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キョウチクトウというお花をご存知でしょうか。主に緑化樹として公園や緑地、工場や車の往来が多い道路の緑化として知られています。お花の名前は知らなかったけど、なんとなく見かけたことがあるという方も多いのではないでしょうか。キョウチクトウは寒さや乾燥、大気汚染などの悪環境にもすこぶる強い性質を持っています。かつて公害が有名だった工業地域で、他の植物かほとんど枯れたりした中、最後まで耐えぬいたのがキョウチクトウだったのです。 そこで今回は
- そもそもキョウチクトウってどんな植物なの?
- キョウチクトウの花言葉
- キョウチクトウの怖い花言葉の由来
- キョウチクトウは贈り物に適してる?
キョウチクトウってどんな植物なの?
キョウチクトウは6~10月頃が開花時期で、春から夏にかけてきれいな花を咲かせます。品種改良も進んでおり、一重咲きや八重咲き、ピンクや赤色、覆輪の花びらなど様々な種類を楽しめるようになっています。またキョウチクトウ大きな特徴は、花や葉、枝、根や果実などのすべての部分に毒性を持つことです。青酸カリよりも強いオレアンドリンなどが毒の成分で、体内に入ると心臓発作や下痢、痙攣などを引き起こします。ここからはキョウチクトウの特徴を一つずつ紐解いていきます。インドが原産地であるキョウチクトウ科の植物
日本のキョウチクトウは、インド原産の品種が中国経由で江戸時代終盤に伝わりました。 キョウチクトウ科の植物は、もともとは熱帯性の常緑の小高木や低木ですが環境対応力がとても強く、世界中の温帯地方にまで広がって自生しています。インド原産ですから熱帯性ですが、根付くと寒さにも強く、大気汚染などの公害にも強く、病虫害にも強いことから街路樹や公園樹に用いられることが多い樹木です。6〜10月の時期に長期間花を咲かせる
4月頃から新芽を出して生育期に入り6〜10月に開花します。冬でもみずみずしい枝葉を保ちますが生育は止まります。またキョウチクトウはガーデニング初心者でも栽培のしやすいとても丈夫な植物です。植えつけは4月~9月の土の温度が下がらない暖かい頃に行い、水はけの良い場所を選び、土には事前に元肥を施しておきましょう。本来は熱帯性ですが、いったん根づくと寒さに強く、東北の南部でも戸外で越冬できるほど丈夫で、大きな庭木に育ちます。注意すべき点は、枝、葉、花、実など全体に強い毒性があること。剪定時は樹液などが着かないように手袋などで必ず防護してください。切った枝葉を燃やすと毒性のある煙が発生するので、処分には特別の注意が必要です。ピンクや白い花だけでなく紫や黄の花色もある
花色はピンク、白、赤、オレンジ、紫、クリームなどさまざまな種類があります。花径はおよそ4〜5cmほどです。一つひとつの花は小さいのですが、開花期には株を覆うほどに咲き乱れます。多くは一重咲きですが、八重咲きも出回っています。もっとも多く見かけるのはピンク色で八重のものです。三輪性で葉脈のはっきりしている葉を生やす
キョウチクトウは、葉の付き方が特徴的な樹木です。葉のつき方が大きく分けると、互生(ごせい)対生(たいせい)輪生(りんせい)の3つに区分され、キョウチクトウは三輪生になります。輪生とは一か所から三枚以上の葉っぱが出る種類のことです。同じ場所から三枚以上も葉っぱが出ていると車輪のように見えることから輪生といいます。キョウチクトウみたいに一か所から三枚出ているタイプを三輪生というわけです。光沢の葉で細長い形をしているのも特徴です。
葉がタケに、花がモモに似ていることから和名「夾竹桃」
葉は先がとがって細長く光沢があるので「竹」の葉とよく似ています。花色は濃いピンク色が多く「桃」の花に似ています。「夾」は中国語で“挟まる”とか“混ざる”という意味があります。竹と桃が混ざった花木なので「夾竹桃」なのです。キョウチクトウの花言葉とは?花言葉の詳細も解説
竹のような葉と桃のような花が愛らしいキョウチクトウですが、どんな花言葉があるのでしょうか。可憐な見た目とは裏腹に毒性を持つキョウチクトウ。「美しいものには人を傷つける一面がある」という教訓にも似た、キョウチクトウの特性を連想させる花言葉の数々をご紹介させていただきます。そもそも花言葉とは?
花言葉とは、植物の花の特徴や葉の形、香りなどから付けられているその植物の象徴的な意味を持つ言葉です。花言葉の発祥は17世紀のトルコだと言われており、文字や言葉では伝えきれない思いを花に持たせて、送っていたそうですよ。キョウチクトウには危ないイメージの花言葉がある
キョウチクトウの花言葉には、「油断大敵」、「注意」、「用心」、「危険な愛」、「恵まれた人」という意味があります。【油断大敵】
「油断は失敗のもとであるから、大敵である」。油断して失敗を招くのを戒めた言葉が「油断大敵」ですよね。キョウチクトウの可憐で愛らしい見た目に油断して、うかっり毒性の毒性の部分に触れないようにしましょう。【注意】
こちらも同じく、キョウチクトウが毒性を持つことから由来されています。「注意」とは悪いことが起こらないように、気をつけたり、用心したりすること。キョウチクトウの取り扱いにも十分に注意してくださいね。【用心】
「用心」とは、万一の事や不測の事が起こらないように、またはそうなってもあわてないように、気をつけること。こちらも同じくキョウチクトウが毒性を持つことから由来されていますね。【危険な愛】
毒性を持つゆえに危険なお花といわれてるキョウチクトウですが、艶やかなピンクや可憐な白など綺麗な花を咲かせることから、多くの人に愛されています。危険だとわかっていても止められない愛もあるかも?【恵まれた人】
毒性を持つがゆえに危険なニュアンスの花言葉を持つキョウチクトウですが、一方で「恵まれた人」、「親友を大切に」、「友情」、「心の平和」など真逆にも思える花言葉も存在します。かつて原爆が落ちて凄惨な状態となった広島市は、数十年は花も木も咲かないと言われていました。だがキョウチクトウだけが他の植物より先に花を咲かせ、沈んでいた人々の心に希望を与えたいわれております。そうしたことから平和や復興の象徴としても有名なお花として知られています。そして、いまでも平和公園通りにはキョウチクトウが咲き誇っています。英語での花言葉も似た意味である
花言葉の決め方は国の文化やその特徴などで決まるので、日本と海外では意味が異なる場合がありますが、キョウチクトウはどの国も共通したニュアンスの花言葉を持っています。英語の花言葉は「beware(警戒する、注意する)」、「caution(用心)」。 また、ドイツ語では「Vorsicht(注意)」、フランス語では「mefiance(不信感)」や「attention!(気を付けろ!)」などがあります。【beware(注意する)】、【caution(危険)】
過去、アメリカなどではバーベキュー串の代わりにキョウチクトウの木を使って死亡した事件がありました。その毒性は青酸カリよりも強いとまで言われていて、その毒性に対してbeware(注意する)、caution(危険)といった花言葉が名付けられています。花色別の花言葉はない
白、黄、ピンク、紫などの色の花を咲かすキョウチクトウですが、色別の花言葉はありません。キョウチクトウの怖い花言葉の由来を知ろう
花言葉は、アラビア地方の「セラム」という風習が起源と言われています。セラムとは、気持ちや愛の言葉を伝える表現方法、いわばラブレターのようなものです。それが日本には明治時代の初期のころに、西洋文化とともに花言葉が伝わり、そこに花に関する意味がこめられ、花言葉となりました。 そういったことからポジティブな内容が多い花言葉ですが、中にはネガティブな意味を持つ花言葉も存在します。そしてキョウチクトウは「怖い」花言葉を持つお花として知られています。ではなぜ怖い花言葉になったのでしょうか。強い毒性があることに由来している
竹のような葉と桃のような花が愛らしいキョウチクトウですが、可憐な見た目とは裏腹に「オレアンドリン」という強い毒性を持っています。そのような毒性を持つ特徴から由来して花言葉が名付けられています。花や茎、葉など全てに毒がある
キョウチクトウは葉、枝、根、樹皮、さらには花まですべてが有毒で、誤って食べると嘔吐や眩暈、下痢などを発症し、最悪の場合は死に至る可能性もあります。野外活動の際に調理に用いたり、家畜が食べたりしないよう注意が必要です。また生木を燃やした煙も有毒ですので焚き火なので誤って混入しないように注意しましょう。1975年にフランスで死亡事故の原因となっている
キョウチクトウは持つ毒性により、人間や動物が死亡した事故例がいくつか報告されています。フランスでは1975年にバーベキュー中に7人の男女が死亡するという事故が起きました。バーベキューの串に使っていたのがキョウチクトウの枝だったそうです。火に焼かれることでオレアンドリンが染み出し、肉や野菜にも染み込みそれを食べたために7人もの人間が亡くなりました。オーストラリアでもバーベキューの串に夾竹桃の枝を使用し、11名中10名が死亡しており、日本でも箸代わりに使って中毒したという事故が報告されています。「ふぐ(河豚)より怖い夾竹桃(キョウチクトウ)」という教訓もあるのだとか。8月9日・8月12日の誕生花
キョウチクトウの誕生花は8月9日、8月12日です。誕生花とは特定の花が生まれた月日にちなんで365日それぞれに割り当てられており、花や木などの植物には神秘的な力が宿るとされ、神々や暦と関連付けられたものと考えられています。8月9日といえば「長崎原爆の日」。長崎に原爆が投下された日です。8月12日は君が代が正式に国歌された「君が代記念日」、青少年に関する様々な社会問題を改善・解決するために国連によって制定された「国際青少年デー」として知られています。人々が平和を願う気持ちをキョウチクトウになぞらえて、誕生花とされたのかもしれませんね。キョウチクトウは悪いことだけではない
毒性により怖い花言葉を持つキョウチクトウですが、悪いことだけではありません。実は広島市では世界の恒久平和を祈念して「平和の輪」を広げるために、平和記念公園内にあるキョウチクトウを挿し木して育てたものが配布されているのです。なぜこのような取り組みが行われているの?なぜキョウチクトウなの?その理由をご紹介します。被爆した広島の地では広島市の花に制定されている
原爆が落ちたあと、広島で最初に花を咲かせた植物がキョウチクトウだったことから、広島市の花として復興のシンボルとなりました。1945年8月6日に広島市に投下された原子爆弾の影響で「草木が生えるまでに数十年かかる」と言われていたにも関わらず、焼け野原にいち早く咲いた花がキョウチクトウだったのです。「市民に希望と力を与えてくれた」として広島市の「市の花」に指定されました。暑さが厳しくなる頃に花を咲かせ「8月6日の平和記念日の頃に花の盛りを迎える」とも言われています。広島市内に多く植えられていて夏頃になると赤・ピンク・白などのキョウチクトウが水辺を華やかに彩っています。長年、公害に苦しんだ川崎市でもその間生き耐え抜いた
大気汚染などの影響で、長年の公害に苦しんだ神奈川県川崎市。その影響で多くの樹木が衰えたり枯死したりする中でキョウチクトウだけはよく耐えて生育したといわれております。以降、現在に至るまで川崎市の緑化樹として広く植栽されており、街中や高速道路沿いなどでもよく見られます。生命力の強さから、人々に力をくれる
毒性が強く、取り扱いには注意が必要なキョウチクトウですが、その反面どのような環境でも生き延びる強い生命力を持っています。戦争や災害などによる「植生への大きなダメージ」を受けた後でも、次の時期には再び花を咲かせるほどの強い生命力を持っている植物なので、復興のシンボルとして人々に力を与えてくれます。また排気ガスなどの大気汚染や公害によって植物が育たない土地で緑化のために植えられたり、高速道路の中央分離帯に植えられたりしています。キョウチクトウの花言葉にあった贈り物のシーン
お花のギフトに花言葉を添えることによってメッセージ性の強い素敵な贈り物になりますが、キョウチクトウの花言葉にあった贈り物のシーンはあるのでしょうか。強い毒性を持つことから贈り物には不向き
キョウチクトウは強い毒性を持つことから、贈り物には不向きとされています。お花をあまり詳しくない方にプレゼントして、万が一でも大切な人を傷つけたくないですですよね。どうしてもキョウチクトウを贈りたい場合は、切り花では扱いがないので鉢植えになります。花言葉も怖いことからプレゼントには控えた方が良い
キョウチクトウの花言葉は「油断大敵」「危険な愛」「用心」「注意」です。これはキョウチクトウに毒が含まれているためにつけられた花言葉で、感謝やお祝いなどで贈るには向いていないので、なるべくキョウチクトウのプレゼントは控えるようにしましょう。自分の家での観賞用として楽しむのがベスト
キョウチクトウは毒があるものの管理がしやすく比較的育てやすい樹木です。もし自宅の庭などで育てる場合は、あまり日が当たらないと花が咲きにくいため、日当たりのよい場所に植えましょう。成長すると5~6mほどの高さになるため、地植えするのがおすすめです。基本的には降水による雨水で十分なため、頻繁に水やりをする必要はありません。雨があまり降らないときに、土の表面が乾いたら水やりをするので十分です。枯れにくいという特性もありますが、有機肥料を与えるとより丈夫に育ちます。毒性に気を付ければ、植えた後は自然の力に任せて育っていくため園芸初心者でも簡単に育成可能です。害虫もほとんどつきませんが、日照不足や湿気に気を付けましょう。【まとめ】キョウチクトウの花言葉とは?怖い由来や贈り物のシーンを紹介!
キョウチクトウの花言葉についてご紹介させていただきました。 記事のポイントは- キョウチクトウは綺麗な花を咲かせるが毒性を持つ
- キョウチクトウの花言葉は毒性を持つことから由来されている
- どのような環境でも生き延びる強い生命力から、平和や復興のシンボルとして愛されている
- プレゼントには不向き