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ぷっくりとして、まるでグミのような愛らしい葉をもつハオルチア。その独特のフォルムと透明な葉に魅せられてハオルチアを育て始めたという方も少なくないのではないでしょうか。しかし、育てていくうちに、徐々に葉の透明度が失われてきたような気がするけれど、どうすれば元の綺麗な透明さを取り戻すことができるのだろうと悩みを持たれたことはないでしょうか。せっかく育てるならば、あの美しい透明さをキープしたまま、上手にハオルチアを育てていきたいものですよね。そこで今回は、ハオルチアを透明にするにはどうすれば良いかについて詳しく解説していきます。
本記事を読むと
- ハオルチアの葉が透明な理由
- ハオルチアの葉が不透明になる原因
- ハオルチアの葉を透明にするコツ
がよく分かるようになります。ぜひ最後まで読み、ハオルチアを美しく育てるコツを会得して下さい。
ハオルチアの葉を透明にするにはどうするべき?
ハオルチアの葉を透明にするにはどうしたら良いのかという話に入る前に、まずはハオルチアの葉の構造をおさらいしておきましょう。
そもそもハオルチアの葉の先端には「窓」と呼ばれる透明な部分がある
ハオルチアには硬葉系と呼ばれる種類と軟葉系と呼ばれる種類があります。今回取り上げている透明の葉が見られるのは軟葉系になります。
窓によって葉の内部で光合成できる
ロゼット形の可愛らしいハオルチアは春秋生育型の多肉植物です。原産地は南アフリカからナミビア南部にかけてで、その種類はおよそ100種にもなると言われています。その中でも透明な葉を持つ品種は一部だけで、全ての品種が透明な葉をしているわけではありません。原産地では、ハオルチアは岩場などの物陰に自生しており、身体のほとんどは砂に埋もれています。これは敵から身を守るためだと考えられています。そのような独特の生え方をするハオルチアですが、植物なので光合成をしないと生きていけません。光合成をするためには、葉緑体に光を取り込まないといけないのですが、砂の中に埋もれてしまっている葉緑体には当然光は届きません。そこで重要になってくるのが、ハオルチアに見られる透明な「窓」なのです。この窓を通じて光を取り入れることで、体内の葉緑体に十分な光を与えることができるのです。ハオルチアにとって、透明な部分は天窓のような存在であり、生きていく上で大変重要なものなのです。
透明な窓がインテリアにも映える
植物というと多くは不透明な緑色をしています。その中でハオルチアのような透明さを持っている植物というのは大変珍しいです。しかも、ハオルチアは大きくなっても最大で15cm大とコンパクトであり、室内で生育することが可能な植物なので、インテリアグリーンとしても大変人気が高い植物です。透明な葉は、一見すると葉っぱのようには見えず、ちょっとミステリアスな植物に見えるところも魅力的ですよね。この透明さを失わないようにするためにも、ハオルチアの適切な生育方法を知りましょう。
ハオルチアの「窓」は経年によって透明度が低くなることもある
どんなにきちんとお手入れしていても、生き物である以上、歳にはかないません。それはハオルチアも例外ではありません。生まれたての新芽が瑞々しく綺麗な色を保つように、ハオルチアの新芽は透明度も高く、水分を沢山含んでプルプルしています。軟葉と呼ばれるに相応しい肉厚感を堪能することができます。しかし、時が経つにつれて、葉の瑞々しさは損なわれ、それに伴いハオルチアの窓の透明度も落ちていきます。これは育て方の問題でもハオルチアの問題でもありません。経年による劣化は止めることができないものと心得ておきましょう。どうしても透明度の気になるハオルチアの葉があるならば、それだけ摘んでしまうというのも手ですよ。
ハオルチアの窓が透明感を失う原因や透明にするにはどうしたらよいかを解説
経年劣化によるハオルチアの葉の透明度の低下以外で、ハオルチアの葉の透明度が落ちてきてしまったという時にはどうすれば良いのでしょうか。特に、お店で見た時は透明で素敵だったのに、家で育て始めたらあっという間に不透明になってしまって困っているという方、なんとかして透明にする方法を知りたいですよね。本記事では、ハオルチアの透明感がなくなる原因、再度透明にする方法について詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみて下さい。
ハオルチアの透明感がなくなる原因3選
ではここから、ハオルチアを再度透明にする方法ついて解説していくべく、まずは、透明感が損なわれる原因からチェックしていってみましょう。
原因①日照が不足している
ハオルチアは強い光を必要としない植物で、室内環境でも育てられるものとして知られています。原産地では岩場などの物陰に自生しているぐらいなので、本来光はそれほど必要ないの環境で成長してくれます。しかし、常時日陰や半日陰に置いておくのは問題です。
ずっと日光の当たらない室内だけで管理していると、不透明さが顕著になってくるということは覚えておきましょう。
光合成をおこなうことができず栄養不足になる
先程も触れたように、ハオルチアの窓はハオルチアに光合成をさせるための重要なものでした。光合成をするためには光が必要なため、日照不足になると光合成が行われなくなります。その結果、光合成で得られるはずの生育に必要なエネルギーや栄養を得ることができず、ハオルチアの生命を削り取ることになり、最悪枯れてしまうこともあります。ハオルチアは光合成をするためにわざわざ今の姿に進化してきた植物と言っても過言ではありません。それだけ光合成はハオルチアにとって本当に必要不可欠なものなのです。
徒長の原因にもなる
日照不足のせいでハオルチアの葉がきちんと光合成できなくなってしまうと、植物そのものが軟弱化してしまう徒長も起きやすくなってしまいます。室内で育てられるからと常時日光から離れた室内で管理するのはできるだけ避けた方が良いです。
原因②水が不足している
極度の水切れ状態に陥ると、やはり光合成に問題が生じるので、窓の不透明さが増します。ハオルチアそのものが水切れを起こすと、葉っぱの水分も失われるので、ハオルチア独特の葉のぷっくりさも失われます。
しかし、徒長させないために、あえて水を控え目にされているという方のハオルチアは、葉の透明度がどうしても落ちてしまうということは覚えておきましょう。
原因③栄養が不足している
ハオルチアは春と秋に生育する植物で、成長期には肥料を与えるのが良いとされています。この時期に肥料を与えないと、生育に問題が生じたり、光合成をするエネルギーが損なわれ、窓の透明さが失われてしまう原因となってしまいます。
ハオルチアを透明にするにはどうしたらよい?
ハオルチアの透明さが失われる原因について見てきました。では、一度透明度が落ちてしまったハオルチアを再度透明にするにはどうしたらよいのでしょうか。解決法をみていきましょう。
①適した日照量にする
ハオルチアの葉をまた透明にするためには、まず日照量が適したものか確認しましょう。
透明にするには明るい場所で管理し、日光を与えることが重要
室内で管理することができるとはいっても、植物に日光は必要不可欠です。明るい日差しが差し込む窓辺で日光浴させ、しっかりと日光を与えるようにしましょう。こうすることで、しっかりと光合成をすることができるので、ハオルチアそのものも元気になりますよ。
直射日光等強い光は好まない
日光に当てるとはいっても、直射日光にさらすのだけはやめましょう。直射日光に当ててしまうと、ハオルチアの葉は葉焼けを起こしてしまいます。葉焼けが起きると、透明だった窓はすっかり不透明になり、逆に透明度が失われることになります。直射日光ではなくても強い光にハオルチアをさらすと、光の摂取量を調整しようとハオルチアの窓は不透明に変化してしまいます。ハオルチアの葉を透明にするためにも、強い光、直射日光はハオルチアに与えないようにくれぐれも気を付けましょう。
ハオルチアにたっぷりと日光を与えるのであれば、薄いレースのカーテン越しで十分です。
②水やりを気を付ける
ハオルチアの葉を透明にするためには、水やりの量にも気を付けてみましょう。
透明にするには水切れしないように水をやることが重要
水分不足になると、葉の水分も失われてしなびてしまうため、葉の透明度も落ちてしまいます。そうならないようにするためにも、水はこまめに与えるようにしましょう。ただし与え過ぎは根腐れの原因になってしまうので、注意しましょう。土の表面が完全に乾いてからしっかりと水を与えるようにして、管理してみて下さい。
霧吹きで水をかけるのも効果的
根腐れや徒長が心配という方は、霧吹きでハオルチアの表面に水を掛けてあげましょう。葉か蒸発して失われる水分を霧吹きで補ってあげるだけで、余計な水分の蒸発を防止することができます。これによって葉の状態が良くなるので、自然と葉の透明度も元に戻りますよ。
③肥料で栄養を補給する
ハオルチアの葉を再度透明にするには、肥料で栄養をしっかり補うことも大切です。
透明にするには水やりの際に液体肥料を混ぜって肥料をやることが重要
ハオルチアは3月から6月にかけての春シーズンと、9月から11月にかけての秋シーズンに生育します。この時期は、用土が乾いたらしっかり水を与え、肥料もしっかりやります。こうすることで、ハオルチアの生長が阻害されることもなく、健康に育ってくれるのです。肥料は、緩効性化成肥料もしくは液体肥料を少し施す程度で大丈夫ですが、水やりの際に液体肥料を少し混ぜて与えれば、肥料の与え忘れを防げるのでおすすめです。
葉が腐らない程度を与える
多肉植物は元々肥料はそれほど必要ではなく、ハオルチアもこれに準じます。そのため、肥料の与え過ぎは根腐れ、葉腐れの原因になってしまうので注意が必要です。葉を透明にしたいからと肥料を与え過ぎるのではなく、適正量を守って与えるようにしましょう。
④適切な環境で栽培する
ハオルチアは南アフリカ原産の植物ということもあり、寒い環境ではしっかり生育しません。ハオルチアを健康に美しく育てるには、できるだけ原産地に近い環境を整えてあげることが大切です。
透明にするには適温の範囲内で育てることが重要
ハオルチアが好む温度は15℃から20℃です。これを下回ると生育が緩慢になり、葉にもダメージが及びます。逆に暑すぎる温度でも水分蒸発が著しくなるので、光合成が間に合わず、葉の透明度も失われてしまいます。ハオルチアの葉を透明にするためには、まずはハオルチアが好む15℃から20℃の温かい環境を整えてあげましょう。
冬は鉢を暖かい室内に取り込む
冬の寒い時期と8月の真夏の時期ハオルチアは休眠期に入ります。水やりを控えて休眠させることで体力を温存し、秋、春にぐんと成長するエネルギーを蓄えさせてあげると良いです。しかし、室内管理で温度調整が可能ならば、この限りではありません。1年を通じて常時15℃から20℃の室温で育てるならば、休眠期を設ける必要はありません。
寒冷地域は冬場は室内でも15℃以上を保つのが難しいという場合もあるでしょう。冬場の低い温度はハオルチアの葉にダメージを与えてしまうので、覆いを付けるなどして、ハオルチアが寒さに影響されないよう工夫してあげましょう。
透明な窓がある軟葉系ハオルチアの人気品種5選
ハオルチアの葉の透明度について、なぜ透明度が低くなってしまうのか、また一度透明度が低くなってしまったハオルチアの葉を再度透明にするためにはどうすれば良いのかということについて解説してきました。最後に、透明な窓がある、軟葉系ハオルチアで特に人気が高い品種を5つご紹介します。
ハオルチア オブツーサ
ハオルチアオブツーサは、軟葉系ハオルチアの中でも最も人気が高い品種です。宝石のようにキラキラ輝く透明な葉が魅力で、その様から「雫石」の名前が付けられています。とにかくぷっくりして可愛らしいハオルチアが良いという方におすすめです。プレゼントに送っても喜ばれることでしょう。
ハオルチア レツーサ
ハオルチアレツーサは、ハオルチアオブツーサの葉よりも大粒な葉で、透明な窓が広い容姿で知られています。「レツーサ」、つまり「伸びるべき方向とは逆の向きに折り返される」という成長過程が入るため、ハオルチアオブツーサよりも葉が大きくなると考えられています。葉は三角形をしており、グリーンの縦線がカッコイイ品種です。その見た目から、英名では星のサボテンを意味するStar Cactusという名が付けられており、和名はコトブキという名が付けられています。「寿」と縁起の良い名前も付けられているので、おめでたい席のプレゼントにももってこいですよ。
ハオルチア エメラルドLED
ハオルチアエメラルドLEDは、その葉色に特徴があります。名前にもあるように、LEDライトのような明るい蛍光グリーンに発色するこのハオルチアは、インテリアとしても素敵で、室内に置くだけでその空間が明るくなります。ただし、葉先に小さなトゲがある品種なので、取り扱う際には気を付けましょう。
ハオルチアエメラルドLEDは群生しやすい多肉植物でもあります。植え替え時に根元の子株を切り離して別の鉢に植え替える株分け方法で、株を増やしていくこともできます。ハオルチアが好きな方はぜひ株分けにも挑戦してみて下さい。
ハオルチア シンビフォルミス
ハオルチアシンビフォルミスは、小ぶりなハオルチアです。葉の先端部分がほんのり赤色に色付くのが可愛らしく、魅力的なハオルチアとして人気が高いです。原産地は雨季のシーズンがあるため、ハオルチアシンビフォルミスはハオルチアオブツーサよりも水を好む傾向にあります。水切れに注意しながら育てると良いでしょう。開花時期には白い筒状の花を楽しむこともできますよ。
ハオルチア ホワイトベール
ハオルチアホワイトベールは、ハオルチアのロゼット形の草姿に珍しい白斑が入ったハオルチアの品種になります。葉がとても瑞々しいので、光に当てると葉がよく透き通って見えます。白斑があることで、どこか柔らかい雰囲気を持っているのが特徴です。
まとめ
ハオルチアについて、ハオルチアの葉を透明にするにはどうすれば良いのか解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。ハオルチアの葉の透明な部分である「窓」はハオルチアがしっかり光合成をするために必要な不可欠なものであることが分かりましたね。また、光合成をしっかり行うために、窓を通じて光の調整をしていることも分かりました。ここで、今一度本記事のポイントをおさらいしておきましょう。
- ハオルチアの葉が透明でなくなる原因は日照不足が考えられる
- ハオルチアの葉が透明でなくなる原因は水不足が考えられる
- ハオルチアの葉が透明でなくなるのは強い光が原因の可能性がある
- ハオルチアの葉を透明にするには、適切な日照量が必要
- ハオルチアの葉を透明にするには、水切れにならないようにする必要がある
- ハオルチアの葉を透明にするには、生育期に追肥が必要
- ハオルチアの葉を透明にするには、原産地の環境に近い環境作りが必要
- ハオルチアの葉を透明にするには、15℃から20℃の温度下での管理が必要
ハオルチアの葉を透明にするには水切れに注意しなければなりません。しかし、元々多肉植物はそこまで水やりが必要な植物ではないため、頻繁な水やりは徒長の原因にもなってしまいます。多少の徒長は我慢できるという方は、水やりを適宜行い、葉の透明度を保つことができるでしょう。しかし、徒長してしまうと見た目にもイマイチ、インテリアとしてもイマイチと感じる方は、多少透明度は失われますが水やりを控えてみましょう。
ハオルチアの葉の高い透明度をキープするのは意外と難しいですが、ぜひ、ハオルチアが好む環境で育ててあげてみて下さい。愛情を持って育てたハオルチアは、多少透明度が低くても愛らしいことこの上ないですよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENには他にもたくさんの記事をご用意しておりますので、是非ご覧ください。