彼岸花には毒性がある?毒の危険性や安全に食用にする方法まで

彼岸花には毒性がある?毒の危険性や安全に食用にする方法まで
記事内に商品プロモーションを含む場合があります  #PR

目次

秋のお彼岸の時期になると、長い茎を伸ばして真っ赤な美しい彼岸花が咲きます。田んぼや墓地、お寺などさまざまな場所で彼岸花が群生して咲いているのを誰もが見たことがあるのではないでしょうか。また彼岸花が墓地で咲いている姿を怖いと感じ、縁起が悪いと感じる方も多いようです。 そんな彼岸花ですが、毒性があるという話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。いったいどのような毒性なのかや、気を付ける点なども知っておくと安心ですよね。 今回は
  • 彼岸花とは
  • 彼岸花の毒性
  • 彼岸花の毒性によって死ぬことはあるのか
  • 道端に彼岸花が咲いている理由
  • 彼岸花の毒を抜いて食用にする方法
  • その他の毒性のある花
について解説していきます。 この記事を読んでいただくと、彼岸花の毒性について詳しく知ることができ、気を付けるべき点がわかるため、安心して彼岸花を楽しんだり取り扱ったりすることができるでしょう。また彼岸花だけでなく、他の毒性のある植物についてもご紹介いたします。是非最後までご覧ください。

彼岸花とはどんな植物?

はじめに、彼岸花とはどんな植物なのかについてお話していきます。一般の植物とは異なる点が多いため、ぜひチェックしていただけると幸いです。

秋のお彼岸の時期に花を咲かせる

彼岸花は、秋のお彼岸の時期に花を咲かせます。墓地などでも植えられており、お彼岸の時期になるとすくすく育ち、真っ赤な花を咲かせるため、不気味や怖いと感じる方も多いようです。

赤・黄・白など様々な花色の種類がある

彼岸花といえば赤色の花を想像する方が多いと思いますが、実は黄色や白などの様々な種類があります。赤い彼岸花に比べると、黄色や白は育てることが難しいため、あまり見かけることはありません。 白い彼岸花は九州地方などの暖かい所で見ることができます。その他の地域で見られる白い彼岸花は、人工的に植えられたものが多いでしょう。

古来より日本人に親しまれてきた

彼岸花は古代より日本人に親しまれてきた植物で、日本の秋の風物詩と言えるでしょう。そのため彼岸花が咲き誇る姿を見ると「夏が終わって、ようやく秋が来たな。」と感じる方も多いのではないでしょうか。

路辺や墓地など日当たりの良い場所に自生している

彼岸花は路辺や墓地などの日当たりの良い場所で自生しています。他年草のため比較的丈夫であり、乾燥気味な土を好むため、日当たりの良い場所ですくすくと育つことができるのが特徴です。

球根で増えていく

彼岸花は種ではなく、球根で増えていきます。植物は種で増えるイメージをしている方が多く、球根で増えると聞くと不思議に思う方もいると思います。彼岸花は球根が成長すると、分裂する「分球」によって増えていきます。また分球は、人の手を加えなくても自然に行われるため、そのままにしておいてかまいません。しかしさらに綺麗に彼岸花を咲かせたいという場合には、ご自身で分球する方も少なくありません。

彼岸花に毒性はあるの?

次に彼岸花は毒性はあるのかについて詳しくお話していきます。

彼岸花には毒がある

彼岸花は毒性のある植物です。そのため彼岸花は、別名で「毒花」や「痺れ花」と呼ばれることもあり子どもに対して「彼岸花には毒があるから近づいてはいけない」と教える方も多いようです。

彼岸花の毒のある場所は球根から全草までほぼすべて

彼岸花の毒のある場所は、植物全体となっており特に球根の鱗茎(りんけい)と呼ばれる部分が一番毒が強くなっています。鱗茎は短い茎の周りに生じた多数の葉が、栄養を貯えて多肉となって球形・卵形になったものを言います。

彼岸花に含まれているリコリンという物質が人体にとって害となる

彼岸花には「リコリン」「ガランタミン」「ホモリコリン」など、約20種類ものアルカロイドを含む毒を持っています。その中でも「リコリン」という物質が人体にとって害となる毒の成分です。

彼岸花の毒による症状

次に彼岸花の毒性により、どのような症状を起こしてしまうのかを解説していきます。

腹痛

彼岸花の毒による症状として、激しい腹痛があげられます。摂取量が少量でも引き起こしてしまうため注意しましょう。摂取後30分以内に症状が出てきます。

下痢

彼岸花のもつ毒性のリコリンを口にいれると、30分以内に下痢の症状を起こしてしまうことがとても多いので注意が必要です。

嘔吐

彼岸花を口にいれると、毒の成分リコリンにより食中毒を起こして嘔吐を繰り返すことも少なくありません。彼岸花を口に入れてしまい、嘔吐を繰り返す際に吐き気止めを飲んだりせずに、すぐに病院に行き医師に相談しましょう。

呼吸困難

彼岸花を口に入れると、リコリンにより最悪の場合には呼吸困難になることがあるため、十分に注意しましょう。症状が出た場合にはご自身で対処するのではなく、病院に行き医者に診てもらうのが最善です。

彼岸花のリコリン含有量

次に彼岸花に含まれるリコリンは、どの部分にどの程度入っているのかを解説していきます。彼岸花の場所によって量が全く異なるため、しっかりとチェックしておきましょう。

球根:約0.15mg

球根にはリコリンが約0.15㎎含まれており、ネズミの1500匹もの致死量に相当します。

鱗茎:約0.5mg

彼岸花の鱗茎の部分には、リコリンが約0.5㎎ほど含まれており、植物全体の中で一番多い場所となっております。鱗茎はにんにくに似ていることで、にんにくと勘違いして食べてしまうこともあるので注意しましょう。

葉:約0.3mg

彼岸花の葉の部分には、約0.3㎎の量のリコリンが含まれています。彼岸花の葉はニラに似ているため、ニラと勘違いして調理して食べてしまい、食中毒になるという事故がとても多いので注意が必要です。

人がリコリンを摂取したときの致死量は約10g

人がリコリンを摂取した際の致死量は約10gと言われています。このことからわかるように、リコリンの毒を体内に大量に入れない限りは、深刻な症状になる可能性は低いと考えられます。

彼岸花の毒で人は死ぬ?

次に、彼岸花の毒性で人は死ぬのかについて解説していきます。彼岸花の毒についてしっかりと理解することで、むやみに怖がる必要がなくなり、彼岸花のそばを通る際にも心配することが少なくなるでしょう。

彼岸花の毒では人は死なない

彼岸花の毒性のリコリンは人に害を及ぼし、大量に摂取すると死に至ることがあります。しかし彼岸花の持っているリコリンの量だと、300個以上の鱗茎を摂取しないと死に至らないため現実的ではありません。しかし小さな子どもやペットの場合、死に至る可能性は0ではないため注意しましょう。

彼岸花の毒を触るだけなら問題ない

彼岸花の毒は口に入れると悪影響を及ぼし腹痛や嘔吐、下痢など様々な症状が現れますが、触るだけなら問題はなく症状が出ることはありません。触った際にはしっかりと流水で洗いましょう。

彼岸花を経口摂取した場合、諸症状がでる可能性がある

上記でもお話したように、彼岸花には毒性がありますが触っただけなら問題はありません。しかし経口摂取した場合には、リコリンの毒により腹痛嘔吐下痢など様々な症状が出る可能性があります。特に子どもは好奇心旺盛で、何でも口に入れてしまう傾向があるため、しっかりと説明して言い聞かせましょう。

彼岸花はなぜ身近に生えているの?

彼岸花は毒性があり、口に入れると危険なのにも関わらず、なぜこんなにも身近に群生して生えているのか不思議に思いますよね。次になぜ身近に生えているのかについて、お話していきます。

彼岸花の毒性でネズミなどから故人を守るために墓地に植えられた

彼岸花は墓地に群生して植えられていることが多いため、怖いイメージがある方が多いですが、彼岸花の毒性によりネズミなどの様々な獣から故人を守るために植えられています。つまり獣が故人を荒らさないために彼岸花を植えて守っているため、墓地に獣がおらず荒れていない理由の一つとして、彼岸花のおかげでもあるということです。

彼岸花の毒性で害獣から農作物を守るために植えられた

田んぼや畑などに彼岸花が群生して植え付けている理由は、彼岸花の毒性を使い農作物を守られていることが理由です。害獣が毒性の彼岸花を食べられる植物と勘違いし、口に入れることで死に至らせ、農作物を守っています。

緊急時に非常食として蓄えられていた

彼岸花は毒性の植物ですが、球根にはとうもろこしやじゃがいもにも含まれる、デンプンが含まれています。そのためしっかりと毒を抜くことで、食用にすることができるため、緊急時の非常食として蓄えられていた歴史があります。

漢方薬として用いられていた

彼岸花は昔、漢方薬として用いられていた歴史があります。彼岸花の鱗茎の部分を使った漢方薬は「石蒜」と言われていました。リコリンやガランタミン、アルカロイドは毒性である反面、鎮痛・降圧・催吐などの効果もあります。

彼岸花の毒を抜く方法

次に彼岸花の毒抜きをして、食用にする方法について順番に説明していきます。「一度食べてみたい!」と思う方はぜひ試してみてください。

1.球根の黒い皮をむく

まずはじめに、球根の黒い皮をむきます。丁寧に行い剥き忘れがないようにしましょう。また彼岸花の毒性から身を守るために、念のため手袋をつけることをおすすめします。

2.器具を使って入念にすり潰す

すり鉢やおろし金を使い、すりつぶしていきます。この時ねっとりとした液状になるまで念入りに行います。また手や顔につく可能性が高いため、行った後にはしっかりと手や顔を洗いましょう。

3.流水に7回以上さらして毒を流しきる

すりつぶした球根を流水に7回以上さらして毒を流しきります。この手順を、約1週間ほどかけて行うのが最適です。しっかり時間をかけて行うことで毒抜きができます。

4.鍋でよく煮込む

沸騰した鍋に球根を入れ、長時間かけてしっかりと煮込みます。しっかりと煮込むことにより、落ち切れていない毒を抜くことができるでしょう。

5.乾燥させる

しっかりと鍋で煮込んだ後には、天日干しをして乾燥させましょう。最後には粉状になっているため、お好きな調理法で食べ物にしてください。

彼岸花に似た植物には毒性はある?

次に彼岸花に似た植物には、毒性はあるのかについてお話していきます。彼岸花だけでなく、他の植物に毒性があるのかを知ることで、さらに植物を安心して取り扱うことができるでしょう。

ネリネ:毒性はない

ネリネは開花した姿が彼岸花に似ているため「彼岸花の仲間なのではないか」「彼岸花と一緒で毒があるのではないか」と不安に思う方が多いようです。しかし、ネリネは別の植物であり毒性はありません。彼岸花はネリネに似ていることから、ネリネが咲いていると勘違いし彼岸花を自宅に持ち帰ってしまう方もいるようです。 彼岸花とネリネの見分け方で一番わかりやすいポイントは、葉が生えているかいないかです。葉がが生えている場合はネリネ、生えていなければ彼岸花と覚えておきましょう。

ダイヤモンドリリー:毒性はない

日にあたると花弁がキラキラと宝石のように輝くことから命名されたダイヤモンドリリーですが、開花した姿が彼岸花によく似ているため、毒性があるのではと不安に思う方も少なくありません。しかし彼岸花とダイヤモンドリリーは異なる植物であり、毒性はないため、安心して取り扱うことができるでしょう。

ナツズイセン:彼岸花と同様リコリンを含んでいるため毒性がある

ナツズイセンは彼岸花と仲間であり、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の他年草です。そのため彼岸花と同様、リコリンを含んでおり毒性があるため、取り扱う際には注意が必要です。 彼岸花の花言葉は「悲しき思い出」や「あきらめ」など、比較的寂しい印象の花言葉が多いですが、ナツズイセンは「快い楽しさ」や「楽しむ」などといった、ポジティブな花言葉が多いのが特徴的です。またナツズイセンは、スイセンに葉が似ていることからこの名を付けられましたが、スイセンの仲間である事実はありません。

彼岸花以外の毒性がある身近な植物

次に彼岸花以外の毒性のある、身近な植物についてもご紹介していきます。彼岸花よりも毒性が強いもの植物もあるため、しっかりとチェックしてください。

スズラン:非常に強い毒性があるため触れたら水で洗い流す

スズランは小さい花がポコポコと咲き、可愛い姿をしていますが、非常に強い毒性があり触れた際には必ず水で洗い流す必要があります。スズランの毒性は、コンバラトキシンコンバロシロというもので、体に取り込むと嘔吐・頭痛・めまいなど、最悪の場合には血圧低下や心臓麻痺を引き起こして死に至ることもあります。

ドクセリ:皮膚からも毒が浸透していくため注意

ドクセリは皮膚からでも浸透していくため、触らないように注意しましょう。またドクセリの出先がセリに似ていたり、根っこがワサビに似ていることで、間違えて食べてしまう方も少なくありません。 ドクセリの毒性はシクトキシンシクチンというもので、服用すると麻痺や呼吸困難、下痢や腹痛、意識障害などの中毒症状を起こし、最悪の場合には死に至ることもあるので充分に注意しましょう。

ヨウシュヤマゴボウ:1~2時間の遅効性の毒がある

ヨウシュヤマゴボウには果実が実り、その姿はブルーベリーにとても似ています。そのためブルーベリーと勘違いして、食べてしまう事故が多いので注意しましょう。口にすると、1~2時間後に腹痛や嘔吐、下痢の症状が出てきます。摂取量が多い場合には中枢神経麻痺や痙攣、意識障害を起こし、最悪の場合には呼吸障害や心臓麻痺により死に至ることもあります。

【まとめ】彼岸花には毒性がある?毒の危険性や安全に食用にする方法まで

いかがでしたか?この記事では彼岸花の毒性や危険性について解説いたしました。 ポイントは、
  • 彼岸花はお彼岸の時期に花を咲かせ、赤・黄色・白の色のものがある。
  • 彼岸花は毒性の植物であり、主にリコリンという成分が人に危険を及ぼす。
  • 彼岸花には毒があることから「毒花」「痺れ花」という別名で呼ばれることも多い。
  • 彼岸花の毒性による症状は、腹痛・下痢・嘔吐・呼吸困難である。
  • 彼岸花は口から摂取することで症状が出るため、触るだけなら問題はない。
  • 彼岸花の毒性は人にとって悪影響だが、死に至ることはない。
  • 墓地や田んぼなどの身近な場所に彼岸花が植えられている理由は、故人や農作物を獣が荒らさないため。
  • 彼岸花は非常食漢方薬として使われていた歴史がある。
  • 彼岸花以外にも身近にある植物で毒性を持ったものもあるため注意が必要。
です。 彼岸花は有毒であるものの、近くを歩いたり優しく触ったりすることには問題はありません。ぜひ近くで観察したり、写真を撮ったりしてみてはいかがでしょうか。 また彼岸花だけでなく、有毒な植物は身近に存在しているため、気軽に口に居れたりする行為は危険なのでやめておきましょう。 最後までお読みいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENには他にもたくさんの記事をご用意しておりますので、ぜひご覧ください。