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スミレ(菫・sumire)というお花をご存じでしょうか。人の名前などにも使われる、春先に小さなかわいらしいお花を咲かせる植物です。ビオラやパンジーの原種としても知られており、日本では古くから愛されてきました。
そのようなスミレを育ててみたいと思う方はきっと多いでしょう。しかし、スミレの育て方について詳しく知っているという方はあまり多くはないのではないでしょうか。スミレを育ててみたいと思っていても、育て方が分からないと不安です。そしてなによりも、枯らしてしまったらとても残念ですよね。
今回は、
- そもそもスミレとはどのような植物なのか
- スミレの基本的な育て方や栽培管理の方法
- スミレに必要な日々のお手入れの方法
- スミレのおすすめの品種
そもそもスミレ(菫・sumire)ってどんな植物なの?
スミレの育て方について解説する前に、そもそもスミレがどのような植物なのかを解説いたします。スミレがどのような特徴を持つ植物なのかを知ることで育て方のヒントを得ることができるほか、愛着を持って接することができるようになりますよ。ぜひ確認してみてくださいね。日本や朝鮮半島などを原産とするスミレ科スミレ属の山野草
スミレ(菫・sumire)は日本や朝鮮半島など東アジアを原産とするスミレ科スミレ属の山野草です。道端や田畑の脇などでも見かけることがあるほどとても身近な植物でありながら、小さなお花のため注意して探さないと見つけることは少しだけ難しいかもしれません。日本の気候で育てやすく、野生のスミレが多く自生している
日本が原産地の一つのため、日本の気候に適応した植物です。また、都会であってもアスファルトの割れ目から花を咲かせていることがあるなど、たくさんの場所で多くの野生のスミレが自生しています。栽培もいたって簡単なため、初心者の方におすすめな山野草です。紫、白、ピンク、黄色、赤などさまざまな花色がある
スミレの色は一般的には紫や青とされています。しかし、白やピンク、黄色、赤と花色はいくつか種類があります。お気に入りのスミレを育ててみるのも面白そうですね。ムシトリスミレはスミレという名前がついているが別物
スミレに関連して、ムシトリスミレという植物についても解説いたします。ムシトリスミレは、正確にはスミレではなくタヌキモ科ムシトリスミレ属の植物です。植物の分類的には全くの別物とされてます。ハエトリソウなどと同じ食虫植物
ムシトリスミレは名前の通りハエトリソウなどと同じく虫を捕ることが名前の由来となっている食虫植物です。葉っぱから粘液を出し、そこにとまった虫を消化して自身の栄養にするモウセンゴケのような捕虫方法を持ちます。スミレのような花を咲かせることから名づけられた
ムシトリスミレの花は小さくスミレのような形をしています。色も紫色でとてもスミレの花に似ていることからムシトリスミレと名づけられました。こちらも花が美しく、また食虫植物であることからハエトリソウに並びマニアのなかでは人気が高い植物です。スミレの育て方のポイント①置き場所
それでは早速スミレの育て方について解説いたします。スミレの育て方のポイントとしてまず1つ目に解説するのは置き場所についてです。スミレが好む環境に近づけることがスミレを上手に育てるための大きなポイントとなります。しっかりチェックしておきましょう。地植えの場合
地植えの場合に適した栽培場所について解説いたします。日当たりのいい場所が適している
基本的には日当たりの良い場所を好みます。そのため、日光がしっかりと当たるような場所を選ぶと良いでしょう。しかし、あまりにも乾燥してしまうところは好まないためご注意ください。芝生の中などがよい
芝生の中などは乾燥も適度でなおかつ日当たりが良いことも多く、スミレを植えるには適した場所となっています。それ以外には木漏れ日の入る木の下なども乾燥しすぎることがないためスミレが好む環境と言えるでしょう。鉢植えの場合
鉢植えの場合に適した栽培場所について解説いたします。基本的に日向で育てる
地植えの場合と同様、しっかりと日光に当てる必要があるため鉢は日向に置いて育てるようにしましょう。日陰で育てると花が咲きにくくなってしまう症状が現れることがあるほか、病気などが発生しやすくなります。夏は葉の様子を見て少し遮光するか明るい日陰で管理を
夏は鉢植えの場合気温が上昇しすぎることがあったり、過度に乾燥してしまうことがあるため葉の様子を観察して少し遮光するか明るい日陰に場所を移して管理を行うようにしてください。黒や褐色のシミができる症状が現れた場合は葉焼けが原因のため一刻も早く場所を変えましょう。室内で育てるとうまく生育できず、花が咲かないことも
スミレは室内で育てるのは難しい植物です。室内のなかでも日の当たる窓辺であってもスミレにとっては暗すぎるため、花が咲かないことがあります。スミレの育て方のポイント②水やり
スミレの育て方のポイントとして2つ目に解説するのは水やりの方法です。一口に水やりと言っても適当に与えればよいものではなく、上手に育てるには水やりのルールを知る必要があります。育て方の中でも特に機会の多い水やりをマスターしていきましょう。地植えの場合:植え付け直後と乾燥期以外は基本的に不要
地植えでスミレを育てている場合、植え付け直後と日照りが続くなどがなければ基本的には水を与える必要はありません。自然の降雨で十分です。鉢植えの場合:土が乾いたらたっぷりと
鉢植えでスミレを育てている場合、土を確認して水を与えるようにします。土がもしも乾いていたら、鉢底から水が流れ出すまで十分に与えてください。この時、鉢底皿に水を溜めたままにしておくと根腐れの原因になるため必ず捨てるようにしましょう。スミレの育て方のポイント③土
スミレの育て方のポイントとして3つ目に解説するのは土の種類についてです。スミレが好む用土の特徴を押さえ、適切な用土に植えつけることでスミレはとても元気に育ちます。反対に不適切な用土で育てると正しい育て方をしていてもあまり元気がなくなってしまうため必ず確認しておきましょう。水はけのよい土を好む
スミレは水はけのよい土壌を好みます。水はけが悪い土で育てると根張りが悪くなってしまうほか、根が呼吸困難になってしまい根腐れを起こすことがあります。地植えの場合も水はけが悪い場所に植えつける際は土壌改良剤などを混ぜ込んでから植え付けを行いましょう。草花用培養土や野菜用培養土で育てられる
スミレは市販されている草花用培養土や野菜用培養土でも育てることができます。中には最初から肥料が配合されているものもあるため初心者の方はこのような培養土で栽培を始めることをおすすめします。培養土7:腐葉土3の割合で混ぜるとよい
もしも土を作る場合、上記のような市販の培養土7割、腐葉土を3割で混ぜることでよりスミレが好む水持ちも良い土を作ることができます。水やりの頻度を押さえたい方やお世話を忘れやすい方におすすめの配合です。赤玉土7:腐葉土3の培養土でも
赤玉土と腐葉土を7:3の割合で混ぜた培養土も水はけがよいためおすすめです。肥料が含まれていないため元肥を投入してください。斑入りなどの株を育てる場合
斑入りのスミレは普通のスミレよりも水分の吸収量が少ないため、より水はけを良くする工夫をすると良いでしょう。鹿沼土1:軽石1:赤玉土1の配合土がよい
鹿沼土、軽石、赤玉土をそれぞれ1:1:1の配合で混ぜると斑入りのスミレに適した土になります。この場合も肥料を加えてあげるようにしましょう。鹿沼土の代りに日向土、赤玉土の代りに桐生砂を用いても◎
鹿沼土の代わりに日向土、赤玉土の代わりに桐生砂を用いても良いでしょう。適宜お手持ちの土で配合を変えてみてくださいね。乾きやすい鉢に植える場合
また、素焼きの鉢など乾きやすい鉢に植える場合は以下のような工夫によって水持ちを良くすると良いでしょう。軽石の量を減らす
軽石の量を減らすことで水持ちを良くすることができます。日照りによって乾燥してしまう場所では軽石の量を減らしてあげると良いでしょう。赤玉土の量を増やす
赤玉土は水はけの他に水持ちも良くする効果があります。小粒以下の小さいサイズの赤玉土を配合することでより水分を保持することができますよ。スミレの育て方のポイント④肥料
スミレの育て方のポンととして4つ目に解説するのは肥料の与え方です。スミレは小さなかわいらしいお花を咲かせます。しかし、小さいからと言ってエネルギーをあまり使わないというわけではありません。スミレが花を咲かせるには多くのエネルギーを必要とします。そのエネルギーを補給するために肥料を与えるようにしましょう。地植えの場合
地植えで育てている場合の肥料の与え方について解説いたします。肥料はほぼ不要
基本的に地植えの場合は肥料を与える必要はありません。正しい育て方をしていれば毎年たくさんの花を咲かせてくれることでしょう。必要に応じて9月~10月に緩効性肥料をまく
しかし、もしも必要だと感じたり、早く大きくしたいなどの理由がある場合には9月~10月に1度緩効性の肥料を株本に撒くと良いでしょう。与えすぎてしまうと肥料焼けを起こしてしまう可能性があるため適量を意識します。鉢植えの場合
鉢植えで育てている場合の肥料の与え方について解説いたします。元肥:リン酸とカリウムが多めの緩効性肥料を施す
鉢植えで育てていて、なおかつ用土に肥料が含まれていない場合、元肥としてリン酸とカリウムが多めの緩効性肥料を土に混ぜ込んでおくようにします。追肥:春と秋に定期的に液肥を施す
また、春と秋には定期的に希釈した液体肥料を水やりの際に与えるようにしてください。特に春の開花時期には液体肥料を与えることで花付きが大きく変わりますよ。スミレのお手入れ方法
スミレには先ほどまで紹介して板育て方の他に、適宜お手入れが必要になることがあります。育て方を実践していくとともに時々必要となるお手入れの方法について知っておきましょう。植え付け
スミレの植え付けのポイントについて解説いたします。深めの鉢に植えるとよい
スミレは根を深く張る多年草の植物です。乾燥を防ぐためにも深めの鉢に植え付けを行うようにすると良いでしょう。植え付けのしかた
植え付けは以下のようにして行います。- 鉢底に鉢底石や軽石を敷き詰めます
- 土を半分程度入れておきます
- スミレの苗を優しく取り出し、根を軽くほぐします
- この時に傷んでいる根などは取り除きましょう
- スミレの苗を鉢に入れ、根を埋めていきます
- 鉢の縁を軽く叩くか竹串などで数回土を刺し根と土をなじませます
- たっぷりと水を与えます
- 土の嵩が減った場合もう一度土を継ぎ足して水を与えます
- 根付くまでは乾燥に気を付けて管理しましょう
植え替え
スミレの植え替えのポイントについて解説いたします。植え替えのタイミング:1年に1回
スミレは1年に1回程度植え替えを行うようにします。また、鉢底から根が出ているなどのサインがあることもあるためこまめに観察しておきましょう。植え替えの時期:夏の終わり~初秋、2月~3月
スミレの植え替えは夏の終わり~初秋、または2月~3月に行うことができます。適期以外の植え替えは弱ってしまう可能性があるため行わないでください。植え替えのしかた
植え替えの仕方は以下の通りです。- 一回りほど大きな鉢を用意しましょう
- 鉢底に鉢底石か軽石を敷き詰めておきます
- 土を半分程度入れておきます
- スミレ鉢からを優しく取り出し、根を軽くほぐし古い土を落とします
- この時に傷んでいる根などは取り除きましょう
- スミレを鉢に入れ、根を埋めていきます
- 鉢の縁を軽く叩くか竹串などで数回土を刺し根と土をなじませます
- たっぷりと水を与えます
- 土の嵩が減った場合もう一度土を継ぎ足して水を与えます
- 根付くまでは乾燥に気を付けて管理しましょう
冬越し
スミレの冬越し方法について解説いたします。冬は葉を落として休眠する
スミレは冬の時期は葉を落として休眠するという性質を持ちます。そのため、冬になると枯れてしまったと勘違いしてしまう方が多いようです。しかし、実際にはスミレは土の下で生きているため鉢を捨てないようにしましょう。特に冬越しの対策は必要ない
スミレは寒さに強く、特に冬越しの対策を行わなくても冬越しすることができます。不安であれば腐葉土などでマルチングをして凍結を予防するようにします。採種
スミレは花を咲かせた後にタネを付けます。そのタネを蒔くことでスミレを増やすことができます。備えとして実ったタネを集める
スミレは多年草です。しかし、長く育てていくと突然寿命によって枯れてしまうことがあります。そのようなことがあっても途絶えることがないように、備えとして実ったタネを集めておくようにしましょう。採種と保管のしかた
スミレのタネが熟すと莢が上を向き始めます。それをそのまま放置しておくと種がはじけ飛んでしまうためそうなる前に莢を摘み取り、乾燥させておきましょう。しっかりと乾燥したら中から黒いタネを取り出して小袋などに入れて乾燥した冷暗所で保管します。増やし方
スミレは種まき、根伏せ、株分けによって増やすことができます。それぞれのメリットとデメリットを知って実践してみましょう。種まき
種まきは収穫した種を土に蒔いて増やす方法です。たくさん増やすことができる一方、成長し花を咲かせるまでに少し時間がかかってしまいます。根伏せ
根伏せはスミレの根を切り分けて、それを土に埋めて増やす方法です。株分けよりも数を多く増やすことがd系るものの、成長するまでに時間がかかります。株分け
株分けは大きくなったスミレの株を植え替えの時などに分けて別の株として育てるという方法です。簡単に行うことができるものの、増やすことのできる数は少ないです。スミレの人気の品種を紹介
実は、スミレにはいくつかの品種があります。それぞれ異なる特徴を持つためお気に入りのスミレの品種を探してみてはいかがでしょうか。なお、品種が異なっていたとしても基本的な育て方は同じです。この記事を参考に育ててみてくださいね。紫式部:無茎種のひとつで濃い紫の花を咲かせる
紫式部は無茎種と呼ばれるスミレの一つです。紫式部という名前の通り濃い紫色の花を咲かせることが特徴の品種となっています。夕霧(ゆうぎり):淡紫~紫の花びらに濃い紫の筋が入る
夕霧は淡い紫色~紫色の花びらにさらに濃い紫色の筋が入ることが特徴の品種です。ちなみに紫式部は源氏物語の作者、夕霧は源氏物語に登場する登場人物の一人となっています。【まとめ】スミレの育て方を徹底解説!成長後のお手入れから人気品種まで紹介
今回はスミレの育て方について解説いたしました。スミレについての基本的な知識やスミレの育て方を知ることはできましたか? この記事のポイントは、- スミレは日当たりが良く、水はけのよい環境を好む
- スミレは日本原産の植物のため、暑さや寒さに強い
- スミレは開花のために秋ごろ肥料を与えると良い
- スミレには植え替えや種取りなどのお手入れが必要となることがある