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球根植物は種とは違い比較的直ぐにお花が楽しめるのが魅力的な植物です。春はチューリップ夏から秋にかけてはダリア・グラジオラス、冬にはシクラメンなどさまざまな種類のお花を楽しむことができます。価格が安く球根が複数まとめて販売されているので、お手軽に手に入ります。
また、私たちが普段食べている野菜であるサトイモやショウガも球根植物になります。球根を持つ野菜は私たちにとても馴染み深い植物といえるでしょう。
球根植物について調べれていくと、時期によって植え付けができる植物は違ってきますよね。
そこで、本記事では夏植えできる球根植物について解説します。この記事を読めば以下のことが分かりますよ。
- 夏に球根を植え付ける時期
- 開花時期はいつぐらい?
- 球根は植えっぱなしでも大丈夫?
- 掘り上げする場合のタイミングは?
夏に植え付ける球根について知りたいなら、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
夏植え球根とはどのような特徴がある?
まず、夏植え球根にはどのような特徴があるのか解説します。どのような特徴があるのか把握しなければ上手な栽培は難しいですよ。詳しく解説しますね。
夏植え球根とは、夏の間に植え付ける球根植物のこと
夏植え球根とは、夏の間に植える球根植物全般を指します。あまり難しく「夏に植えるんだな」程度の認識でOKです。
もっと詳しく見ていきましょう。
秋の開花が一般的
夏植え球根の開花時期は秋が一般的です。夏植え球根の代表的な品種である『リコリス』の開花時期は8~10月に開花します。やや植え付けから時間が空いて開花するので、なるべく早くお花を見たい場合は早めの植え付けが必要になります。
植え付けから開花まで1か月程度の球根もある
夏植え球根の中には開花まで1か月程度必要な球根もあります。植物の成長速度はさまざまです。成長が早い植物もあれば遅い植物もあるからです。例えば、夏植え付け球根に分類される『コルチカム』の植え付けは8月~9月です。しかし、開花時期は9月~10月と開花まで1ヶ月ほど時間が空きます。
コルチカムのように植え付けから開花まで時間が必要な、夏植え球根も存在しているので、植えつける前に植物の詳細を確認するのがベストですよ。
冬に養分を蓄えて、春から夏までは休眠する
夏植え球根は冬に養分を蓄えて、春から夏まで休眠します。そのため、冬になると地上部分が枯れてしまうので「もうダメかな?」と思いがちですが、しっかりと生きているので処分しないようにしましょう。詳しくは後述しますが、植えっぱなしでも来年の夏に花を咲かせる方法もあるのでぜひ、最後まで読んでみてくださいね。
夏植え球根花のおすすめ4品種
では、夏植え球根花のおすすめ品種を4種類紹介します。同じ夏植え球根植物ですが、見た目はまるで違います。開花までの時期も違ってくるのでぜひ、自分好みの夏植え球根植物を見つけて植えつけ楽しんでくださいね。
①数輪の花弁が放射状に並ぶ花型が特徴的「リコリス」
夏植え球根植物の中でも『リコリス』がおすすめです。リコリスは数輪の花弁が放射状に並ぶ花型が特徴の夏植え球根植物です。リコリスと彼岸花はほぼ同じですが、一般的には真っ赤な花が彼岸花、さまざまな色を持つのがリコリスとされています。さまざまな色合いがあり、好きな色が楽しめるのはリコリスの特徴といえるでしょう。
原産地は日本や中国などのアジアを中心に自生しています。日本にも自生していることから観葉植物の栽培が初めての方でも育てやすい植物といえます。
植え付けの適期は7月~8月、開花時期は9月中旬~です。そのため、植え付けから開花まで1ヶ月以上の期間が必要といえます。そのため、早めにお花を楽しみたいなら、7月に植え付けるのがベストです。
ただ、丈が伸びてくると風雨で折れやすくなるので、ガーデン支柱を立てることを検討してください。ガーデン支柱を立てることでリコリスが折れることを防ぐことができますよ。
日本に自生しており生育しやすいリコリスから夏植え球根植物を始めるのもおすすめですよ。
②花弁に光が当たるとキラキラと光る「ネリネ」
花弁に光が当たるとキラキラ光る不思議な植物『ネリネ』もおすすめです。光が当たるとラメのように光る姿から『ダイヤモンドリリー』という別名が付けられています。
ネリネは南アフリカを原産地とするヒメヒガンバナ属の球根植物です。そのため、暑さには強いですが寒さに弱いという特徴があるので、冬の管理が重要になります。
大きさは最大で40cm程でお手頃なサイズ感が魅力的です。そのため、鉢植えで栽培も可能です。
植え付け時期は4月~9月と長い期間植え付けることができます。開花時期は10月半ば~12月中旬ごろまでと、植え付け時期から長い期間が必要になるので注意してください。
開花までの時間は長いですが、きらきら光る姿は魅力的なのでぜひ、ネリネの生育を楽しんでくださいね。
③耐寒性が強く、花姿はクロッカスによく似ている「ステルンべルギア」
寒さに強く、花姿がクロッカスに似ている『ステルンベルギア』もおすすめできる夏植え球根植物です。花姿はクロッカスですが色合いは黄色なのが特徴です。
ステルンベルギアはヨーロッパ~アジアに8種類程生息する多年草の球根植物。日本では『ステルンベルギア・ルテア』という品種を中心に栽培されています。
植え付け時期は8月の終わり~9月の初めにおこないます。開花時期は9月の終わりから10月の半ばになります。植え付け時期と開花時期の間隔が短いので、植え付け後比較的直ぐに花が楽しめる品種といえるでしょう
ただ、すぐに花が楽しめるのは球根を植え付けた場合のみです。種から栽培を始めた場合は最大で6年ほどの時間が必要になります。そのため、特に理由がないなら球根から始めるのがおすすめです。
寒さに強く扱いやすい球根植物なのでぜひ、ステルンベルギア栽培してみてくださいね。
④野草のような素朴さが魅力「オキザリス」
野草のような素朴さが魅力的な『オキザリス』を栽培するのもおすすめです。オキザリスはカタバミ属に属する球根植物です。南アフリカや中南米に自生しており、品種数は850種類にもなる多彩な植物。
日本で流通している品種数は20品種ほどですが、秋咲きや四季咲きなどさまざまなタイプのオキザリスが流通しているので、自分好みのオキザリスを探してみてください。
植え付け時期は8月上旬~10月を目安に行います。開花時期は10月~12月になるので、比較的早めに開花する夏植え球根植物といえるでしょう。
小さくて素朴な姿が魅力のオキザリスですが、ひとつだけ注意点があります。それは「暗い場所に置くと花が閉じる」という性質があることです。折角の花が楽しめないのはもったいないので、日の当たる明るい場所で栽培してましょう。
グラジオラスのような派手なお花ではなく、素朴なお花が好きな方は、オキザリスがおすすめですよ。
数年植えっぱなしできるおすすめ夏植え球根
次に数年植えっぱなしにできるおすすめ夏植え球根品種を紹介します。花壇などに植えっぱなしにできることで、球根を掘り起こす手間が無くなります。お手軽に球根植物を楽しみたい方はぜひ、読んでみてくださいね。
①大変強健で半日陰でも育つ「サフラン」
植えっぱなしにできる夏植え球根植物の中でも大変強健で半日陰でも育つのが『サフラン』です。お料理が好きな方は1度は耳にしたことがあるでしょう。土質にこだわりがなく、水はけが良い土を用意出来れば誰でもお手軽に栽培が可能です。では、サフランについてもう少し詳しく見ていきましょう。
スパイスとしても利用される
先述した通り、サフランはスパイスとして利用されています。サフランスパイスは、世界で最も高価なスパイスとして有名です。価格はなんと100g3万円にもなります。
サフランスパイスはサフランの雄しべを乾燥させたものですが、1輪のサフランから3本しか雄しべが採れません。そのため、たった30gのサフランの雄しべを採取するためには、なんと4,300輪ものサフランの花が必要になります。
さらに、雄しべを取り出す作業はなんと手作業。とても手間がかかるスパイスなんですね。そのため、サフランスパイは世界で最も高価なスパイスといわれています。
水耕栽培も可能
サフランは花壇などの土栽培だけでなく、水耕栽培も可能な球根植物です。そのため、屋外だけでなく室内でもサフランを楽しむことができます。キナリノのようにおしゃれにサフランを足しめます。半日陰でも問題なく栽培できるので、水耕栽培に適した植物といえるでしょう。
②耐寒性が強く、地植でも栽培可能「シクラメン・ヘデリフォリウム」
耐寒性が強く、地植えでも栽培可能な『シクラメン・ヘデリフォリウム』もおすすめです。「普通のシクラメンと何が違うの?」と思う方も多いでしょう。では、詳しく解説しますね。
原種系シクラメンで唯一の常緑品種
シクラメン・ヘデリフォリウムは原種系シクラメンで唯一の常緑品種です。原種系シクラメンとは、品種改良されていない自然なままのシクラメンのことです。
常緑品種なため、常に緑色の葉っぱを楽しむことができます。球根植物の中には地上部分を枯らして休眠する品種も存在します。地上部分が枯れると味気ないですよね。しかし、シクラメン・ヘデリフォリウムなら常緑品種なので常に緑色を楽しむことができます。
花以外に葉っぱの緑も楽しみたいなら、シクラメン・ヘデリフォリウムがおすすめですよ。
マイナス15度まで耐えられる
シクラメン・ヘデリフォリウムはマイナス15度まで耐えられる品種です。そのため、日本なら場所を問わず栽培できる品種といえるでしょう。半日陰でも栽培が可能なので、育成場所にとらわれにくいのも魅力的ですね。
お住まいの地域が豪雪地帯など、寒さが厳しい地域の方におすすめの品種といえるでしょう。
③乾燥に強く、土に埋めなくても育つ「コルチカム」
乾燥に強く、土に埋めなくても育てられる『コルチカム』も植えっぱなしにできる球根植物です。欧州やアジアなど幅広い地域に生息しており、全部で60品種程が確認されています。寒さ・暑さ・乾燥に強いため観葉植物初心者の方でも扱いやすいです。では、もう少し詳しく見ていきましょう。
乾燥に強いが過湿は苦手
コルチカムは乾燥には強いですが、過湿は苦手という特徴があります。そのため、室内で加湿器を回している状態や、梅雨のジメジメした状態は注意が必要です。過湿状態を防ぐために、風通しの良い場所で管理をおこないましょう。
水耕栽培も可能
コルチカムは水耕栽培が可能な球根植物です。なので、室内でコルチカムの栽培を楽しめますよ。キナリノを参考に室内でコルチカムを育ててみてください。
お手軽に楽しめるコルチカムですが、ひとつ注意点があります。それは「コルチカムはアルカイド系の毒をもっていること」です。大人な誤って食べることはありませんが、小さなお子さんやペットと生活している方は誤食しないよう注意してくださいね。
夏植え球根花を育てるうえでのポイント
おすすめ品種の次は、球根花を育てるポイントを解説します。簡単なポイントばかりなので、ぜひ目を通してくださいね。
植え付け時期:7月から9月頃
夏植え球根植物の植え付け時期は基本的に7月から9月頃の2か月間の間です。早すぎても遅すぎてもよくありません。夏の暑い時期で大変ですが、夏植え球根植物のお花を楽しみたいなら7月から9月頃にに球根を植え付けましょう。
なお、植えつける深さは植物によって違います。種類によっては違います。球根1個分の深さのものからそれ以上の深さが必要な種類もあるので注意してくださいね。
植え付け場所:庭植えか鉢植えか
植え付け場所も重要なポイントのひとつです。植物の適した環境は植物ごとに違います。そのため、植物に合った育て方・容器での栽培するのが重要になります。栽培を開始する前に、どのような場所が適しているのかしっかり調べてから、育てるようにしましょう。
日照時間や冬の気温と品種をよく見て選ぼう
日照時間や冬の気温と品種を良く調べてから育てる植物を決めましょう。日本は小さな国ですが、地域によって気温の差が大きいです。
特に東北や日本海側は豪雪地帯の場所も多く気温も他の地域と比べてかなり低いです。そのため、同じ日本でも低温に耐えれる品種なのか、日照時間は十分確保できそうなのかしっかりと見極める必要があるでしょう。
植え方によっては、植えっぱなしで翌年を迎えることも可能
夏植え球根植物は植え方によっては、植えっぱなしで翌年を迎えることも可能です。とはいえ、植え方は品種によってはさまざまです。植えっぱなしは魅力的ですが、すべての夏植え球根植物が可能なわけではないんですね。植え付ける前に、植えっぱなしにできるのかしっかり確認してから栽培を始めてくださいね。
栽培環境:基本的に日当たりと風通しの良い場所
栽培環境は基本的に日当たりと風通しの良い場所で育てましょう。ほぼすべての植物は、日当たりと風通しの良い場所で育てれば問題ありません。また、使用する土は水はけの良いものがおすすめです。
ただ、直射日光は厳しい植物が多いので、適度な遮光などをおこなって柔らかい日差しを当てるように意識しましょう。
夏植え球根の花が咲き終わったらどうする?
最後に夏植え球根の花が咲き終わったらどうすればいいのか解説します。読者の方には「そのままでもよくない?」と思う方もいるでしょう。しかし、適切な処理をおこなわなければ、翌年の花を楽しめる可能性が減ってしまいます。では、どのように処理すればいいのか詳しく見ていきましょう。
早めに花がらを摘み取る
球根植物の開花後に出る花がらは早めに摘み取りましょう。花がらをそのままにしておくと、種をつくってしまい株自体のエネルギーを大きく使ってしまうからです。種を作りたい場合は別ですが、基本的に花がら摘み取って休眠期に備えるのがベストですよ。
花後と冬の間2か月に1回ほどの追肥を行う
球根植物は花後と冬の間2か月に1回ほど追肥をおこないます。特に花後は株の体力が減っている状態です。なのでエネルギーを補給するためにも肥料与えてエネルギーを補給しましょう。ただ、肥料の与えすぎは良くないので加減してくださいね。球根エネルギーを蓄えさせるのが重要ですよ。
休眠期には、球根を彫り上げて、乾燥させよう
休眠期には球根を掘り上げて乾燥させましょう。「そのままじゃダメなの?」と思う方も多いと思いますが、安全にいくなら球根を掘り上げた方が安全ですよ。では、どのように掘り上げればいいのか詳しく見ていきましょう。
休眠期の合図は、葉の色が黄色く変色したら
休眠期の合図は葉っぱの色が黄色く変化したら掘り上げをおこないましょう。詳しくは植物ごとに調べるのがベストですが、大まかな合図として葉っぱが黄色くなったら掘り上げして大丈夫です。目視で確認できるので、失敗が少なくおすすめの方法ですよ。
分球と洗浄後、乾燥させる
掘り上げ後、分球と洗浄をおこなった後乾燥させましょう。分球は親球根と同じ性質を持ちます。そのため、分球を埋めれば親球根と同じような花を咲かせます。ダリアのように沢山の分球を付ける品種もありますよ。球根で花を増やす場合は分球から増やすのがおすすめ。
分球を分けて水道水で球根を洗浄したら、乾燥させて保存するだけです。おすすめの方法はネット袋に入れて風通しの良い場所に吊るすのが簡単ですよ。
夏植えの球根を徹底解説!開花時期からおすすめの品種までのまとめ
本記事では球根の夏植えについて解説しました。夏に球根を植える場合は品種にもよりますが7月~9月頃に植え付けるのがベストでしたね。ただ、品種によっては開花までの時間が必要な場合もあるので、植えつける際は開花期をしっかり確信してからおこないましょう。
本記事のまとめは以下の通りです。
- 夏の球根の植え付けは7月~9月頃が目安
- 開花期は9月~12月ごろだが品種によっては時間が必要な場合もある
- 品種によっては植えっぱなしでもOK
- 葉っぱが黄色くなったら掘り上げの時期
球根植物は種から育てる植物とは違い、やや手間がかかる植物です。場合によっては植えっぱなしでも大丈夫ですが、お住まいや気候によっては掘り上げた方が安心して栽培ができるでしょう。基本的に植えっぱなしにせず、しっかりとお手入れして翌年も綺麗な花を楽しんでくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENにはほかにもたくさんの記事を用意しておりますので、ぜひご覧ください。