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「出世芋」の別称でも知られるクワズイモは、縁起の良い観葉植物として人気が高いですね。しかし、クワズイモには難点もあります。それは根腐れしやすいという問題です。元々クワズイモは、根腐れしやすいタイプの植物らしく、どんなにきちんとお世話していても根腐れしてしまうことがあるのです。つまり、クワズイモを育てていくならば、根腐れ問題と共存していかなくてはいけないということになります。 縁起物のクワズイモ、根腐れ問題にもきちんと対処して、上手に育てていきたいものですよね。そこで知っておくべきなのが「胴切り」です。腐った部分をスパッと切って、健康な部分を育成してくことで、健康なクワズイモを育てることができるようになります。 クワズイモの胴切りについて詳しく知りたいという方のために、本記事では、
- クワズイモの胴切りのやり方
- クワズイモの胴切り道具
- クワズイモの管理方法
- クワズイモの胴切りのタイミング
クワズイモの胴切りはどういうタイミングでするべき?
クワズイモの胴切りの方法についてお伝えする前に、まずはどんな時に胴切りをするのかについて見ていきましょう。ちなみに、「胴切り」とは一般的に「上と下を(胴部分で)分断すること」を言います。「輪切り」などと表現することもあります。クワズイモの根や茎がブヨブヨして腐っていた時
クワズイモの胴切りといえば、茎や根が腐っている時に行う処置として把握している方も多いのではないでしょうか。腐った異臭を放ったり、芋部分がブヨブヨしていたり、明らかに状態がおかしい時には、迷わず胴切りを行い、健康的な部位だけを残して育成します。クワズイモから腐った匂いがする
クワズイモの茎や根がブヨブヨしている時は大体腐った匂いがしています。匂いが先か、茎や根の状態がおかしいのが先かは、その時々によります。しかし、観葉植物から異臭が漂うというのはただ事ではないので、まずは根腐れを疑いましょう。実際に根腐れしているかどうか確認し、根腐れしている場合は胴切りを行います。病害虫によりクワズイモがダメージを受けた時
クワズイモはハダニ、カイガラムシ、アブラムシなどの害虫に弱いです。害虫によって被害を受けると葉が変色したり、ベタベタになったり、蜘蛛の巣が張っているような汚い状態になります。明らかにクワズイモの外見が変わってきてしまって、かつ株自体に元気がない場合は、根や茎の状態を確認しす。茎や根がブヨブヨになり始めていたら、すぐに胴切りしてクワズイモを回復させましょう。 また、クワズイモは軟腐病にもかかりやすく、この菌に侵されると茎や根があっという間に腐ります。異臭がしたり、茎や根がブヨブヨになってしまっている時にはすぐに胴切りして、健康なクワズイモを救いましょう。生育期の春から秋の間におこなう
クワズイモの胴切りはできるだけ生育期に当たる春から秋にかけての温暖な時に行うのが望ましいです。これは、胴切りした部分に生育の勢いがあり、発芽した芽がぐんぐん成長することが見込めるからです。また、胴切りには「乾燥」が大事なのですが、冬場は乾燥させにくく、きちんとした胴切りの処置難しいというのも、胴切りを冬場避行うの避ける理由の一つになっています。クワズイモの胴切りに必要なもの
クワズイモの胴切りを行うタイミングについて見てきました。次は、クワズイモの胴切りに必要なものについて確認していきましょう。清潔な刃物
クワズイモの胴切りに必要不可欠なのが鋭利なナイフですね。しかし、ただのナイフではいけません。きちんと洗い、消毒を施した清潔な刃物でなくてはならないのです。 胴切りはそもそも病気に侵されたクワズイモを処置する作業であり、切断面に新しい汚れやバイ菌が付く事態は絶対に避けなくてはならないのです。別に平気だろうと、あまり綺麗ではない刃物を使った場合どうなるでしょうか。一見上手くいったように見える胴切りも、切った断面から菌が侵入したことでカビが生えたり、新たな腐りを生じさえてしまうのです。その結果、再度胴切りが必要な事態となり、クワズイモに大きな負担を掛けることになってしまうのです。手袋
クワズイモはサトイモ科の観葉植物です。サトイモ科の植物の多くは、実や根にシュウ酸カルシウムという毒を含んでいるのですが、クワズイモも例外ではありません。クワズイモの場合、芋部分にシュウ酸カルシウムが含まれています。素手で作業にあたると間違いなくシュウ酸カルシウムを含んだ汁に素手が晒され、皮膚が害されてしまうので、必ず作業用手袋を装着して胴切り作業を行わなくてはいけません。万が一皮膚にシュウ酸カルシウムが付いてしまったり、誤って目に入ってしまったりした時には、速やかに流水で洗い流し、医療機関を受診するようにして下さい。植え替え用の鉢と土
胴切りを行い、クワズイモの健康な部分を残せたら、それを新しい場所に植え替える必要があります。これはそれまで育てていた土や鉢にクワズイモを腐らせた原因菌が繁殖している恐れがあるためで、同じ鉢に戻すことができないのです。胴切りをする際には、胴切り後に植えるための鉢、用土を事前に用意しておくようにします。クワズイモの胴切りのやり方
ここまでクワズイモの胴切りのタイミング、胴切りをする上で必要な道具についてみてきました。ここからは本題、クワズイモの胴切りのやり方について詳しく解説していきます。①刃物を消毒する
クワズイモの胴切りをする時は、まず胴切りに使う刃物を清潔にするところから始まります。泥などの汚れも落としつつ、しっかり洗浄します。もし、刃物にサビなどがある場合は、サビ取りもしましょう。サビが取れない場合は他の刃物に替えて下さい。手術でいうところのメスと全く同じ働きを担っているものなので、清潔さはとても大事になります。②クワズイモの泥や汚れを落とす
クワズイモの胴切りを行う場合、できるだけ切りやすい状態にするため、鉢から抜く場合がほとんどです。鉢から抜いたクワズイモは流水で洗い、汚れや泥を完璧に落とすようにします。クワズイモが根腐れを起こしている時は病気になっている可能性が非常に高く、その時には土や鉢にも菌が必ず繁殖してます。胴切りを行った際に、その土や菌が綺麗な断面に付着しないようにするためにも、胴切り前にクワズイモは一度綺麗に洗います。③腐った部分と生きてる部分を分断する
クワズイモの胴切りは、腐った部分と生きて健康な部分を分断するために行います。触った感触を頼りに分断作業をしますが、実際に胴切りしてみて断面がまだ腐った部分だったり、色が変色していたりした場合は、再度胴切りを行います。綺麗な断面が出てくるまで行ってください。④切り口を完全に乾燥させる
切った断面は乾燥させます。この作業が実はかなり重要です。乾燥させることで根腐れの一因と考えられる水分過多を避けられ、腐りやすさの確率を下げることができるのです。2晩ぐらいはしっかり乾燥させるようにしましょう。この時、葉の水分逃げは避けたいので、葉部分にはビニールを掛けるようにするのがポイントです。胴切りしたクワズイモの植え替えのやり方
胴切りが完了した後のクワズイモは放置してはいけません。しっかり新しい鉢に植え替えしてあげることで、健康な株を育てていくことができるのです。①鉢に土を1/3ほど入れる
新しく用意した鉢に土を入れますが、最初からいっぱい入れるのではなく、鉢の1/3を目安に入れます。 鉢に乾燥場所や空間を設けたいという場合は、底石を用いると良いでしょう。鉢に鉢底のネットを敷き、その上にネットが隠れる程度底石を入れます。その上に、鉢の1/3程度の土を入れます。②乾燥させたクワズイモを鉢の中心に植える
胴切りをして、しっかり切り口を乾燥させたクワズイモを①で作った鉢の真ん中にセットします。③残りの土を入れる
鉢の真ん中にクワズイモをセットしたら、残りの土を入れてクワズイモを軽く固定します。④水をたっぷり与えて固定する
水をたっぷり与え、土を硬くすることでクワズイモを固定します。この時、クワズイモの胴切りで出来た切断面には決して水がかからないよう、よくよく注意して水を与えるようにしましょう。クワズイモの胴切りの押さえておくポイント
ここまでクワズイモの胴切りについて詳しいやり方について説明してきました。今一度、クワズイモ胴切りのポイントを振り返っておきましょう。腐った部分を残さないようにする
クワズイモの胴切りは、健康な部分と腐った部分を切り離す重要な作業です。明らかに腐った部分や変色している部分が残っていては、胴切りをしている意味がなくなってしまいます。クワズイモの状態が悪ければ、それだけカットする部分も増えてしまい、もったいないと思われるかもしれませんが、腐った部分は残さず処分するようにして下さい。それが、健康な株を復活させる近道です。しっかり乾燥させる
クワズイモの元気を取り戻すための処置として胴切りを実施するわけですが、胴切りした後、切り口はよく乾燥させるようにして下さい。切り口をしっかり乾燥させられるか否かで健康的な株に育つかどうかが決まるのです。多少の湿り気が残った状態で植え替えしてしまうと、あっという間にまた根腐れし兼ねません。根腐れを再度起こさないようにするためにも、胴切り後の切り口の乾燥はしっかり行いましょう。クワズイモのイモの部分に素手で触れない
クワズイモのイモ部分はシュウ酸カルシウムという毒素を含んでいるので、素手で触ってはいけません。素手で触れてしまうと、皮膚炎や猛烈な痒みを発症する恐れがあります。作業にあたる際には、かならず園芸用のゴム手袋をして、汁には直に触れないよう気を付けましょう。胴切りしたクワズイモのその後の管理方法
胴切りの処置を施したクワズイモ。次は根腐れしないように管理したいものですよね。ここではクワズイモの管理方法についてまとめています。置き場所:直射日光を避け明るい場所で
クワズイモはインド原産ということもあり、明るい場所や暖かい場所を好む観葉植物です。胴切り後は、直射日光が当たらない明るい日陰の場所に移し、管理していくのが良いでしょう。ちなみに直射日光を避けるのは、葉焼けが起こりやすいからです。葉焼けが進んだり、葉からの水分蒸発が活発になってしまうと、クワズイモの株の元気さが奪われ、枯れてしまうこともあります。暖かければ日陰でも問題ないので、とにかく直射日光は避けるようにして下さい。夏の水やり:土の表面が乾いてから
夏場の水やりは基本的に土の表面が乾いてからで大丈夫です。根腐れしないよう、鉢皿には水が溜まらないようにしましょう。 ちなみに、胴切り直後の株は、水切れが起こらないように気を配りながら水やりしてあげて下さい。しかし、水の与え過ぎは根腐れの原因になってしまうので、くれぐれもあげ過ぎないようにして下さい。上手くいけば3週間ほどで発芽します。冬の水やり:控えめに、1週間に1度ほどで良い
冬はクワズイモも休眠に入るので、水は控えめで大丈夫です。1週間に1度の割合であげます。水をあげる際はたっぷりめにあげます。しかし、与え過ぎは根腐れの原因になるので、よく注意しましょう。肥料:生育期の春から秋にあたえる
肥料は2か月に1回のペースで緩効性の肥料を施します。冬場はクワズイモは休眠期に入るので、肥料はあげません。生育期で一番成長に力がある時に肥料は与えるようにしましょう。【まとめ】クワズイモの胴切りのタイミングから手順・その後の管理方法まで解説
クワズイモの胴切りについてみてきましたが、いかがでしたでしょうか。クワズイモは根腐れを起こしやすい観葉植物なので、根腐れと疑わしい症状を見つけた時には放置せずにすぐに対処することが肝心です。「土やイモからの異臭」、「茎や根がブヨブヨと柔らかく、皮もむけている」、「葉が黄色く、黄斑がみとめられる」こんな時には根腐れを疑い、すぐに胴切り作業を実施しましょう。 本記事のポイントは- クワズイモの根腐れは胴切りで対処する
- クワズイモの胴切りは清潔なナイフを用いる
- クワズイモの胴切りで得た健康な株は新しい鉢に植え替える
- クワズイモの胴切りの切り口はきちんと乾燥させる
- クワズイモの管理は直射日光の当たらない暖かい日陰でする