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とてもいい香りのする樹木である沈丁花(ジンチョウゲ)。春は沈丁花が有名で、夏はクチナシ、秋は金木犀とこの三つを合わせて三大香木と呼ばれます。その一つである沈丁花は香りが高い花を咲かせ、古くは室町時代から楽しまれていたのだとか。
そんな沈丁花、実は寿命は20~30年ほどと他の花木の中では長いものではないのですが、早かったら10年ほどで枯れてしまうこともあるのです。
花木の中でさほど長くないと言われていても、10年で寿命がきて枯れてしまうのはしっかり育ててきたのにがっかりしてしまうことでしょう。
そこで今回は「沈丁花の寿命の原因」を重点的に解説していこうと思います。ぜひ最後までご覧ください!
そもそも沈丁花はどんな植物?
さて、まずは沈丁花について詳しく知らない方もいらっしゃると思いますので、沈丁花ってどんな植物なのかを見ていきましょう。沈丁花の基本情報
まずは沈丁花についてみていきましょう。沈丁花の名前の由来は、花の香りが沈香(ちんこう)に似ていること、十字型の花が丁子(グローブ)に似ていることから来ていると言われています。 原産は中国と言われていて、日本では室町時代から栽培されて楽しまれていたとの記述も見つかっています。花木の中では寿命は長くないほうと言われています。公園や庭木にもたくさん植えられていることが多い植物となります。科・属 | ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属 |
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タイプ | 庭木・常緑 |
原産地 | 中国 |
開花時期 | 3~4月 |
沈丁花は早春に花を咲かせ、三大香木として知られる常緑の花木
沈丁花は春に花を咲かせることで有名です。夏は梔子(クチナシ)、秋は金木犀(キンモクセイ)と並んで「三大香木」と呼ばれるほど香りのよい花をつけてくれる常緑の花木となります。日本にある沈丁花のほとんどは雄木で、実らない
実は、沈丁花は雌雄異株となっている植物で、雄株と雌株が存在します。ですが、日本で流通している沈丁花はほとんどが雄株となっており、滅多なことでは実がなることがないのです。沈丁花は葉や花、樹液などに毒性を持つ
滅多に実をみることがない日本の沈丁花ですが、本来であれば付く実の色は赤く、可愛らしい実をつけてくれます。ですが、その実はすごい猛毒を持っており、間違って食べてしまうと大変なことになります。また、実だけでなく、葉っぱや花、樹液などにも毒を持っているため、素手で触ってしまうと、皮膚炎や水ぶくれを起こしてしまうことになりますので、触る場合は手袋をしっかり着用してから作業をしましょう。沈丁花の寿命はどれくらい?
そんな沈丁花、庭木で植える際にどれほど寿命があるのかわからない方もいらっしゃるでしょう。沈丁花の寿命はどれくらいなのか説明していきましょう。沈丁花の寿命は20年〜30年ほど
沈丁花は花木という園芸樹木の種類となります。ですが、実際に樹木に関しては寿命は環境さえよければ長く生き続けることは可能であり、寿命がないと考えることが多いです。ですが、やはり病気や水の吸い上げが悪くなってしまうと枯れてしまうことは多くなります。 大体の花木に関しては60年や70年、長くなれば100年以上寿命がこないものも存在しますが、沈丁花は花木にしては短く、20~30年ほどと言われています。10年ほどで突然枯れてしまうことも
短いとはいえ、20~30年生きてくれる沈丁花も、10年ほどしたら突然枯れてしまうことも多いと言われています。寿命が早く来てしまったと考えることもできますが、移植によって株が弱ったり、病気や水切れ、水の吸い上げが悪くなるなどで突然枯れることがあると言われています。庭木としては寿命が短い植物
先ほども言った通り、沈丁花は庭木としては寿命が短めの植物となります。健康状態をしっかりと管理すれば、沈丁花の寿命は20~30年となってくれるでしょう。沈丁花の寿命が短い理由は?
そんな沈丁花はどうして寿命が他の庭木よりも短いのでしょう?その理由を探っていきたいと思います。沈丁花はとても繊細な植物
実は、沈丁花はとても繊細な植物で、ちょっとした環境の変化で寿命がきて枯れてしまうことが多いのです。また、乾燥や寒さにも弱く、しっかりと管理してあげないとすぐに寿命が来てしまったり、葉っぱが枯れてしまったりと大変です。植え替えや剪定、生育環境次第では株が弱り突然枯れてしまうことも
また、植え替えや剪定、育てている環境次第では突然株が弱り、枯れてしまうことも多い植物です。そのため、植えるときから沈丁花に適した環境を作っておくことが寿命や枯れることを防ぐことに繋がるといえましょう。沈丁花が突然寿命を迎えてしまう原因
では、沈丁花がどうして開花せず突然寿命がきて枯れてしまうのか?その原因を探っていきましょう。20年〜30年の寿命の中で突然枯れてしまうのには原因があることがほとんど
他の花木に比べたら寿命が短い沈丁花。とはいえ、20~30年は育つはずなのに、開花する前に寿命が来る前に突然かれてしまうことが多いのはなぜなのでしょう?もちろんそこには原因があることがほとんどなのです。その原因は何なのか、下の項目で説明していきましょう。原因① 病気によるもの
沈丁花も他の植物と同じく病気で枯れることが多いです。その中でも厄介なのが「白紋羽病」(しろもんぱびょう)と言われています。白紋羽病は、葉っぱが黄色く変色したり、縮れたりして生育が悪くなってしまい、最終的に寿命が来ることなく枯れてしまうこととなります。 この病気になってしまったら、対処することはできません!そのため、地植え・鉢植えともに処分するしか方法はないのです。 また、地植えの場合だと、土も処分する必要があります。すべてを処分するのは難しいため、植えていた場所の周りの土を可能な限り処分し、その周りに殺菌剤を撒くなどして消毒して、清潔な土に戻す努力をしておきましょう。原因② 水はけが悪い
沈丁花は水はけの良い環境を好みます。そのため、植えている場所の用土の水はけが悪いと根腐れを起こし、そのまま弱っていったり枯れてしまい、寿命がすぐ来る可能性があるのです。最初に植える前から水はけの良い用土を用意してあげてから植えるようにすると、枯れる心配は減ってくれるでしょう。原因③ 水切れを起こしている
沈丁花は他の花木に比べて水を吸収してくれる根っこが少ないため、水切れを起こしやすいと言われています。水切れが続いてしまうと、弱ってきたり枯れてきたりと寿命を短くしてしまう原因になりえません。特に近年の夏は乾燥もしやすくなっているため、気を付けておく必要があります。 地植えの場合は、根付いてさえしまえば自然の雨だけでも大丈夫になりますが、乾燥が続くようであれば水やりは必要となります。 鉢植えの場合なら、水やりは忘れないようにします。また、鉢植えで栽培しているときは根詰まりを起こす可能性がありますから、植え替えも数年に1度の頻度でする必要がありますよ。原因④ 根が傷ついた
沈丁花は植え替えを行う際に、根っこを切ったり傷つけてしまうと枯れてしまう恐れがあります。そのため、最初から地植えで育てておくと、植え替えの必要がなくなるため、傷をつけることもなくなるので、寿命を早めることはなくなります。原因⑤ 剪定のしすぎ
沈丁花は剪定をしなくても、自然と樹形が整ってくれるので園芸初心者には助かる庭木といえるでしょう。しかし、剪定をしなくてもよいというわけではありません。だからといってバッサリと枝を切っていくと枯れてしまうという繊細な部分をみせてきます。そのため、一度に太くなっている枝を切りすぎないようにし、不必要な枝のみを切る剪定にしておくと、枯れてしまう心配も減ってくれます。地植えと鉢植え、どちらの方が沈丁花の寿命を伸ばせる?
沈丁花は地植え・鉢植えで育てることができます。ですが、どっちの育て方のほうが長く寿命を伸ばすことができるのでしょう?説明していきましょう。生育環境を整えることができればどちらでも寿命まで楽しむことができる
正直に話せば、生育環境さえ整えることができれば、地植え・鉢植えのどちらでも寿命まで楽しむことはできるでしょう。もちろん、しっかりと管理が必要となる植物ですので、観察し続けることに変わりはないでしょう。この2種類のメリット・デメリットを下の項目で説明していきましょう。鉢植えのメリット・デメリット
まずは、鉢植えで栽培する場合のメリット・デメリットを説明していきましょう。メリット:日当たりや気温に応じて適宜移動できる
沈丁花は日当たりの良い場所を好むため、鉢植えだといつでも移動させることができますから、必要に応じて動かすことができます。また、冬の寒さに弱いので、鉢植えだと屋内に移動させて管理することも可能となり、メリットといえます。デメリット:根詰まりを起こし植え替えを行わなければならないことも
沈丁花は植え替えが難しい植物です。しかし、鉢植えの場合だと、根詰まりを起こすことを防ぐために植え替えを行わないといけなくなります。ここで、根っこを切ってしまったり傷つけてしまったりすると、枯れる可能性がありますので、デメリットといえるでしょう。地植えのメリット・デメリット
続いて、地植えの場合のメリット・デメリットを説明していきましょう。メリット:植え替えをしなくてい良いため、根を傷つけることがない
地植えの場合だと、植え替えの必要がなくなります。そのため、根っこを傷つける可能性がなくなりますので、枯らす心配をすることもなくなります。デメリット:土に病原菌がいた場合枯れてしまうことがある
デメリットは、もし植えた場所の土に病原菌などがいた場合は枯れてしまうことがあるということです。また、水はけの悪い土だったら、根腐れしやすくなり、枯れる恐れもあります。地植えで育てる場合は、まずしっかりと土を用意してから植えつけるようにしましょう。沈丁花の寿命を長く楽しむための育て方のポイント
植物を植えるのなら、少しでも長く楽しみたいですよね。沈丁花でももちろんその気持ちになると思いますので、ここからは沈丁花を長く楽しむための育て方のポイントについて説明していきましょう。置き場所
沈丁花を長く楽しむためのポイント、置き場所について説明していきましょう。日当たり・風通しの良い場所に置く
沈丁花は日当たりと風通しの良い場所が大好きです。沈丁花は光が足りないと花がつかない可能性があるので、植え付ける際は注意が必要です。地植えをする場合は極端な日陰や強い西日が当たるとこをは避ける
鉢植えの場合ですと、移動がしやすいので調整しやすいですが、地植えの場合は移動ができません。日当たりが好きといっても、極端に西日が当たるところや日陰は嫌いです。地植えする際は、このような場所に植えるのを避けてあげましょう。水やり
沈丁花を長く楽しむためのポイント、水やりについて説明していきましょう。鉢植えの場合
鉢植えで育てる場合の水やりは、土の表面が乾き気味になってきたらするようにしましょう。春~秋の生育期は水切れしてしまわないようにします。ただ、あげすぎると根腐れを起こし、枯れる原因となりますので、適切な量をあげることを心がけます。 あげる時間は日が高くない午前中の朝、受け皿を使っている場合は受け皿の水を必ず捨てるようにしましょう。地植えの場合
地植えの場合、根付くことさえできれば自然任せの雨だけで十分で、水やりをする必要はありません。ただし、新芽の生育期である春や真夏の高温時期には、水切れを起こしてしまう可能性もあります。沈丁花をしっかり観察しながら水やりをしてあげるようにします。土壌環境
沈丁花を長く楽しむためのポイント、土壌環境について説明します。水はけ、水もちの良い土を使用する
沈丁花は水はけがよく、また水持ちの良い用土がよいでしょう。欲を言えば弱酸性の土ならもっといいですが、水はけさえよければ十分なので、そこまで真剣に考えなくてもよいでしょう。鉢植えの場合
鉢植えの場合は、市販で売られている花木用培養土がありますので、こちらを使用するといいでしょう。自分でブレンドした土を使いたい場合は、赤玉土7:腐葉土3の割合で混ぜたものがよいでしょう。地植えの場合
地植えの場合、水はけの悪い場所に植えると根腐れしやすく、育ちも悪くなるので植えるのは止めましょう。水はけが悪い場合、川砂やパーライトを混ぜるなどして水はけをよくします。植え付ける2週間前に腐葉土か堆肥を混ぜておきましょう。 どちらの場合も、連作障害を起こす可能性がありますので、必ず新しい土を使いましょう。地植えの場合は、他の植物を育てていた場所に植えないようにします。肥料
沈丁花を長く楽しむためのポイント、肥料について説明します。基本的に肥料は与えなくても良い
沈丁花は基本的に肥料を与えなくても花は咲かせてくれます。与えすぎないようにしましょう。与える場合は緩効性肥料を4月〜5月、9月に与える
もし肥料を与える場合は、花が終わる4月~5月、株が生長する9月に緩効性肥料を株の周りに撒くようにします。また、1月~2月ごろに市販で売っている有機肥料を与えると、花が咲く時期に株が弱るのを予防できますよ。剪定
沈丁花を長く楽しむためのポイント、剪定について説明します。病気や害虫予防として間引き剪定を行う
沈丁花は剪定をしなくても自然と樹形が整ってくれます。ただ、枝が混み合うと風通しが悪くなり、蒸れてしまって病気になる可能性があります。それを予防するため、必要ない枝を剪定する「間引き剪定」を行います。夏以降に剪定を行うと翌年花が咲かなくなるため注意
また、剪定をする際は夏が来る前に行います。沈丁花は6~7月にかけて次の年の花芽を作りますので、夏以降に剪定してしまうと、花が咲かなくなるため注意が必要です。強剪定や刈り込みは枯れる原因になるため避ける
さらに太い枝を切ってしまう「強剪定」をしてしまうと、株が衰弱し枯れる原因となります。また、樹形を整えようとして伸びた枝を途中で切ってしまう「切り戻し」を行うのもNGです。病害虫
沈丁花を長く楽しむためのポイント、病害虫について説明します。病気:白紋羽病やウイルス病に注意
病気として、先ほど説明した「白紋羽病」や「ウイルス病」に注意しましょう。葉っぱが変色していたり、縮れていたら枯れてしまいます。一度かかってしまうと回復は見込めません。連作や強剪定を避けておくことで予防が可能ですよ。害虫:アブラムシやハマキムシに注意
害虫は、「アブラムシ」や「ハマキムシ」に注意が必要です。アブラムシは、春~秋の高温乾燥期に発生しやすく、新芽や葉裏などについていることが多いです。アブラムシは黒点病やモザイク病のウイルス病を媒介しやすいです。ハマキムシは、葉っぱを袋状に丸めたり、数枚の葉っぱをくっつけたりし、その中で生活をして食害を起こします。放置してしまうと、葉っぱ全部が駄目になるので駆除しましょう。沈丁花が寿命を迎える前に挿し木で増やしてみよう
今栽培している沈丁花が寿命を迎えると寂しくなりますよね。そうなる前に、沈丁花を挿し木で増やしておくことをしておきましょう。日本で流通しているものは雄株が多いので、増やすには挿し木で増やします。沈丁花の寿命は短いため、挿し木で増やしておくと長く楽しめる
沈丁花は花木の中では寿命が短いため、挿し木で増やしておくのが一番です。繊細な沈丁花なので、水切れも起こしやすく、移植も嫌い、突然枯れてしまうこともあります。そのため、挿し木しておくことで枯れるのを防ぐことができます。剪定した時の枝を使って、挿し木で株を残しておくようにします。沈丁花の挿し木の時期
沈丁花を挿し木で増やすのに適した時期は、4月または7~8月となります。4月に挿し木を行うことを「春挿し」、7~8月に挿し木を行うことを「夏挿し」といいます。沈丁花の挿し木で必要なもの
沈丁花の挿し木をする際に必要なものは以下の通りです。- 剪定した枝
- 用土
- 鉢
- ハサミ(剪定用)
- ラベル
- ピンセット
- 穴をあける用の棒
- 発根促進剤
沈丁花の挿し木の方法
挿し木の方法は以下の通りです。- 挿し木をする前日に沈丁花に水やりをしておき、翌日先端から10~15cmほどの枝を切ります。
- 上葉を2~3枚ほど残し、あとは取り切ります。
- ハサミで挿し木の切り口を切ったあとにもう一度斜めに切ります。
- その切り口に約30~60分ほど水に浸け、切り口部分に発根促進剤を塗ります。
- 鉢に用土を入れ、そこに棒で穴をあけ、挿し木を1/3~1/2ほど挿します。周りの用土はピンセットで押さえておきます。
- 用土が乾燥しないよう、たっぷり水やりをします。
- 2~3か月後に根っこが10cmほど伸びていたら、2号ポットに植え替え、その後は一株ずつ鉢に植えていきます。地植えであれば、1年経った後に地植えします。