~10月の間に支柱を立てる
支柱を立てることで茎をしっかりと支えて、花を美しく見せることができます。支柱は花が咲き始める6月~10月の間に立てておきましょう。剪定
剪定方法について解説します。花がらの対処方法や、切り戻しの適切な時期と手順をご紹介します。花後に落ちた花がらを取り除く
花後に落ちた花がらが残っていると病気の原因になります。見つけたら取り除きましょう。7月~8月頃に切り戻しを行う
ひととおり花が咲き終わったタイミングの7月~8月頃が切り戻しの適期です。アンゲロニアは花期が長く、花が咲き終わったら花茎が目立つようになります。花茎の半分ほど切り戻してあげると、わき芽から新しい花を咲かせてくれます。脇芽が出ているところの少し上からカットしましょう。切り戻しをすることで、アンゲロニアの美しい花姿を長く楽しむことができます。冬越し
アンゲロニアの冬越し方法について解説します。寒い時期の育て方に気を付けて、うまく冬越しをさせましょう。基本的に寒さに弱い
アンゲロニアは熱帯から亜熱帯地域が原産地のため、基本的に寒さに弱く、日本の冬の環境に耐えられません。冬越しをさせたい場合は、室内に取り込んで管理する必要があります。地植えの場合は掘り上げて鉢植えにする
冬越しをする際は、地植えの場合は掘り上げて鉢植えにするとよいでしょう。9月頃に掘り起こして鉢に植え替え、室内の日当たりの良い場所に移動して管理する必要があります。秋に挿し木をした苗を春までとっておいてもよい
冬越しさせる場合、秋に挿し木をした苗を春までとっておいてもよいでしょう。寒さにあたらないところで管理をしておき、春に植え付けを行います。病害虫
アンゲロニアにつきやすい害虫や病気として、「灰色かび病」「アブラムシ」「ナメクジ」などがあります。それぞれの特徴を解説します。また、風通しをよくしたり育て方によって病害虫の予防になるため、環境に気を付けて管理してあげましょう。灰色かび病
灰色かび病にかかると、植物の葉や花、果実などに水が浸みたような薄い褐色の病斑ができます。拡大していくと腐敗しては灰色のカビに覆われるようになります。灰色かび病は低温多湿を好むため、雨が多く、日照不足が続く時期は特に注意が必要です。もし灰色かび病が発生してしまったら、発症した部分をすぐに摘み取って処分しましょう。アブラムシ
アブラムシがつくと、植物の養分を吸われて生育不良になったり、病気に感染したりする可能性があります。アブラムシが発生してしまった場合は、早めに駆除することが重要です。市販のスプレーや自然農薬を使って散布する方法や、水や石鹸水で洗い流す方法などがあります。また、発生した部分を摘み取って処分することも有効です。ナメクジ
ナメクジがつくと、植物の葉や茎を食べられてしまい、生育不良や枯れる原因になります。ナメクジを駆除するには、ナメクジ用の粒剤や誘殺剤を地面にばらまく方法や、ナメクジが苦手なもの(塩や酢など)を散布する方法などがあります。ナメクジはアンゲロニアの美しさを損なうだけでなく、他の植物にも被害を及ぼす可能性があります。早めに対策をとって、被害を防ぎましょう。アンゲロニアの人気の品種を紹介
アンゲロニアの中でも人気の品種をご紹介します。同じ開花期間の長いペチュニアやダイアモンドフロストなどと一緒に植えると、華やかでおしゃれな寄せ植えになります。ぜひお気に入りになる品種を見つけてみてくださいね。セレニータ
アンゲロニア・セレニータ(Angelonia serenita)は、草丈が25〜30㎝程度と低く、摘心しなくてもコンパクトでまとまりのある姿になります。セレナシリーズよりも草丈が低いため、鉢植えや寄せ植えに最適です。コンテナや花壇の前面に植えるとよいでしょう。「セレニータ・パープル」「セレニータ・ホワイト」「セレニータ・ラズベリー」「セレニータ・ピンク」「セレニータ・スカイブルー」の他にも「セレニータ・ミックス」など、花色のバリエーションが豊富です。コンパクトで色とりどりの花色をもつ品種のため、お祝いのプレゼントとして贈る方も多いようです。セレナ
アンゲロニア・セレナ(Angelonia serena)は、原種を改良した園芸品種で、草丈が比較的低い特徴があります。別名で「サリカリフォリア」「サマー・スナップドラゴン」とも呼ばれます。セレナには紫と白が混ざった色の花を付ける「パープル・ストライプ」、ピンク色の花「セレナ・ローズ」、白い花の「セレナ・ホワイト」があります。
センセーション
アンゲロニア・センセーション(Angelonia angustifolia 'Sensation')は、アンゲロニアの中でも特に花が大きくて美しい品種です。背丈も伸びすぎないため、他の品種よりも株全体にボリュームがあり、豪華で華やかな印象です。花色はピンク・ブルー・パープル・ホワイトなどの他にもバイカラーがあります。【まとめ】アンゲロニアの育て方を紹介!開花時期から人気の品種まで徹底解説
アンゲロニアの育て方について解説しました。 今回の記事のポイントはこちらです。- アンゲロニアの開花期は6月~10月のため、長い期間色とりどりの楽しめる植物。
- 育て方1つ目のポイント、置き場所は日向の少し湿り気のある場所がよい。
- 育て方2つ目のポイント、水やりは地植えの場合は真夏の乾燥期に与える程度でよく、鉢植えは土の表面が乾いてからたっぷりと与えるとよい。
- 育て方3つ目のポイント、土は水はけがよく保水力のあるものを使用するとよい。
- 育て方4つ目のポイント、肥料は元肥としてリン酸分の多い緩効性化成肥料を施しておくとよい。
- アンゲロニアは寒さに弱いため、冬越しをさせるためには植え替えをして室内で鉢植え管理をする。
- アンゲロニアは種まきと挿し木で増やすことができる。