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まだまだ冬の寒さが残る3月に外を歩いていると、ふいに甘い香りが漂ってきた経験はありませんか? 花や緑の少ない時期に香りで春を教えてくれる正体は、沈丁花です。
白く小さな花と甘くさっぱりとした香りの沈丁花(ジンチョウゲ)は、早春の花として広く知られている人気の花木なんですよ。沈丁花の木は成長がゆっくりで育てやすいため、園芸初心者にもおすすめの植物ですが、実はいろんな理由から枯れてしまうこともあります。
最後までこの記事を読めば、枯れやすい原因や対策がわかるので、長く沈丁花を楽しむ中で枯れ始めるサインを見てすぐに対処できるようになりますよ。
今回の記事では、
- 沈丁花はどんな植物?
- 沈丁花が突然枯れるのはどうして?
- 沈丁花が枯れている時の症状
- 沈丁花を枯らさないための育て方
- 沈丁花を挿し木で増やそう
【基本情報】沈丁花はどんな植物?
まずは沈丁花がどんな植物なのか一緒に理解を深めていきましょう。育て方は知っているけれど、どこが原産でどんな学名なのか知らない人も多いはず。基本の情報を知ることで、育て方のヒントになりますので、ぜひ確認してくださいね。早春に綺麗な花を咲かせ、三大香木と知られる常緑の花木
沈丁花はジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑性花木です。早春の白や紅紫のキレイな花を咲かせ、三大香木といわれるほど香りが豊かなのが大きな特徴。開花時期は3月~4月ごろで、花びらが八重咲きのものや甘くさっぱりとした香りの種類もあるんですよ。春を告げる花としてもよく知られています。高さは1m〜1.5mほどの低木
沈丁花は低木としてもよく知られています。成長がゆっくりで大きく成長しても、樹高は1m~1.5mくらい。大人の腰から肩にかけてくらいなので、香りが顔の近くで楽しめるのもいいですよね。低木であることを利用して、庭木や生垣、公園のアクセントとして植えられています。沈丁花は成長が緩慢でとても繊細な植物
春になるといい香りがするため、ぜひ庭に植えたいと思う方もいらっしゃるんじゃないでしょうか? でも沈丁花は耐寒性があまり高くないことや根がデリケートなことから、成長が緩慢でとても繊細な植物でもあるんです。寒さにあまり強くないので、東北や北海道の寒冷地で屋外の冬越しはちょっと難しいかもしれません。また根を傷つけると病気になりやすいので、植え替えには注意が必要です。日本にある沈丁花のほとんどは雄木
沈丁花は、イチョウと同じく雄の木と雌の木がある植物なんですよ。昔中国から日本へ輸入された時に香りの強い雄株が多く持ち込まれたため、現在日本で流通している沈丁花のほとんどは雄の木。花が咲くだけで実がならないのはそのためです。雌木になる実には毒があるので、なっているのを見つけても不用意に触れないようにしてくださいね。沈丁花は葉や花、樹液などに毒性を持つ
先ほど実に毒があるとお伝えしたように、沈丁花には毒があります。ダフネチンという有毒成分は樹皮や樹液、根、花や葉にも含まれているので、素手で触れたり、間違って食べたりしないようにしましょう。下痢や嘔吐、心臓障害や皮膚にかゆみや炎症、水ぶくれなどの症状が出ます。もちろん犬や猫など動物のいるご家庭では十分に注意が必要ですよ。【原因】沈丁花が突然枯れるのはどうして?
せっかく栽培しているのに、お気に入りの沈丁花が枯れるというと管理が悪かったかなとか、置き場所がダメだったのかなと心配になりますよね。枯れる原因がいくつかありますから、それぞれくわしくご紹介します。原因① 寿命によるもの
まず1つ目の枯れる原因として考えられるのは、沈丁花の寿命である可能性です。庭木になるくらいだから、50年や60年成長すると思われるかもしれませんが、実はそうじゃないんです。沈丁花の寿命は20年〜30年
長持ちするイメージのある庭木の中でも、沈丁花は寿命が比較的短く、20年~30年くらいなんです。環境によってはもっと短く寿命を迎える場合もあるそうです。桜のソメイヨシノの寿命が60年といわれているので、特に庭木、そして花木の中では短い植物です。長く育てている場合は寿命を迎えた可能性がある
沈丁花を上手に長い期間栽培していらっしゃる方で、特に環境に問題がないのに突然葉が黄色くなってきた、幹がしなびてきたなどといった症状がみられたら、寿命を迎えたと判断していいでしょう。実際に目の前で枯れてしまうとがっかりしてしまうかもしれませんが、寿命を迎えるまで長く育てられたという証でもあります。原因② 病気によるもの
枯れる原因として2つ目に考えられるのは、病気にかかった場合です。毒性がある沈丁花とはいえ、カビや細菌の病気になってしまうこともあります。沈丁花は白紋羽病にかかりやすい
沈丁花が病気になったというお悩みで特に多いのが、「白紋羽病(しろもんぱびょう)」という病気にかかった場合です。沈丁花の根元や根の表面に白いカビのようなものが生えていたら、白紋羽病で間違いありません。菌糸が幹や葉、根に寄生してだんだんと木がしなびて枯れてしまいます。白紋羽病になってしまった場合は諦めて早めの対応を行う
白紋羽病は痩せた土では発生しにくく、沈丁花が好む保水力があり湿度も高い、肥えた土で発生しやすいんです。日かげの場所に植えられやすい沈丁花にとっては、一番かかりやすい病気といえるかもしれません。 もし白紋羽病にかかってしまったら、復活することはありません。菌の繁殖で近くの植物も病気になってしまうので、見つけたら諦めて早めに対応しましょう。鉢植え、地植えの両方とも、周囲の土ごと抜いて処分し、さらに残った土には殺菌剤で消毒してください。原因③ 水はけが悪い
枯れる原因の3つ目は、用土の問題です。沈丁花は比較的保水力のある環境を好みますが、あまりに水はけが悪いと株が弱って枯れてしまうことがありますよ。具体的に確認してみましょう。水はけが悪いと根腐れを起こし枯れてしまう
保水力のある用土ときくと、つい毎日たっぷりと水やりしてずっ土が濡れた状態がいいと勘違いするかもしれませんが、それは間違いなんです。根がずっと濡れたままだと新しい酸素や水分を吸い上げられず、窒息している状態になります。そうすると自然と根が黒く変色し、腐って溶けてしまう根腐れを起こし、結果株全体が枯れてしまいます。水はけの良い環境を作る
根腐れを防ぐためには、水はけの良い環境を作ってください。条件は水はけ水もちの良い土、そして日当たりの良い場所。鉢植えで育てる場合は、市販の草花用培養土か、赤玉土6、腐葉土4くらいの割合で配合して植え付けます。地植えの場合は、植え付ける2週間前に日当たりが良く水はけの良い場所を選んで、腐葉土や堆肥を混ぜ込んで馴染ませてから植え付けます。原因④ 水切れを起こしている
3つ目とは反対に、水切れを起こしている場合も枯れる原因として考えられますよ。水切れとは、水分が必要な量足りていない、水を与えても根が吸い上げられない状態です。沈丁花は極度の乾燥を嫌う
特に花木の中でも水切れしやすいと言われている沈丁花は、夏場の極度の乾燥が大の苦手です。春から夏にかけては、土の表面が乾いていたら水やりしてOK。株が弱らないよう気をつけてくださいね。また直射日光が長時間当たる場所も乾燥しやすいので、午前中か午後のどちらかが日陰になる場所へ置いてあげてください。乾燥しやすい成長期の春や夏は十分に水を与える
沈丁花の成長期にあたる春や夏は特に乾燥しやすいため、雨任せでいい地植えの場合も乾燥していたら水やりしましょう。鉢植えの場合は水やりをこまめにしてください。ほかにも数年植え替えしていない鉢植えの場合も鉢の中で根がぎゅうぎゅうに詰まっている根詰まりになっているので、こちらも十分な吸水ができず水切れしやすくなります。植え替えして対応してくださいね。原因⑤ 根が傷ついてしまった
5つ目の枯れる原因として考えられるのは、根が傷ついてしまった場合です。どんな植物もそうですが、根が傷ついてしまうとそこから細菌が入り込み、腐ってしまう可能性がありますよ。沈丁花は繊細なため根が傷つくと枯れてしまう可能性が高い
沈丁花が繊細だと言われる理由のひとつが、こちらの根にあります。生育旺盛な他の植物に比べて、沈丁花の根は傷や切れに弱く、あまりひどいと復活せず枯れる危険性が高いんです。そのため移植が難しいとも言われています。植え替えや植え付けは細心の注意を払う
鉢植えで栽培している時欠かせないのが植え替えや植え付けの管理です。沈丁花を植え替える場合は、根鉢をあまり崩さず、黒くなった根などをそっと取り除いて、一回り大きな鉢へ植え替えるようにしてください。落としたりぶつけたりの衝撃にも少し弱いので、株をていねいに持ち、細心の注意を払うようにしてくださいね。地植えで植え替えをせずに育てると安全
もし沈丁花を植え付けるスペースが十分にとれるなら、地植えでの管理もおすすめですよ。地植えであれば、移植の手間がなくなりますし、根を傷つけることも減るでしょう。長く育てている沈丁花で地植えが多いのは、根を傷つけず安全に育てるためでもあります。原因⑥ 剪定のしすぎ
枯れる原因としてもうひとつ注意したいのが、剪定のし過ぎによるもの。沈丁花は成長がゆっくりなので、頻繁な剪定は厳禁です。強剪定や刈り込みを行うと株が衰弱し枯れてしまう可能性が高い
そもそも沈丁花は、剪定をしなくても自然と樹形がドーム型に整うので、クレマチスの強健種やソヨゴのように頻繁に剪定しません。もしかしたら丁寧に管理しようとして、マメに枝を刈り込んでいませんか? 強剪定や刈り込みを行うと株がダメージに耐えられず衰弱し、枯れてしまう可能性が高いんです。沈丁花は間引き剪定を軽く行うぐらいにする
もし沈丁花の樹形が気になる場合は、花後の4月~5月混みいった枝だけを間引く、間引き剪定を軽く行うぐらいにしましょう。開花後に風通しの悪くなっている内側に伸びた枝や枯れた枝、花を剪定バサミで切り落とします。すると梅雨の湿気や夏の暑さにも耐えられるので健康に成長しますよ。逆に夏以降の剪定は、翌年の花芽がつかなくなるのでおすすめしません。【症状】沈丁花が枯れている時の症状
原因がある程度わかって来たところで、次は具体的な枯れている時の症状について解説します。なにかしら具合が悪い時は葉や土などに症状が表れていますから、ぜひ症状を把握して適切に対処できるようにしたいですね。葉が変色している
葉が黄色く変色している場合、原因は2通り考えられますよ。それは水切れと水の与えすぎです。植え付け後や真夏は特に水切れしやすいので、その時期に葉が黄色く変色していて、土の表面が乾いていたら水切れしています。また木の下の葉から黄色くなっていたら、水のあげ過ぎが考えられます。葉が萎れている
葉がしおれていたら、病気の可能性があります。葉が茶色くなって、枝や幹も黒くしなしなと干からびていませんか? 沈丁花のかかりやすい白紋羽病は、根元がまず白いカビが生え始め、だんだんと枝や葉へ影響します。葉がしおれている頃にはもう株全体が枯れていますので、残念ですが早急に処分してください。葉が落ちる
株の根元に葉が落ちていたら、まずは環境を見回してみませんか? 葉が落ちる原因は色々あって、植え替えや剪定などの環境の変化や寿命でも葉が落ちます。また栄養不足でも葉が落ちてしまうので、4月~5月、そして株が生長する9月に緩効性の肥料を株の周りに与えて、栄養を補給してください。沈丁花が枯れたら復活できる?
枯れる症状にもいろいろあることがわかってきましたね。すると次に気になるのは、枯れたら復活できるのかどうかということ。予防や対処法について、ご紹介します。復活できる場合もあるがそのまま枯れてしまうことがほとんど
沈丁花が枯れたら、症状が軽ければ復活できる場合もあります。水切れや水のあげ過ぎ、植え替えなどの環境の変化であれば適切な対処をすれば、その後も健康に成長するでしょう。しかし病害虫による被害や寿命によるもの、剪定のし過ぎによるものは残念ですがそのまま枯れてしまうことがほとんどです。沈丁花はとても繊細なため植え替えなどの環境変化でも弱ってしまう
沈丁花はとても繊細なため植え替えなどの環境変化でも弱ってしまいます。鉢植え、地植えの両方で日当たりや風通しの良い場所へ置いたら、なるべく動かさないようにしてください。植え替えでは根をあまり崩さず移植します。過度な剪定も厳禁。太い枝をなるべく切らずに、伸びすぎた枝や込み入った枝だけを軽く剪定してくださいね。枯らさないための予防が大切
枯れやすい沈丁花を栽培する上で大切なのは、枯らさないための予防です。用土や置き場所、水のやり方や冬越しなどを適切に管理して、枯らさないように注意してくださいね。沈丁花にとって快適な環境を整えれば、長く楽しむことができますよ。【育て方】沈丁花を枯らさないための育て方
環境の変化に弱い沈丁花の育て方について、再び確認してみましょう。枯れる心配のない育て方とは、つまり健康に栽培する育て方です。夏越しや冬越しの方法についてもまとめました。置き場所
まずは置き場所についてポイントをご紹介します。1つは日当たりがよく風通しが良いこと、もう1つは極端な日陰や西日が当たる場所を避けることです。日当たりがよく風通しが良い場所に置く
沈丁花の置き場所はとても重要です。植え付ける前に、どこへ置けばいいかしっかりと確認してください。日当たりが良く、風通しが良い場所が探してみましょう。おすすめは庭木のそばやベランダ、軒下など。屋内はおすすめできません。風通しが悪いと病気が発生しやすくなりますので注意しましょう。地植え・鉢植えともに極端な日陰や西日が当たる場所は避ける
置き場所でちょっと避けたいのが、極端な日陰や西日が当たる場所です。一日中日の当たらない場所は病害虫の被害になりやすいため、半日陰になる場所がいいですね。また日本の西日はかなり沈丁花にとって厳しいもの。西日が当たる場所は避けるか、もし当たってしまう時は遮光ネットや日よけを立てるなど、工夫してくださいね。土壌環境
次に大切なのは土壌環境ではないでしょうか。保水力と水はけの良い用土がおすすめ。でも具体的にどんな用土を購入すればいいのか、確認してみましょう。水はけ、水持ちの良い土を用意する
沈丁花は有機質にとんだ水はけ、水持ちの良い土を用意します。日本の用土は性質上弱酸性に傾いているので、酸性度は気にしなくて大丈夫。水はけが悪く、いつもぐちゃぐちゃに湿っているような場所は避けてくださいね。地植えで水はけが良いのか分からない場合は、一度水やりして確認しましょう。鉢植えの場合
鉢植えで栽培する場合、赤玉土(小粒)6、腐葉土4の割合で配合して使用するのがおすすめです。鉢底には鉢底石を敷くとより水はけが良くなりますよ。元肥は不要です。深めの鉢に鉢底石2、用土8の割合で入れて乾燥しにくいよう気をつけます。地植えに比べて土の量が少ないのでどうしても水切れしやすいですよ。合わせて水やりにも気をつけましょう。地植えの場合
地植えの場合は水はけが悪い用土の可能性もあります。少し気になる方は掘り返して穴の底に軽石を敷いてみましょう。川砂やパーライトもおすすめです。連作障害を起こす恐れもあるので、必ず古い土を流用せず新しい用土を使って植え付けてください。植え付ける2週間前に用土を整えておきます。水やり
枯れる可能性のある水やりは、鉢植えと地植えで方法やタイミングが違います。沈丁花は乾燥し過ぎても、じめじめし過ぎても枯れるので大切なポイントです。鉢植えの場合
沈丁花を鉢植えで育てる場合、一年を通して水やりする必要があります。鉢植えのお悩みは水切れしやすく、乾燥しやすいことなんです。地植えに比べて土の量が少ないので蓄えておける水分にも限りがありますよ。 土の表面が乾いて、白っぽく乾燥していたら水をたっぷりと与えてください。あげるタイミングは朝、午前中がいいでしょう。新芽の生長期にあたる春や、乾燥しやすい高温期の夏は、夕方にも土の状態を見て乾燥しているようなら、水やりします。地植えの場合
地植えの場合の水やりは、かなり楽かもしれません。適度な水分を土が保つので、根付いたら雨だけでも大丈夫。とはいえ、春~夏にかけては高温になりやすく乾燥していることもありますから、土の表面をみて乾燥しているなら定期的に朝か午前中に水やりをおこないましょう。肥料
育てる上で肥料も気になるポイントですね。あげ過ぎてもいけないし、与えなくてもうまく育たない可能性があります。沈丁花にはどんな肥料がいいのかご紹介します。基本的に肥料は与えなくても良い
結論からいうと、基本的に肥料は与えなくてもかまいません。用土の中に有機質に富んだ腐葉土が含まれているので、元肥はしなくてもOK。市販の花木用培養土も同じです。地植えにする場合は、腐葉土か堆肥を混ぜて肥沃にしておきましょう。しかし、適切なタイミングや量で肥料を与えることで、健康的な成長を促したり、開花後の株の弱った体力をサポートしたりできます。与える場合は緩効性化成肥料を4月〜5月、9月に与える
肥料を与える場合は、追肥として緩効性の固形肥料を与えましょう。適期は開花後の4月~5月と、秋の9月がおすすめ。花を咲かせるために株のエネルギーを消費しているので栄養不足になりがちです。健康に育つよう根元に肥料を置いてください。 また秋は花芽をつけた株が冬の寒さで弱らないよう施します。また、大株の場合は1月~2月の時期に寒肥として有機質肥料や油粕と骨粉を同量混ぜたものを与えれば、株が弱ることなく開花を迎えられますよ。剪定
沈丁花で慎重にすべき管理は、剪定ではないでしょうか。剪定をしなくても自然に樹形が整うため、頻繁にする必要がありませんよ。しかし健康な成長や病害虫のためにも、適切に剪定を行いましょう。沈丁花は病気や害虫の予防として間引き剪定を行う
沈丁花の剪定は基本的に間引き剪定を行います。間引き剪定とは、全体的に刈り込まず必要な分だけ剪定すること。長く飛び出たり混み合った枝、交差した枝などを中心に取り除いていきます。内側に伸びている枝も幹の成長を邪魔してしまうので、剪定しましょう。全体の枝数を減らすことで風通しが良く、病害虫の予防になりますよ。夏以降に剪定を行うと翌年に花が咲かなくなる
また夏以降の剪定はおすすめできません。なぜなら翌年の花が咲かなくなってしまうからなんです。春から夏へかけて伸びた新しい枝に花芽が付きますので、せっかくついた花芽を切ってしまうと当然花が咲きません。剪定するなら開花後すぐの4月~5月に行うようにしましょう。強剪定は枯れる原因になるため避ける
先ほどお伝えしたように沈丁花を強剪定してはいけませんよ。もともと剪定は枝を切って、株の体力を奪い、弱らせるだけでなく最悪枯れる原因になるため避けてください。どうしても強剪定したい場合は、あらかじめ挿し木を育てて置き、もし枯れてしまってもいいように準備しておきましょう。病害虫
沈丁花がかかりやすい病害虫をご紹介します。病気では白紋羽病やウイルス病、害虫はアブラムシやハマキムシに要注意です。それぞれ確認してみましょう。病気:白紋羽病やウイルス病に注意
葉が黄色く変色したり縮れたりしたりしたら病気の可能性があります。特に枯れる危険が高いのは白紋羽病やウイルス病など。元々は用土に病原菌が潜んでいて、根の傷や細い部分から白い禁止を絡ませていく病気なので、目に見える頃にはもう手遅れです。残念ですが症状の出た株は袋へ密閉して捨てます。病気にならないよう、土を新しいものへ変えたり、殺菌剤を散布したりする必要があります。害虫:アブラムシやハマキムシに注意
沈丁花の枯れる原因にもなるアブラムシやハマキムシには、注意しましょう。特にアブラムシは体長2~4㎜程度なのに、繁殖力が非常に強いため、葉の裏や新しい梢に発生していないかマメに確認してください。気温の上がる3月~10月にかけて長期間発生していますので、もし大量に発生してしまったら被害部分は切り取って焼却処分し、本体は殺虫剤を散布して駆除してくださいね。夏越し・冬越しの方法
ところで沈丁花は耐寒性と耐暑性がそれほど強くありません。なので、地域によって夏越しと冬越しの方法をご紹介します。夏越し
夏の直射日光と暑さは沈丁花にとってかなり負担になります。鉢植えであれば半日陰で涼しい場所へ移動して、株と用土の温度上昇を下げられるように工夫してくださいね。また葉や枝に霧吹きして水分を与え、葉の表面温度を下げることができますよ。地植えであれば、遮光ネットや庇をかけて、日光を遮りましょう。冬越し
また寒冷地では屋内で冬越しできるよう、鉢植えで育てるのもおすすめです。気温が5℃以下になったら屋内の日が当たる場所へ移動しましょう。東北南部までは地植えができますが、冬場は雨や雪、日光不足によりカビや病気が発生しやすい環境になりますよ。藁やバークチップなどでマルチングし、根の凍結を防ぎます。【増やし方】沈丁花を挿し木で増やそう
ここまで沈丁花の育て方や管理について改めて確認してきました。もし病気や寿命で枯れた時のために、沈丁花の増やし方をお伝えします。健康に育てていても、どうしても枯れる時はあるものです。沈丁花は突然枯れることもあるため挿し木で増やしておくと安心
沈丁花を栽培している園芸家の中には、常に数本挿し木で増やしておく方もいらっしゃいます。理由は、どれだけ健康に育てられていても突然枯れることもあるからです。そんな心配事を減らすためにも、ぜひ挿し木で増やす方法を解説します。沈丁花の挿し木で準備するもの
挿し木では、次の道具を準備します。- 沈丁花の枝
- 挿し木用土
- 鉢
- 剪定用バサミ
- ラベル
- 細い棒
- 発根促進剤
- ピンセット
沈丁花の挿し木の方法
挿し木の手順は次の通りです。ポイントは、剪定した枝を使用して挿し穂にすることと、成長がゆっくりなので約2カ月くらい気長に発根するまで管理することです。- 挿し木する前日に沈丁花へ十分に水やりしておき、翌日先端から約10~15㎝の長さへ枝を切り取りましょう。
- 吸水量を調整するため、先端の上葉を2~3枚くらい残して、他の葉を落とします。挿し穂の下の切り口は斜めに切って、切り口を約1時間くらい水へ浸けます。
- 自ら上げた挿し穂の切り口に発根促進剤を塗ります。
- 挿し穂用の苗床に細い棒で中心に穴を開け、挿し穂を1/3~1/2程度まで挿して、挿し穂がぐらつかないよう周りの用土をピンセットで押さえます
- 用土が乾燥しないようにたっぷりと水を与えます。
沈丁花の挿し木後の管理方法
沈丁花の挿し木したあとは、気長に管理します。特に発根がゆっくりな沈丁花ですから、1週間で発根するような植物と比べて慌ててはいけません。約2カ月くらい半日陰で管理して、根が10㎝くらい伸びたようなら2号ポットに植え替えましょう。新芽が伸びてきたら1株ずつ鉢へ植え替えていきます。地植えで育てる場合、1年鉢で育てたあとに地植えしましょう。【まとめ】沈丁花が枯れるのはどうして?原因や対処法から予防法まで解説!
最後まで読んでみていかがでしたでしょうか。沈丁花が枯れる原因はいろいろあるものの、枯れる原因や対処法を知っておくことで沈丁花のサインに素早く対処することができますね。 この記事のポイントは- 早春に綺麗な花を咲かせ、三大香木と知られる常緑の花木
- 沈丁花は葉や花、樹液などに毒性を持つ
- 沈丁花の寿命は20年〜30年
- 沈丁花は白紋羽病にかかりやすい
- 水はけが悪いと根腐れを起こし枯れてしまう
- 乾燥しやすい成長期の春や夏は十分に水を与える
- 植え替えや植え付けは細心の注意を払う
- 沈丁花は間引き剪定を軽く行うぐらいにする
- 枯らさないための予防が大切
- 病気:白紋羽病やウイルス病に注意
- 害虫:アブラムシやハマキムシに注意
- 沈丁花は挿し木で増やせる