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ハート型の大きな葉っぱが可愛いフィカス・ウンベラータ。最近はドラマやMVの撮影にも使われるほど人気の観葉植物です。 このウンベラータの幹から、気根と呼ばれる細い根が生えることはご存知でしたか?ご存知ない方は下記の写真をご覧ください。少し不気味な印象ですかね?実はこの気根には、ウンベラータが成長する上で大事な役割があるようです。 そこで今回はウンベラータの気根について詳しく解説します。ご紹介する内容は、
- ウンベラータから生える気根とは何か?
- ウンベラータに気根が生える理由・気根の果たす役割
- ウンベラータの気根が生える部位
- ウンベラータの気根は生かすべきか?殺すべきか?
- 伸びてきたウンベラータの気根を今後どうする?
- 効率よくウンベラータの気根を伸ばす方法
ウンベラータの茎から根っこ出てきた!気根ってなに?
大きなハート型の葉っぱを生やし、丈を高く伸ばして成長するフィカス・ウンベラータ。この人気の観葉植物ウンベラータに生える細い根、いわゆる気根というものですが、これは一体なんでしょうか?気根の存在理由や果たす役目についてまずは見ていきましょう!気根(きこん):植物の地上の茎もしくは付け根にあたる部分から空中に生えるひげのような細い根
気根とは、植物の茎や付け根あたりから伸びてくるヒゲのような細い根です。成長期のウンベラータは気根を生やしながら成長し、やがて気根は土に着地すると幹にまで巻きついてきます。気根が生える理由
ウンベラータの幹に気根が生えるのは、下記の2つの理由によるものです。一見頼りげに見えるこの気根というものも、生えるにはきちんと理由があるようですね。詳しくご説明しましょう!空気中の水分や栄養を取り込むため
ウンベラータに気根が生える理由のひとつは、この気根によってウンベラータが、空気中の水分や栄養、酸素などを取り込んでいるからです。これは、ウンベラータの原産地である熱帯・亜熱帯地域の環境が高温多湿であり、そういった環境の中では、気根を通して空気中から水分や養分を取り込んだ方が生き延びやすいという、ウンベラータの生存戦略に基づくものです。幹を支えるため
ウンベラータの気根が生える理由のもうひとつに、倒れやすい幹を支える支柱根としての役割があります。もともとは水分や養分を求めて生え伸びた気根も、植物が大きくなるに従い太くなり、地面に接すればそのまま地中に潜り込むこともあります。 土中に潜り込んだ気根は、土と活着し水分や養分を吸い上げながら伸び続け、気根自体が木質化して幹と区別がつかないような立派な見た目になります。気根が生える原因は木が順調に育っているから!
ウンベラータから気根が生える原因は、ウンベラータの生育が旺盛になっている証です。またウンベラータの気根が生えやすい、温暖で湿潤な環境をうまく作り出せていることの証左でもありますね。その証拠に気温が低く乾燥しがちな冬場の休眠期になると、ウンベラータの気根は生えてもすぐに枯れ、ポキポキと折れてしまいます。ウンベラータは気根を生やしてワイルドな樹形になる観葉植物
ウンベラータと並び、気根を生やす植物として有名なのが、沖縄で聖木として崇められているガジュマルです。ウンベラータもガジュマル同様に、気根を幹に絡ませながら伸びるので、成長したウンベラータにはある種の聖性や野生の凄みがありますね。 買ってきてすぐのウンベラータが、そのまますぐに気根を生やすケースは稀のようですが、育て方次第ではすぐにでも気根を見られる育て方のコツがあります。気根の出し方については、後述する「ウンベラータの気根の伸ばし方」と「ウンベラータの気根を出したい」の項目を参照して下さい!ウンベラータの気根はどこにあるの?
ウンベラータの気根はどの部分から生えているのでしょうか?「育てているウンベラータに気根が生えてこないので不安」という方、あるいは「どこに気根があるのか分からない」という方は、下記の文章と写真を参照してください。茎の途中に生えている長細いツルがウンベラータの気根
茎の途中に生えている細長いヒゲ根のような部分がウンベラータの気根です。ウンベラータは枝の途中に節目があるかと思いますが、その節目の近辺に集中的に気根が生える傾向が強いみたいです。また緑の枝の部分より木質化した枝の部分に生えてきやすい傾向もあるようです。幹の根本から出ることもある
ウンベラータの根株に近い部分から生え出ているのも気根です。根本から生えている気根は、放っておくと地面まで伸びて土の中に潜り込むようになりますが、土に潜った気根は土の中からも栄養や水分を吸えるので、より太く成長して幹と見紛うほど太く育っていきます!ウンベラータに気根が生えてきたらどうするのがいいの?
ウンベラータの気根はどうするのが正しいのでしょうか?これまで気根を生やす植物を育てたことがない方にとっては、一見ウンベラータの赤茶色の気根が、不気味に映ってしまうかもしれません。ですが気根はウンベラータの成長に欠かせない重要な器官でもあります。以下を参考に、気根との正しいお付き合いの仕方を学びましょう!結論:気根は切らずにそのまま伸ばすべき
気根はウンベラータの成長の過程で自然に伸びるものです。土を乾燥気味に育てるとよく育つのがウンベラータのような熱帯で育つ観葉植物の特徴ですが、その分、土の中で吸えない水分や酸素を空中で摂取するために気根が生え出てきます。 気根を完全に無くしてしまうと、土の中で成長に必要な栄養や水分を全部補わないといけなくなってしまうので、自然と水やりの頻度をあげてしまい、根腐れさせてしまうというケースも少なくありません。結論としては、極力気根をそのままにしてはウンベラータを育てるのがベストと言えるでしょう!幹に巻き付かせてもOK
気根は成長するに従い、ウンベラータ自身の幹に巻きついたり、他の植物が近くにあればそれに巻きついてしまうこともあります。一度地面まで達した気根は、再び幹に巻きついて上方に伸びてきます。気根を湿らせ気味に育てれば、簡単に手で曲げることができますので、そのまま幹に巻き付けてしまうこともできます。地面につきそうな気根は埋めてあげよう
地面まで伸びてきそうな気根は、そのまま土に埋めてあげて、土からの栄養と水分を吸わせてさらに太らせましょう! また土に届きそうで届かない気根は、手で軽く折り曲げてあげて土に誘引させてあげることが出来ます。強引に曲げてしまうと、気根が途中で折れてしまうので力加減には注意が必要です。そのような幹に絡みつく気根をもつウンベラータは、まるで「天空の城ラピュタ」のような神秘的な雰囲気!インテリアとしての存在感も大です!気根が多すぎる場合は1〜2本剪定する
土に到達せず、ひょろひょろと伸びているウンベラータの気根は、あまり見映えのするものではありません。他に十分に根を下ろしている気根があるのであれば、余分な気根を適当に剪定してあげて、ウンベラータの美しい樹形を保ってあげましょう!剪定する時は根本から
ウンベラータの気根を剪定するときは、必ず根本から気根を切るようにしてあげます。というのも気根の途中でカットしたとしても、切り口から再び気根が枝分かれして伸びてきて、より見映えが悪くなることが少なくないからです。また気根の切り口からは白い樹液が出ることがありますが、この樹液は有害なので手で触れないように、あらかじめゴム手袋をつけて作業することをお勧めします!気根を全て切ると、生育不良を起こすこともあるので注意
気根は空中からだけでなく地中からも、栄養や水分、酸素を吸いあげるウンベラータの重要な器官です。不用意に全ての気根を切り落としてしまうと、枯れ込みや徒長、根腐れなどの生育不良を起こす原因となります。また、茎の上の方にひょろひょろと伸びる気根は確かにみっともないですが、根本付近に絡みつく気根は雄大な雰囲気があり、切るには勿体無いほどエレガンスでもあります!ウンベラータの気根の伸ばし方
ウンベラータは、育て方次第で比較的すぐに気根を生やすことができます!気根を出したい方、あるいは気根を幹に絡ませて野生的な雰囲気を醸したいという方は、下記の方法を参考にウンベラータの気根を伸ばしてみてあげて下さい!小さいうちは霧吹きで葉水して伸ばす
ウンベラータに生え始めたばかりの気根は、それ自体がまだ養分と水分を含んでいないので、ヒゲ根のように弱々しく、放っておくとすぐに枯れてしまうことも少なくありません。気根を太く育てるためには、湿度が高い環境でよく育つという気根の特徴をうまく生かしてあげることが必要です。 具体的には、霧吹きを使い気根に葉水をし、気根から効率よく水分を吸わせてあげると良いでしょう!この方法をさらにアレンジした気根を伸ばす裏技で、水やりをしたウンベラータ全体にポリ袋を被せ数日放置し、ポリ袋内の湿度を高めてあげるという方法があります。袋を被せて放置する期間が長すぎると呼吸不足になるので注意が必要ですが、確かに即効性はありますので、興味のある方は是非試してみてください!成長したら支柱を立てて気根を幹に誘導させる
成長した気根は、支柱を立てて幹に誘引させてあげるといいでしょう!支柱の種類はなんでも構いませんが、麻紐などで軽く縛るなどして、見映え良く仕上げる方法がお勧めです。伸びすぎにも気をつけよう
気根を生やすとともに大きく成長するウンベラータですが、あくまでテーブルサイズで楽しみたいという方は、気根を伸ばしすぎずに育てた方がいいでしょう。また地植えと違い鉢植えで育てるウンベラータの場合、土の容量に限りがありますので、土中に蔓延る気根も根詰まりの原因となります。 また土の中で根が伸びる余裕がなくなったウンベラータは、空気中の酸素を掴まえるために、さらに地上で気根を生やしやすい傾向があるとも言われています。定期的な植え替えを行うとともに、古い気根も剪定してあげる癖をつけましょう!ウンベラータの気根を土に埋める方法
ウンベラータの気根はお家にあるアイテムだけで、簡単に土の中に埋めてあげることができます!しかもウンベラータの気根を土に埋めることで、さらに元気にウンベラータの生育を促してあげることができますよ!以下の方法を参考に、是非気根を土の中に埋めてあげてみてください!地中に気根を埋めることで株が安定する
ウンベラータの気根は土に埋められることで、支柱根としての役割を果たし、株が安定して生育するのに貢献します。また土中の栄養や水分を吸い上げることで、気根自体を太らせると共に、ウンベラータ本体の幹や葉っぱに栄養を効率よく届ける役割も果たしますよ!気根を埋めるのに必要なもの
- 割り箸(未使用のもの)
- ゴム手袋(樹液対策)
- 新聞紙(樹液で土や床を汚さないため)
気根を埋める方法
ウンベラータの気根を土に埋める方法は、割っていない未使用の割り箸を土に挿し、割り箸の溝にウンベラータの気根を這わせて土へと誘引する方法が簡単です。また、ある程度栄養と水分を吸って太く育ったウンベラータは、手で軽く折り曲げてあげるだけでも土に埋めることができますね。その際誤って気根を折ってしまわないように注意すると共に、手袋をして作業をし、傷口から出る樹液に触れないように注意が必要です。ウンベラータの気根を出したい!自分でできる出し方はあるの?
実はウンベラータの気根を、人為的な手段で短期間に旺盛に繁殖させる方法があります!一見、「その方法で大丈夫?」というような野蛮な方法ではありますが、ほぼ間違いなく気根が生える方法ですので、是非参考にしてみて下さい!結論:幹に傷をつけることで簡単に気根を出すことができる
人為的に行える気根の出し方は、ウンベラータの幹に傷をつけることです。理論的な裏付けは把握できておりませんが、幹に傷がつくことで何らかの刺激が起こり、気根を出す成長点となるということがはっきりと確認されています。傷の付け方
傷の付け方自体は簡単です。ナイフやハサミの先で軽くウンベラータの幹に傷をつけてあげるだけです。それも幹を切り落とすような深い切り込みではなく、表面に軽い切れ込みが出る程度の傷で構いません。切り口から滲み出てくる樹液には注意
ゴムの木の仲間であるウンベラータは、幹の切り口から有害な白い樹液が出ます。この樹液は手に触れるとカブれるだけでなく、床や衣服に付くと洗っても取れない性質があるので注意が必要です!傷をつける作業をする際には、必ずゴム手袋をし、エプロンをつけ、床を汚さないように新聞紙を敷いて作業をしましょう!気根以外に、脇芽が出てくるのも期待できる
この幹に傷をつける方法で、ウンベラータの脇芽が出てくることがあります。ひとつのウンベラータから複数に枝分かれした樹形を楽しむことが出来るので、興味のある人は是非実践してみて下さい。たとえ脇芽の発芽に失敗したとしても、ウンベラータ自体が枯れてしまうわけではないのでリスクはありません。ウンベラータの気根が生える原因とは?気根の管理方法まで紹介!まとめ
今回は、フィカス・ウンベラータの気根について詳しく解説させていただきました。ウンベラータから伸びる気根には、成長を助ける役割とは別に、見た目で個性を主張する魅力があり、なかなか興味深かったですよね。 今回の記事をまとめると、- ウンベラータの気根には、空気中の水分や栄養などを吸わせる根の役割がある
- ウンベラータの気根には、株を安定して生育させる支柱根としての役割がある
- ウンベラータの気根は、ウンベラータの生育を助けるので極力切らない方がいい
- ウンベラータの気根は幹に絡んで生育する特徴がある
- ウンベラータの気根は地中に潜り、土の中の養分や水分を吸い気根自身を太らせながら、株本体にも栄養や水分を届ける
- 気根は温暖で湿潤な環境でよく育つ傾向があり、葉水などで湿度を高めるとよく伸びる
- 放っておくとウンベラータが気根だらけになるので適宜剪定を施す
- 根詰まりを防ぐために土の中の気根も植え替えの時に剪定をする
- ウンベラータの幹に傷をつけると、そこから気根が生え出る
- ウンベラータの気根は太らせると木質化し、幹のようになって自由に樹形を展開する