色鮮やかな花が魅力的で、見ているだけでリゾート気分を味わうことができるハイビスカス。大きな花びらが特徴のアオイ科の植物で、その品種は200種類以上存在します。そんな元気なイメージのハイビスカスですが、育てていると病気にかかってしまうこともあります。病気になると見た目に悪影響が出るだけでなく、株の生育不良を招いてしまいます。
大切に育てていたのに、病気になってしまった原因や対処法が分からず困っている人も少なくないのではないでしょうか。 そこでこの記事では、
- ハイビスカスが病気にかかると起こる問題
- ハイビスカスの栽培で注意したい病気①すす病
- ハイビスカスの栽培で注意したい病気②うどんこ病
- ハイビスカスの栽培で注意したい病気③灰色かび病
- ハイビスカスの病気に効果的な薬剤
- ハイビスカスにつきやすい害虫
上記について詳しく解説していきます。
この記事を最後まで読んで頂ければ、ハイビスカスがかかりやすい病気とどのような症状が見られるのかが分かります。また合わせて、ハイビスカスの病気の治療や予防に効果がある薬剤や、注意したい害虫についてもご紹介しています。これからガーデニングでハイビスカスを栽培したいと考えている人や、育てているハイビスカスが病気にかかってしまい困っている人の参考にして頂けたら幸いです。
ハイビスカスの栽培は病気に注意が必要!
栽培環境や育て方が合っていないと、植物が病気にかかることも少なくありません。ハイビスカスが病気にかかるとどのような問題が発生するのでしょうか。
ハイビスカスが病気にかかると外観に影響したり花がうまく咲かなったりする問題がある
ハイビスカスが病気にかかると、
葉や茎が変色したり、場合によっては葉が落ちたりして、株の見た目に影響することがあります。また、適切に管理ができていないと
開花時期になっても花がうまく咲かないこともあるため、ハイビスカスに元気がなく病気が疑われる時には早めの対処が必要です。
ハイビスカスのかかりやすい病気やその症状、対策方法を解説
暖かい季節に生育が旺盛になり、比較的育てやすいハイビスカスですが、品種に関わらずかかりやすい病気はあります。
この記事では、ハイビスカスを育てるうえで注意したい病気や、進行具合によってどのような症状が見られるのかを一つ一つ解説していきます。また、実際に病気にかかってしまった場合の対策方法も説明していきますのでご覧ください。 なお、この後ご紹介する病気や症状が当てはまらない場合は、
根詰まりや肥料不足が原因で弱っている可能性もあります。根詰まりを起こして鉢の下から根が出ていたら、一回り大きな鉢に
植え替えをしましょう。植え替え後は、たっぷりの水を与えて半日陰で管理します。また、新芽のほうから黄色くなっていたり、開花時期に花が咲かなかったりしたら肥料不足かもしれません。
液体肥料を少量から与えて様子を見ましょう。
ハイビスカスの栽培で注意したい病気①:すす病
ここからは、ハイビスカスがかかりやすい病気と対処法をご紹介していきます。ハイビスカスの栽培で注意したい病気の1つ目は
すす病です。
枝や葉っぱが黒くなる病気
すす病はカビの一種が原因となり、枝や葉っぱの表面がススが付いたように黒くなる病気です。
見た目が悪くなる
ハイビスカスがすす病にかかると、最初は枝や茎の色が悪くなる程度ですが、次第に黒々とした菌が広がってきます。
症状が進行すると、株全体が黒く汚れたような状態になるため見た目を損ないます。
黒くなった葉っぱが落ち、株が枯れる
すす病が進行して葉っぱ全体がが黒くなると光合成ができず、徐々に落葉していきます。また、生育が衰えて最悪の場合株が枯れてしまうことも。症状が進行すると、回復までに時間がかかったり手遅れになったりします。取り返しのつかない状態になる前に、早めの対処が必要です。
剪定や葉っぱを摘み取ることで被害の拡大を防ごう
すす病を発症して初期の段階であれば、基本的には洗い流したりふき取ったりすることで対処可能です。
症状が進み葉っぱや茎全体に症状が見られる場合や、見栄え的にも問題が無いのであれば、剪定などで取り除いてしまいましょう。悪くなった部分を除去すれば、確実に被害の拡大を防ぐことができます。
すす病の根本の原因である害虫の駆除も効果的
すす病の原因は、アブラムシやカイガラムシの排泄物に群がる菌です。そのため、ハイビスカスにこれらの害虫が付かないように管理することも大切です。日頃のお手入れの際に虫が付いているのを見つけたら、その都度薬剤を使うなどして駆除することがとても効果的です。
ハイビスカスの栽培で注意したい病気②:うどんこ病
ハイビスカスの栽培で注意したい病気の2つ目は
うどんこ病です。うどんこ病は、乾燥した環境で発生しやすい病気になります。
葉っぱがカビで白くなる病気
うどんこ病はその名の通り、植物の見た目がうどんこをまぶしたような状態になる病気です。
見た目が悪くなる
ハイビスカスがうどんこ病にかかると、葉っぱがカビで白くなり見た目が非常に悪くなります。初期症状は葉っぱに白いカビの点々ができる程度ですが、ほおっておくと葉全体が粉を吹いたように白くなってしまいます。
光合成ができなくなり、葉っぱや茎が変色する
葉っぱがカビで覆われてしまうと、光合成が阻害され栄養不足なってしまうため注意が必要です。症状が進行すると葉や茎が黄色く変色してしまったり、次第に株が弱って縮れたりすることがあります。
重曹を薄めたスプレーや葉っぱをちぎることで早めに対処しよう
症状がそれほど進行していない段階であれば、重曹を薄めたスプレーを吹きかけると効果的です。また、除去しても問題の無い葉っぱはちぎって対処しましょう。早めに取り除くことで他の葉っぱに病気が移るのを防ぐことができます。
症状がひどい場合は薬剤をまくことで対処しよう
広範囲にカビが発生してしまい症状がひどい場合は、「ダコニール」や「ベニカ」などの薬剤を使用します。薬剤を散布する際は、葉の表面だけでなく株全体に丁寧にかけましょう。特に葉の裏側や、カビの影響を受けやすい木の下部などにもしっかりまくようにします。
ハイビスカスの栽培で注意したい病気③:灰色かび病
ハイビスカスの栽培で注意したい病気の3つ目は
灰色かび病です。カビが原因の病気で、罹病すると灰色の粉が生じます。
花がしぼみ、葉っぱや茎にカビが生えて腐っていく病気
灰色かび病にかかると、花がしぼんで葉っぱや茎にカビが生えて最終的には腐ってしまいます。初期症状は、水滴がにじんだような小さな斑点が多数生じます。
さらに病気が進行すると花びらに元気が無くなると同時に葉っぱが褐色になって腐り、灰色のカビが生えてしまいます。
腐った部分や枯れた部分を取り除いて対処しよう
灰色かび病にかかり腐った部分はきれいに取り除きます。
枯れた部分も病原菌が残っているので、できるだけ取り除きましょう。灰色かび病は繁殖力がとても高いので、被害が小さいうちに早めに対処することが大切です。
予防法は低温湿度にならないように管理すること
季節に合わせて正しく管理することで、灰色かび病を予防できます。管理方法のポイントをおさえておきましょう。
水やりは株元から最小限の量にする
灰色かび病の病原菌は低温多湿の環境を好むため、特に寒い時期の水の与えすぎには注意が必要です。
夏の暑い時期やハイビスカスの生育期以外は、それほど多くの水は必要ありません。株元に最小限の量を注ぐ程度に留めましょう。
風通しを良くして管理しよう
株全体の風通しを良くしておくことも大切です。
咲き終わった花や枯れた花はこまめに摘み取り、できるだけ湿気がこもらないように管理しましょう。また、空気の滞留しない明るく風通しの良い場所で育てることで、灰色かび病の予防につながります。
ハイビスカスが病気にかかった時におすすめの薬剤
ハイビスカスがかかりやすい病気について分かったところで、ここからは実際に病気にかかってしまった時に使用すると効果的な薬剤についてご紹介していきます。
住友化学園芸 殺菌剤 家庭園芸用カリグリーン
「
家庭園芸用カリグリーン」は、主にうどんこ病や灰色かび病などに優れた治療効果を示す粉末タイプの防除剤です。
カリウムイオンが病原菌の細胞に入り込み、細胞機能にダメージを与えて病斑を消滅させます。主成分の炭酸水素カリウムは、食品にも使用されており安心して使用することができます。効果には即効性があり、特に発病初期の散布が効果的です。
商品名 |
家庭園芸用カリグリーン |
容量 |
1.2g×10 |
価格 |
847円 |
対象の病気 |
うどんこ病・灰色かび病・さび病など |
備考 |
水溶性粉末タイプ |
住友化学園芸 殺虫殺菌剤 ベニカXファインスプレー
「
ベニカXファインスプレー」は、花や緑の様々な植物に使用できる園芸用の殺菌殺虫剤です。
主にうどんこ病や灰色かび病の治療に効果的で、事前に散布しておくことで病気の予防効果も期待できます。また、アブラムシやカイガラムシなど多くの害虫駆除にも高い即効性と持続性をもつ商品です。
商品名 |
ベニカXファインスプレー |
容量 |
1000ml |
価格 |
935円 |
対象の病気 |
うどんこ病・灰色かび病・黒星病など |
備考 |
液体スプレー剤 |
住友化学園芸 殺菌剤 STダコニール1000
「
STダコニール1000」は、草花や野菜、果樹など幅広い植物に使用できる園芸用の総合殺虫剤です。
主にかび類由来で起こる、うどんこ病や斑点病など広範囲の病気に優れた効果を発揮します。また耐光性、耐雨性があり、効果が長く続きます。皮膚や眼に対して刺激性があるため、使用の際は手袋や眼鏡の着用してください。
商品名 |
STダコニール1000 |
容量 |
30ml |
価格 |
990円 |
対象の病気 |
うどんこ病・斑点病・黒星病 |
備考 |
フロアブル剤 |
ハイビスカスは病気だけではなく害虫にも注意が必要!
最後にハイビスカスにつきやすい害虫について説明していきます。害虫に侵されると美観が損なわれるだけでなく、植物の健康状態に大きなダメージを与えることもあります。
ハイビスカスにつきやすい害虫①:ハダニ
ハダニはハイビスカスの葉の裏につき、繁殖しだすと一気に増えるため日頃の予防が大切です。
発生時期は3月から9月
ハダニの主な発生時期は
3月~9月で、梅雨明以降は特に多く見られます。
体長が0.3~0.5ミリ程と小さいうえに、葉の裏に寄生するため注意深く観察しないと見つけることができません。ハダニは大量発生しやすい害虫なので、定期的に薬剤を散布することをおすすめします。
葉が白く変色してしまう
葉の裏に付き汁を吸うため、最初は被害にあった部分に黄色や白の小斑点が出現します。
ハダニが増えてくると白い部分がカスリ状にまとまって、葉全体が白く変色してしまいます。被害が進行すると落葉してしまうため、葉に何となく異常を感じたら裏側をチェックしてみてください。
ハイビスカスにつきやすい害虫②:アブラムシ
アブラムシは、ハイビスカスの見た目を損なうだけでなく、株を弱らせたり病気の原因になったりする厄介な害虫です。
発生時期は4月から10月
アブラムシは、比較的穏やかな気候の
4月~10月頃に発生します。アブラムシは植物の汁を吸い、おしりから甘露と呼ばれる排泄物を出して茎や葉をベトベトにしてしまいます。
また、アブラムシの排泄物はすす病を誘発するため注意が必要です。
新芽やつぼみにつき、夏でも増える
アブラムシは最初は新芽やつぼみを中心に群がります。繁殖力が非常に高いので初期の段階で対処せずにほおっておくと、爆発的に数を増やしてしまいます。
極端な寒さや暑さは苦手ですが、夏の時期でも増えるので見つけ次第早めに駆除しましょう。
ハイビスカスにつきやすい害虫③:ハマキムシ
ハマキムシは成長スピードの速い蛾の幼虫で、ハイビスカスの葉っぱなどを食害して株を弱らせてしまいます。
発生時期は4月下旬から10月
ハマキムシは、主に
4月下旬~10月頃に発生し、7月~9月にピークを迎えます。この間に成長サイクルを4~5回繰り返し、数を増やしていくのが特徴です。またその名の通り、冬の時期には葉の中で寒さをしのぎます。
そのため暖かい地域では冬でも見かけることがあり、一年中対策が必要です。
幼虫が葉っぱや茎を食べる
ハマキムシの幼虫は、ハイビスカスの葉っぱや茎を食害します。また、葉を丸めてしまうことによって十分な光合成ができず、株が栄養不足になってしまいます。
被害が進行すると、花が正常に咲かなくなったり、最悪の場合は枯れてしまったりします。ハマキムシの成虫は夜行性なので、明るい時間に葉の状態や卵の有無を根気よく観察しましょう。
まとめ
ハイビスカスの病気について詳しく解説してきました。 本記事の内容は、
- ハイビスカスが病気になると、葉や茎が変色し見た目に悪影響を及ぼし、花がうまく咲かなくなるなど生育不良の問題が起こる
- すす病にかかり黒くなった部分は剪定して取り除いて進行を防ぎ、原因になる害虫対策も効果的
- うどんこ病のカビで白くなった部分は重曹スプレーで対処するか、症状がひどい場合は「ダコニール」などの薬剤を散布する
- 灰色かび病で腐ってしまった部分は早めに取り除き、風通しの良い場所で最小限の水やりをして管理する
- ハイビスカスのかかりやすい病気には「家庭園芸用カリグリーン」「ベニカXファインスプレー」「STダコニール1000」などの薬剤が効果的
- ハダニやアブラムシ、ハマキムシなどの害虫の被害を受けやすいので注意が必要
ガーデニング初心者でも育てやすい植物として人気のハイビスカスですが、様々な要因で病気にかかってしまうこともあります。早めの対処が大切ですが、病気にかからないように管理し予防することがハイビスカスを長く鮮やかに保つ一番の秘訣です。是非今回ご紹介した対処法や管理のポイントを参考にして、健康的で美しいハイビスカスを育てる参考にしてくださいね。
東京寿園では他にも植物に関するたくさんの記事をご用意しております。植物の育て方や気になることがあれば、是非参考にしてください。最後までお読みいただきありがとうございました。