目次
春の時期にピンクや白色の色鮮やかな花を一斉に咲かせるツツジ。日本原産の花木で育てやすく、古くから庭木や生垣の他に盆栽としても親しまれています。また街路樹や公園など公共の施設でも多く取り入れられているので、私たちの暮らしにとても身近な存在と言えますね。ツツジは一年を通して緑の艶やかな葉を茂らせ、花の時期にはお庭を明るく彩ってくれる魅力的な植物です。そんなツツジをもっと増やしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、正しい方法や管理の仕方が分からないとうまく増やせるか不安ですよね。 ツツジを増やすにはどのような方法があり、管理のポイントには何があるのでしょうか。 そこでこの記事では、
- ツツジとはどんな特徴を持った植物なのか
- ツツジは挿し木で増やせる?
- ツツジの挿し木の適期はいつ?
- ツツジの挿し木のやり方
- ツツジの挿し木で注意したいポイント
- ペットボトルを使った挿し木について
そもそもツツジってどんな植物?
挿し木について解説する前に、ツツジがどのような特徴を持った植物なのかを基本情報とともにご紹介していきます。ツツジの基本情報
ツツジは日本や中国など東アジア原産の、ツツジ科ツツジ属の常緑低木です。学名の「Rhododendron」はギリシャ語でバラを意味していますが、華やかな花姿が由来して付けられたもので実際には関連性はなく異なる植物です。耐寒性と耐暑性をあわせ持つため管理の手間も少なく、園芸初心者の方でも育てやすい植物になります。科名 属名 | ツツジ科・ツツジ属 |
---|---|
学名 | Rhododendron |
草丈 | 50㎝~2m |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
鮮やかなピンク色の花を咲かせる
ツツジは気温が15℃以上になる3月後半になると、鮮やかなピンク色の花が咲き始めます。4月中旬~5月中旬の見頃の期間は、木を覆いつくすほどたくさんの花を付け人々の目を惹きつけるほど見事です。品種によって花色はさまざまで、定番のピンク色の他にも白やオレンジ色など異なる雰囲気を楽しむことができます。プランターや花壇から盆栽まで幅広く育てられる
ツツジは種類によって違いがありますが草丈が50㎝から2m程度でお手入れがしやすく、プランターや花壇はもちろん盆栽としても育てられています。庭木としても非常に人気でよく見かけますが、街路樹や公園の生垣などさまざまな場所で幅広い用途で用いられている植物です。サツキとツツジは同じ仲間
ツツジによく似た植物にサツキがあります。どちらもツツジ科ツツジ属で同じ仲間になり、見分けが付かないという方も多いのではないでしょうか。サツキはつつじよりも開花時期が遅く、5~6月に花を咲かせます。咲き方に特徴があり、少しずつ時期をずらして1週間ほどかけて順次開花していきます。また花の大きさがつつじよりも小さいのも見分けるポイントです。北海道から中部地方まで広い地域に生息している
日本では北海道から中部地方にかけて生息しています。北海道では標高1,000~2,000m、本州では2,500~3,000mに主に自生しているのが確認されています。日本の四季に対応できるツツジは広い地域で栽培が可能です。ツツジは挿し木で増やすことができる
ツツジの特徴が分かったところで、ここからは挿し木について解説していきます。挿し木はツツジに限らず、一般的に植物を増やす際に多く取り入れられている手法です。挿し木は植物を増やす方法の一つ
植物の増やし方はいくつかありますが、挿し木は植物の一部を切り取り発根させて増やす方法です。種から増やすことが難しいハーブや観葉植物、多肉植物などに用いられています。また、植物によって切り取る部分が異なり「茎挿し」「茎伏せ」「根伏せ」も同じ手法になります。ツツジは挿し木で増やせる
ツツジは挿し木で比較的簡単に増やすことができます。もともと丈夫な性質を持っているので、適期を守って正しい方法で行えば失敗することも少ないでしょう。また剪定した枝を挿し木に活用できるので、是非積極的にチャレンジしてみてください。水差しでも同じように育てることができる
ツツジは水差しでも発根させることができます。土を使用しない水差しは衛生的で、成長の過程を観察しやすいのでおすすめです。また、室内でも栽培できて管理がしやすい点もメリットですね。効率よく発根させるには花後の新芽が向いています。ツツジの挿し木に適した時期はいつ?
植物を増やす際は、その植物に適した時期に行うことが重要なポイントです。ツツジの挿し木を成功させるために最適なタイミングについて知っておきましょう。挿し木に適した時期は6月から7月の期間
ツツジの挿し木は6月から7月の期間が適期になります。挿し木に使うために切り取った枝を「挿し穂」といいますが、湿度が高い時期は挿し穂が乾燥しにくいため根付きやすくなります。また、花後に伸びた勢いのある枝を使うことで発根を促進させることが可能です。秋や冬に挿し木をおこなうのは難しい
ツツジは花後に次々と芽吹き成長が活発になりますが、秋や冬など気温が低くなると休眠期に入ります。一般的に挿し木の発根には20~25℃程度が必要とされており、秋以降の挿し木はうまくいかないことがほとんどです。また休眠期の剪定は株にとって負担になるため、必ず適期に行いましょう。ツツジの挿し木のやり方と手順
ここからは、ツツジの挿し木のやり方と手順を具体的に解説していきますので参考にしてください。順調にいけば秋には発根してツツジの栽培をさらに楽しむことができますよ。新しく伸びた枝を選び、10~15cm程度に切る
ツツジの花後に新しく伸びた枝を見極めて、よく切れる清潔なハサミで10~15㎝程の長さで切り取ります。充実して堅くなった状態の良い枝を選ぶようにしましょう。挿し穂の切り口は斜めにカットしておくことで効率よく水を吸い上げることができます。葉を4~5枚残し、枝を1晩~半日程度水に浸ける
挿し穂に必要以上に葉がついていると蒸散によって水分不足になりやすいため、先端の葉を4~5枚残して他の葉は取り除きます。その後枝を1晩~半日程度水に浸けて十分に吸水させます。小粒の鹿沼土に挿して発根するまで水を切らさないように水を与える
育苗ポットなどに小粒の鹿沼土を入れ、土を水で濡らします。挿し穂を5㎝程の深さに植え、固定したらたっぷりの水を与えましょう。乾かないように水やりを続けて日陰で管理を続ければ1ヶ月程で発根します。ツツジの挿し木をするときに注意するポイント3選
ツツジの挿し木の基本的な方法や手順がお分かりいただけたと思います。ここではさらに挿し木を成功させるために、注意したいポイントを3つご紹介していきますので見ていきましょう。①挿し木の用土は清潔なものを使う
挿し木をする際の用土は、できるだけ新しく清潔なものを使うようにしましょう。使いまわした土は雑菌やカビが繁殖していることも少なくありません。不衛生な環境では発根が妨げられる可能性があるため注意が必要です。②挿し木後は風の当たらない日陰で乾燥しないように管理する
挿し木をした後は、風の当たらない明るい日陰で土が乾燥しないように管理します。新芽が確認できたら発根のサインになるので、そのタイミングで少しずつ日光にあてる時間を作ります。徐々に日当たりの時間を伸ばして日光にならしていきましょう。③発根促進剤を使う
より成功率を高めるために、挿し穂の切り口に発根促進剤を薄く塗ってから用土に挿します。植える際は薬剤が取れにくいようにあらかじめ用土に穴を開けておくと良いでしょう。発根促進剤は根の発生を早めたり、根付きを良くする効果が期待できるため一般的に挿し木などに多く用いられています。価格もお手頃で、一般的な園芸ショップやガーデニングショップで購入可能です。ペットボトルでも挿し木をすることができる
最後にペットボトルを使った挿し木についてご紹介します。ペットボトルでの挿し木は手軽に準備できて、苗の管理もしやすいため園芸初心者の方にもおすすめの方法です。ツツジの挿し木はペットボトルで簡単にできる
ツツジの挿し木はお家にあるペットボトルを使って簡単に行うことができます。ペットボトルの挿し木は場所を選ばず、日当たりや挿し木の状態に合わせて簡単に移動ができるのでとても便利です。また、透明なペットボトルは発根の確認が容易なため、植え替えのタイミングが分かりやすいメリットもあります。ある程度育ってきたら鉢上げをする
挿し木がしっかり発根したら、鉢上げを行ってより苗の成長を促します。ここではツツジの鉢上げの手順もご紹介していきますので参考にしてください。鉢上げとは、鉢に植え替えること
鉢上げとは、発根し成長した挿し木を鉢に植え替えることを言います。ペットボトルより大きい鉢に植え替えることで、根がさらに成長し苗を健全に大きく育てることができます。鉢上げ作業はタイミングを誤ると、植物に大きなダメージを与えてしまうため十分に発根してから行いましょう。鉢上げの手順
鉢上げの手順は以下の通りです。 ①苗の負担を軽くするために枝葉の間引きをする。 ②苗を掘り上げて太めの根は切り戻し、切り口に病害虫予防のための癒合剤を塗布する。 ③新しく清潔な用土を入れた鉢に苗を植え付け、たっぷりの水を与える。 ④風通しの良い明るい半日陰で水切れを起こさないように管理する。まとめ
ツツジの挿し木について詳しく解説してきました。 本記事の内容は、- 日本をや中国などの東アジア原産のツツジ科ツツジ属の常緑低木で、3月後半からピンクや白色の花が咲き始め、4月中旬~5月中旬に見ごろを迎える。
- 挿し木で増やすことが可能で、剪定の際に切り取った枝を活用できるので気軽に挑戦できる。
- 挿し木の適期は6月~7月の湿度や気温が高い時期で、秋や冬は難しいので避ける。
- 挿し木では10~15㎝に切り取った枝の切り口を斜めにカットし、葉を4~5枚だけ残したら1晩~半日水に浸ける。十分吸水した挿し穂を用土に植えて水を与える。
- 挿し穂の切り口に発根促進剤を塗布し、必ず新しい用土に植え付ける。植えた後は風の当たらない日陰で水切れしないように管理する。
- ペットボトルを使った挿し木は、場所の移動が簡単で根の状態も確認しやすいなどのメリットがある。