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ゼラニウムの仲間でカラフルな品種が多いペラルゴニウム。品種によっては花が主役なのではなく、立派な塊根が主役なものもあり、ちょっとミステリアスなところに惹かれる方も多いでしょう。しかし、原産が南アフリカの方ということもあり、日本で育てるのは難しいのかな、花を沢山咲かせるにはテクニックが必要なのかなと悩まれたことはありませんか。育てるならば、より沢山花を咲かせ、立派にしたものですよね。そこで今回は、ペラルゴニウムの育て方について解説していきます。
本記事を読むと
- ペラルゴニウムの正しい育て方
- ペラルゴニウムの置き場所や水やり
- ペラルゴニウムの気を付けるべき病害虫
- ペラルゴニウムに適した土
そもそもペラルゴニウムってどんな植物なの?
ペラルゴニウムの育て方についてみていく前に、そもそもペラルゴニウムとはどんな植物なのかについて確認していきましょう。南アフリカが原産のフウロソウ科テンジクアオイ属の多年草
ペラルゴニウムは南アフリカを原産とする草花です。フウロソウ科のペラルゴニウム(別称テンジクアオイ)属に属し、ゼラニウムの仲間としても広く知られています。常緑性を有する多年草で、開花時期も比較的長いのが特徴です。模様入りや二色のものなど多彩な花を咲かせる
ペラルゴニウムはゼラニウムよりも多彩な花を咲かせることで知られています。白、黄、赤、ピンク、紫、ワインレッド、オレンジ、褐色などカラーバリエーションが豊富です。中には一色だけではなく、二色の花弁を付けるものや、縞模様や斑点などの模様が入ったものもあり、とても美しいです。ペラルゴニウムの育て方のポイント①置き場所
ペラルゴニウムの基本情報について簡単にみてきました。ここからは、ペラルゴニウムの育て方について解説していきます。 まずは、ペラルゴニウムの置き場所についてみてきましょう。日当たりと風通しのいい場所で育てる
ペラルゴニウムは日光が大好きです。できるだけ日当たりの良い場所で管理し、育ててあげましょう。しかし、湿気には強くないので、風通しの良さも必要です。雨に弱いため地植えより鉢植え向き
ペラルゴニウムは雨に弱いです。雨に当たると花がうなだれ、全体的にぺっしょりとした見た目になってしまいます。これは、晴れの日が数日続くと多少よくなりますが、雨でダメージを受けた花は元には戻りません。 鉢植えで外に置いている場合は、雨が降り始めたらすぐに軒下など雨が直接当たらない場所に避難させてあげましょう。地植えにしている場合、雨が降ってしまうと、どうしてもダメージを受けてしまいます。ダメージを受けさせたくない、美しく育てたいというのであれば、地植えよりも鉢植えで育てた方が良いでしょう。 水を与える場合も、花にバシャリと水を掛けると雨に打たれたような状態になってしまいます。できるだけ根元や土めがけて水を与えて下さい。葉や花が乾燥して気になるというのであれば、葉水を与える要領で霧吹きなので水を吹きかけましょう。夏は西陽の当たる場所を避ける
ペラルゴニウムは夏の強烈な陽射しにも弱いです。特に、夏場の直射日光、西日は避けるようにしましょう。また、原産地が乾燥地帯なので、湿気にも弱いです。日本の夏はどうしても多湿になりがちなので、とにかく風通しがよく、空気がこもらないところで育てていくようにしましょう。屋外で越冬させ、室内に入れないようにする
ペラルゴニウムは普段10℃以上で管理するのが望ましいとされています。しかし、冬場はあえて寒さに当ててあげるようにして下さい。これは、寒さにあたることで花芽が形成される性質をペラルゴニウムが有しているからです。寒いと枯れてしまうのではないかと部屋に入れ、暖かい場所で管理してしまうと逆に花芽が形成されず、翌年に花を楽しむことができなくなります。くれぐれも過保護にならないように気を付けましょう。ただし、凍るような寒さの場合、ペラルゴニウムの株が傷つくこともあります。その際には防寒対策をするようにして下さい。ペラルゴニウムの育て方のポイント②水やり
ペラルゴニウムの育て方、まずは置き場所についてみてきました。次のペラルゴニウムの育て方ポイントは水やりについてです。地植えの場合: 乾燥期以外の水やりはほぼ不要
ペラルゴニウムは南アフリカのケープ地方で自生している植物です。品種によりますが、岩場などに自生しているものも多く、乾燥に強いです。そのため、日本で地植えにしている場合、基本的に水やりは不要です。むしろ水はけの悪いところでは育成不良に陥ることもあるので、植える場所には十分注意しましょう。乾燥が続く夏場などは、株の様子を見て適宜水を与えるようにして下さい。しかし、水の与え過ぎは根腐れの原因になるので、気を付けて下さい。鉢植えの場合
鉢植えの場合も乾燥気味に育てるのが望ましいです。土の表面が乾いたらたっぷりと
基本的には、土の表面が乾いたタイミングでたっぷりと水を与える、これがペラルゴニウムの育て方になります。土の表面が乾いていなければ多少間隔があいても、水は与えなくて大丈夫です。受け皿にたまった水はこまめに捨てる
ペラルゴニウムは多湿を嫌う植物なので、受け皿に水が溜まっていたらすぐに捨てるようにして下さい。水が受け皿に残っているとそこから根腐れが起こることも少なくありません。受け皿のチェックはこまめに行いましょう。開花中は水切れに注意する
ペラルゴニウムの上手な育て方ポイントは、いかに花をきちんと咲かせられるかでしょう。そこで重要になってくるのが、水です。開花期間中はとくに水の消費量が多くなります。だからこそ水切れには気を付けなくてはいけません。水切れが起きてしまうと、花は枯れ、開花時期も短くなってしまいます。せっかくきちんと育て、花を楽しみにしていたのにということにならないためにも、花が咲き始めたら土の乾燥度合いに気を配ってみて下さい。冬は控えめに水やりを
ペラルゴニウムは冬は休眠期に入ります。そのため、水やりは最小限度で大丈夫です。とくに外で育てている場合は、室内よりも乾燥が進まないので、水やりは1週間から2週間に1回程度の割合でも大丈夫です。ただし、暖冬の場合は乾燥しやすくなるので、土の状態をよく見て水を与えるようにして下さい。ペラルゴニウムの育て方のポイント③土
ペラルゴニウムの育て方ポイント、次は土について見ていきましょう。地植えの場合: 苦土石灰を混ぜ込む
ペラルゴニウムは弱アルカリ性の土壌を好みます。そのため、地植えの場合はあらかじめ苦土石灰を混ぜて、土壌をアルカリ性にしておく必要があります。鉢植えの場合
鉢植えの場合でもpHを調整し、アルカリ性の土壌にしておくと良いでしょう。草花用の培養土で育てられる
鉢植えの場合、用土は市販の草花培養土を用いることができます。これに牛糞堆肥を1割程度混ぜておくとペラルゴニウムの好みの土になります。自作する場合は赤玉土5:腐葉土3:パーライト2の配合土など
市販の培養土を用いない場合は、赤玉土をメインに腐葉土、パーライトをそれぞれ5:3:2の割合で混ぜます。pHが酸性寄りの場合は苦土石灰を混ぜ、pH調整してみると良いでしょう。ペラルゴニウムの育て方のポイント④肥料
ペラルゴニウムの育て方でポイントになる肥料についてみていきましょう。元肥: カルシウム分を含む緩効性肥料を施す
最初の肥料として、カルシウムを含む緩効性肥料を元肥に用います。これによって生育に勢いが付きます。追肥: 早春〜初夏、秋
追肥は3月、5月、9月、11月を目安に行います。緩効性肥料を置き肥する
生育が盛んになるタイミングで緩効性肥料を置肥します。特に花が開花する前にはしっかり肥料を与えてあげるようにしましょう。液体肥料を2週間に1回程度施してもよい
置肥ではなく液体肥料の方が良いという方は、2週間に1回程度液肥を与えて下さい。ただし、置肥か液肥かどちらかだけでよく、両方同時にやらないようにしましょう。また、一度置肥と決めたものは途中で液肥に切り替えず、置肥を継続してやるようにしましょう。ペラルゴニウムの植え付け・植え替え
ここまでペラルゴニウムの育て方について、置き場所、水やり、土、肥料について詳しくみてきました。ここからは、ペラルゴニウムのワンランク上の育て方について解説していきます。まずは、ペラルゴニウムの植え替えと植え付けについてみていきましょう。植え付け
ペラルゴニウムの植え付けは開花前が良いです。植え付けの時期: 4月〜5月
植え付け時期は開花前の4月、遅くも5月までには行うようにしましょう。肥料をしっかり与えることで、育成が盛んになります。苗の選び方
苗は頑丈でたくましものを選びましょう。ふにゃふにゃしているものや極端に小さいもの、元気がないもの、虫がついているものなどは間違っても選ばないようにしましょう。開花前のものであれば、蕾があるかどうかも苗選びのポイントになります。地植えの植え付け手順
- 植える場所のpHを測る
- pHが7.0未満の場合、深さ30cm分の土に苦土石灰を混ぜ込む
- 植え付ける1週間前に土に腐葉土や堆肥を混ぜ、土を肥えさせる
- 植え付ける際には、鉢よりも一回り大きい直径の穴を掘る
- 穴の真ん中に苗を置く
- 苗の周りに土を被せる
- 水を与え、固定する(不安定な場合は支えを用意する)
鉢植えの植え付け手順
- 鉢底にネットを敷く
- ネットの上に鉢底石を置く
- 鉢の1/3ほど土を入れる
- 真ん中に苗をセットする
- 苗の周りに土を入れる
- 水を与え、固定する(不安定な場合は支えを用意する)
植え替え
植え替えは花が終わった後、秋に行うのが望ましいです。花後と秋に行う
ペラルゴニウムの植え替えは、花が終わった直後の6月半ばから7月下旬にかけて、または9月から10月半ばにかけての時期に行います。長い開花期で苗自体が消耗し、根も疲れ切っているので、できる限り花後に行って労わってあげると、来年も良い花を咲かせてくれます。植え替えの手順
- 古くなった根、張った根など根鉢のまわりの土をよくほぐす(花後)/ 表土を軽く落とす
- 2回り大きい鉢を用意する(花後)/ 1回り大きい鉢を用意する(秋)
- 鉢底にネット、鉢底石を敷く
- 土を鉢の1/3程度入れる
- 株を真ん中にセットする
- 土を周りに入れる
- 水を与え、固定する
大きくしたくない場合は、根鉢を多くほぐして同じ大きさの鉢に植え替える
株を大きくしたくないという方は、根鉢をより多くときほぐしたのち、同じ大きさの鉢に植え替えます。こうすることで株は大きくなりません。ペラルゴニウムの挿し芽での増やし方
ペラルゴニウムのワンランク上の育て方で必要になってくるのが、ペラルゴニウムの増やし方です。上手に育てたペラルゴニウム、どうせならもっと仲間も増やしたいと考えてしまうものですね。そんな時のためにも知っておきたいのが、増やし方です。挿し芽の時期: 9月〜10月中旬
ペラルゴニウムは挿し芽で株を増やしていくことができます。行う時期としては、花後の切り戻しの後に伸びた枝を使いたいので、9月から10月中頃になります。挿し芽のしかた
ペラルゴニウムの挿し芽のやり方について見ていきましょう。切り戻した枝を挿し穂にする
花後に切り戻しを行い、そこから新たに伸びた芽(枝)を用います。枝を5から10cmほどの長さに切り、これを挿し穂として用います。肥料分を含まない水はけが良い土にさす
肥料過多な場所では挿し穂が十分生育しないので、肥料がない土で育てていきます。ペラルゴニウムは多湿を嫌うので、土は水はけが良いものを選びましょう。ペラルゴニウムのお手入れ
ここまでペラルゴニウムのワンランク上の育て方についてみてきました。ここではさらに上手な育て方としてペラルゴニウムのお手入れ方法について解説していきます。ペラルゴニウムのお手入れ方法を実践し、より上手な育て方ができるようにしてみましょう。剪定
ペラルゴニウムの美しさは樹形の形によるところが大きいです。適切なタイミングで剪定を行い、美しいペラルゴニウムを楽しみましょう。花後すぐと秋に切り戻しをする
ペラルゴニウムの切り戻しは、花が終わってから6月までの間と9月に行います。株全体を1/3から1/2ほどの高さに切り戻します。切り戻す場所の目安は、花が付いていた部分よりも下の太い茎で、大きな葉が付いている節のすぐ上になります。枯れ葉取りと花がら摘みを行う
咲き終わった花が落ちて葉にくっついたままの状態になると湿気が発生し、灰色かび病の原因になってしまいます。見た目もいまいち美しくなくなってしまうので、咲き終わった花はすぐに摘み取るようにしましょう。また、黄色くなってしまった葉や枯れた葉も適宜取り除き、見た目を美しく保てるようにしましょう。病害虫
ペラルゴニウムは強い植物なので、特別気を付けないといけない病害虫というのはありません。しかし、かかりやすい病気として炭疽病、つきやすい虫としてオンシツコナジラミが挙げらるので、覚えておきましょう。炭疽病
炭疽病は、葉や茎に病斑ができ、緑色が変色して枯れていってしまう病気です。一か所発生するとあっという間に広がってしまうので注意が必要です。炭疽病の主な原因は湿気だとされているので、できるだけ風通しの良い場所で管理し、湿気から守るようにして下さい。オンシツコナジラミ
オンシツコナジラミは白い虫です。冬以外の季節に多発する虫で、葉裏に付き、株を弱らせます。株を揺らすと一斉に飛び散るので、虫が苦手な方はパニックを起こしてしまうかもしれません。気を付けましょう。見つけ次第駆除し、ペラルゴニウムの株を守りましょう。冬越し
ペラルゴニウムは、原産が南アフリカということもあり、そこまで寒さに強くはありません。最低で0℃くらいまでは耐えられる
寒さに強くないとはいえ、0℃までは耐える力を持っています。関東辺りであれば、外で管理していても越冬は問題ありません。霜の当たらない場所で管理する
ペラルゴニウムは寒さに比較的強いとはいえ、霜に当たるとダメージを受けてしまいます。できるだけ軒下など、霜の当たらない場所で管理するようにして下さい。また、湿気が多くなってしまう場所も避けましょう。ペラルゴニウムの人気の品種を紹介
ここまでペラルゴニウムの育て方についてワンランク上の育て方も含め、詳しく解説してきました。みてきた通り、ペラルゴニウムは寒さにも割と強く、乾燥にも強いので、意外と育てるのは難しくありません。ペラルゴニウムの育成に興味が湧いてきたところで、最後にペラルゴニウムの人気品種についてざっくりご紹介していきます。トリステ
ゴツゴツしたたくましい塊根が目を引く人気種です。気温がそれほど高くないシーズンには羽毛状の毛に覆われたふわふわの葉を生やします。夜間にクローブのような強い芳香を発するのもトリステの特徴になっています。
ミラピレ
ミラビレは砂漠灌木植物でナミビアを原産としています。入り組んで複雑な形をしているテカテカな枝、多肉質な幹に優しく寄り添う銀がかった葉の容姿は人気があります。休眠前にはピンク色の花をつけてくれます。
アッペンディクラツム
綿毛の葉がとても幻想的なアッペンディクツムは塊根植物の一つとしても数えられるもので、どっしりとした根とミステリアスな雰囲気を醸し出す葉のアンバランスさが人気を呼んでいます。花はクリームイエローで、花粉の色が目立つのが特徴です。
シドイデス
南アフリカに自生する一種で、シルバーがかった小さめの葉に長い花柄を立て、先端に濃い紫紅色の小花を咲かせます。特徴的な色味から「イングランドバイオレット」と呼ばれることもあります。芳香も香しく、品格がある花として人気です。また、他の品種よりも耐寒性に優れており、より育てやすいことでも知られています。
エンジェルアイズ
エンジェルアイズはドイツで品種改良開発された、四季咲きのペラルゴニウムです。ピンクと白の可愛らしい花を鉢いっぱいに咲かせてくれます。花をより楽しみたい人向きの品種と言えるでしょう。
オーストラーレ
オーストラーレはその名からも分かるように、オーストラリアを原産とするペラルゴニウムになります。這性植物で、南アフリカで自生しているペラルゴニウムとはまた違った魅了があります。花は白色で、一本の花茎に沢山の花を球状に咲かせるのが特徴となっています。【まとめ】ペラルゴニウムの育て方を紹介!お手入れ方法から病害虫まで徹底解説
ペラルゴニウムの育て方についてみてきましたが、いかがでしたでしょうか。育て方そのものは、複雑ではなく、難しいと思えるところも少なかったのではないでしょうか。ペラルゴニウムの購入を悩まれていた方は、これを機にペラルゴニウム育成にチャレンジしてみませんか。 本記事のポイントは- ペラルゴニウムの育て方で大事なのは水を与え過ぎないこと
- ペラルゴニウムは湿気を嫌うので、多湿の環境は避けること
- ペラルゴニウムの花を咲かせるためには、冬場は寒いところに置くこと
- ペラルゴニウムの育て方で大事なのは土のpH
- ペラルゴニウムを長く上手く育てるには切り戻しを行うこと