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冬を彩る美しいシクラメン。シクラメンと聞くと、赤色や白色の可愛らしい花を想像することができると思います。そんなシクラメンですが、実は種からも育てられます。シクラメンを種から育ててみたいと思いませんか。 そこでこちらの記事では
- シクラメンはどんな植物なのか
- シクラメンは種から育てることは難しいのか
- シクラメンの種の取り方
- シクラメンの種からの育て方
について解説しています。 この記事を読んでいただければ、シクラメンの種からの育て方が身に付きます。シクラメンを種から育てる方法について詳しくなるでしょう。最後にシクラメンの種類についても紹介しているので、ぜひご覧ください。
関連記事:シクラメンの育て方|初心者向けのお手入れから室内での栽培方法まで
シクラメンはどんな植物なの?
シクラメンと聞いて、多くの方が「こんなお花だよね」と想像できるでしょう。しかし、シクラメンがどんな植物なのか詳しく知る方は少ないかもしれません。ここでは、シクラメンがどんな植物なのか、解説します。冬の花の少ない時期に庭を華やかにしてくれる球根の花
シクラメンは、冬の花の少ない時期に庭を華やかにしてくれる球根の草花です。シクラメンは、鉢花になるような大輪を咲かせるタイプや、寄せ植えにおすすめの小輪タイプがあります。その中間の中輪タイプもあるほど。花色や咲き方も様々であるため、お花の少ない冬に非常に人気のある球根植物です。基本情報
シクラメンは赤やピンク、白、黄色、紫など様々な花色のある球根植物。さらに、八重咲きや花弁にフリルが入ったり、模様が入ったりする品種もあります。葉っぱの模様や形、色までも品種によって異なります。科・属名 | サクラソウ科シクラメン属 |
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原産地 | 北アフリカ~中近東・地中海沿岸地域 |
開花時期 | 10月~3月 |
花の色 | 白・赤・ピンク・黄色・紫・複色 |
別名 | カガリビバナ・ブタノマンジュウなど |
シクラメンは、大久保三郎が英名をそのまま日本語に移し替えた名前
シクラメンは、植物学者である大久保三郎が英名「Cyclamen」をそのまま日本語に移し替えた名前です。和名である「ブタノマンジュウ」は漢字で「豚の饅頭」。シクラメンの球根が豚の餌になることから、ヨーロッパでは「sow bread]=「雌豚のパン」と呼ばれていました。この名前から、大久保三郎はシクラメンを「豚の饅頭」と和訳しています。育て方は、地植えと鉢植え、水耕栽培もできる
シクラメンの育て方は、地植えと鉢植え、水耕栽培もできます。大型のシクラメンは鉢植え向きですが、ミニシクラメンは地植えでも育てることが可能。さらに土を全て洗い流し、球根と根だけにして、球根が水につからないように管理すれば、水栽培も可能です。育て方のバリエーションも多いのは、シクラメンならではでしょう。シクラメンは種から育てることは難しい?
シクラメンは、主に花苗や鉢花で手に入れます。そこで、「種からは育てることはできないのかな」と疑問に思う方も多いでしょう。ここではシクラメンを種から育てることは難しいのかどうか解説します。コツを理解していれば初心者でもシクラメンを種から育てることができる!
コツを理解していれば初心者でもシクラメンを種から育てることができます。シクラメンは花が咲いた後に種ができるので、そのためを収穫して保存しておくことがポイント。種はインターネットを使用すれば手に入りますが、お店では販売されていることは稀なので、育てているシクラメンから採取するとよいでしょう。種の採取自体は難しいものではありませんので、安心してください。発芽に要する時間は6〜8週間
シクラメンの発芽に要する時間は6~8週間です。発芽までも、2か月ほどかかります。そのため、種が発芽しないからと言ってすぐにあきらめずに、土を乾かさないように地道に管理してください。環境が良ければ、いつの間にか発芽します。開花に要する時間は10か月ほど
シクラメンを種から育てて、開花に要する時間は10か月ほどです。しかし、これは順調に育った場合です。種から育てて、10か月で咲くことは稀です。さらに、1年目から花を咲かせいると、その後の生育が悪くなるのでおすすめできません。本来であれば、1~2年は球根を太らせてじっくり育てるようにしてください。シクラメン種からの育て方:種の採取
シクラメンの種からの育て方を紹介します。まずは種の採取から始めましょう。種を取るタイミング
種を取るタイミングはいつなのか、気になると思います。シクラメンの種を取るタイミングは以下の2つ。- 花が終わったら、受粉後3~4か月で種ができる
- 子房が垂れて中の種が茶色になってから種を取る
花が終わったら、受粉後3-4か月で種ができる
花が終わったら、受粉後3~4か月で種ができます。本来であれば、花後は摘み取りますが、種を採取する場合は花摘みをしません。しかし、シクラメンは多くの花を咲かせる植物です。すべての受粉した花を残しておくと、すべてに種ができて、株が弱ってしまいます。咲いた花を選別して、収穫する種数を少なめにしておくと、株の消耗を少なくすることができるでしょう。すべてに種を付けさせたらシクラメンが枯れる恐れがあるので気を付けてください。子房が垂れて中の種が茶色になってから種を取る
花後にシクラメンの子房が垂れて中の種が茶色になってから種を取ります。シクラメンは原種ほど、花後の子房が茎をクルクルさせて株元に集まります。種が熟成して茶色になった頃が採取タイミングです。そのまま子房ごと摘み取り、中身の種を取り出しましょう。シクラメンの種の取り方
シクラメンの種の取り方を紹介します。手順
手順を以下の通りです。- 子房が茶色~黒色になるまで待つ
- 茶色~黒色になった子房を優しく摘み取る
少しの刺激で飛び散るためあらかじめ袋を被せておくと安心
シクラメンは、少しの刺激で飛び散るためあらかじめ袋をかぶせておくと安心です。子房が熟すと、切れ目が入り種が零れ落ちます。強くつまむと種が飛び散る可能性があるので、あらかじめ子房の周りに小さな袋をかぶせておくとよいかもしれません。シクラメンの種の乾燥と保管方法
シクラメンの種の乾燥と保管方法を紹介します。手順
手順は以下の通りです。- シクラメンの種を綺麗にバラバラにする
- 風通しの良い場所に一日置く
- バラバラにした種を、茶封筒や不識布の小袋に入れる
- 袋の中にシリカゲルを入れておく
- 冷蔵庫で保管する
高温多湿や光が苦手なため、必ず冷蔵庫で保存する
シクラメンの種は高温多湿や光が苦手なため、必ず冷蔵庫で保管しましょう。冷蔵庫であれば、低温保存でき光や湿度の影響も最小限にすることが可能です。さらに、低温で保存することで、春化(しゅんか)が促され、発芽率も上がります。種の保存には、ぜひ冷蔵庫を利用しましょう。販売されているもので代用しても良い
シクラメンの乾燥に使うシリカゲルは、販売されている園芸用品ではなく、食材用品を代用してもよいでしょう。シリカゲルは乾燥材として簡単に手に入ります。保存する場所も、種専用のものをインターネットで探せば、小さいものも手に入るかもしれません。シクラメン種からの育て方:準備物
シクラメンの種からの育て方に必要な準備物を紹介します。まき床
シクラメンの種を撒くまき床を準備しましょう。まき床とは、種を撒く土を入れる容器のこと。つまり、鉢やポットなど、底穴のある土を入れられる容器であれば、なんでもかまいません。5号サイズの鉢やポットの広さが種まきしやすいかもしれません。5号サイズであれば、ある程度の大きさまで十分に育てることも可能です。用土
種まきする時の用土については、以下の2点に注意してください。- 肥料分のない無機質の土を使うのがポイント
- 赤玉土や鹿沼土を配合または市販の種まき用の土を使う
肥料分のない無機質の土を使うのがポイント
シクラメンの種まきでは、肥料分のない無機質の土を使うのがポイント。土に肥料分があると、種の発芽に悪影響を与えるためです。肥料が多い土は、種や発芽したばかりのシクラメンから、水分を吸収する可能性があります。きゅうりに塩を振りかけると、水分が出てくるのと同様の現象が起きると考えてください。そのため、種まきの用土には、肥料分のないものを使いましょう。赤玉土や鹿沼土を配合または市販の種まき用の土を使おう
シクラメンの種まき用土には、赤玉土や鹿沼土を配合または市販の種まき用の土を使いましょう。もしオリジナルで作りたい方は、赤玉土と鹿沼土を半分ほど混ぜた土で十分です。もし、心配な場合は、種まき用の土を使うと安心でしょう。ただし、メーカーによっては、種まき用の土にもかかわらず肥料分が含まれていることもあるので、注意してください。シクラメン種からの育て方:種まき
シクラメンの種まきの育て方を見ていきましょう。種まきはいつ行う?
1年に2回の種まき時期があります。- 5月中旬~6月
- 9月~11月頃
5月中旬~6月
シクラメンの種まきは、春の5月中旬~6月に行うことができます。春はシクラメンの生育期なので、種まきの発芽が最も成功しやすい時期です。しかし、発芽した種は、すぐに夏を迎えることになるので、夏になるまでにしっかりと育てる必要があります。シクラメンにとって、日本の高温多湿の環境は苦手であるためです。又は、夏の暑さが過ぎた9月~11月頃
春に種まきができなかった場合、またはしなかった場合は、夏の暑さが過ぎた9月~11月頃に種まきします。秋もシクラメンにとっては成長期であり、花が咲き始める時期でもあります。そのため、この時期に種まきしても発芽しやすいです。さらに、気温が下がり始める時期なので、土の乾燥も少なく水管理がしやすいメリットがあります。ただし、夏の暑さが残っていると、種まきしても発芽しないことがあるので、十分に涼しくなってから種まきすることがポイント。また、冬は寒風や霜雪が当たらないように管理しましょう。種まきの方法は?
シクラメンの種まきの方法を解説します。①まき床に用土を入れ、その上に種が重ならないように播く
まき床に用土を入れて、その上に種が重ならないように種まきしてください。種が重なると、くっっ付いた状態で育つため、大きくなった後に移植しにくくなります。さらに、葉と葉が重なり合って一方の生育が悪くなる可能性があるので気を付けましょう。②種が隠れるくらいに覆土する
まき床に入れた用土に種まきしたら、種が隠れるくらいに覆土してください。覆土とは、土を被せることです。この時、土を被せすぎたら、種が発芽しにくくなるので注意しましょう。シクラメン種からの育て方:水やり
シクラメンの種からの育て方における水やりについて紹介します。水やりは種まき後の重要な手入れの一つです。注意して行いましょう。種播きが終わったら、用土全体が湿るように水を与える
用土に種まきをして、覆土した後は、用土全体が湿るように水やりします。水やりはハス口を使って柔らかい水やりをしてください。勢いよく水やりすると、種が深くに潜ったり、土から流れ出てきたりするためです。慎重にゆっくり土が湿るように水やりしましょう。発芽するまでは土が乾かないように与える
シクラメンの種まき後の水やりは、発芽するまでは土が乾かないように与えてください。一度湿った種が、乾燥してしまうと、発芽しないためです。水やり後に土の乾燥具合には注意してください。特に、春に種まきする場合は、気温が上がり続けるので、土が乾きやすいです。一度水やりしたら、発芽するまで土を乾かさないように注意してください。発芽した後は、用土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与える
シクラメンの種が無事に発芽した後は、用土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えます。発芽後も土が湿り続けていると根腐れする可能性があるので、気を付けてください。ただし、発芽後の根は短いので少しの乾燥でも、枯れやすいです。土の表面の乾き具合に注意して手入れをしていきましょう。シクラメン種からの育て方:生育環境
シクラメンの種からの育て方における生育環境を紹介します。遮光環境
種まきした後の遮光環境のポイントは2つです。- 全体を暗くするために、新聞紙や段ボールを被せる
- 土の乾きに注意
全体を暗くするために、新聞紙や段ボールをかぶせる
シクラメンの種まき後は、全体を暗くするために、新聞紙や段ボールを被せます。暗くすることで、光が入りにくくなる点と湿度が維持されやすくなる点から発芽しやすくなるためです。土の渇きに注意
遮光することで、土の乾燥はゆっくりになりますが、段ボールで完全に画した場合は、土の様子が見えなくなります。土の乾き具合は、都度確認しておきましょう。被せておくと、土の様子がわからず乾きすぎになる場合もあるので、注意しましょう。温度管理
シクラメンの種まき後の温度管理について解説します。大株のシクラメンは、5度~20度の範囲であれば問題ない
大株のシクラメンは、5度~20度の範囲であれば問題ありません。ただし、種まき直後が5~10℃前後の場合は、発芽しないので、注意してください。種から発芽して、成長して大きくなり始めたシクラメンであれば、5度~20度の範囲で生育します。弱い小さなシクラメンは、15度~20度の場所に置く
弱い小さなシクラメンは、15度~20度の場所に置いてください。大株ほどの体力を持ち合わせていないので、最低15度をキープして育てるとよいでしょう。シクラメン種からの育て方:発芽後
シクラメンの種からの育て方における発芽後を紹介します。遮光していた新聞紙や段ボールを取る
種が発芽したら、遮光していた新聞紙や段ボールを取りましょう。発芽後も遮光したままだと、ひょろひょろの芽になってしまうので注意してください。発芽後は、柔らかい光に当てて光合成させることが重要です。いきなり直射日光は避け、明るい日陰や、カーテン越しに日が当たるような場所に置く
発芽後は、いきなり直射日光は避けて、明るい日陰やカーテン越しに日が当たるような場所に置いてください。発芽直後に強すぎる直射日光に当たると、葉焼けする可能性があります。発芽したばかりの葉が葉焼けすると、そのまま枯れてしまうので注意してください。シクラメンの様々な種類
シクラメンにはさまざまな種類があります。ここでは、以下の3種類を見ていきましょう。- 原種シクラメン
- ガーデンシクラメン
- コウム
原種シクラメン
原種シクラメンとは、品種改良されていない野生種のシクラメンのことです。地中海沿岸を中心に20種類ほどが自生しています。品種改良されていない原種シクラメンは山野草的な楚々とした美しさを持っており、人気のあるシクラメンです。原種であるため、花色は白やピンクと控えめの色ですが、シクラメン本来の強さを持っているので、原種だから弱いということもありません。ただし、日本の高温多湿の環境は苦手なので注意して育てましょう。通常のガーデンシクラメンに比べると価格は高いです。ガーデンシクラメン
ガーデンシクラメンとは、耐寒性のある原種のシクラメンを元に育成された小型の園芸品種のシクラメンです。耐寒性の弱い大型の園芸用鉢花シクラメンと違い、冬の屋外でも育てやすい特徴を持っています。通常のシンプルなガーデンシクラメンは低価格なので、お庭に気軽に植えられるでしょう。ガーデンシクラメンは庭植できる草花としても人気の球根植物なので、品種改良も盛んでさまざまな種類が毎年発売されています。コウム
コウムとは、原種シクラメンの1種類です。主にトルコを中心とした地域に自生しています。原種シクラメンの中でも早咲きの品種であり、秋には開花して楽しませてくれます。原種シクラメンの中でも特に流通量が多く、園芸店でも在庫の多い種類です。在庫が多いと言っても人気であるため、すぐになくなるので注意してください。写真付きで販売していることが多いですが、肥料効果によって花色がやや異なる場合もあるので、あまり写真にこだわりすぎないようにしてください。基本的に、コウムは育てやすいため初心者の方にも人気です。花色は濃いピンクが基本ですが、最近ではコウム同士の掛け合わせによって、花色や葉っぱに違いがあるものも多くあります。【まとめ】シクラメンの種はどうすればいい?適した取り方や蒔き方を解説!
ここまでシクラメンの種について解説してきましたがいかがですか。 この記事のポイントは- シクラメンはサクラソウ科シクラメン属の球根植物で、ヨーロッパ地中海沿岸地域を原産地としている球根植物
- シクラメンは種から育てることは、それほど難しくなく、コツさえつかめば園芸初心者でも種から育てられる
- シクラメンの種の取り方は、花後に子房が茶色~黒色になった時に、子房ごと優しく採取して種を取り出す
- シクラメンの種は、肥料の入っていない土にまいて、土を乾かさないように水やりして育てると1~2か月ほどで発芽して育てることができる