目次
美しい花を咲かせるマツバギク。多肉植物のような細いながらもぷっくりとした葉も特徴的です。美しい花姿を見ると「育て方を知りたい」と思うことでしょう。マツバギクの育て方について気になりませんか。
そこでこちらの記事では
- マツバギクはどんな植物なのか
- マツバギクの育て方における置き場所・水やり・肥料
- マツバギクの育て方における植え替えポイント
- マツバギクの育て方における増やし方
マツバギクってどんな植物?
マツバギク(松葉菊)と聞いてどんな植物かイメージできるでしょうか。多くの方は、聞いたこともない名前だと思うかもしれません。ここでは、マツバギクがどんな植物なのか、紹介します。南アフリカを原産とするハマミズナ科の多年草
マツバギクは、南アフリカを原産とするハマミズナ科ランプランサス属・デロスペルマ属の多年草です。ランプランサス属は4月~5月に開花。デロスペルマ属は6月~10月に開花します。どちらもキクのような特徴的な花を咲かせます。また松の葉のように細い葉を付けるため、「松葉菊」と漢字で紹介されることも。南アフリカ原産の植物は日本でも育てやすいので、マツバギクは園芸が初心者の方にもおすすめの多年草です。細い葉は多肉質であるため、多肉植物のように育てることができます。赤や白、オレンジなど種類が豊富で4~6月に菊に似た花を咲かせる
マツバギクは赤や白、オレンジなど種類が豊富で4~6月に菊に似た花を咲かせます。非常に鮮やかな花を咲かせるので、火山や鉢植えの植物としても人気です。園芸品種も豊富にあるので、さまざまな花色のマツバギクを楽しめるでしょう。晴れた日中は花を開き夜や雨天時は花を閉じる特徴がある
晴れた日中は花を開き、夜や雨天時は花を閉じる特徴があります。そのため、雨天が続く場合は花を見ることができないかもしれません。しかし、その反面、花が傷まないので晴れた日には美しい花を咲かせます。樹高は低く0.1〜0.2mの低木で成長する
マツバギクの樹高は低く0.1~0.2mの低木で成長します。多年草であるため、低木の表現には違和感がありますが、長年育て続けると茎が木質化することも。そのため、樹木らしさも楽しめるでしょう。環境や管理状況によって寿命が変化する
マツバギクは環境や管理状況によって寿命が変化します。ランプランサス属とデロスペルマ属の2属がマツバギクと呼ばれているので、管理方法がやや異なるためです。デロスペルマは寒さに強い特徴があります。育てるマツバギクがどちらに当てはまるのか確認して、上手に育てましょう。マツバギクの育て方のポイント①置き場所
マツバギクの育て方における置き場所のポイントを紹介します。日当たりと水はけが良く乾燥した気候を好む
マツバギクは日当たりと水はけが良く乾燥した気候を好みます。暗く水はけが悪い置き場所では枯れる可能性があるので気を付けてください。基本的には、日当たりの良い屋外で育てます。日照時間が足りないと花が咲かないので注意する
マツバギクは日照時間が足りないと、花が咲かないので注意してください。晴れている日は開花して、曇っている日は花が閉じる性質があるためです。しっかりと日が当たる場所で育てましょう。地植えの場合:南向きの斜面に植えると良い
地植えの場合は、南向きの斜面に植えるとよいです。南の方角は日当たりがよいため、育ちやすいでしょう。斜面であるほど、水はけはよいので、マツバギクにとって良い環境になりやすいです。ただし、南向きでも大きな木や家などの遮蔽物があり日陰になる場合は、他の場所に植えた方が安心です。鉢植えの場合
鉢植えの場合は、以下の2点がポイントです。- 春~秋は日当たりの良い場所で管理する
- 冬場は霜が当たらない場所で管理する
春~秋は日当たりの良い場所で管理する
マツバギクは春~秋は日当たりの良い場所で管理してください。生育期はしっかりと日に当てて育てることがポイントです。生育期に暗い場所で育てるとひょろひょろになるので注意しましょう。冬場は霜が当たらない場所で管理する
冬場は霜が当たらない場所で管理してください。デロスペルマ属は‐5℃程度の様様で耐えますが、霜雪に当たると枯れます。ランプランサス属は寒さに弱いので、どちらも寒さや霜に注意して育てましょう。横に伸びる性質があるのでグランドカバーなどに向いている
マツバギクは横に伸びる性質があるので、グランドカバーなどに向いています。多肉質のぷっくりした葉が広がり、満開になる姿は非常に美しいです。ただし、霜に当たると枯れるので、霜が降らない地域を除いて、1年限りのグランドカバーになる点には注意してください。マツバギクの育て方のポイント②水やり
マツバギクの育て方における水やりのポイントを見ていきましょう。乾燥に強いが多湿に弱く枯れる原因になる
マツバギクは乾燥に強いが、多湿に弱く枯れる原因になります。水やりのし過ぎには注意してください。また、水持ちがよすぎる土にも注意して育てるのも重要です。地植えの場合:水やりの必要は無い
地植えの場合は、水やりの必要はありません。多肉質の葉に水分を蓄えているので、極端に雨が降らない日が続かない限り水やりは必要ないでしょう。鉢植えの場合
鉢植えの場合は、以下の2点について気を付けて水やりします。- 土の表面が乾燥して1~2日後にたっぷり水やりする
- 冬は土の表面が乾燥して3~4日後に水やりする
土の表面が乾燥して1~2日後にたっぷり水やりをする
生育期の春~秋は、土の表面が乾燥して1~2日後にたっぷり水やりしてください。鉢底から水が流れるくらいにやることがポイントです。ただし、受け皿に水を溜めると根腐れしやすいので、たまった水はこまめに捨ててください。冬は土の表面が乾燥して3~4日後に水やりをする
冬は土の表面が乾燥して3~4日後に水やりをします。冬は生育が緩慢なので、土が乾きにくいです。この時期に水をやりすぎると枯れる恐れが高いので、乾燥気味に育ててください。マツバギクの育て方のポイント③用土
マツバギクの育て方における用土のポイントを見ていきましょう。水はけの良く乾燥気味の用土を好む
マツバギクは水はけが良く、乾燥気味の用土を好みます。乾燥を好むので、水持ちがよい用土は避けてください。地植えの場合:石灰を用土に混ぜ込んでおく
地植えの場合は、石灰を用土に混ぜ込んでおくとよいでしょう。地面の土は酸性雨の影響で酸性に傾いていることがあるため、アルカリ性の石灰をまいて中和しておきます。その結果、根が伸びやすく、生育も良くなりやすいです。ただし、石灰には「生石灰」と「苦土石灰」の2種類があり、生石灰はまいて2週間ほど置いておくことが重要です。苦土石灰はすぐに植え付け可能です。その点に注意してください。鉢植えの場合
鉢植えの場合は、以下の2点に注意します。- 市販の「サボテン用培養土」が便利
- 赤玉土6:腐葉土2:パーライト2の混合土でもよい
市販の「サボテン用培養土」が便利
マツバギクを鉢植えで育てるときの土は、市販の「サボテン用培養土」が便利。マツバギクは多肉質の葉を持つ植物であるため、草花の土よりサボテンや多肉植物の土の方が生育が良いです。赤玉土6:腐葉土2:パーライト2の混合土でも良い
オリジナルで土を作る場合は、赤玉土6:腐葉土2:パーライト2の混合土でもよいです。水はけが良くなるように作ることがポイントです。鹿沼土や軽石を1割ほど入れてもよいでしょう。マツバギクの育て方のポイント④肥料
マツバギクの育て方における肥料のポイントを解説します。痩せ地でも育つので特段肥料を必要としない
マツバギクは栄養のない瘦せ地でも育つので、特段肥料を必要としません。特に地植えではほったらかしで問題なく、元気に育ちます。肥料を与える場合:春と秋の時期に1回緩効性肥料を与える
もし肥料を与える場合は、春と秋の時期に1回緩効性肥料を与える程度です。鉢植えで育てる場合は、春と秋に緩効性の置き肥を与えるとよく育つでしょう。マツバギクの植え替え・植え付け
マツバギクの育て方における植え替え・植え付けについて解説します。植え替え・植え付け時期:4~5月または9月~10月
植え替え・植え付け時期は4月~5月または9月~10月です。生育期に植え替えてください。真夏や真冬は生育が緩慢であるため、植え替えは控えます。植え替え
植え替えのポイントは以下の通りです。地植えの場合:植え替えの必要は無い
地植えの場合は植え替えの必要はありません。広がりすぎて困ったときのみに植え替えてください。鉢植えの場合:数年に1度一回り大きな鉢植えに植え替える
鉢植えの場合は数年に1度、一回り大きな鉢植えに植え替えるとよいでしょう。または、鉢底から根が出ていたり、水やり後の吸水が悪かったりする場合も植え替えのタイミングです。植え替えの手順
植え替えの手順は以下の通りです。- 鉢からマツバギクを優しく取り出す
- 根詰まりしている場合は軽く土をほぐす
- 根が黒くなっていたりスカスカになっていたりする場合は取り除く
- 一回り大きな鉢に植えなおす
- 植え直したらしっかり水やりする
- 明るい日陰に2~3日ほど置く
植え付け
マツバギクの植え付けについて見ていきましょう。- 苗の選び方
- 植え付けの手順
苗の選び方
マツバギクの株元がグラグラしておらずしっかりしているものを選んでください。また、葉の色が濃いものを選ぶこともポイントです。葉が黄色かったり虫に食われていたりすると、植えつけ後の生育が悪いので気を付けましょう。植え付けの手順
植え付けの手順は以下の通りです。- 鉢からマツバギクを優しく取り出す
- 根詰まりしている場合は軽く土をほぐす
- 根が黒くなっていたりスカスカになっていたりする場合は取り除く
- 一回り大きな鉢に植えなおす
- 植えなおしたらしっかりしっかり水やりする
- 明るい日陰に2~3日ほど置く
- 地植えの場合は、数日遮光しておくと安心
マツバギクのお手入れ
マツバギクの育て方におけるお手入れを解説します。冬越し
冬越しについて見ていきましょう。品種によっては耐寒性が弱い品種がある
マツバギクは品種によって耐寒性が弱い場合があります。ランプランサス属の品種は、寒さに弱いので特に注意して育ててください。地植えの場合:掘り上げて鉢植えにして寒くない場所で管理する
地植えで育てている場合は、掘り上げて鉢植えにして寒くない場所で管理すると安心です。大事に何年も育てたい場合は、ぜひ掘り上げて管理しましょう。鉢植えの場合:寒くない場所に移動させて管理する
鉢植えの場合は寒くない場所に移動させて管理してください。温暖地であれば、軒下で霜をよける程度でも大丈夫ですが、寒冷地の場合は、室内に入れて管理しましょう。剪定・切り戻し
育て方における剪定・切り戻しについて解説します。剪定・切り戻し時期:花後の6月
マツバギクの剪定・切り戻し時期は、開花後の6月です。ただし、これは、ランプランサス属だけです。デロスペルマ属は6月以降から花が咲くので、花終わりの10月以降に剪定してください。開花前に剪定・切り戻すと花が少なくなる可能性があります。剪定方法:ハサミなどで枯れた葉や徒長した部分を剪定切り戻す
マツバギクの剪定方法は、ハサミなどで枯れた葉や徒長した部分を剪定して切り戻すこと。横に横に広がる植物なので、伸びすぎた部分は切り戻して形を整えてあげましょう。そのまま伸ばしっぱなしにすると、株元の葉がなくなり、見栄えが悪くなることもあるので、気を付けます。増やし方:挿し木
マツバギクの育て方における増やし方は挿し木です。挿し木について見ていきましょう。挿し木時期:5月~9月
マツバギクの挿し木時期は、5月~9月です。気温が安定して暖かい時期に行います。なるべく、猛暑日である8月や9月を避けるとよいでしょう。挿し木に必要なもの
挿し木に必要なものは以下の通りです。- よく切れる清潔な剪定ハサミ
- 水を溜める容器
- 挿し穂を挿す容器
- 挿し木用の土
挿し木の手順
挿し木の手順は以下の通りです。- マツバギクを枝先から10~15㎝で剪定ばさみで切る
- 切り取った枝についている葉を下半分取り除く
- 水を溜めた容器に一間ほど浸けて吸水させる
- 挿し木用の土を入れた鉢や容器に深さ5㎝ほどの穴をあける
- 優しく挿し穂を植える
- 土にしっかり水やりする
- 土が乾かないように明るい日陰で管理する
病害虫
マツバギクが被害を受けやすい病気や害虫についてを紹介します。べと病
べと病はカビによって発生する病気です。主にウリ科の野菜になることの多い病気ですが、マツバギクなどの植物にも稀に発生します。カビが原因なので、日ごろから風通しや水のやりすぎに注意して管理すれば、発生は抑えられます。発生した場合は、葉色が悪くなるので注意してください。また、べと病に効果のある薬を使うとよいでしょう。ピシウム腐敗病
ビシウム腐敗病とは、土壌中に生息し伝染を繰り返す土壌伝染病のこと。土が常に湿っていると発生しやすいです。鉢植えより地植えでなりやすいので、植え付けの際には水はけの良い場所に植え付けることが重要です。発生した時の症状は、葉が縮れたりへこんだりして最終的に枯れます。土壌消毒でも直すことは難しいので、予防に努めてください。立枯病
マツバギクは立枯病になる場合があります。立枯病の病原菌は自然界にいる菌であり、土壌バランスが崩れた際に多く発生して被害をもたらします。生育が順調でも、急にしおれたように枯れるので注意してください。殺菌剤で土を消毒しても、切りがないので、定期的な植え替えをして予防しましょう。アブラムシ
マツバギクはアブラムシの被害もあります。アブラムシは、樹木や草花、多くの植物に発生する吸汁性害虫です。樹液を吸収されて、マツバギクは徐々に弱っていきます。繁殖サイクルも速く、短時間で増える可能性があるので、気を付けてください。ウィルスを媒介しやすいので、見つけ次第、捕殺したり殺虫剤で対処したりしてください。多くの殺虫剤がアブラムシに有効なので、繁殖する前に早めに最低でも1回は対処することが必要です。カイガラムシ
マツバギクにはカイガラムシが付く可能性があります。カイガラムシとは、貝殻を被ったような吸汁性害虫です。種類が非常に多く、さまざまな形や色のカイガラムシがいます。大きさも小さく、めったに動かないので気づくのが遅れると、大発生する危険があります。大発生するほど、植物は弱ってしまうので、早めに対処してください。薬が効きにくいので、柔らかいブラシや布でこそぎ落とすのが効果的です。カイガラムシの糞ですす病を併発させやすいので気を付けましょう。マツバギクでよくある質問Q&A
マツバギクの育て方でよくある質問をまとめてみました。質問に回答していますので、ぜひ参考にしてください。Q,マツバギクの花が咲かない原因はなんですか?
A,日当たりが悪い可能性が高い マツバギクは日当たりを好む植物です。さらに、晴天でなければ花が開かない性質もあるので、栽培場所や置き場所を変えてみてましょう。Q,マツバギクが枯れる原因はなんですか?
A,「日当たり」「水のやりすぎ」「病害虫」「寒さ」が考えられます。 マツバギクは暗い場所では育ちませんので、屋外の日当たりの良い環境で育ててください。また乾燥を好むので、水のやりすぎは根腐れで枯れます。気を付けましょう。病害虫は、日ごろから管理をしっかり行えば発生しにくいです。定期的に剪定や消毒などを行ってください。耐寒性が強くない品種があるため、冬は室内に移動させると安心です。暖かい春になって屋外に置いたり地植えして栽培したりするとよいかもしれません。Q,マツバギグが増えすぎた場合はどうしたらいいですか?
A,剪定して整えてください 横へ横へ伸びる植物なので、増えすぎた場合は思い切って剪定してください。剪定した枝は挿し木でも増やすことができるので、鉢植えとして育てたり、他の場所に植えたりするのもおすすめです。マツバギクの人気品種を紹介!
最後にマツバギクの人気品種を5品種紹介します。- デロスペルマ・クーペリー
- ラベンダー・アイス
- ファイヤー・スピナー
- レッド・マウンテン
- テーブルマウンテン
デロスペルマ・クーペリー
デロスペルマ・クーペリーは「耐寒マツバギク」とも言われており、古くから緑化植物としてさまざまな場所で利用されています。紫色に近い美しい花を咲かせます。ラベンダー・アイス
ラベンダーアイスは、うっすらとラベンダー色が入る白色の花が咲くことが特徴です。花壇に馴染みやすい花色なので、人気の品種。育て方も簡単なので、ぜひ育ててみてください。ファイヤー・スピナー
ファイヤー・スピナーは、目が覚めるようなイエローとオレンジのバイカラーの花が特徴。非常に個性的な花色で、アイキャッチにおすすめです。耐暑性耐寒性に優れ、病害虫にも強い特徴があります。レッド・マウンテン
レッド・マウンテンは、オレンジ~赤色の愛らしい花を咲かせるマツバギクです。鮮やかな赤色の花は、花壇や鉢植えで生えるので、賑やかな花を好む方におすすめです。テーブル・マウンテン
テーブル・マウンテンは、濃いピンクの花弁に中央の白色が映える明るい花が特徴のマツバギクです。カーペット状に広がって満開になった際には、非常に美しい景観になります。【まとめ】マツバギクの育て方を紹介!知っておきたいお手入れから人気品種まで
ここまでマツバギクの育て方について解説してきましたが、いかがですか。 この記事のポイントは- マツバギクは南アフリカ原産で、ランプランサス属とデロスペルマ属の2属に分かれる珍しい多年草
- マツバギクの育て方は、「置き場所:日当たりと風通しの良い場所」「水やり:地植えは必要なく、鉢植えは乾燥気味に」「肥料:基本的に必要ないが、春と秋に緩効性肥料を与えるとよい」が重要
- マツバギクの育て方における植え替えポイントは、「地植えは必要ない」「鉢植えは数年に1回」「冬の寒さが心配な場合、地植えは掘り剥げて鉢に植え替える」が重要
- マツバギクの育て方による増やし方は、挿し木で簡単に増える