目次
細長い葉っぱが放射状に広がるオリヅルラン。美しく涼しげな姿からインテリアグリーンとして人気の高い観葉植物です。そんなオリヅルランですが、実は耐陰性が強いため水栽培に適した植物です。 この記事では、
- オリヅルランは水栽培できる?
- 水栽培を始めるのに適した時期とは
- 水栽培のために準備するもの
- 「子株」を使って水栽培するには
- 「株分け」で水栽培するには
- 水栽培によるオリヅルランの育て方のポイント
- 水栽培でよくあるトラブル
- ハイドロカルチャーへ植え替える方法
- 土栽培へ植え替える方法
オリヅルランは水栽培ができる?
ここでは、オリヅルランを水栽培で育てることができるかについて解説します。オリヅルランは土を使って育てることが一般的ですが、水栽培で育てることはできるのでしょうか。結論:オリヅルランは水栽培ができる
耐陰性があるオリヅルランは水栽培に適した観葉植物です。ただし、水栽培だけでは長期間にわたって育てることができませんから、ある程度育ったらハイドロカルチャーや土栽培に切り替えるとよいでしょう。そもそも水栽培とは
「水栽培」とは、土の代わりに水を使って植物を育てる方法です。水を使って栽培することにより栄養分が不足しますから、植物の成長に必要な栄養分を補ってあげる必要があります。水栽培のメリット
土栽培に比べて、水栽培にはいくつもメリットがあります。室内で気軽に栽培ができる
室内で土栽培を行う場合、「土」を使うため衛生面が心配になります。一方、水栽培は「土」を使いませんから衛生的で、台所やダイニングテーブルの近くに置くこともできます。衛生面をそれほど気にせず、室内で気軽に栽培できることは水栽培の大きなメリットです。見た目がおしゃれでインテリア性が高い
水を張った透明の容器で育てる「水栽培」は、見た目がおしゃれです。デザイン性の高い容器もたくさん販売されていますから、自分好みの容器を選んでインテリアとして飾る楽しみもあります。土耕栽培より葉っぱや根に害虫がつきにくい
有機物を含んだ「土」は害虫がつきやすいものです。水栽培では「土」を使いませんから、土耕栽培に比べて害虫がつきにくいというメリットがあります。オリヅルランの水栽培を始めるのに適した時期
ここでは、オリヅルランの水栽培を始めるのに適した時期について解説します。オリヅルランの水栽培は、いつ始めるのがよいのでしょうか。生育旺盛になる5月〜9月が適している
オリヅルランの生育期である4月〜11月に水栽培を行うことができます。なかでも、5月〜9月はオリヅルランが生育旺盛になる時期ですから水栽培を始めるのに適しています。水が冷たすぎると枯れることもあるので暖かい時期がおすすめ
室内でも冬の寒い時期には、水温が下がるものです。冬の水温が低すぎる時期に水栽培を始めると、オリヅルランが枯れてしまうこともあります。水栽培は暖かい時期を選んで始めるようにしましょう。オリヅルランの水栽培のために準備するもの
ここでは、オリヅルランの水栽培のために準備するものについて解説します。オリヅルランの水栽培を始めるためには、どんなものを準備すればよいのでしょうか。オリヅルランの苗(子株・株分けした苗)
水栽培で育てるオリヅルランの苗を用意します。オリヅルランの苗には「子株」と「株分した苗」の2種類があります。容器(透明だと管理しやすい)
土栽培の植木鉢の代わりとなる「容器」を用意します。透明の容器の方が水の量などを管理しやすいため、透明の容器を使うのが一般的です。水栽培用にさまざまなデザインの容器が揃っていますから、おしゃれな容器を選ぶとよいでしょう。また、通販ショップではキャンペーンを行っていることもありますから、キャンペーン期間中に購入することで安く容器を手に入れられることもあります。根腐れ防止剤
水栽培は「根腐れ」を起こしやすいため「根腐れ防止剤」を用意します。根腐れ防止剤は、容器の底に敷き詰めて使用します。オリヅルランの【子株】で水栽培をする方法
ここでは、オリヅルランの「子株」を使って水栽培をする方法について解説します。「子株」を使って水栽培を行うには、どのような手順でどんなことに気をつけて行えばよいのでしょうか。水栽培の手順
「子株」を使った水栽培は、次の手順で行います。①:葉が8〜10枚ほどついた子株を根本から切り取る
オリヅルランはランナー(匍匐茎)と呼ばれる細い茎を伸ばしますが、ランナーの先端に付いた「子株」を根本から切り取ります。子株は葉っぱが8〜10枚ほど付いたものを選びます。②:根が出てない場合は容器に水と子株を入れ発根を待つ
子株に根が出ていない場合には、発根させる必要があります。容器に水と子株を入れて、発根を待ちましょう。根が出るまでは2週間ほど明るい日陰に置き、こまめに水を変えて管理する
発根を待つ間は、明るい日陰において管理します。根が出るまでは2週間ほどかかりますから、その間はこまめに水を変えましょう。③:発根したら容器に底が隠れるほどの根腐れ防止剤を入れる
発根が確認できたら、準備した容器に根腐れ防止剤を入れます。容器の底が隠れるように、根腐れ防止剤を容器に敷き詰めましょう。④:発根した子株を容器に入れ、根が2/3ほどつかる程度の水を入れる
最後に、発根した子株を容器に入れてから、水を入れます。水は根が2/3ほどつかる程度まで入れるようにします。それ以上の水を入れると、根から呼吸ができなくなりうまく育ちません。子株で水栽培する時のポイント
「子株」で水栽培を行う時には、次のポイントに気をつけると失敗を避けることができます。葉が8〜10枚ほどついている子株を選ぶこと
子株は葉っぱが8〜10枚ほどついているものを選ぶことがコツです。あまり成長していない子株を使うと失敗してしまうことがあります。①〜②の発根管理する場合は発根促進剤を使うのもおすすめ
「水栽培の手順」の①〜②のステップでは、発根促進剤を使用するのもおすすめです。発根促進剤は根っこの成長を促してくれますから、なかなか発根しないという失敗を避けることができます。水栽培は根腐れを起こしやすいため根腐れ防止剤を使うこと
水栽培は根っこが常に水に浸されているため「根腐れ」を起こしやすい栽培方法です。根腐れ防止剤を使用することによって、根腐れを未然に防止しましょう。オリヅルランの【株分け】で水栽培をする方法
ここでは、オリヅルランを「株分け」で水栽培をする方法について解説します。「株分け」で水栽培を行うには、どのような手順でどんなことに気をつけて行えばよいのでしょうか。ランナーを出さない品種を水栽培したい時に株分けはおすすめ
オリヅルランには「シャムオリヅルラン」のようにランナーを出さない品種もあります。ランナーを出さない品種でも「株分け」で水栽培することができますから、ランナーを出さない品種に特におすすめの方法です。水栽培の手順
「株分け」による水栽培は、次の手順で行います。①:株分けの数日前から水やりを止め乾燥させておく
株分けの準備として、オリヅルランを乾燥させておくことが大切です。株分けの数日前から水やりは止めて乾燥させましょう。②:鉢からオリヅルランを取り出し、根についてい土をほぐす
オリヅルランの株全体を鉢から取り出します。取り出したら、根っこについている土をほぐして土を軽く落とします。③:清潔なハサミで株を切り分ける
清潔なハサミを使って、親株から株を切り分けます。切断面を押しつぶさないように、切れ味のよいハサミを使いましょう。④:切り分けた株の根についた土を水で洗い流す
切り分けた株についている土を水で洗い流します。水栽培では「土」は必要ありませんから、丁寧に土を取り除きましょう。⑤:傷んだ根や伸びすぎた根を取り除く
傷んだ根や伸びすぎた根があれば、取り除きましょう。傷んだ根を残しておくと「根腐れ」の原因になります。⑥:容器の底が隠れる程度の根腐れ防止剤を入れ苗を入れる
容器の底に根腐れ防止剤を敷き詰めます。容器の底が隠れる程度の量を入れましょう。根腐れ防止剤を入れたら、容器に苗(切り分けた株)を入れます。⑦:容器に根の2/3ほどが浸かる水を入れる
最後に、容器に水を入れます。水は根が2/3ほど浸かる程度まで入れるようにします。それ以上の水を入れると、根から呼吸ができなくなりうまく育ちません。株分けで水栽培する時のポイント
「株分け」で水栽培を行う時には、次のポイントに気をつけると失敗を避けることができます。株分けや傷んだ根を取り除く時は清潔なハサミを使用すること
株分けや傷んだ根を取り除くときには、清潔なハサミを使用して切ることがコツです。清潔なハサミを使用することによって、切り口から雑菌などが入ってオリヅルランが病気になることを避けることができます。根腐れ防止剤を使うと水換えの頻度も減らすことができる
水栽培は「根腐れ」を起こしやすい栽培方法です。こまめに水換えすることが大切ですが、根腐れ防止剤を使用することによって水換えの頻度を減らすことができます。オリヅルランの水栽培の育て方のポイント
ここでは、オリヅルランの水栽培の育て方のポイントについて解説します。オリヅルランを水栽培で上手に育てるためには、どんなポイントに気をつければよいのでしょうか。明るい日陰に置いて管理する
オリヅルランを水栽培で育てる場合には、明るい日陰に置いて管理することが基本となります。直射日光に当てることは避けて、カーテン越しなど柔らかく日が当たる場所を選びましょう。夏の暑さや冬の寒さに注意して水温を管理する
夏の暑さや冬の寒さにより水温は大きく変化します。水温が高すぎても低すぎてもうまく育ちませんから、水温に注意して管理しましょう。夏に直射日光を当てると水温が高くなりすぎますから、直射日光に当てないようにします。また、冬の窓辺は外気の影響を受けて水温が下がりますから、冬は窓の近くは避けて室内の暖かい場所で管理しましょう。水の交換はこまめに行うようにする
水栽培は「根腐れ」を起こしやすい栽培方法ですから、水の交換はこまめに行うようにしましょう。週に1回を目安に水を交換しますが、目視して水が濁っていると感じたらすぐに水換えします。夏場は水温が高くなりますから、水の濁りには特に注意が必要です。定期的に液体肥料を与える
水栽培は「土」から栄養を吸収することができないため、定期的に液体肥料を与えることが大切です。オリヅルランの成長期に当たる春から秋にかけて、2週間に1回ほど液体肥料を与えます。成長が鈍化する冬の時期には、肥料は控えましょう。オリヅルランの水栽培で起こりうるトラブル
ここでは、オリヅルランの水栽培で起こりうるトラブルについて解説します。トラブルが起こった時に慌てないよう、あらかじめ水栽培で起こりうるトラブルを知っておきましょう。枯れてしまった
水栽培でオリヅルランが枯れてしまうことがあります。枯れる原因には、- いつの間にか水が減って「水切れ」を起こした
- 水換えの頻度が少ないため水中の酸素が不足した
- 肥料の与え過ぎ
根腐れをおこしてしまった
水温が高くなる夏の時期など、水栽培で「根腐れ」を起こしてしまうことがあります。根腐れを起こしてしまったら、傷んだ根をカットするとともに容器をきれいに水洗いしてから水換えを行いましょう。根腐れの予防には、根腐れ防止剤を入れること、こまめに水換えを行うことが大切です。害虫や病気になってしまった
水栽培でカイガラムシやアブラムシなどの害虫がつくことがあります。害虫を発見したら、被害が広がる前にすぐに駆除しましょう。また、オリヅルランは炭疽病などの病気になることもあります。病気になったら枯れてしまうこともありますから、病気になった部分を取り除いた上で、殺菌剤を使うとよいでしょう。発根したらハイドロカルチャーに挑戦
ここでは、ハイドロカルチャーでオリヅルランを育てる方法について解説します。発根させることができたら、ハイドロカルチャーに挑戦してみてはいかがでしょうか。ハイドロカルチャーに必要なもの
オリヅルランのハイドロカルチャーに必要なものは、発根したオリヅルラン、ハイドロボール、容器、根腐れ防止剤、割り箸などです。発根したオリヅルラン
「発根したオリヅルラン」を用意します。子株を発根させたものでも、株分けにより切り離したものでも構いません。「土」がついていたら、丁寧に取り除いておきましょう。ハイドロボール
土の代わりに使う「ハイドロボール」という人工の土を用意します。ハイドロボールには、大粒・中粒・小粒と3種類の粒のサイズがありますから、オリヅルランのサイズによって適したサイズのものを選びましょう。容器
ハイドロカルチャーを行う「容器」を用意します。容器は底穴のないもので、水位を把握できるように透明の容器がおすすめです。おしゃれな容器もたくさん販売されていますから、気に入ったものを選ぶと良いでしょう。根腐れ防止剤
根腐れを防止するため「根腐れ防止剤」を用意します。ハイドロカルチャーも「水耕栽培」の一種ですから、根腐れが発生しやすい栽培方法です。割り箸など
ハイドロカルチャーへの植え替え作業には細かい作業を伴いますから、「割り箸」などがあると便利です。ハイドロカルチャーへの植え替えの手順
オリヅルランをハイドロカルチャーへ植え替えるには、次の手順によって行います。①:容器の底が隠れるぐらい根腐れ防止剤を入れる
容器の底に根腐れ防止剤を敷き詰めます。容器の底が根腐れ防止剤で隠れるぐらいまで、しっかりと入れましょう。②:ハイドロボールを容器の1/3を目安に入れる
根腐れ防止剤の上から、土の代わりとなる「ハイドロボール」を入れます。容器の1/3ほどの高さまで入れましょう。③:オリヅルランをハイドロボルの上に置き根を広げる
オリヅルランをハイドロボールの上から、容器の中央に置きます。根が固まらないように、根を広げて置くことがコツです。④:割り箸を使って根と容器の間にハイドロボールを入れ固定する
残りのハイドロボールを容器に入れて、オリヅルランを固定します。根を広げた状態のまま固定するのはコツがいりますが、割り箸を使って根と容器の間にハイドロボールを丁寧に入れていきましょう。⑤:容器の1/6ほどまで水を入れる
最後に、容器の1/6ほどの高さまで水を入れたら、ハイドロカルチャーへの植え替え作業は終了です。⑥:植え替え後は直射日光を避けた半日陰で1週間ほど管理する
植え替えが終わったら、オリヅルランが新しい環境に慣れるよう直射日光を避けた半日陰に置いて1週間ほど管理します。水やりは鉢の中が乾燥してから2〜3日後に与えるようにする
ハイドロカルチャーの水やりは、水栽培の水換えとは異なります。ハイドロカルチャーの水やりは、容器から水がなくなって乾燥してから2〜3日後に与えることが基本です。オリヅルランが大きくなったら土に植え替えよう!
ここでは、オリヅルランを土に植え替える方法について解説します。水栽培のオリヅルランを土に植え替えるには、どうしたらよいのでしょう。水栽培から土栽培にすることでより大きく育てられる
水栽培のオリヅルランが大きくなったら、土への植え替えを考えましょう。水栽培から土栽培にすることで、オリヅルランをより大きく育てることができます。土栽培のために必要なもの
オリヅルランの土栽培のために必要なものは、鉢、鉢底ネット、鉢底石、用土だけです。鉢
土栽培のための鉢は、鉢底穴のあるものを選びます。大きすぎても小さすぎてもうまく育ちませんから、育てるオリヅルランにちょうどよいサイズの鉢にしましょう。鉢底ネット
鉢底穴を覆うための「鉢底ネット」を用意します。鉢底ネットは鉢穴から害虫が侵入するのを防ぐ役割もあります。鉢底石
鉢の底に敷き詰める「鉢底石」を用意します。鉢に鉢底石を敷き詰めることによって、通気性や排水性がよくなって「根腐れ」を防ぐなどの効果があります。用土
観葉植物の栽培に適した水はけの良い土を用意します。「観葉植物の土」として販売されているものは、水はけがよく観葉植物の栽培に適しているためおすすめです。土栽培への植え替えの手順
オリヅルランを土栽培へ植え替えるには、次の手順で行います。①:鉢に鉢底ネット、鉢底石の順に敷き土を鉢の約1/3まで入れる
鉢の鉢底穴に鉢底ネットをかぶせたら、鉢底ネットの上から鉢底石を敷き詰めます。鉢底石の上から土を入れますが、まずは鉢の約1/3の高さまで土を入れます。②:土を入れた鉢に水栽培をしていた苗を置き周りに土を入れる
オリヅルランを水栽培の容器から引き抜いて、土を入れた鉢の中央に置きます。オリヅルランを置いたら、残りの土を入れましょう。③:水をたっぷり与え土と根を馴染ませる
最後に、水をたっぷり与えて土とオリヅルランの根を馴染ませたら、土への植え替え作業は終了です。植え替え後は風通しの良い半日陰で2週間ほど休ませる
植え替えを終えたらオリヅルランが新しい環境に慣れるまで、風通しの良い半日陰で休ませます。約2週間ほど休ませたら、日当たりの良い場所に移して育てましょう。まとめ
ここまで、水栽培によるオリヅルランの育て方だけではなく、よくあるトラブルへの対処法、ハイドロカルチャーや土栽培へ植え替える方法まで幅広く解説してきましたがいかがだったでしょうか。 この記事のポイントは、- オリヅルランは水栽培に適した観葉植物で、水栽培で育てるメリットも多い
- 水栽培を始めるには、オリヅルランが生育旺盛となる5月〜9月が適している
- 水栽培のために準備するものは、オリヅルランの苗、容器、根腐れ防止剤だけ
- 「子株」や「株分け」で水栽培するには、ポイントを押さえて手順どおりに行うと良い
- 水栽培によるオリヅルランの育て方のポイントは、①明るい日陰に置いて管理する、②水温を管理する、③こまめに水換えする、④定期的に液体肥料を与える
- 水栽培でよくあるトラブルと対処方を知っておくとよい
- ハイドロカルチャーや土栽培への植え替えは、必要なものを用意して手順にしたがって行えば簡単にできる