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観葉植物を上手に管理していると、枝を伸ばし葉を広げ、ぐんぐん成長していく様子がわかりますよね。眺めているだけで癒されると感じる方も多いでしょう。最近は、土を使わず清潔に育てられるハイドロカルチャー栽培も人気です。しかし、植物は地上部だけでなく根も同じように成長しています。だからこそ、植え替えは観葉植物を育てる上で避けて通れない重要な作業なのです。
この記事では以下のポイントを中心に、「ハイドロカルチャー 植え替え」に必要なノウハウを丁寧に解説します。
- ハイドロカルチャーの観葉植物を植え替える方法
- 植え替えるときに必要な道具
- ハイドロカルチャーに向いている植物
最後まで読むことで、ハイドロカルチャーの観葉植物を植え替える際に必要な知識をしっかり身につけられます。すでに育てている方も、これから挑戦したい方も、ぜひ参考にしてくださいね。
ハイドロカルチャーの植え替えにはいくつか種類がある

ハイドロカルチャーの植え替えと一口に言っても、実はシチュエーションによって目的や手順が異なります。まずは、植え替えを行う代表的なケースを把握しておきましょう。理由を理解しておくことで、正しいタイミングと方法を選びやすくなります。
土からハイドロカルチャーへ植え替え移行する場合
まず、一般的に販売されている土植えの観葉植物をハイドロカルチャーに植え替えるケースがあります。土を使わないことで衛生的に管理しやすく、土の虫やカビが気になる方にも好まれています。机の上に飾れる小型の観葉植物では特に人気の方法です。移行時は根に付着した土を丁寧に落とし、清潔な状態で植え替えるのが成功のポイントになります。
ハイドロカルチャー栽培で生育して大きくなった場合の植え替え
ハイドロカルチャーで育てている観葉植物も、日が経つにつれて確実に成長します。根が容器いっぱいに回ってしまうと水や養分の吸収効率が低下し、生育に影響が出ることも。一回り大きな容器へ移す、もしくは根を切り詰めて同じサイズの容器に戻すなど、株と容器のバランスを整えるための植え替えが必要です。
水耕栽培・水栽培からハイドロカルチャーへの移行植え替えの場合
一般にハイドロカルチャー用の苗は水耕栽培されています。また、水挿しで増やした苗をハイドロカルチャーに植え替えることも可能です。水だけで育てていた株に植え込み材を加えることで、根が安定し倒れにくくなり、さらにすくすく育てることができます。
ハイドロボールを洗浄する際の植え替え(一時的の簡単な移動)
ハイドロボールや炭などの植え込み材は、長く使うほど肥料分や老廃物、汚れが蓄積します。孔が詰まると保水・保肥力が下がり、植物の成長に悪影響が出ます。洗浄のため一時的に株を別容器へ移す「仮植え替え」が必要になることもあります。この際、植え込み材はしっかり洗浄・乾燥させるか、新品に交換しましょう。
ハイドロカルチャーの植え替えに必要なもの

植え替えの成功は、事前準備にかかっています。必要な道具を揃えておけば、途中で手を止めることなくスムーズに作業できます。チェックリストを作るなどして、忘れ物がないように準備しましょう。
ハイドロボール
ハイドロボールとは、丸い多孔質の植え込み材で、ハイドロカルチャーでは定番の素材です。植物を固定しつつ、空気と水、液体肥料の成分を適度に保持するなど、土に近い役割を果たします。粒のサイズも複数あるため、植える植物の大きさや根の太さに合わせて選びましょう。また、ハイドロボール以外にも炭やハイドロコーンなどの植え込み材が使われることもあります。
ゼオライト
レカトン ハイドロボール
イオン交換樹脂栄養剤(根腐れ防止剤効果あり)
ハイドロカルチャーは土植えの観葉植物と異なり、鉢底に水抜き穴がありません。そのため、老廃物が容器内に溜まりやすく、植物が元気をなくす原因になります。ミリオンなどの根腐れ防止剤を底に敷くことで、老廃物を吸着し根腐れを防ぐことができます。
商品名 | 東京寿園 イオンの力で元気に育つ栄養剤 |
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種類 | イオン交換樹脂栄養剤 |
価格 1個 | ¥710 |
価格 3個セット | ¥1,800 |
価格 5個セット | ¥2,860 |
水位計
ハイドロカルチャーでは、容器内の水量が分からないと適切な水やりが難しくなります。不透明な容器では目視で水位を確認できないため、水位計を植え替え時に設置しておくと安心です。透明容器でも模様が入っていると見えにくい場合があるので、水位計があると管理がぐっと楽になります。
植え替え用の鉢
ハイドロカルチャーは穴の開いていない容器であれば基本的に何でも使えます。ただし、水位管理が重要なため、水位を目視できるガラス容器は初心者におすすめ。清潔感がありインテリア性も高いため、人気の高い選択肢です。
ハイドロカルチャーの植え替えの時期

土植えと同様に、ハイドロカルチャーでも植え替え時期はとても大切です。気温や植物の生長サイクルを考慮し、ダメージを最小限に抑えられるタイミングを選びましょう。
回数的には1年に一回程度はした方がいいとされている
ハイドロカルチャーの植え替えは1年に1度を目安に行うと良いとされています。土植えの観葉植物の場合、根詰まりが起きるまで植え替えないこともありますが、ハイドロカルチャーでは老廃物を外に排出できません。観葉植物が大きく育っていなくても、老廃物除去の意味も込めて定期的に植え替えを行うと安心です。
植物の生長しやすい温度の時期に行うのがベスト
植え替えは植物にとってストレスです。特に真冬や真夏は多くの植物が休眠期や半休眠期に入るため、植え替えが致命傷になり枯れてしまうことも。根腐れなど緊急の事情がない限り、成長しやすい春や秋に行うのが理想的です。
季節は5〜6月ごろが植え替えの時期の目安
特におすすめなのは5月〜6月。この頃は気候が安定し、霜の心配もほとんどありません。温度・湿度ともに観葉植物の生育に適しているため、植え替え後のダメージを最小限にできます。
冬などの寒い時期に行うのは絶対にNG
反対に、冬は植え替えに最も適さない時期です。暖房が効いている室内でも、切った後の夜間の冷え込みや暖房機器の乾燥風が植物にダメージを与えることがあります。冬は環境が不安定になりやすいので、できるだけ避けましょう。
ハイドロカルチャーの植え替えのサインやタイミング
ハイドロカルチャーでは容器の透明度によって根が見えることがあるため、土植えに比べて植え替えのタイミングが把握しやすいのが利点です。以下のようなサインが見られたら、植え替えを検討しましょう。
観葉植物に元気がなくなってきた時
日当たりや水やりの頻度に問題がないのに、急に元気がなくなってきた場合は老廃物の蓄積が原因かもしれません。植え込み材が詰まり、水分や液体肥料成分を保持できなくなっている可能性があります。
観葉植物の根がたくさん見えていた時
ガラス容器など透明な容器を使っているなら、根の状態をチェックしましょう。根は光の当たらない方向へ伸びる性質があるため、普段見えている面とは反対側で根が密集していることも。それは根を張るスペースがなくなってきたサインです。成長期に植え替えてあげると、再び元気に育ちます。
鉢の周りや中が汚れてきた時
鉢の周囲や内部が肥料分で白く汚れてきたら要注意。汚れは見た目を損なうだけでなく、植え込み材としての機能が低下している証拠です。さらに、カビや微生物が繁殖する原因にもなるため、洗浄を兼ねて植え替えを行いましょう。
植物が大きくなってきた時
容器のサイズに対して植物が大きくなりすぎると、鉢が倒れやすく危険です。特に高所に飾っている場合は、管理中の落下事故につながる恐れもあります。バランスを保てる容器に早めに植え替えるのがおすすめです。
ハイドロカルチャーへの植え替えの人気の品種

ハイドロカルチャーに向いている植物を知っておくと、管理がぐっと楽になります。大型株は流通が少ないため、自分で土植え株をハイドロカルチャーに植え替える方も多いようです。飾る場所やインテリアに合わせて、サイズや種類を選びましょう。
大型の植物はハイドロカルチャーでは種類が少ないので自身で植え替える人も多い
市場では小型〜中型サイズが中心で、大型の観葉植物は選択肢が少なめです。ハイドロカルチャーに慣れてきたら、大型株に挑戦してみるのも一つの楽しみ方。今回紹介する種類の中には大きく成長するものもあるので、飾る場所の広さや天井の高さを考慮して選んでください。
ミリオンバンブー
ミリオンバンブーは竹のような見た目の観葉植物ですが、実は幸福の木(ドラセナ)の仲間。みつあみに仕立てられることも多く、インテリア性の高い植物として100円ショップでも扱われます。水に茎を挿しておくだけで発根するほど丈夫で、ハイドロカルチャーに向いています。
ポトス
ポトスはマーブル模様が可愛らしいツル性の観葉植物。昔から人気があり、新品種も次々登場しています。性質は非常に丈夫で、ミリオンバンブー同様、枝を切って花瓶に生けておくだけでも増やせます。ただし寒さに弱い植物なので、冬場の管理には注意しましょう。
シュガーバイン
シュガーバインは小さな手のような形の葉が特徴的なツタ植物。甘い香りのする樹液を分泌することからこの名前が付けられました。棚や窓際に飾るとツタが枝垂れ、見た目も美しくなります。0℃程度までは耐えますが、霜には弱いので室内管理が安心です。
ガジュマル
ガジュマルは人の足のような幹や気根が特徴的な観葉植物。縁起が良いとされ、「キジムナーが宿る木」とも言われています。ハイドロカルチャーとも相性が良く、すっきりしたガラス容器と合わせれば存在感がありながら圧迫感の少ないインテリアになります。
パキラ
みつあみ状に編まれた幹が印象的なパキラも、ハイドロカルチャーでよく育てられる観葉植物です。生命力が強く初心者でも育てやすいため、手のひらサイズのパキラはプレゼントにも人気があります。
シェフレラ
シェフレラは手のひらを広げたような葉が特徴。とても丈夫で、あまり日の当たらない場所でも育てられる耐陰性を持っています。水挿しで増やせるほど生育旺盛で、ハイドロカルチャーでも元気に育てやすい品種です。大株から卓上サイズまで流通しているので、用途に合わせて選べます。
サンスベリア
サンスベリアは剣のように鋭く上へ伸びる葉が特徴の観葉植物。同じサンスベリアでも斑の入り方や模様が異なる品種が多く、コレクション性の高い人気種です。水を貯える多肉植物の一種でもあるため、お世話の時間があまり取れない方でも育てられます。空気清浄効果が高いとされる点も魅力です。
コーヒーの木
コーヒーの木は光沢のある葉が美しい観葉植物。世界中で愛される飲み物・コーヒー豆の原材料としても知られます。100円ショップで見かけることもある人気株ですが、耐陰性が低いため明るい部屋に飾るのがポイントです。
モンステラ
モンステラは大きな切れ込みが入る独特の葉が魅力。エキゾチックな雰囲気で、昔からインテリアグリーンとして愛されています。ジャングル原産で日があまり当たらない環境でも育つため、室内でのハイドロカルチャー栽培にも適しています。
アイビー
アイビーは品種改良が盛んで、葉の形・色・模様が豊富な人気のツル性植物です。非常に丈夫で、ハイドロカルチャーでの栽培にも向いているため、初心者にもおすすめです。同じアイビーでも品種によって印象がガラリと変わるため、寄せ植えを楽しむのも良いでしょう。
アンスリウム
アンスリウムは観葉植物としては珍しい赤い花(正確には仏炎苞)が特徴的。緑とのコントラストが美しく人気があります。花色は赤だけでなく白や緑などさまざまなので、インテリアや好みに合わせて選べます。ハイドロカルチャーでも育てられますよ。
ハイドロカルチャー の植え替えに不向きな観葉植物

観葉植物の中には、ハイドロカルチャーでは管理が難しい種類も存在します。その場合は土で育てる、育成環境を工夫するなど別の方法を検討しましょう。
耐陰性が低く乾燥を好む品種は基本的には向いていない
ハイドロカルチャーは室内栽培が中心になるため、必然的に耐陰性の高い植物が向いています。屋外で強い日差しを好む植物は基本的に不向きです。また、乾燥を好む植物はハイドロカルチャー環境では根腐れのリスクが高まるため、慎重な管理が必要です。
バジル
バジルは日当たりの良い場所を好むハーブ。室内の暗い場所だと徒長しやすく、ヒョロヒョロとした姿になってしまいます。室内で育てる場合は窓際などできるだけ日光の当たる環境で管理しましょう。
多肉植物・サボテン
多肉植物やサボテンは砂漠など乾燥した環境が原産のため、ジメジメした環境を嫌います。水が鉢底に溜まるハイドロカルチャーは、根腐れを引き起こしやすく不向きだと言えます。
やり方によってはもちろん栽培することは可能
とはいえ、これらの植物でもやり方次第ではハイドロカルチャーで育てることは可能です。LEDライトによる補光、水位を低く保つ、水やり頻度を抑えるなどの工夫が必要となります。ハイドロカルチャーに慣れてきたら、チャレンジしてみるのも面白いかもしれません。
ハイドロカルチャーの植え替え方法

ここからは、実際の植え替え手順をサイズ別に紹介します。小型・中型・大型で基本の流れは共通していますが、扱い方の力加減や固定方法が少しずつ変わる点を押さえておきましょう。
小型のハイドロカルチャーの植え替え方法
- 苗に水を与えて根を湿らせた後に容器から苗を取り出す。
- 根についたハイドロボールなどを取り除く。
- 枯れた根や葉などがあればハサミなどで取り除く。
- 水位計を設置し、根腐れ防止剤を底に敷く。
- 観葉植物を仮置きし、洗浄したハイドロボールを入れて固定する。
- 鉢を軽く叩き、竹串などで数回ハイドロボールを刺しなじませる。
- 2週間ほど日陰で管理し、霧吹きで葉に水をかける。
- 元気になったらもとの場所に飾る。
中型のハイドロカルチャーの植え替え方法
- 苗に水を与えて根を湿らせた後に容器から苗を取り出す。
- 土植えの観葉植物である場合根に絡まった土を取り除く。
- 根についたハイドロボールなどを取り除く。
- 枯れた根や葉などがあればハサミなどで取り除く。
- 水位計を設置し、根腐れ防止剤を底に敷く。
- 容器の3分の1から半分にハイドロボールを入れる。
- 高さを見ながら観葉植物を仮置きし、洗浄したハイドロボールを入れて固定する。
- 鉢を軽く叩き、竹串などで数回ハイドロボールを刺しなじませる。
- 2週間ほど日陰で管理し、霧吹きで葉に水をかける。
- 元気になったらもとの場所に飾る。
大型のハイドロカルチャーの植え替え方法
- 苗に水を与えて根を湿らせた後に容器から苗を取り出す。
- 土植えの観葉植物である場合根に絡まった発泡スチロールや土を取り除く。
- 根についたハイドロボールなどを取り除く。
- 枯れた根や葉などがあればハサミなどで取り除く。
- 水位計を設置し、根腐れ防止剤を底に敷く。
- 容器の3分の1から半分にハイドロボールを入れる。
- 観葉植物を仮置きし、洗浄したハイドロボールを入れて固定する。
- 鉢を軽く叩き、竹串などで数回ハイドロボールを刺しなじませる。
- 2週間ほど日陰で管理し、霧吹きで葉に水をかける。
- 元気になったらもとの場所に飾る。
Q&A

ここではハイドロカルチャーの植え替えに関してよくある質問に答えていきます。疑問点がある方は参考にしてくださいね。
Q,ハイドロボールなどでの植え替えか炭を使用しての植え替えだとどちらの方がハイドロカルチャーで栽培しやすいですか?
ハイドロボールも炭も、どちらも植え込み材として適しており好みで選びましょう。 ハイドロボールは粘土を高温で焼き上げ発泡したことによる多孔質が保水性を高め、液体肥料の成分を保持します。一方、炭も同じように多孔質で同様の効果が期待できます。ハイドロボールは硬く、洗って再利用できるのが利点。炭には消臭効果がある点が魅力です。
Q,ハイドロカルチャーで植え替えをすると枯れやすいと聞くのですが本当ですか?
適した季節に正しく行えば問題ありません。 土よりも雑菌や微生物が少ないため、病気の発生を防ぎやすい側面もあります。ただし、植え替え後数日は根が水を吸収しにくい状態になるため、日陰で管理し霧吹きで葉に水をかけてケアしましょう。
Q,ハイドロカルチャーの植え替え時のメリット・デメリットはなんですか?
メリットは、植物をより健康に育てられること。デメリットは、植物が大きくなりすぎる可能性があることです。 植え替えることで根の状態が改善され、植物はより大きく健康に育ちます。しかし、大きく育ちすぎると狭いスペースでは飾りづらくなることもあるため、スペースとの兼ね合いを考えながら管理しましょう。
【徹底解説】ハイドロカルチャーの場合の植え替え方法はどうやってするの?のまとめ
今回はハイドロカルチャーの植え替えについて解説しました。要点をおさらいしましょう。
- 植え替えには最適な時期や正しい方法がある
- 植え替えにはいくつかの道具が必要となる
- ハイドロカルチャーには向いている植物と向いていない植物がある
ハイドロカルチャーの植え替えは難しいと思われがちですが、ポイントを押さえれば意外と簡単です。観葉植物をいきいきと育てるために、ぜひ植え替えに挑戦してみましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。東京寿園では観葉植物や胡蝶蘭についての記事を多数掲載しています。ぜひ他の記事も読んでみてくださいね。