目次
お庭のシンボルツリーとして人気のあるヤマボウシ。秋になると赤い果実をつけます。ヤマボウシの実は表面がブツブツとして見た目が悪く、知らなければ食べようとは思いませんよね。しかし、実はヤマボウシの実はいろいろな食べ方ができます。
この記事では、
- ヤマボウシの特徴
- ヤマボウシの実とは
- ヤマボウシの実は食べることができる?
- おすすめの食べ方とレシピ
- お庭のヤマボウシで実がならない理由
- 似ているハナミズキの実には注意が必要
- おすすめのヤマボウシの品種4選
についてわかりやすく丁寧に解説します。
この記事を読めば、ドライフルーツや果実酒などヤマボウシの実のいろいろな食べ方やレシピを知ることができます。ヤマボウシの実の食べ方だけでなく、お庭のヤマボウシで実がならない理由やおすすめのヤマボウシの品種など幅広く解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
ヤマボウシはどのような植物
ヤマボウシの実について解説する前に、ヤマボウシという植物そのものについて解説します。ヤマボウシという植物にはどのような特徴があるのでしょうか。
ミズキ科の落葉あるいは常緑高木
ヤマボウシ(山法師)はミズキ科ミズキ属の高木です。樹高は10m〜15mほどまで成長するため、お庭のシンボルツリーとして植えられることがあります。公園や街路樹などでもよく見かけるヤマボウシですが、落葉性のものと常緑性のものがありそれぞれ落葉ヤマボウシ、常緑ヤマボウシと呼ばれています。
ヤマボウシの基本情報
ヤマボウシは日本や中国、朝鮮半島などを原産とする高木です。6月から7月にかけて白やピンクの花を咲かせます。花びらのような部分は総苞片(そうほうへん)といい、正確には花ではなく葉です。花は総苞片の中心にある球状のかたまりで花序(かじょ)といいます。花序には黄色い小さな花がたくさん集まっています。和名の「山法師」は花序を法師の頭に、総苞片を法師の頭巾に見立てたとされています。また、ヤマボウシには「ヤマグワ(山桑)」という別名がありますが、ヤマボウシの実が桑の実に似ていることに由来しています。
科・属名 | ミズキ科・ミズキ属 |
---|---|
原産地 | 日本、中国、朝鮮半島 |
開花時期 | 6月〜7月 |
花の色 | 白、ピンク |
別名 | ヤマグワ(山桑) |
ヤマボウシの実の特徴や美味しい
公園や街路樹などで見かけることが多いヤマボウシですが、ヤマボウシの実が食べられることはご存知でしょうか。この記事では、ヤマボウシの実について詳しく解説するとともに、おすすめの食べ方やレシピについてもご紹介します。いろいろな食べ方がありますから、ぜひ食べ比べてお気に入りの食べ方を見つけてみてくださいね。
ヤマボウシの実の特徴
ここでは、ヤマボウシの実の特徴について解説します。ヤマボウシはいつ頃の時期に、どのような実をつけるのでしょうか。
実の収穫時期は初秋の9月頃
ヤマボウシの開花時期は6月から7月にかけてです。初夏に花を咲かせたヤマボウシは花が終わってから8月頃には実をつけて、初秋の9月頃に実の収穫時期を迎えます。
実の色はグリーンから熟すに従い朱色のような赤に変化
ヤマボウシの実の色は最初はグリーンです。8月になれば、グリーンの実が確認できるようになります。そして、9月になり実が熟すにつれて朱色のような赤に変色していきます。
実の見た目は表面に突起がある
ヤマボウシの実は、特徴的なかたちをしています。赤い実の表面にはたくさんの突起があり、人によっては気持ち悪いと感じることもあります。
複合果と呼ばれる
ヤマボウシの実は複合果と呼ばれます。花序には小さな花がたくさん集まっていますが、それらの花々が集まってひとつの果実になります。赤い実の表面にあるたくさんの突起は、それぞれの小花の名残です。
集合体恐怖症に人にとっては気持ち悪い...?
ヤマボウシの実は、たくさんの突起があるため表面がツルッとしていません。人によっては見た目が気持ち悪い、と感じることがあるかもしれません。集合体恐怖症の方にとっては注意が必要な果実です。
実は1~3㎝で中には種が1~4個入っている
ヤマボウシの実は、直径1cmから3cmほどの大きさです。実の中には、種が1個から4個入っています。ヤマボウシは、実から種を取り出して種まきによって増やすこともできます。
ヤマボウシの実は食べることができるのか?
ここでは、ヤマボウシの実を食べることができるのかについて解説します。ヤマボウシの実はスーパーマーケットなどで販売しているのを見かけることはありませんが、食べることはできるのでしょうか。
ヤマボウシの実は市場には出回らないが果実として食べることができる
ヤマボウシの実は果実として食べることができます。市場には出回りませんからスーパーマーケットなどで入手することは難しいですが、実はいろいろな食べ方ができる美味しい果実です。ただし、公園や街路樹などで植えられているヤマボウシには薬剤などが散布されている可能性がありますから注意しましょう。
犬や鳥も好んで食べる
庭木として使われる樹木には、犬や鳥などが食べられる果実をつけるものと食べてはいけない果実をつけるものがあります。犬をペットとして飼っているご家庭では心配になるポイントですよね。ヤマボウシの実は犬も食べられます。ヤマボウシの実は甘味が強く、犬や鳥も好んで食べる果実です。
アレルギーの出る方もいるため注意
ヤマボウシの実は、果実として食べることができます。しかし、多くの食べ物と同様にアレルギー反応が出る場合があります。アレルギーが気になる場合には、ヤマボウシの実は食べない方が無難です。
味は甘みが強く、マンゴーやバナナによく似て美味しいという
ヤマボウシの実は甘みが強い美味しい味で、マンゴーやバナナに似てるねっとりとした食感が特徴です。酸味はほとんどなく、香りもそれほど強くありません。
効能は目の疲れの緩和や滋養強壮、疲労回復、整腸作用など
ヤマボウシの実には効能があると言われています。目の疲れの緩和や滋養強壮、疲労回復、成長作用などに効能があるとされています。
栄養価はアントシアニンやビタミン、カロチンなど
ヤマボウシの実には、アントシアニンやビタミン、カロチンなどの栄養価が含まれています。ヤマボウシの実は栄養価を含むことから、さまざまな効能をもつとされています。
ヤマボウシの実のおすすめの食べ方やレシピを紹介
ここでは、ヤマボウシの実のおすすめの食べ方やレシピをご紹介します。市場には出回りませんが、ヤマボウシの実は食べることができます。ヤマボウシの実はどのような食べ方が適しているのでしょうか。
生食でそのまま食べる
実は、ヤマボウシの実は生食でそのまま食べることができます。皮をむいて種を取り除き、果肉をそのまま食べます。生食でそのまま果肉を食べることによって、ヤマボウシの実本来の味を楽しむことができます。食べごろは、実が落ちた直後です。赤く色づいたばかりの実は硬いだけでなく、あまり甘くありません。
ドライフルーツの作り方
ヤマボウシの実をドライフルーツにしてから、食べるのもおすすめです。ヤマボウシの実からドライフルーツを作るには、次の手順で行います。
外皮をむく
外皮は食べませんから、まずは外皮を丁寧にむきます。
天日干しかレンジで乾燥させる
外皮をむいたら、天日干しかレンジで乾燥させるだけです。天日干しでじっくりと乾燥させる方が望ましいですが、レンジであれば乾燥させて簡単にドライフルーツを作ることができます。
完成
外皮をむいて、天日干しかレンジで乾燥させるだけでドライフルーツの完成です。生の状態よりも保存しやすく、甘みも増すとされています。
ジャムの作り方
ヤマボウシの実からジャムを作ることもできます。必要な材料は、ヤマボウシの実、砂糖、レモン汁だけです。ヤマボウシの実のジャムの作り方は、次の手順のとおりです。
実を洗い流し、皮の突起部分を取り除く
まずは実を水でよく洗います。ヤマボウシの実にはたくさんの突起がありますが、皮の突起部分は取り除いておきましょう。
鍋にヤマボウシと砂糖を入れ、実をつぶす
次に、鍋にヤマボウシの実と砂糖を入れてから、実をつぶします。砂糖の量は好みにもよりますが、ヤマボウシの実の重さの3分の1ほどが目安です。
弱~中火でかき混ぜる
鍋を火にかけてヤマボウシの実と砂糖をかき混ぜます。火力は弱火から中火です。
沸騰後火を止めてざるで濾す
沸騰したらすぐに一度火を止めて、ざるを使って濾します。何回か丁寧に濾した方が仕上がりがよくなります。
越したものを鍋に戻し、中火にかける
濾し終わったら、濾したものを鍋に戻して中火にかけます。とろみがつくまでじっくり温めますが、放っておくと焦げてしまうことがあります。焦げ付きを防止するために、鍋底を木べらでこまめに混ぜましょう。
レモン汁を加えひと煮立ちさせる
とろみがついたらほぼ完成です。最後に、レモン汁を加えてひと煮立ちさせます。
完成
完成したら、煮沸消毒した清潔な容器にジャムを保存しましょう。
果実酒の作り方
ヤマボウシの実を使って、果実酒を作ることもできます。必要な材料は、ヤマボウシの実、レモン、氷砂糖、ホワイトリカーです。ヤマボウシの実を使った果実酒の作り方は、次の手順のとおりです。
ヤマボウシの実を洗い、水気をふく
まずは、ヤマボウシの実をよく洗います。洗ったら、丁寧に水気を拭きましょう。
レモンを洗い、5ミリの半輪切りにする
用意したレモンは洗ってから、5ミリの反輪切りにしておきます。レモンもヤマボウシの実と同様に、洗ったら丁寧に水気を拭きます。
ビンに氷砂糖とヤマボウシ、レモン、ホワイトリカーを入れる
用意した瓶に、氷砂糖、ヤマボウシの実、半輪切りにしたレモン、ホワイトリカーを入れます。ホワイトリカーの量はヤマボウシの実の重さの3倍、氷砂糖はホワイトリカー1,000mlに対して100gが目安です。
実とレモンは2か月で取り出す
2か月ほど経ったら、ヤマボウシの実と半輪切りにしたレモンは取り出しましょう。熟成するには時間がかかるため、ヤマボウシの実とレモンを取り出した後に果実酒を寝かせます。収穫して9月〜10月に作るなら、11月〜12月には実とレモンを取り出します。
3か月で完成
3か月ほど経ったら、ヤマボウシの果実酒が完成です。3か月経てば飲むことはできますが、まろやかな果実酒が好みの場合にはもっと長く果実酒を寝かせてもよいでしょう。収穫して9月〜10月に作るなら、12月〜翌年1月には完成です。
お庭のヤマボウシの実がならない原因
ここでは、お庭のヤマボウシの実がならない原因について解説します。ヤマボウシの実がならないのは原因があります。実がならない原因を解消して、お庭でヤマボウシの実を収穫してみましょう。
ヤマボウシの実は落葉性・常緑性に関係なく実る
ヤマボウシの実がならない理由は、常緑ヤマボウシだから、あるいは落葉ヤマボウシだからではありません。常緑ヤマボウシでも落葉ヤマボウシでも、実がなります。
原因①花が咲いていないから
ヤマボウシの実がならない原因として、まず考えられるのは「花が咲いていないから」です。花が咲き終わった後にヤマボウシの実がなりますから、花が咲かないと実はなりません。気をつけたいのが、剪定で花芽のついた枝を切ってしまうことです。ヤマボウシの花芽は3月から4月につきます。ヤマボウシの剪定は2月までが適期とされていますが、花芽がつき始める3月の前まで、2月までに剪定を済ませておくことも大切です。
植えて間もない
植えてから間もない若木のヤマボウシは、花を咲かせません。成長すれば花を咲かせるようになりますから、しばらくは様子を見ましょう。十分成長してからも花を咲かせない場合には、他の原因が考えられます。
日照や土壌の条件が悪い
日照や土壌の条件が悪い場合に花を咲かせないことがあります。ヤマボウシが好むのは日当たりがよくやや乾燥した場所ですから、日照不足が原因の場合には日当たりが良い場所に移動させます。また、ヤマボウシは水はけがよく肥沃な土壌を好みますから、肥料不足の場合には庭植えでも鉢植えでも肥料を与えるとよいでしょう。
原因②まだ未熟なうちに実が落ちるから
ヤマボウシの実が大きくなる前に落ちてしまっているかもしれません。ヤマボウシの実がなる9月は台風のシーズンです。台風の強風に晒されて、まだ未熟なうちに実が落ちることがあります。
ヤマボウシに似てるハナミズキの実には毒があるので注意!
ここでは、ハナミズキの実の毒性について解説します。ヤマボウシとハナミズキの木はよく似ていますから、誤ってハナミズキの実を食べないよう注意が必要です。
ヤマボウシとハナミズキの木はよく似ているが実を誤って食べないよう注意
ハナミズキは4月から5月にかけて白やピンクの花を咲かせます。ヤマボウシとハナミズキの木は同じミズキ科ミズキ属に属しており花姿がよく似ています。しかし、ハナミズキの実には毒がありますから、誤ってハナミズキの実を食べないよう注意が必要です。
ヤマボウシとハナミズキを見分けるには、総苞片のかたちで見分けるのが簡単です。花びらのような形をした総苞片の先端が尖っているのがヤマボウシ、先端がくぼんでいるのがハナミズキです。また、花の咲く時期でも見分けることができます。ハナミズキは4月から5月にかけて花を咲かせますから、6月から7月にかけて花を咲かせるヤマボウシよりも開花時期が早いです。
ハナミズキの実の特徴
ハナミズキの実を誤って口にしないために、ハナミズキの実の特徴を知っておきましょう。
光沢がある
ハナミズキは10月から11月にかけて、赤い実をつけます。ヤマボウシの実と色は似ていますが、ヤマボウシのように表面にたくさんの突起はありません。ハナミズキの実の表面は光沢があり、ツヤがあって美しい見た目をしています。
1~1.5㎝の小さな実が集まっている
ハナミズキの実の大きさは、1cm〜1.5cmほどです。ヤマボウシの実はひとつずつなりますが、ハナミズキは小さな実がいくつか集まってなります。
ヤマボウシのおすすめ品種4選
ここでは、ヤマボウシのおすすめの品種を4種類厳選してご紹介します。ヤマボウシのおすすめの品種は、
- ホンコンエンシス
- ヒマラヤ
- ウルフアイ
- 赤花
の4品種です。特に、赤花は実の食用に特化した品種ですから、食用としてヤマボウシの実を利用したい方におすすめです。
それでは、それぞれ見ていきましょう。
ホンコンエンシス 月光 常緑ヤマボウシ:花や葉が小ぶり
ホンコンエンシス(月光)は常緑性のあるヤマボウシで、庭木として人気がある品種です。花や葉は小ぶりですが、月光という品種は花付きが優れておりたくさんの花を咲かせます。常緑ヤマボウシは落葉ヤマボウシに比べて寒さに強くないため、常緑性があるとはいえ冬には一部の葉っぱを落とすことがあります。
ヒマラヤ 常緑ヤマボウシ:黄色い花を咲かせる
ヒマラヤ周辺を原産とするヒマラヤヤマボウシ。ホンコンエンシスと同様に常緑ヤマボウシの一種ですが、ホンコンエンシスよりも樹高が高くなります。ヒマラヤヤマボウシは、クリーム色のような黄色い花を咲かせます。
ウルフアイ 落葉ヤマボウシ:白い斑入りの葉
ウルフアイは落葉ヤマボウシの一種ですが、白い斑入りの葉っぱが特徴のヤマボウシです。葉の外側に白く縁取りされたように斑が入ります。紅葉の時期には、白く縁取りされた部分が赤く色付く花姿を楽しむことができます。
赤花 落葉ヤマボウシ:実の食用に特化
赤花は落葉ヤマボウシの一種ですが、名前のとおり赤い色の花が特徴のヤマボウシです。白い花を咲かせるヤマボウシが多いなか、ピンクや赤色の花のヤマボウシを選ぶなら赤花がおすすめです。春に咲く赤い花だけでなく、秋には赤い果実や紅葉した葉っぱを楽しむことができます。
まとめ
ここまで、ヤマボウシの実のおすすめの食べ方やレシピから、お庭のヤマボウシで実がならない理由やおすすめのヤマボウシの品種など詳しく解説してきましたがいかがだったでしょうか。
この記事のポイントは、
- ヤマボウシ(山法師)はミズキ科ミズキ属の高木で、落葉性のものと常緑性の品種がある。6月から7月にかけて白やピンクの花を咲かせる
- ヤマボウシの実は初秋の9月頃に実の収穫時期を迎え、グリーンの実が熟すと赤くなる。実の大きさは直径1cmから3cmほどで種が1個から4個入っている。実の表面にたくさんの突起があるのが特徴
- ヤマボウシの実は、市場には出回らないが食べることができる。甘くねっとりしておりバナナやマンゴーに似てる。アントシアニンやビタミン、カロチンなどの栄養価が含まれており、目の疲れの緩和や滋養強壮、疲労回復、成長作用などに効能があるとされる
- おすすめの食べ方は、①生食でそのまま食べる、②ドライフルーツ、③ジャム、④果実酒
- お庭のヤマボウシで実がならない理由は、①花が咲いていないから、②まだ未熟なうちに実が落ちるから。落葉ヤマボウシでも常緑ヤマボウシでもどちらでも実はなる
- ヤマボウシと似ているハナミズキの実には毒があるため注意が必要
- おすすめのヤマボウシの品種4選は、①ホンコンエンシス(月光)、②ヒマラヤ、③ウルフアイ、④赤花
でした。
ヤマボウシの赤い実が食べられるか気になっていた方も、この記事を読んでスッキリしたのではないでしょうか。この記事で紹介したとおりヤマボウシの実は生食、ドライフルーツ、ジャム、果実酒などいろいろな食べ方が楽しめますから、秋になったらお庭のヤマボウシの実を収穫していろいろな食べ方にチャレンジしてみてください。ヤマボウシはお庭のシンボルツリーとしても人気がありますから、実の収穫を楽しみにしてこれからヤマボウシを植えてみるのもおすすめです。
最後までお読みいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENには他にもたくさんの記事をご用意しておりますので、是非ご覧ください。