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春になると街路樹のハナミズキが咲き始めますね。通勤、通学時にふと見上げたら、白やピンクのかわいい花が咲いていたことはありませんか? 街路樹でよくみかけるハナミズキは、実はおうちのシンボルツリーとしても人気が高く、おすすめの樹木なんです。そこでこの記事では
これらのパターンごとに原因が違いますよ、ひとつずつ確認していきましょう。
- ハナミズキはどのような植物?
- お庭のシンボルツリーにおすすめな理由
- シンボルツリーとして植える際の注意点
ハナミズキはどのような植物?
まずハナミズキとはどんな植物なのでしょうか。花が咲いているのは見かけるけれど、原産地や植生など基本的な情報を知らない人も多いはず。シンボルツリーにおすすめな理由をご紹介します。ハナミズキは、春に白やピンクの花を咲かせる落葉高木
ハナミズキとは北アメリカ原産のアメリカを代表する花木のひとつで、春に白やピンク色の花を咲かせる落葉高木です。高木なのにどこかコンパクトなイメージがあるのは、枝が段上について球形のまとまった樹形になるからです。樹皮は縦に溝ができ、濃いめのグレー色です。伸び始めの若い枝は緑色で毛があり、成熟するにつれ褐色に変化し毛もなくなります。 つまり高木の中でも幹があまり太くならず最大10mまで伸び、直立性で枝ぶりが比較的コンパクトに収まりやすいのが特徴です。日本には明治頃アメリカから輸入され、それ以来東京を中心に全国各地で栽培されています。ハナミズキの基本情報
ハナミズキの花と思われている白やピンクのものは、実は花弁ではなく総苞片(そうほうべん)と呼ばれる花の付け根の葉っぱです。実際の花は中心にある黄緑色の小さな4弁花、つぼみが枝の端から上へ立ちあがる頭状花序というつき方です。花は桜が散る頃の4月~5月に開花します。葉が出る前に花が咲き、総苞片の先端は丸くへこんでいます。よくヤマボウシと同一視されますが、見分けるコツはこの総苞片が丸い方がハナミズキ、尖がっている方がヤマボウシです。 耐寒性耐暑性があり、自然に樹形が整う点から園芸初心者にも育てやすいでしょう。公園や街路樹のほかにも、自宅のシンボルツリーや鉢植えで景観木としても広く利用されています。科・属名 | ミズキ科サンシュユ属 |
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原産地 | 北アメリカ |
開花時期 | 4月~5月 |
花の色 | 白、赤、ピンク |
別名 | アメリカヤマボウシ |
ハナミズキは、鉢植えや庭木として人気な植物
ハナミズキが鉢植えや庭木として人気なのは、花がきれいなだけではなく新緑の葉や紅葉も美しく、また和風洋風どちらの庭にも違和感なくとけ込むからでしょう。初夏には青々とした葉、秋には紅葉、赤く熟した実と鑑賞期間が長いのも人気の秘密。 果実は細長い卵のような形をしていて冬に落葉したあとも枝先に残るため、冬の景観樹としても人気があります。花が散る頃に芽吹く葉は、枝に対して左右均等に対生して、一枚の大きさは約8cm、横幅が約4cm。子供の手のような形をしています。面白いのは葉の裏側が白っぽく若葉の頃に柔らかい毛があること。成熟すれば枝の毛と同じように毛が落ちます。 寒冷地以外なら全国栽培できるのもうれしいですね。桜やイチョウよりも大きくならないとはいえ、地植えするとそれなりに高くなりますから、はじめから鉢植えでコンパクトに管理する方法もおすすめです。ハナミズキはお庭のシンボルツリーにおすすめ
シンボルツリーにぴったりといわれるハナミズキ、おすすめな理由が2点あります。それぞれどういうことなのかくわしく確認していきましょう。- 季節を通して楽しむことができる
- 丈夫で枯れにくく、家庭でも育てやすい
シンボルツリーとは、名前通りお庭のシンボルとなる庭木のこと
シンボルツリーとは、お庭のシンボルとなる庭木のことです。ただ植えるだけではなく、お庭のフォーカルポイントになり、人の集まる場所や逆に外からの視線を遮る目隠しの役割も兼ねています。フォーカルとは焦点のこと。名前の通り、お庭の雰囲気や統一感を与える庭木なんです。 シンボルツリー以外にも盆栽、鉢植えにしてもいいでしょう。価格もリーズナブルで手に入れやすく、気軽にお庭全体の雰囲気を整えられるのもハナミズキならではですね。なにかの記念樹でもいいですし、長くお付き合いすることも考慮してお気に入りの樹木を選ぶ方が多いでしょう。①季節を通して楽しむことができる
ハナミズキをシンボルツリーに選んだ場合、開花時期の春だけではなく1年を通して鑑賞を楽しむことができますよ。高木というと桜や梅、最近ではオリーブやソヨゴなど様々な品種がありますが、ハナミズキは花の時期が短すぎず、ずっと同じ姿ではなく季節それぞれに変化する様子を見せてくれます。春にはきれいな花が庭を彩る
ハナミズキの開花時期は4月~5月にかけて、白花や赤花、ピンクの総苞片が鮮やかに咲きます。白花系はクラウドナイン、ピグミー、レインボーといった品種が代表的です。またピンクや赤の紅花形だと、チェロキーチーフやチェロキーサンセット、レッドジャイアントなどが有名です。シンボルツリーとするにはお庭の雰囲気に合わせて色も考えておきたいですね。 葉が茂らない時期につぼみが膨らみ、花が散る頃に葉っぱが芽吹いてくるため、長期間じっくりと花の咲く様子を鑑賞できるでしょう。チューリップやスイセンなどの球根植物が咲き終わる頃にバトンをつなぐように咲き始めて庭を彩ってくれますよ。秋には紅葉で赤く染まり、落葉して季節を感じる
ハナミズキは落葉高木ですから、10月を過ぎると葉っぱが紅葉して赤く染まります。その分落葉も早いのですが、赤く熟した実が残っている様子もまた冬を告げるようで趣深いですよ。葉っぱはグリーンからオレンジ、赤へと変化していきグラデーションが美しく見ごたえがあります。もみじの真っ赤な色とは少し違って、落ち着いた赤色です。 熟した実は発色の良い赤色で、華やかな雰囲気があります。毒性がないものの食用にはむきませんから、地面へ落ちたものは落葉と合わせて片づけましょう。②丈夫で枯れにくく、家庭でも育てやすい
ハナミズキは厳しく管理しなくても丈夫で枯れにくく、育てやすいのもおすすめする理由のひとつです。よく日が当たる風通しの良い場所であれば、水やりは降雨のみで十分元気に生育します。日陰やじめじめした場所でなければ、カビやアブラムシなど病害虫の被害も多くありません。伸びすぎた場合は、冬の落葉後、花芽を切り落とさないよう剪定してあげれば翌年もたくさんの花を咲かせますよ。ハナミズキをシンボルツリーとして植えるデメリット
おすすめの理由を知ったら、購入前にデメリットも合わせて知っておきたいですね。シンボルツリーとして長く付き合う植物ですから、買った後でこんなはずじゃなかった、管理を間違えて枯らしてしまったという話もよく伺います。主なデメリットのうち3点を改めて確認しましょう。- 大きくなる為、剪定や管理が大変
- 落ち葉や花が枯れた後の掃除が面倒
- 病害虫が発生する
①大きくなる為、剪定や管理が大変
ひとつ目のデメリットとして挙げられるのが、大きくなって剪定や管理が大変になることです。ハナミズキは高木となるサンシュユ属の樹木ですから、大きくなり過ぎないよう毎年こまめな剪定することが大切です。ハナミズキは、樹高が4から7メートルと高い
ハナミズキの樹高は4mから7mと高いのが特徴です。2階建て住宅が約4、5mの高さですから、放っておくと屋根の高さをあっという間に超えて、剪定するのも大変になります。若いうちに植樹して管理していたが、年をとって毎年の剪定や枝切りが億劫になってしまう可能性があります。また枝も硬いため重労働、管理できずに困っている方も少なくありません。ハナミズキは、年に2回の剪定がおすすめ
剪定するタイミングは年に2回、冬の12月~3月の間に行う本格的な剪定と、春の開花後から7月くらいに行う軽い剪定がおすすめです。樹形がまとまりやすいので、込み入った枝を分岐点から間引く程度でじゅうぶん。もし剪定をしにくい場合は、盆栽や鉢植えで管理してコンパクトな状態を保つようにしましょう。②落ち葉や花が枯れた後の掃除が面倒
ふたつ目のデメリットは、掃除が定期的に必要なことです。他の落葉樹にもいえることで、葉っぱが風や寒さで落ち地面に散らばったままだと見た目がよくありません。カビや害虫の発生にもつながりますから、落ちた葉っぱや花は定期的に掃除しましょう。 これが大変で、ゴミ出しに困る人もいらっしゃいます。栽培するなら掃除しやすい環境を整えることも大切な管理方法のひとつですね。③病害虫が発生する
みっつ目のデメリットは、病害虫が発生することです。ハナミズキは日の当たらないじめじめした場所が苦手。シンボルツリーだからどこへ植えてもいいわけではありません。家の陰になったり高い塀の近くだと風通しが悪くなり、苗木が弱るだけでなく、病気や害虫が広がってしまいますから、苗木を植え付ける前にしっかり適した場所かどうか確認してください。ハナミズキは、毛虫やうどんこ病に侵される可能性も
風通しの悪い場所にあるハナミズキには、毛虫被害やうどんこ病に侵される可能性があります。コウモリガやアメリカシロヒトリなどの幼虫は、暖かい4月~9月頃まで茎や枝、葉っぱを食い荒らしますから、見つけ次第駆除しましょう。また、カビの一種であるうどんこ病は梅雨明け後から発生しやすく、幹や枝葉っぱを真っ白いカビで覆ってしまいます。殺虫剤の散布や薬剤での消毒が必要
もし害虫、うどんこ病にかかってしまったらすぐに殺虫剤の散布や薬剤で消毒する必要があります。毛虫を見つけたら捕殺する、1週間に1~2回くらいオルトランやスミチオン乳剤などの殺虫剤を散布する方法で対処してください。 うどんこ病の場合風通しが悪いことも病気発生の原因です。風通しの良い状態を維持し、冬の寒い時期に石灰硫黄合剤を1度散布し消毒して、症状が広がらないよう管理してくださいね。お庭のシンボルツリーのハナミズキが花を咲かせない原因は?
ここでハナミズキを育てる上でよくある質問にお答えします。なかなか樹高が伸びない、病気の対策、お悩みは色々あると思われますが、一番多いお悩みは「花を咲かせない」ことではないでしょうか。ハナミズキの花が咲かない原因についてくわしくまとめました。- 植え付けてから一度も咲かない
- 去年までは咲いていたのに今年は咲かない
- たくさん花を咲かせる年と咲かない年がある
①木がまだ若いため
まず「植え付けてから一度も咲かない」というパターンは、まだ苗木が若すぎるため花が咲きません。流通しているシンボルツリーの苗木の多くは、1年目から2年目のもの。これはハナミズキに限った話ではなく、どんな品種の苗木でも若いものは花を咲かせる必要がないから咲かないのです。ハナミズキの若木はあまり花が咲かない
どんな樹木でもそうですが、成長途中の若木はあまり花が咲きません。理由は、枝や葉、根を成長させるためにエネルギーを使っているからです。たまに小さい盆栽である「こぼんさい」としてハナミズキを栽培している時や鉢植えの時は花が咲いていたという声もありますが、それは狭い鉢の中で成長が止まっているから。地植えにすると再び根や枝を伸ばして生育するため、花が咲かなくなります。多く花を咲かせるには3年以上かかる
多く花を咲かせるには3年以上かかるといわれるハナミズキの中には、花が多く咲く年とほとんど咲かない年があります。これが「たくさん花を咲かせる年と咲かない年がある」のパターンです。 1年おきに開花する性質を「隔年開花」といいますが、剪定の時期や切る枝を間違ったという訳ではなく、こういう性質のある樹木なんです。有名なのは梅やみかんなどですね。ハナミズキも同様にこういう性質が出やすいといわれており、特に栽培し始めて3年以下の苗木は顕著に表れます。 もしご自宅のシンボルツリーで極端に花芽が多くついているのを見つけたら、摘蕾といって秋から冬にかけて花芽を半分くらい摘み取りましょう。翌年からは安定して毎年開花するようになりますよ。②日照不足に陥っているから
シンボルツリーとして植えたけれど「去年は咲いていたのに今年は咲かない」こともよく伺います。これが最後のパターン。ハナミズキの周囲を見回してみましょう。屋根や色んな建物の日陰になっていませんか? ハナミズキは日照不足でも花が咲かなくなります。ハナミズキは日なたを好む植物
よく日が当たる場所を好むハナミズキは、午前か午後のどちらか日が当たる半日陰の場所でも育てられますが花付きが悪くなります。それくらい環境の変化に敏感な樹木です。 植え付けた直後は日当たりがよくても、知らず知らずのうちに建物の陰になっていたなんてこともありますから、移動できる場合は移動しましょう。もし掘り上げられる大きさや、鉢植えで管理している場合は1日中日の当たる場所へ移動して様子をみてください。建物の影や他の木が邪魔になっていないか確認して植え替えよう
また建物の陰のほかに、植栽同士の株間が近すぎて日陰になっている場合もあります。日当たりがいいからとハナミズキと同じく日当たりを好む植栽を1カ所に集めて、かえって風通しが悪く日陰になっている状態です。ハナミズキだけではなく他の植物も日光量が足りず、花芽がつきにくくなりますよ。植栽同士がお互いの邪魔になっていないか少し遠い位置から目で確認して、植え替えや鉢を移動するなどの対処をしてください。③栄養不足になっているから
「去年までは咲いていたのに今年は咲かない」のパターンでもう一つ考えられる原因は、栄養不足になっているから花が咲かないという状態です。日当たりや水はけの良い用土とセットで肥料について把握しておくといいでしょう。去年は咲いていたのに今年は咲かない、日当たりも水はけも問題ない場合、肥料が不足している可能性がありますよ。ハナミズキは成長が早いため、栄養分が必須
ハナミズキは一般的に成長がゆるやかといわれていますが、油断しているとあっという間に大きく成長します。もともと丈夫で育てやすいため肥料分が少なくてもいいのですが、花を咲かせるとなるとやはり肥料は欠かせません。 補助肥料と栄養肥料がセットになっているニワユタカ肥料セットは、少し高い価格ではありますが、樹木の必須栄養素である窒素やリン酸、鉄、亜鉛などバランスが整っているため園芸初心者さんにおすすめです。 地植えの場合は肥料の与えすぎをさほど気にしなくてもOKですが、要注意なのはこぼんさいや鉢植えで栽培している場合です。鉢植えでは用土の量が少ない分肥料を与えすぎてしまうと苗木が弱って最悪枯れてしまいます。適切な分量をよく確認して与えてください。 花後には即効性のある化成肥料を撒いて、寒肥には油かすや骨粉などの有機肥料を置き肥して上手に花を咲かせましょう。植え付け時の元肥の他、年に2回の追肥を行おう
肥料を与える時期と分量の目安は、春と冬によって変わります。まず植え付け時に元肥として有機肥料を用土と混ぜ合わせて与えましょう。そのほか年に2回追肥を与えます。 追肥の1回目は12月~2月。寒肥といって、冬の寒さから樹勢を回復させるために肥料を与えます。寒肥の場合は、有機肥料を株の根元に置いてじっくりと効果がでる置き肥にしてください。 追肥の2回目は花が咲き終わった後の6月~9月頃。お礼肥えといって、開花したことで減った体力を回復させる肥料です。お礼肥えは、即効性があり匂いのすくない固形の化成肥料がいいでしょう。根や幹が肥料焼けしないよう、木の枝の外周に沿って株から離れた位置に10cmくらい穴を掘り、用土にすき込むのがおすすめです。ハナミズキはシンボルツリー におすすめ!デメリットからトラブル対応までのまとめ
最後まで読み進めてみていかがでしたか? シンボルツリーとして人気の高いハナミズキをあらためてくわしくご紹介してきました。お庭の雰囲気を決める、または目隠しをしたり統一感を出す大切なシンボルツリーだからこそお手入れや管理をていねいに行って、毎年きれいな花を咲かせたいものですね。 この記事のポイントは- ハナミズキは北アメリカ原産のミズキ科サンシュユ属
- 開花時期は4月~5月、葉の紅葉や冬の果実もきれいで鑑賞時期が長い
- シンボルツリーのほかに、盆栽や鉢植えとして栽培することもある
- 丈夫で枯れにくく家庭でも育てやすいためシンボルツリーにおすすめ
- 大きくなり、落葉や花後の掃除が大変などデメリットもある
- 病害虫を見つけたらすぐに殺虫剤や消毒剤を散布する
- 花を咲かせない原因は大きくわけて3つ
- 苗木が3年以下の若木、日照不足、栄養不足の可能性がある
最後までお読みいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENには他にもたくさんの記事をご用意しておりますので、是非ご覧ください。