切り花を長持ちさせる水揚げの方法について徹底解説!

切り花を長持ちさせる水揚げの方法について徹底解説!
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目次

花屋さんでブーケや切り花を買ってきたことはありますか? 買ってきた花をフラワーベースへ活けると、いつもと同じ自宅の部屋がなんだか明るくなりますね。プレゼントで頂いたブーケもそのまま置いておくよりも、できるだけ長い間きれいな姿を楽しめたらうれしいものです。しかし長く楽しむためには、欠かせない水揚げという作業があります。水揚げが上手くできたら、あなたはもっと花のあるゆたかな暮らしができるかもしれません。

そこでこの記事では

  • 切り花の水揚げとは
  • 花によって使い分ける水揚げ以外の方法
  • 花別水揚げの方法
  • 季節ごとの切り花の寿命

について徹底的に解説します。最後まで読めば、花ごとに適切な水揚げができるだけでなく贈る相手にもポイントを伝えられるようになりますよ。

切り花を長持ちさせるには水が重要

切り花を長持ちさせるには水が重要

まず、切り花を長持ちさせるには水が一番重要です。水が不足することで切り花がしおれたり、首からぽっきりと折れてしまったりします。原因や解決法を確認しましょう。

切り花が枯れてしまう原因の多くは水不足

切り花が枯れてしまう原因の多くは、水不足によるものです。切り花は根がないため、茎の切断面から水を吸い上げています。花びらがしおれたり、葉が黄色くなっていたりすると水不足、つまり水が下がった状態になります。それらを防ぐためにも水を吸い上げやすい状態にすることを水揚げといいます。

切り花から水分を失わせないようにするのが大切

切り花に限らず、植物の茎は栄養素や水分が通る管があってこの管がきちんと機能することで、花や樹木は健康な状態でいるのです。切り花の茎の切り口が痛む、または花瓶の水に微生物が発生して管が詰まると、正常に水や栄養を吸い上げられないため、花や葉からどんどん蒸発し、水が失われてしまいます。だから人の手で水を吸い上げやすくし、水分を失わせないようにするのが大切なんです。

水揚げをすることで水不足を解消しよう

切り花を買ってもすぐに枯れてしまう、という方もご安心ください。適切な水揚げのケアができれば水不足が解消できます。しかし、花によっては水揚げの方法や寿命が変わってきます。花ごとに合った水揚げの方法を知り、実践することでお花の持ちをよくし、水不足を解消しましょう。

そもそも切り花の水揚げとは?

そもそも切り花の水揚げとは?

それでは具体的に切り花の水揚げってどうやるの? という疑問にくわしく解説します。花屋さんや園芸家はもちろん、初めて切り花を買う、ブーケをもらうなんて方も水揚げについて理解が深まるでしょう。

水揚げとは切り花が水を吸い上げやすい状態にすること

水揚げとは先ほどお伝えしたように、切り花が水を吸い上げやすい状態にすることを指します。水の中で茎の切り口をちょきんと切るのが一般的ですね。水を吸い上げやすい状態は花によって多少違いがありますが、茎の切り口をキレイに整えること、花瓶の水を清潔に保つことなどが挙げられます。買ったそのままを花瓶に入れず、水揚げのケアをしてあげることで切り花が生き生きと元気な状態になるのです。

切り花を元気な状態に保つためにはとても大切

切り花はやはり根がありませんから、それだけ体力もありません。微生物に茎の導管がふさがれたり、導管が吸い上げにくい形をしたままだとそれだけ寿命が縮まります。切り花を元気な状態で長く保つためにはとても大切な作業です。

切り花を買って最初にするケアが水揚げ

じゃあいつ水揚げをすればいいのでしょう? 答えは、切花を買って花瓶に生ける前が正解です。できる限り早く水揚げしましょう。涼しいところへ置いてと花屋さんですすめられるのは、温度差で切り花がしおれないようにするため。涼しいところに置くから水揚げしない、ではいけません。購入や、もらったら早く水揚げのケアを行いましょう。

水揚げ剤を使うとより水揚げがしやすくなるのでおすすめ

たまに花屋さんで小さな袋をもらうことはありますが、あれは水揚げ剤といって自分で水揚げする際に切り花がより水を吸い上げやすくする効果がある薬剤です。ひとつの水揚げ剤に水は何リットルという割合で説明書きされています。長時間持ち歩きした後や、しおれやすい切り花の場合は水揚げ剤を使ってみるといいですよ

水揚げの方法は様々で、花によって使い分けが重要!

水揚げの方法は様々で、花によって使い分けが重要!

実は、水揚げの方法はいろいろあります。切り花の状態や樹木の品種によっては、使い分けが必要になります。適切な水揚げを行うことで長い間花を楽しむことができますよ。

水揚げの基本は「水切り」

水揚げの一番よく知られている基本の方法は、水切りという方法です。バラやオルレア(オルラヤ)、胡蝶蘭などが代表的です。バケツやたらいに張った水の中で茎をちょきんと切るのが水切りです。これは買ってすぐだけではなく、一度水揚げされた切り花にも有効で再度活けることができますよ。

ポイント

  • 水中で茎の先端を切る
  • 鋭いハサミで切る
  • 茎は斜めに切る

使うものは次の通りです。

  • 切れ味の良いハサミ
  • エタノール、もしくは消毒用アルコール
  • バケツ、たらい
  • 新聞紙

水中で茎の先端を切るようにする

よく水中で花屋さんが茎を切っている様子をみかけますね。これは、切り口から空気を入れず、また乾燥を防ぐ効果があります。はじめに水揚げする切り花を新聞紙などに包んで固定し、比較的深めのバケツに水を張りましょう。そして水の中へ茎の先端を入れ、消毒済みの切れ味のよいハサミで切ります。

導管をつぶさないように鋭いハサミで切る

何故切れ味のよいハサミで切るかというと、茎の中の導管をつぶさないため。導管がつぶれてしまうと水を吸い上げられませんから、スパッと切れるハサミを使ってください。もし普通のハサミを使う場合、まるめたアルミホイルで刃を数回なでで砥ぐのもおすすめです。指が切れないよう注意しながら行いましょう。消毒用アルコールやエタノールがない場合は、熱湯を刃にかけて消毒するのもおすすめです。

茎は斜めに切るようにする

茎の先端を2㎝くらい斜めに切るのは、これも理由があります。花の種類によっては導管が細く、平行に切ったら水を吸い上げにくいものもあるからです。そうでなくても、小さいスプーンよりも大きいスプーンがスープをすくいやすいように、水の吸い上げる口を大きく取ることでより導管が水を吸い上げやすくなりますよ。

水切りは毎日するのが良い

水切りの頻度はどのくらいやったらいいのでしょう。まめに水切りできる環境なら毎日、水換えとセットで行うのがおすすめです。これを切り戻しといいます。最初は3~5㎝、その後は傷んでいる部分と1~2㎝くらいを目安に切り戻ししてください。

頻繁にできなくても2、3日に1度は水切りすると花がしおれず元気な状態を維持できます。特に液体肥料を混ぜた水は微生物が発生しやすく、放置するとにおいやカビの原因に。合わせて花瓶を洗えば、より長持ちします。

水揚げの時間は3~4時間程度が良い

水切りをしたあと、しばらく切り口を水へ浸けたまま吸水させると花がみずみずしくなってきます。花の種類によっても違いますが、水揚げの時間は3~4時間くらいを目安にしてください。もともとしおれていないように見えても、意外に乾燥していることもあります。この時水揚げ剤を使用すると尚吸い上げやすく、元気になります。

水切り以外の水揚げの方法を紹介

実は、水切り以外にも水揚げの方法があります。バラやチューリップ、キクやポインセチアでは驚く水揚げの仕方がありますよ。ぜひ花の種類に合った水揚げをしてください。

①水を深く入れる「深水」

まずは、水を深く入れる深水という方法をご紹介します。バラやアジサイ、桔梗など大きな花首がくったりと垂れてしまった場合は、この深水がおすすめです。水圧で吸い上げをよくするほか、葉や茎の表面からも水を吸水させることができますよ。

まず花が隠れるまで強めに新聞紙で包み、花と茎を固定します。花びらに触れない位置まで新聞紙ごと水へ浸けて半日~1日置きましょう。花がみずみずしくなったら水から出し、優しく新聞紙を外して完成です。

②お湯につける「湯揚げ」

お湯に一度浸ける湯揚げという水揚げの方法もあります。キクやストック、水仙、クリスマスローズなどの比較的茎が太い植物に有効です。熱湯に浸ける理由は、主に殺菌消毒することや茎の中へ入りこんだ空気を抜くこと。

まず切り花を新聞紙に包み、60℃~100℃の熱湯を準備します。切り花の茎の先端から1㎝くらいを切り落として、素早く湯の中へ入れてください。20~40秒お湯へ漬けた後、次は水に浸けてしばらく置きましょう。

③茎の先端を焼く「焼き揚げ」

熱湯ではなく、実際に茎の先端を火で焼く焼き揚げという方法もあります。アジサイやポインセチアなどの水揚げ方法として知られています。まず葉や花に熱が伝わらないよう、濡れた新聞紙でしっかりと包みます。次に新聞紙から出た茎の先端から1㎝のあたりをハサミで切り、さらに1㎝ほど炭状になるまで火で焼きましょう。炭状の部分をすぐ水に浸けて、水がしっかりと上がってきたら、黒い炭の部分は切り戻して完了です。

④手を使って折る「水折り」

実は、ハサミで水切りするのが一般的ですが手で折る方法もあるんです。それが水折りという方法。リンドウやトルコキキョウ、キクなどの茎があまり柔らかくなく、ぽきっときれいに折れる植物に向いています。それ以外では導管をふさいでしまうため逆効果です。

方法は水切りと同じ手順。水中で茎の先端から2~3㎝くらいの部分を手で折り、2~4時間水に浸けておきます。この際、折った部分がギザギザしていると吸い上げにくいため注意してください。

⑤割る・裂く

最後は割る、裂くなどの方法です。や桜、ツバキなどの、茎が硬く簡単にハサミで切ることが難しい枝物を水揚げする際に使われます。手で折れない場合、カッターで2~3㎝程度切り込みを入れて水の中へ浸けます。すると水の吸い上げが良くなりますから、つぼみのついている枝や葉の多い枝はぜひ挑戦してみてください。ケガしないよう軍手やゴム手袋も忘れずに。

花ごとの適した水揚げ方法を解説!

花ごとの適した水揚げ方法を解説!

さて、さまざまな水揚げ方法が分かったところで気になるのは、花の種類ごとにどの水揚げ方法が向いているのかということでしょう。基本は水切りですが、深水が向いているものや同じ水切りだけど注意点があるなど、花ごとに分けて確認していきましょう。

水切りが適した花

水切りが適した花の代表は、チューリップやガーベラ、カラーなど茎が太くて長いものです。置き場所の気温や水切り後のお手入れなどそれぞれ確認しましょう。

チューリップ

チューリップは茎が太く花びらも分厚いため、水切りが適しています。お店で購入する際は、花びらが厚いかどうかで鮮度を確認するといいでしょう。長く咲くチューリップは、花瓶の水が汚れやすいので毎日水を取り替えましょう。水の量は少なめの花瓶の底から5㎝くらいで十分。日が一日中当たる場所よりも、ちょっと涼しい場所が長持ちの秘訣です。

ガーベラ

ガーベラもまた水切りで水揚げすると、より長く花を楽しめます。ただガーベラは花が大きい反面茎が柔らかく、くにゃっと曲がってしまいがち。まっすぐ上向きにするには、水切りの前に新聞紙で花首と茎をしっかり固定すること。首が曲がった状態の花は手で優しくまっすぐに直して包んでください。水を吸い上げやすい反面、水に長時間つけると傷みやすい花でもありますから、水揚げ、飾る時も5㎝くらい浅めのお水で管理しましょう

カラー

ブライダルブーケなどで人気の高いカラーもまた水切りが適している花です。白やオレンジなど色鮮やかなカラーは、茎が太いものと茎が細いものが両方流通していますが水揚げ方法は同じ。茎の先端が腐りやすく、こまめに水替えと水切りを行ってください。よく水を吸い上げるため、花瓶の水は底から3~4cmと少なめで管理しましょう。

ラナンキュラス

ラナンキュラスは花首が大きく色も豊富なため、見ごたえのある花ですね。カラーなどと同じように花首が大きい反面、茎が柔らかくすぐにうなだれてしまうことがあります。ラナンキュラスを水切りする際は、切り口を水平にカットして切り口の断面を小さくし腐りにくくしてください。花瓶の水も浅めで、こまめな水替えと水切りが必要です。

ダリア

キク科のダリアは、切り花にする場合水に浸かる部分の葉を取り除くことである程度長持ちさせることができます。ダリアの水揚げ方法は水切りや湯揚げがおすすめ。水の吸い上げをよくするために切り口は斜めにカットしましょう。日持ちは約5日~11日くらい。数日ごとに切り戻しと水替えを行ってください。

スカビオサ

細い茎に大きな花首のスカビオサは、水切りと必要に応じて湯揚げが適した花のひとつです。1~3日ごとに水切りをして切り口の断面を清潔に保ちましょう。スカビオサの水揚げが悪いと感じた場合は、湯揚げして吸い上げを良くしてあげてください。管理場所や管理の方法でも左右されますが、日持ちは3~5日くらいです。

胡蝶蘭

お祝いの席や開院祝いに贈られる胡蝶蘭は、切り花にして楽しむことができますよ。多くは鉢植えで観賞しますが、開花期の最後はぜひ切り花で楽しんでみましょう。水切りする前に、不要な葉を全て取り除き水の中で切り口を斜めにカット、2秒はそのまま水を吸わせます。切り口が傷んでいる場合は3㎝以上上の位置を切ってください。

オルレア(オルラヤ)

育てやすく可憐な雰囲気のあるオルレア(オルラヤ)は、水切りで長持ちさせることができます。水切りする際は新聞紙で花首が折れないよう固定して、水中で切り口から上1~5㎝くらいの位置で斜めに切ります。雑菌が繁殖する大きい理由は消毒しないハサミを使うこと。水切りする前には必ずアルコールなどで丁寧に消毒してくださいね。

ケイトウ

厚みのあるニワトリのとさかのようなケイトウもまた水切りが適していますよ。ケイトウは水が下がりやすい植物なので、水揚げでは葉をあらかじめ取り除いて新聞紙で巻き、斜めにカットしたら、じっくり半日から1日くらい水に浸けておきましょう。取り除く葉の目安は、茎の下半分か2/3くらい。茎が太く折れやすいため、花瓶やオアシスへ挿す際は気をつけてくださいね。

シュウメイギク

秋の訪れを感じる可憐なシュウメイギクは、茶花やブーケで人気のある花です。細い茎の先にボール状の丸いつぼみや開いた姿が魅力ですが、水が下がりやすいため、水切りと水替えは毎日行うようにしてください。切り口は斜めにカットして断面積を増やし、水替えの時は花瓶を食器用洗剤で洗うなど清潔に保ちましょう。シュウメイギクを切り戻ししても吸い上げが悪い場合は、湯揚げの方法も有効ですよ。

シンビジウム

剣のような葉と可憐な白やピンク色の花が魅力であるシンビジウムは、水切りが適しています。花びらに厚みがあり、茎に数本花がつくものの丈夫で扱いやすいため初心者の方も安心ですね。シンビジウムの水切りは通常通り、茎を水の中に沈めて斜めにカットします。切り戻しの時も同じように2~3時間くらい水に浸けておき、それから花瓶へ活けてください。

ハス(蓮)

植物の中でも少し水揚げしにくいのがハス(蓮)です。ハスは、根っこのレンコンがそうであるように茎の中にもたくさんの穴が開いています。空気が入りやすくうまく水を吸い上げにくいため、多くの水が必要なのに切り花ではなかなか日持ちがしない繊細な花。

ハス(蓮)の水揚げは、通常通り水中で水平に切り口をカットしてから、水揚げポンプやシャンプーボトルで水をしっかりと押し込んで入れてください。心配なくらいたっぷり入れてOK。特にお彼岸やお盆で生花のハスを数日保ちたい際には、毎日水切りと水揚げを行いましょう。

ミモザ

春の花として近年人気のあるミモザは、つぼみの状態で流通していて開花を楽しむには適切な水揚げが必要になります。ミモザは水を吸い上げる力が弱いため、水切りする前につぼみの無い枝や葉を切り落として下さい。大きな枝ぶりであれば斜めにカットするのが難しい場合もありますよ、細いなら斜めにカット、太いなら切り口に十字の切れ込みを入れます。新聞紙などで包んで、半日以上水へ浸ければふわふわとした黄色い小花が楽しめるでしょう。

深水が適した花

深水が適した花は、アイリスやバラ、桔梗などたくさん水を欲しがる植物や吸い上げの弱い植物です。それぞれ確認していきましょう。

アイリス

アイリスとは、アヤメやカキツバタ、ジャーマンアイリスなどアヤメ科の総称です。茎が腐りやすく水を吸い上げる力が弱いため深水が適していますよ。準備するのは花を立てて入れられるバケツと新聞紙などの大判の紙。アイリスの茎の先端数㎝を残して、しっかりと新聞紙で包んで固定します。バケツに花が半分浸かるくらいの水を張ってください。4~5時間水へ浸けたら花瓶へ活けてみましょう。

バラ

バラは水切りで適している場合と深水が必要な場合があります。普段のみずみずしいバラであれば水中で水切りをします。しかしそれでも十分に吸い上げられていない場合は、深水する必要があります。まずバラの花首と茎がしっかり固定されるように新聞紙で包んでください。その後、水を入れたバケツに茎の中ほどまで浸けます。水圧をかけて吸水する状況にしましょう。この時花や葉の乾燥を防ぐために新聞紙を濡らしておくと尚いいでしょう。

ボタン

ボタンもまた花がおおぶりでしおれやすい植物です。特に切り花で流通しているものは十分に水揚げされていても、持ち帰る間にしおれてしまうこともよくあります。ボタンは花も葉も大きいため蒸散作用が大きく、毎日こまめな水揚げをしてあげましょう。方法は他の花と同じく新聞紙などで優しく花首と茎を固定し、半日から1日以上バケツ2/3以上の水に浸けておきます。新聞紙を外す際は、傷つけないようそっと外していきましょう。

ライラック

白やピンク、紫など優しい色合いのライラックは、日持ちが7日くらいと短く、深水で水揚げしましょう。理由は水が下がりやすい植物だから。購入したらお花がぽろぽろと落ちてこないか確認し、不要な葉は取り除いてください。ライラックは枝物なので茎が固く、深水する前に、切り口付近の皮をナイフで削いだり、切り口をハサミで十字にカットしておくのがおすすめ。長くいい香りを楽しめますよ。

アジサイ

アジサイもまた水が下がりやすい枝物として知られています。特に若いアジサイは水不足になりがちですから、丁寧に水揚げしておきましょう。深水する前に新聞紙や大判の紙で花首と茎をしっかりと包んで固定し、先端の切り口は斜めにカットします。この時アジサイの茎の内側にある白いワタを軽く取り除いておくと水を吸い上げやすくなりますよ。アジサイは大きいのでバケツも深めのもので、水の量はバケツの3/4くらい入れましょう。

桔梗

濃い青や白い桔梗の花は水が下がりやすいため切り花での管理が難しいといわれています。でもそんな桔梗を深水で水揚げすれば、いつもより長く楽しめるでしょう。蒸散作用を防ぐため細い茎を折らないよう注意しながら優しく新聞紙で包み固定します。バケツの水は茎の2/3くらい浸かる位入れて置き、まずは30分つけて様子を見ます。それでもしおれていたらあと1時間ほど浸けたまま放置。花びらにしわがなくなったら完了です。

湯揚げが適した花

湯揚げが適した花はストックやマーガレット、クリスマスローズなどです。用意するのは新聞紙などの紙、切れ味の良いハサミ、熱湯、冷たい水。熱の殺菌作用、中の気泡を取り除く効果があります。湯揚げは熱湯を使いますから火傷しないよう注意して行ってください。

ストック

ストックは華やかでかわいらしい印象の花ですね。茎が丈夫ですが扱う際はていねいに触れてください。ストックを湯揚げする際の注意点は、下葉を取り除くことと湯につける時間が20秒~40秒ということ。下葉が残っていると雑菌が繁殖してしまいます。また湯揚げの失敗でよくあるのが、お湯につける時間が長く茎に火が通ってしまうことです。お湯の中へ3㎝くらい浸けて、水の吸い上げを助けましょう。

キク科のマーガレット

マーガレットもしおれやすい花のひとつで、湯揚げが有効です。吸い上げをよくするため、まずはマーガレットを新聞紙で茎の下部20㎝ほど残して包みます。その後よく切れるハサミで斜めに切り口をカットしましょう。お湯につける際は20~30秒ほど、ぶくぶくと泡が上がればOK。すぐに冷水に勢いよく入れ立てて2時間ほど様子を見てください。葉の先端がみずみずしくなっていれば成功です。

ヒマワリ

ヒマワリもマーガレットと同様湯揚げして日持ちを良くすることができますよ。ヒマワリの花首が大きいため作業中に折れないよう直線状にしっかりと固定してください。湯揚げで失敗する原因の一つにハサミの切れ味が悪いことがあります。断面がキレイにみえるようハサミ、もしくはカッターでキレイに切ってください。

アジサイ

アジサイは深水でも十分水揚げできますが、どうしても水の吸い上げが悪い、切り口の断面に雑菌が繁殖している場合、湯揚げしてみましょう。その後、じっくりとバケツの冷水につけておけばきれいな状態に戻ります。

デルフィニウム

透けたような繊細な花びらが特徴のデルフィニウムは茎が細く水が下がりやすい植物です。デルフィニウムを湯揚げする際は花が落ちないようしっかりと新聞紙で包んで固定しておきましょう。湯揚げ後、冷水につける時間は1時間が目安です。花びらや葉がシャキッとして来たら完了です。

アンスリウム

ハート形した苞(ほう)がかわいらしいアンスリウムもまた湯揚げが有効な花です。ブライダルシーンでよく見かけますね。アンスリウムの茎が細く長いため湯揚げする際は折らないよう丁寧に扱いましょう。熱湯に浸ける時間は20秒、泡が出てきたらすぐ冷水へ入れて1時間ほどたっぷりと水を吸わせてください。

クリスマスローズ

クリスマスローズは切り花にすると水が下がりやすい植物です。そのため湯揚げをしますが、熱湯ではなく40~43℃くらいのぬるま湯で湯揚げするとうまくいきますよ。湯気が直接当たらないようクリスマスローズの花と葉の部分を紙で包んで保護し、湯の中で1㎝ほど切り口をカットしてください。そのままお湯に10~15分つけて置き、冷水へ変えて今度は1時間くらい放置します。

水仙

水仙は切花だと日持ちがあまりしない花として知られていますが、湯揚げすることでさらに長く美しい状態を保つことができます。茎が細くて折れやすいため紙で茎と花首を直線状にしっかりと固定し、ハサミで斜めにカットしてから熱湯へ入れます。20秒後冷水に入れて吸水されるまで水仙を立てておきましょう。

モッコウバラ

黄色や白の花がかわいらしいモッコウバラもまた、水が下がりやすい枝物です。ライラックへ湯揚げする時と同様に、モッコウバラは枝の切り口付近の皮を1㎝くらいナイフで削り、切り口を十字に切れ込み入れてから湯揚げしましょう。その後半日~1日程度冷水で吸水させればまたきれいな状態になります。

焼き揚げが適した花

焼き揚げは切り口を炭状にするため有効な植物がかなり限られます。クレマチスやクチナシ、オオデマリなどに有効です。熱で焼くことで殺菌し水の腐敗防止も期待できますよ、それぞれ確認していきましょう。

クレマチス

クレマチスはつる性植物で極端に茎が細く花首が大きいのが特徴です。湿らせた新聞紙で切り花の花と茎2/3部分を包んだら、切り口から1㎝くらいカットして真っ黒い炭状になるまでガスコンロやバーナーで焼きます。すぐに深水に浸けて水が吸い上げられクレマチスのお花が元気になったら炭状の部分を切り戻します。

バラ

しなしなにしおれてしまったバラをもう一度元気な状態にする際には焼き揚げしましょう。クレマチスと同様に濡れた新聞紙で包んでから焼きます。この時新聞紙が燃えそうになったらすぐに霧吹きで湿らせてください。茎の中の空気が外へ出て水が上がれば完了です。

ブルースター

ブルースターは水色の小花がたくさん咲くお花で、涼し気な印象を持たせてくれます。ブルースターは湯揚げしても可能ですが非常に水が下がりやすく、茎を切ると白いねばねばが出てきて吸水しにくくなるため、一度ガスコンロの火で焼きます。その後冷水で吸水させ、切り戻しをすれば元気な状態に戻るでしょう。

カスミソウ

よく見かけるカスミソウの水揚げ法は水切りや湯揚げなど様々ありますが、毎日水替えしていても雑菌が繁殖しやすいため水の腐敗防止に焼き揚げしてみてはいかがでしょう。カスミソウへ色を付ける際にも焼き揚げで吸水力を高めてから行う方法もあり、同時に茎の中の空気が外へ出るため日持ちがよくなります。

クチナシ

香りのよい白い花のクチナシは水が下がりやすい枝物で、花の咲く期間もわずか数日と短い花です。クチナシ焼き揚げする場合、切り口を十字に切れ込みをいれてしっかり炭になるまで焼いてください。その後冷水で3、4時間立てて様子を見ます。花が元気になっていれば水揚げ完了です。

ポインセチア

秋から冬に流通する赤と緑の葉が印象的なポインセチアは、茎ではなく枝です。水の吸い上げが良くない場合はぜひ焼き揚げしましょう。鑑賞用の葉を傷めないよう注意しながら火で断面を焼き、それから冷水へ入れます。クールダウンは短くて3時間くらい。赤や黄色、ピンクの葉がつやつやと張りができたらOK。ぜひ焼き揚げをマスターして冬の間もガーデニングを楽しんでください。

オオデマリ

夏に切り花が出回るオオデマリは白い小花が密集して咲く枝物です。アジサイのような花序ですから焼き揚げする際には花首が折れないよう新聞紙などでしっかりと包んで固定してください。切り口は斜めに切って火で真っ黒になるまで焼きましょう。冷水へ付ける時間は1~半日。十分水揚げしたら炭になっている部分は切り戻して活けましょう。

水折りが適した花

水折りとは道具を使わず、水中で手で茎を折る方法です。これは茎が繊維質でほどよく固く、綺麗に折れる草花におすすめです。リンドウやトルコキキョウ、マムなどが適しています。

リンドウ

青や紫、白い花がきれいなリンドウは茎の繊維質が多くほどよく固いため、水折りが適しています。方法は簡単、切り花の切り口から5㎝くらいの部分を水中でねじるようにして折るだけです。リンドウの茎をねじって折ることで茎の断面がほぐれてお花の吸水がよくなり、さらに導管につまったものが洗い出せるため長く元気な状態が続きます。

トルコキキョウ

トルコキキョウもまた水折りが適しています。一重や八重のものたくさんありますが、ポイントは折る場所です。トルコキキョウの茎には節があって、そこから葉や花が伸びています。節の部分を折ると水を吸い上げにくくなる為、節以外の部分を水折りするようにしてください。上手に管理すれば3週間はきれいな状態を楽しめるでしょう。

マム

マムもまた繊維質が多く茎の固い植物です。ハサミで切ると白いワタが飛び出て茎の断面がつぶれやすく、かえって水の吸い上げが悪くなってしまいますから、ぜひ水中で水折りしてあげましょう。マムも大ぶりなものやポンポンマムなど細く柔らかいものまで幅広く、茎が柔らかい場合は水折りではなくハサミで切ってください。

カーネーション

カーネーションは比較的水揚げのいいお花で花持ちがよくお手入れも簡単なのが魅力です。ただ茎が細く、節の部分で折れやすいため、カーネーションを持ち運びやお手入れする際はやさしく扱ってください。水折りする前に、不要な下葉を取り除き、切り口から5㎝くらいの部分を手でぽきっと折ってください。その後は浅めの水に浸けて吸水させればOKです。

マーガレット

湯揚げが適しているマーガレットですが、水折りでも十分適しています。特に購入してすぐのマーガレットや切り戻して元気な状態であれば水折りだけで問題ありません。水替えと一緒に水折りをしてみずみずしい様子を保ってあげましょう。

割る・裂くのが適した花

切り口を割る、または裂くのが適している花はツツジや桜、椿などの枝物といわれているものです。太い枝よりも細い枝の方が水を吸い上げる力が弱いため、しっかりと水揚げして季節を楽しみたいですね。

ツツジ

ツツジだけでなく樹木の枝をハサミで切るのは苦労します。ですが安心してください。ハサミで無理やり斜めに切らずに、茎の切り口から2~3㎝のところまで十字に切れ込みを入れましょう。切れ込みなら案外簡単にできます。ツツジの固い枝を割ったり咲いたりして水に触れる面積を増やし、水を張ったバケツへ半日から1日ほど立てて水を吸わせれば終了です。

桜は樹木の中でも固い材木としてよく知られていますね。でも春先につぼみのついたが流通して自宅でも楽しみたいと思ったら、しっかり水揚げして管理すればOK。桜の枝の切り口付近の皮をナイフなどで削ぎ、内側の白い部分へ十字に切れ込みを入れましょう。どうしても切れ込みが入れられない場合は、トンカチや固いもので叩いてほぐしてください。水を張ったバケツへ2時間くらい立てて水を吸わせたら元気な状態になりますよ。

ツバキ

日本原産のツバキは、茶花や季節の花としてよく切り花で流通します。枝が固いため花瓶へ活ける場合は切り口を十字に裂くか叩いて割ってからしっかりと水揚げさせてください。卓上におけるツバキのサイズなら切り口を割ったあとそのまま花瓶へ活けても構いません。50㎝以上の大きなサイズは必ずバケツで半日以上吸水させておきましょう。

スモークツリー

初夏にふわふわとした雲のような花を咲かせるスモークツリーは乾燥に弱く、しっかりと水揚げさせてください。吸水力があるものの乾燥に弱いので、水揚げ中も濡れた新聞紙などで保湿しながらがおすすめ。スモークツリーの枝の切り口を半分か十字に割って、中の白い綿を落としてから水へ浸けてください。水揚げ後新聞紙を外す際はそっとはがしていきましょう。

切り花の寿命はどの程度?

切り花の寿命はどの程度?

さて様々な切り花の水揚げ方法を見てきましたが、寿命ってどのくらいなのか気になりますね。花の種類や管理の仕方、季節によっても大きく変わりますが、目安をご紹介します。

花の種類や管理方法によって大きく変わる

花束を贈る際に一番気になるのは「いつまで保つのか」という点でしょう。花の種類によっても変わりますが、花束でよく使われるバラやガーベラ、カーネーション、トルコキキョウは1~5日が目安です。カスミソウや葉物はもう少し長くなり、逆に茎の柔らかいお花は短くなります。

ラッピングしたままは風通しが悪く水不足の状態ですから、もっと花の寿命が短くなりますよ。なるべく早くラッピングを外して水へ浸けましょう。

季節によっても大きく変わる

季節によっても日持ちする期間が変わってきます。夏なら4~5日、冬は10日~2週間といったように置く場所の気温はとても大切。できるだけ長持ちさせたいなら涼しい場所へ置いてください。またプレゼントで贈る場合は、当日中に渡すか一日前に受け取って涼しい場所で立てて保管しましょう。

春や秋は1週間~10日間程度

気温が10~20℃になる春や秋は切り花の寿命は1週間~10日間くらいです。ただし雑菌が増えやすい時期でもありますから、こまめに水上げして花瓶の中を食器用洗剤で清潔にしておけば、みずみずしい花を長く楽しめます。

夏は4~5日間程度

20℃以上の気温が続く夏なら4~5日間程度が切り花の寿命です。室内の涼しい場所へ置くのが基本ですが、エアコンの乾燥した風に当たるとしおれてしまいますから要注意。においの元である細菌は夏場は半日もすれば増殖してしまいます。毎日水揚げして、花瓶の中や水に細菌が増えないよう清潔な状態を保ちましょう。

冬は10日間~2週間程度

気温が10℃前後、もしくはそれ以下になる冬は切り花にとっても過ごしやすい季節です。寿命は10日~2週間程度に伸びます。花屋さんのガラスケースの中も涼しい環境を維持しており、また細菌の増殖もそこまで見られません。エアコンの風の当たらない場所へ飾って切り花を楽しんでください。

切り花を長持ちさせる水揚げの方法について徹底解説!のまとめ

最後まで読んでみていかがでしたでしょうか。切り花の欠かせないお手入れとして水揚げがあります。この水揚げをマスターすれば、どのような切り花でも長くきれいな状態を保つことができるでしょう。

また大切な人へ花束を贈る際にも一番きれいな状態を渡すことができますから、喜ばれるに違いありません。

この記事のポイントは

  • 切り花に水揚げは欠かせないお手入れ
  • 水を吸い上げやすいよう花の種類によって、水揚げの方法が変わる
  • 必要なものは、新聞紙などの大判の紙、切れ味の良いハサミ、バケツ、水
  • 水切りは水中で茎の切り口を切ること
  • 湯揚げは切り口を切ったあと熱湯へ20~40秒浸け、すぐ冷水へ浸ける
  • 深水はバケツの2/3ほど水を張り、水圧で水を吸い上げさせる
  • 焼き揚げは、切り口を火で炭になるまで焼きその後水へ浸ける
  • 割る、裂くなどは硬い枝の切り口にナイフやハサミで切れ込みを入れる

以上のことをご紹介しました。

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