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星型の小さな花と華奢で羽のような葉が可愛らしいルコウソウ(縷紅草)。生育旺盛なつる性の草花で観賞用はもちろん、垣根や緑のカーテンなど様々な場所に用いられ親しまれています。育てやすくピンクなどの華やかな花を咲かせるルコウソウを、お家で育てたいと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし性質や正しい育て方が分からないと、うまく育てられるか不安ですよね。
ルコウソウはどのような特徴を持った植物で、育て方のポイントには何があるのでしょうか。
そこでこの記事では、
- ルコウソウの特徴
- ルコウソウの育て方
- ルコウソウの植え付けについて
- ルコウソウに必要なお手入れ
- ルコウソウの人気品種
ルコウソウってどんな植物?
育て方を解説する前に、ルコウソウがどのような特徴を持った植物なのかをご紹介します。熱帯アメリカを原産とするヒルガオ科の多年草
ルコウソウは、熱帯アメリカ原産のヒルガオ科サツマイモ属の多年草です。暑さに強いつる性の植物なので、夏の時期には「緑のカーテン」としても人気がありさまざまな場所で栽培されています。耐寒性が低い為園芸上では一年草として扱われている
熱帯アメリカ原産のルコウソウは寒さに弱い性質のため、日本の気候では冬を迎える頃には枯れてしまいます。本来は毎年花を咲かせる多年草ですが、園芸上では春に種まきをして夏に開花し、晩秋に枯れる一年草として扱われています。7月中旬~10月中旬に特徴な星型の小さな花を咲かせる
春に種を撒くと7月中旬~10月中旬に星型の可愛らしい花を咲かせます。他の植物と比べて花の時期が長く、じっくりと花を楽しむことができます。花径は小さく2cmほどですが、旺盛に伸びたつるに沢山の花を咲かせるのでとても華やかな印象です。種類が豊富で赤や白、ピンクなど様々な色を楽しめる
ルコウソウは種類が多く、花色も赤や白の他にピンクなど様々で異なる雰囲気が楽しめます。また混色して植えると開花時期に色とりどりの花を咲かせ、お庭が一気に賑やかになるのでおすすめです。漢字で「縷紅草」と書くのは花色が由来していると言われています。種に毒を持っており食べると腹痛や下痢を引き起こすので注意する
ルコウソウの種にはファルビチンという成分の毒が含まれており、主な中毒症状は腹痛や下痢になります。種以外には毒性がないとのことですが、小さなお子様やペットが誤って口にしまいように注意が必要です。ルコウソウの育て方のポイント①置き場所
ルコウソウの特徴が分かったところで、ここからは育て方のポイントである置き場所について説明していきます。適切な環境に置くことで植物を健康的に育てることができます。日当たりと水はけの良い場所を好む
ルコウソウの栽培には日当たりと水はけの良い場所が適しています。丈夫な性質のため、地植えでも鉢植えでもよく育ちますが、鉢やプランターも日当たりの良い所に置くようにしましょう。短日植物でなので夜に灯りが当たらないようにする
ルコウソウは、昼の時間が短くなる夏至から冬至の頃に花をつける短日植物です。短日植物は暗い時間を葉で感じてつぼみを作る季節を判断するため、夜に灯りが当たらないように管理する必要があります。ネットやフェンスに這わせて緑のカーテンにもできる
日当たりの良い場所に植えるとつるが非常によく伸びます。ネットやフェンスに這わせると緑のカーテンになり、暑さをしのいでくれるのでおすすめです。またその性質からグラウンドカバーとしても多くの場所で取り入れられています。ルコウソウの育て方のポイント②水やり
次にルコウソウの育て方のポイント、水やりについて説明していきます。水やりはその植物の特性に合わせて調節することが大切です。土の表面が乾燥したらたっぷり水やりをする
水やりは基本的に、土の表面が乾燥して白っぽくなったら与えるようにします。水やりの際は、土の表面だけでなく中までしっかり行き渡るようにたっぷりの量を注ぎましょう。地植え:水やりの必要があり夏場は朝夕2回行う
地植えのルコウソウも基本的に土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えます。夏は気温が高い上に生育が旺盛になるので水切れしやすくなります。真夏の水やりは地植えであっても朝夕2回行いましょう。鉢植え:地植え同様夏場は朝夕2回行う
鉢植えのルコウソウも土の表面が乾いたらたっぷりの水を与えます。夏場は地植え同様朝夕2回の水やりが必要です。鉢植えは土が乾きやすいため、水やりの際は鉢底から溢れ出るくらいを目安に十分の量を注ぎます。ルコウソウの育て方のポイント③用土
次にルコウソウの育て方のポイント、用土について説明していきます。植物を健やかに育てるために土選びはとても大切です。水はけと通気性の良い土を好む
ルコウソウの栽培には水はけと通気性の良い土が適しています。地植えの場合は植え付けの2週間前に苦土石灰などを加えて耕し、やわらかい土を作ります。水はけが悪いようであれば、川砂などを混ぜ込んで土壌改良をしましょう。市販の「草花用培養土」が便利
一般的な園芸店やホームセンターなどで販売されている「草花用培養土」でも栽培可能です。必要な養分がバランスよく配合されているので、園芸初心者の人でも簡単にルコウソウに適した土が準備できて便利です。赤玉土小粒6:腐葉土3:軽石1の配合土でも良い
土を自分で配合する場合は、赤玉土小粒6:腐葉土3:軽石1の割合で混ぜ合わせた土を準備しましょう。生育環境やルコウソウの状態に合わせて、必要であれば微調整をしてください。ルコウソウの育て方のポイント④肥料
次にルコウソウの育て方のポイント、肥料について説明していきます。時期や量に気を付けて適切に肥料を施すことで、植物の成長を促します。元肥:植え付け時に緩効性化成肥料を与える
植え付け時に、元肥として緩効性化成肥料を土に混ぜておきます。ただしルコウソウは丈夫で育ちやすいため、地植えの場合は特にやせた土壌でなければ肥料はそれほど重要ではなく神経質になる必要はありません。追肥:7~10日に1度を目安に液体肥料を与える
苗を定植したら7~10日に1度を目安に薄めた液体肥料か、規定量の粒状肥料を株元にばらまいて施しましょう。特に鉢植えやプランターでの栽培では、養分不足にならないように定期的な追肥が必要です。肥料のやりすぎは花が咲かない原因になるので注意する
肥料は多ければ良いというものではありません。肥料の与えすぎはかえって株を弱らせたり、根を傷めたりするため注意が必要です。追肥は必ず適切なタイミングに正しい頻度で行いましょう。ルコウソウの植え替え・植え付け
ここからはルコウソウの育て方にも関係する、植え替えと植え付けについて説明していきます。植物の順調な生育のためにも、植え替えや植え付けは適期に正しい方法で行うことが大切です。植え替え・植え付け時期:5~6月
ルコウソウの植え付けの適期は、遅霜の心配がいらなくなった5~6月頃になります。種を直まきするか、苗を入手して定植します。ルコウソウを種から育苗ポットなどで育てている場合は、底から根が伸びはじめたら植え付けのタイミングです。植え替え:一年草なので植え替えの必要は無い
先にもお話しした通り、ルコウソウは春に種まきをして夏に開花した後、晩秋には枯れてしまいます。一年草として扱われており、植え替えは必要ありません。植え付け
ルコウソウを植え付ける際の手順や、苗選びのポイントについて以下にまとめましたので参考にしてください。苗の選び方
ルコウソウの苗を選ぶ際は、根元がしっかりしており葉の色つやの良いものを選びましょう。また虫が付いていないかや、変色などの病気の兆候がないかなどしっかり確認することも大切です。植え付けの手順
ルコウソウの苗の植え付け手順は以下の通りです。- 地植えの場合は植え付け2週間前に土に苦土石灰などを混ぜ込んでおきます。鉢植えの場合は大きめの鉢に用土を入れます。
- 苗を30㎝ほどの間隔を開けて植え付けます。鉢植えでは、65cmサイズのプランターに3株を目安に植えましょう。
- 日当たりが良く夜に照明が当たらない場所で、水切れを起こさないように管理します。
ルコウソウのお手入れ
ここまでルコウソウの育て方や植え付けについて解説してきました。植物をより長く健康的に育てるには、状態や成長に合わせたお手入れが必要です。ここからは、ルコウソウのお手入れやその方法について説明していきます。支柱仕立て
つる性の植物のルコウソウは、支柱に仕立てる育て方が一般的です。支柱に誘引することでキレイな見た目を保てる
つるが細く長く伸びて立ち上がらないため、ネットや支柱を立てて誘引します。生育が旺盛なので、つるが絡みやすくどんどん伸びてくれます。混み合った部分は適度に間引くことで見た目にも美しい状態を保つことが可能です。支柱仕立てに必要なもの
ルコウソウで緑のカーテンを作る際に必要なものを以下にまとめました。- ルコウソウの苗
- 35リットルの深型プランター
- 用土
- 鉢底ネット
- 鉢底石
- グリーンカーテン用のネット(網目の大きさ10センチ程度の物)
- 園芸用の支柱
支柱仕立ての手順
緑のカーテンの仕立て方の手順は以下の通りです。- プランターの底に鉢底ネットと底石を敷いて用土を入れます。
- 株間を20cm程開けて苗を植え付けます。
- グリーンカーテン用のネットの上下に支柱を取り付ける。
- 支柱をしっかり固定し、ネットを約70度の角度でたわまないように張る。
- つるが伸びてきたらネットに這わせるように誘引します。
摘心
伸びたつるの先を切って摘心することは、ルコウソウを育てるうえで大切なお手入れの一つです。摘心をすることでボリュームを出すことができる
摘心を適切に行うことで、わき芽が増えてボリュームが出ます。つるばかり伸びて花が咲かない場合には、花付きをよくするためにも効果的です。つるの数も増えるので、大きく育てたい場合は摘心をしましょう。摘心時期:本葉が7~8枚ほどに成長したタイミング
ルコウソウの摘心は、本葉が7~8枚ほどに成長した時が適期です。さらに成長して高く伸びてしまうと手がと届かなくなってしまう可能性もあるので、タイミングを逃さないように気を付けてください。摘心の手順
摘心の手順は以下の通りです。- よく切れる清潔な剪定ばさみを用意します。
- 本葉が7~8枚まで育ったルコウソウの先端部分を持ち固定します。
- 先端の葉2枚分の下の部分で切ります。
花がら摘み
花が終わった後の花がら摘みを行うことで、ルコウソウを美しく健康的に保ちます。花がらを摘むことで花を長く楽しむことができる
花がらをそのまま放置していると、種を付ける準備に入るため多くの養分を必要とします。種を採取する予定が無い場合は、花をより長く楽しむためにも咲き終わった花をその都度取り除きましょう。花がら摘み時期:花が咲き終わったタイミング
花がら摘みは花が咲き終わったタイミングで行います。咲き終わった花がらは後に勝手に落ちますが、手が届く範囲で見つけ次第取り除くことで害虫の予防にもなり株を健康に保つことにつながります。ルコウソウの付け根部分から摘み取る
花がら摘みの際は、ルコウソウの付け根部分から摘み取るようにしましょう。終わったものを見つけたら、指で花がらの根元をつまんでひねり取ってください。余分な部分を残さないことで新しい花にしっかり養分が届くようにしてあげます。増やし方:種まき
ルコウソウは種まきで比較的簡単に増やすことができます。種まきやこぼれ種で増やす方法が一般的
ルコウソウの増やし方は、種まきが最もポピュラーな方法です。タネは咲き終わった花をそのままにしておくことで採取できるので、乾燥させて次の種まきの時期まで保存します。また、こぼれ種でもよく増えます。種まき時期:5月中~下旬
種まきの適期は5月中~下旬になります。ルコウソウは発芽温度が高いので、早撒きは失敗のもとです。必ず5月に入ってから行いましょう。種まきの手順
種まきの手順は以下の通りです。- タネを一晩水に浸して十分に吸水させます。
- 3号ポットに2~3粒撒いて5ミリほど土をかぶせます。
- 発芽したら状態の良い1本を残して間引きます。
- 鉢底から根が見え始めたら根を切らないように定植します。
コツは発芽適温である20~25℃の時期に行うこと
種まきの作業自体は特に難しくなく簡単ですが、時期を間違えるとうまく増やすことができません。発芽温度が20~25℃と高めなので、、適期に行うことが種まきを成功させるコツになります。病害虫
次にルコウソウによく見られる病害虫や対処法についてご紹介していきます。病害虫によって植物の成長が阻害されるため、見つけたら早めに対処することが大切です。うどんこ病
風通しの悪い環境での栽培はうどんこ病を発症しやすくなります。うどんこ病にかかると、葉や茎に粉をまぶしたような白いカビが生えて光合成の妨げになるため注意が必要です。生育不良に陥る前に、早めに罹病部分を取り除くか薬剤を散布して対処します。斑点病
湿度が高く風通しが悪いと斑点病を発症しやすくなります。斑点病にかかると葉に褐色の斑点が現れ、放置していると生育不良に陥ります。早めに薬剤を散布して、栽培環境や育て方を見直してください。アブラムシ
アブラムシは植物の新芽を好んで寄生し、汁液を吸って弱らせます。また、アブラムシの排泄物はすす病を誘発するため、罹病すると葉や茎が真っ黒になることもあります。繁殖力が高く、ウィルスを媒介しやすいので見つけ次第薬剤を使って駆除しましょう。ハダニ
ハダニは葉の裏に寄生して汁を吸い植物を弱らせます。被害が進行すると葉色が悪くなり、最悪の場合枯れてしまいます。ハダニは水に弱いため散水によって数を減らすことはできますが、被害の進行が早いので薬剤を散布して対処した方が良いでしょう。ルコウソウの人気の品種を紹介
ルコウソウには他の種類も存在し、最後にその人気品種をご紹介していきます。育て方に大きな違いもありませんので、品種選びの参考にしてください。マルバルコウ
マルバルコウはルコウソウの近縁種で、日本各地の山野で見かけます。葉が可愛らしいハート型で、鮮やかなオレンジ色の花を咲かせます。葉の特徴から漢字で「丸葉縷草」と付けられています。マルバルコウソウと表記される場合もあります。ハゴロモルコウ
ハゴロモルコウはマルバルコウソウとルコウソウの交雑によってつくられた品種です。星型の真っ赤な花とモミジのような葉が特徴的です。ルコウソウと比べるとやや大きめの直径3cmほどの花を咲かせます。【まとめ】ルコウソウの育て方を紹介!成長後のお手入れ方法から人気品種まで
ルコウソウの育て方について詳しく解説してきました。 本記事の内容は、- 熱帯アメリカ原産のヒルガオ科サツマイモ属の多年草で、園芸上では一年草扱いの草花
- 日当りと水はけが良く、夜に灯りが当たらない場所で育てる
- 土の表面が乾いたらたっぷりの水を与え、真夏は朝夕2回水やりをする
- 水はけと通気性の良い土で育て、植え付け時の元肥の他に7~10日に1回追肥が必要
- 植え付けの適期は5~6月頃で、苗同士の間隔を30㎝程開けて植える
- 支柱仕立てや摘心、花がら摘みなどのお手入れが必要
- マルバルコウやハゴロモルコウなどの品種がある