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黄緑色の鮮やかな葉っぱと、クリスマスツリーを思わせるような樹形が特徴のコニファー、ゴールドクレストをご存じでしょうか。とても有名な植物かつ、大変人気の高い樹木のため一度は見たことがあるという方も多いと思います。
ゴールドクレストはその美しい姿から寄せ植えや庭木として育てられてきました。もしかしたらこの記事を読んでいる方の中にもゴールドクレストを育てているという方がいらっしゃるかもしれませんね。
そのようなゴールドクレストを増やしてさらに楽しみたいと考えている方はいらっしゃいませんか?ゴールドクレストを生垣として育てたい時などは特に多くの株を用意する必要があるため特に増やしたいと思うことが多いでしょう。
今回は、
- ゴールドクレストとはどのような植物なのか、基本的な情報の解説
- ゴールドクレストはどのような方法で増やせるのか
- ゴールドクレストの挿し木の方法とポイント
- ゴールドクレストを元気に育てる育て方や管理のポイント
そもそもゴールドクレストはどんな植物?
まずはゴールドクレストがどのような植物なのかについて解説いたします。そもそもどのような植物なのかを知っておかないと正しい管理の方法を知ることができませんよね。ゴールドクレストが持つ性質や特徴について知っておきましょう。アメリカ大陸を原産地とするコニファーの観葉植物
ゴールドクレスト(モントレーイトスギ)はアメリカ大陸が原産地の植物です。ゴールドクレストというのはそもそもヒノキ科イトスギ属に分類されるモントレーイトスギの園芸品種を指します。針葉樹の総称であるコニファーの一種に分類され、ゴールドクレスト以外にはブルーアイス、パープルフェザーなどの多くの品種があります。たくさんの種類があるコニファーの中でもゴールドクレストは最もポピュラーでよく見かける種類と言えるでしょう。葉や樹木の色や形が特徴的
ゴールドクレストの特徴は何と言っても名前の通り黄金に見えるほどに鮮やかな黄緑色の葉と、スラリと円錐型に伸びた美しい形でしょう。多くの方がイメージするような針葉樹らしい樹形をしており、特に洋風のお庭では大活躍の植物です。簡単に大きくなる観葉植物として人気
ゴールドクレストはコニファーの中でも簡単に育てることができる上、すぐに大きくなる観葉植物として知られています。高温多湿に少々弱く、6月頃は梅雨が訪れることで蒸れてしまい葉が変色したり傷んだりすることはあるものの寒さや乾燥には耐性があるため東北や北海道などの涼しい地域ではよく育ちます。屋外だけでなく室内でも育てられる
また、ゴールドクレストはある程度の耐陰性を持つため室内でも栽培することが可能です。しかし、日当たりが悪いと葉の色が薄くなってしまったり、徒長をして美しい樹形が崩れてしまうことがあります。ゴールドクレストの美しい姿を楽しむためにも、室内で育てる場合は窓際のよく日が当たる場所で育てましょう。クリスマスツリーとしてもよく使われる
ゴールドクレストは円錐形の樹形がクリスマスツリーに似ていることから、実際にクリスマスツリーとして飾りつけられることもあります。なお、本来のクリスマスツリーはモミと呼ばれる樹木を使用します。一見両者とも針葉樹で似ているものの、モミはマツ科モミ属、ゴールドクレストはヒノキ科イトスギ属に分類されます。ゴールドクレスト・ウィルマが一般的な種類
ゴールドクレストにはいくつかの種類があり、その中でもゴールドクレスト・ウィルマが最もよく見かける種類のゴールドクレストでしょう。特に品種が書いていない場合はこちらの品種を指していることが多いです。挿し木とは何のこと?
ゴールドクレストは樹木です。そのため種から育てようとすると大きくなるまでに長い年月を必要としてしまいます。しかし、挿し木と呼ばれる方法で増やすことでゴールドクレストを簡単に、その上比較的早く増やすことができますよ。しかし、実際に増やすためには挿し木がどのようなものなのかを知っておく必要があります。下記では挿し木がどのようなものなのかを解説いたします。土に枝を挿して増殖させる方法
挿し木とは、赤玉土やバーミキュライトなどの清潔な土に植物から切り取った10cm程度の枝を挿して増殖させる方法を指します。一般的に樹木や成長の遅い植物では種から育てるよりも早く育つため広く行われています。また、挿し木で増やした株は親と全く同じ形質を受け継ぐクローンとなるため花色などといった特徴を完全に引き継がせたい時などにも行います。挿し木は初心者向けではない
一見メリットが多いように見える挿し木という増やし方には、初心者の方には少し難易度が高く成功させにくいというデメリットもあります。また、植物によっては挿し木が成功しにくいものもあります。しかし、正しい挿し木の方法を知ることで十分に成功させることができるはずですよ。温度管理・光の管理がとても重要
挿し木を行う上で重要となってくるのは温度管理と光の管理です。挿し木をした直後は発根しておらず、挿し穂は十分な水分を吸収することができません。そのため直射日光が直接当たるような場所やあまりにも高温になる場所ではすぐに水切れを起こし枯れてしまいます。 もちろん、温度が低すぎても発根することができずにそのまま枯れてしまうこともあるため、ちょうど良い温度や光を用意する必要があります。この点が初心者の方には難しいと言われる原因となっています。※水挿し(水差し)は挿し木の一種
また、水挿し(水差しと表記されることもあるものの、これはジョウロを指すため誤り)は土を用いずに水に切り口を付けるという点以外は全く挿し木と同じです。挿し木の一種と考えることもできるでしょう。ゴールドクレストの挿し木に適した時期
ゴールドクレストを挿し木するにあたって、適切な時期に行うというのは挿し木を成功させるためにとても重要なことです。ゴールドクレストの挿し木を行う適期や反対に避けた方が良い時期について解説いたします。気温が落ち着いている4月や10月がおすすめ
気温は挿し木を行う上で重要なポイントと先ほど解説いたしました。そのため、気温が落ち着いている4月や10月が挿し木の適期です。ほかの植物であれば湿度が高い6月も挿し木に向いていると言われているものの、ゴールドクレストは湿気に弱いため避けた方が良いでしょう。夏場の挿し木は控えた方がいい
夏場は強い光と高温にさらされる季節のため、挿し木が成功しにくいです。ゴールドクレストは特に高温に弱いためさらに挿し木の難易度が高まってしまいます。初心者の方は特に避けた方が良いでしょう。ゴールドクレストの挿し木に必要なもの
それではさっそくゴールドクレストの挿し木の方法について解説いたします。まずは挿し木に必要な道具や用意するものを解説いたします。直前になって慌てることがないように、前もって準備しておくことが大切です。なるべく多くの挿し穂
ゴールドクレストは残念ながら挿し木の成功率があまり高くない植物です。そのため、なるべく多くの挿し穂を用意しておく必要があります。挿し穂を育てるポット
挿し穂を管理するためにはポットが必要です。トレーでも構いませんが、発根したばかりの根は非常に取れやすく植え替えなどを行うと根が折れてしまうこともあります。よって、挿し木が難しいゴールドクレストの場合は特に一つずつポットで管理することをおすすめします。挿し穂を挿すための新品の用土
挿し穂を挿すときに使用する土は新品の清潔な用土を使用しましょう。古い用土を使用すると切り口から雑菌が侵入して挿し木の成功率が大きく低下します。用土は小粒の赤玉土やバーミキュライトが良く使用されます。穴をあけるための細い棒
土に挿し穴をあけるために竹串や割りばしなどの細い棒を用意しておきましょう。枝で穴を開けてしまうと切り口がつぶれてしまい発根しにくくなってしまいます。発根促進剤
ゴールドクレストは挿し木が成功しにくいため、メネデールなどの発根促進剤を使用することをおすすめします。切り口に発根促進剤を塗布することで含まれているアミノ酸やミネラル、成長ホルモンが発根を促してくれます。非金属製のハサミ
よく切れるハサミを用意しましょう。切り口がきれいに切れないと発根を阻害してしまいます。また、コニファー特有の特徴で、金属製のハサミを使用すると切り口部分から変色して枯れてしまうことがあります。セラミック製のハサミを使用するなどして対策しましょう。挿し穂を作るための剪定について解説
挿し木をするには挿し穂を作るために剪定を行う必要があります。しかし、剪定にも適期や成功するためのポイントがあります。正しく剪定をして樹形を整えつつ挿し穂を用意するようにしましょう。ゴールドクレストは剪定をすることで枯れの予防にもなる
ゴールドクレストは蒸れに弱く、特に株の内側部分から枯れこんでしまうことが多いです。枯れこんでしまうと鮮やかな黄緑色の中にかなり茶色い葉っぱが目立つようになってしまうため大きく見た目を損なってしまいます。剪定をして蒸れを予防し美しい姿を維持しましょう。剪定時期は4~5月と9~10月
ゴールドクレストの剪定に適した時期は4月~5月、そして9月~10月の気候が穏やかな時期です。また、夏の前後に剪定を行うことで夏前の蒸れ予防と夏後の枝の整理を行うことができます。4~5月は夏を越せるように樹形を整える
4月~5月は来る夏に備え、枝を透かして風通しを良くする必要があります。内側に伸びている枝や茂っている枝は根本から切り落としてすっきりとさせましょう。下葉は特に蒸れやすいため念入りに剪定します。9~10月は軽く整える程度でOK
9月~10月に行う剪定は枯れた枝を根本から切り落とす、伸びすぎた枝を切り詰めるなど軽く整える程度の剪定で十分です。あまり強く切り詰めると生育が悪くなるため避けましょう。真夏と冬は剪定は控える
反対に真夏と真冬は剪定には向かない時期です。剪定をしたところから枯れこむこともあるため控えるようにしましょう。剪定をして立派な挿し穂をゲットしよう!
適切な剪定はゴールドクレストを美しく育てるために必要です。また、剪定をして立派な挿し穂を用意することが挿し木を成功させるポイントとなります。ゴールドクレストの挿し木が成功する正しいやり方
ゴールドクレストの挿し木はどのようにして行えばよいのでしょうか。挿し木を成功させるためには正しいやり方を知ることが大切です。下記ではゴールドクレストの挿し木の成功を高める正しい方法やポイント、コツについて解説いたします。①剪定をして10cm程度の挿し穂を数本作る
まずは先ほど解説したように剪定を行い、10cm程度の長さになるように挿し穂を用意しましょう。挿し穂は、剪定した枝の下葉を取り除く処理を施します。葉を取りすぎると発根が遅くなり、葉を残しすぎると蒸散をしすぎて水切れを起こします。ゴールドクレストは挿し木が成功しにくいため多めに挿し穂を作っておくようにします。②水を入れた容器に挿し穂を2~3時間浸す
挿し穂にまずは水を吸収させましょう。バケツや花瓶などの容器に水を張り、挿し穂の切り口が完全に浸るようにして2~3時間ほど吸水させましょう。この時に切り口が汚いと吸水できないためよく切れるハサミで切り口を更新しておきます。③ポットに用土を入れて湿らせておく
続いてポットに用土を入れて、しっかりと湿らせておきます。挿し穂を挿した後に水を与えると挿し穂が浮いてしまうため事前に用土をよく湿らせておくことがポイントです。④割りばしなどで用土に小さな穴をあける
割りばしや竹串など細い棒を用いて用土に小さな穴をあけます。あらかじめ穴をあけておくことで、挿し穂の切り口を傷めないようにするという効果があります。⑤挿し穂の切り口に発根促進剤をつける
用土に挿す前に、用意している場合は切り口に発根促進剤を付けましょう。発根促進剤の仕様はそれぞれの資材の指示に従ってください。⑥土の穴に挿し穂を挿して土を寄せる
先ほど開けた土の穴に、挿し穂を挿し最後に切り口が密着するように土を寄せます。グラグラしないようにしっかりとよせましょう。挿し木をしたゴールドクレスト、その後の正しいケア方法は?
挿し木をした後も油断することなく丁寧なケアが必要です。挿し木をした直後は特に根も貼っておらず非常にデリケートです。成功させるためには挿し木をした後の管理についても良く知っておく必要があります。直射日光の当たらない明るい場所に置く
直射日光に当たると水切れを起こしてしまいます。場合によっては水切れだけでなく葉やけを起こし見た目を損なうこともあります。そのため挿し木をしたらまずは日陰で管理するようにしてください。発根したら少しずつ日光に慣れさせる
挿し穂がグラグラしなくなる、ポットの底から根が見えるなどして発根を確認出来たら少しずつ日光に慣れさせていきます。いきなり強い日光に当てると葉焼けを起こすため遮光などを行いながら行いましょう。成長したら植え替えをする
挿し穂をしばらく管理していくと徐々に成長していきます。根が十分に育ち、日光にも慣れてきたら一回り大きなポットや鉢に植え替えを行いましょう。植え替えを数回繰り返し、ある程度育ったら鉢植えや庭植えにすると良いでしょう。定着率はよくないが、根気強く続けよう
ゴールドクレストの挿し木は定着率が良くないため、他の植物の挿し木よりも根気よく続けることがポイントです。気長に楽しみながら管理を続けるようにしましょう。苦労して増やしたゴールドクレストはきっととてもかわいいですよ。ゴールドクレストの育て方を解説
挿し木をし終わって、無事に子株を手に入れることができたら通常の育て方に則した管理を行います。せっかく増やしたゴールドクレストをすぐに枯らしてしまうのは残念ですよね。長くゴールドクレストを楽しむために、正しい育て方も知っておきましょう。直射日光を避けて日当たりのいい場所で育てる
ゴールドクレストは日光を好む植物です。しかし、暑さには弱いため直射日光が当たるような場所は避け、朝日が数時間当たるような東向きの場所を好みます。庭植えの場合一度植えつけると移植が難しいため注意して植える場所を選ぶようにしましょう。できれば15~25℃、最低でも0℃以上の環境で育てる
ゴールドクレストは寒さよりも暑さに弱い植物です。しかし、あまりにも寒い場所では枯れこんでしまうことがあります。綺麗に育てるのであれば15℃~25℃、最低でも0℃以上の環境で育てるようにしましょう。土が乾いたらすぐにたっぷり水をやる
鉢植えの場合、土が乾いた後はできる限りすぐに水をたっぷり与えましょう。特に夏場は水切れを起こしてしまうことが多いため注意が必要です。しかし、土が乾ききっていないうちに水を与えていると今度は根腐れを起こして枯れることがあるためタイミングを見計らうことが大切です。 また、庭木として育てる場合は基本的には水やりの必要はありません。酷い日照りの場合に水を与える程度で十分です。生育期の3月に緩効性肥料を与える
ゴールドクレストは3月頃から生育期となります。基本的に肥料がなくても育てることはできるものの、この時期に緩効性肥料を与えることで葉の色や通夜が強くなりより美しく育てることができますよ。しかし与えすぎると肥料焼けを起こしてしまうため適量を意識しましょう。ゴールドクレストの挿し木を解説!適した時期からケア方法までのまとめ
今回は人気のコニファーであるゴールドクレストの増やし方である挿し木の方法を中心に、ゴールドクレストについて解説いたしました。挿し木を行うことでゴールドクレストを早く、たくさん増やすことができることが分かりましたね。 この記事のポイントは、- ゴールドクレストは種まきよりも挿し木で増やすことが多い
- 挿し木は難しく、たくさんの挿し穂を用意すると良い
- 適期である4月や10月に行うのがおすすめ
- 挿し木後のケア、基本的な育て方を抑えておくことも大切