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秋から春までの長期間に渡ってたくさんの花を咲かせるパンジー。緑の少ない冬の時期もお庭を明るく彩り、ガーデニングでも人気の植物です。丈夫で育てやすい性質のパンジーですが、花をより長く楽しむには切り戻しの作業が必要になってきます。しかし、いざ切り戻しをしようと思っても、やり方が分からないという人も多いのではないでしょうか。適期や正しい方法が分からないとうまくできるか不安ですよね。 パンジーの切り戻しは、いつどのような方法で行うと良いのでしょうか。 そこでこの記事では、
- パンジーとはどんな花?
- 切り戻しの効果
- パンジーの切り戻しの適期やタイミング
- パンジーの切り戻しのやり方
- パンジーの切り戻しのコツや注意点
- 切り戻し後は挿し芽に挑戦
パンジーとはどんな花?
最初にパンジーとはどのような特徴を持った植物なのか、基本情報とともにご紹介していきます。パンジーの基本情報
パンジーは、ヨーロッパ原産のスミレ科スミレ属の一年草です。開花時期は10月下旬~5月中旬と長く、花の少ない冬の時期も元気に花を咲かせます。品種によって花色もさまざまで、代表的な白やピンク紫の他に個性的な茶や黒などもあり、異なる雰囲気を楽しむことができます。基本的に耐寒性が強く、園芸初心者でも栽培しやすい植物です。パンジーの花言葉は「もの思い」「私を思って」
植物にはその見た目や性質の特徴から花言葉が付けられていますが、パンジーは「もの思い」や「私を思って」という花言葉を持っています。これは、パンジーの花姿が少しうつむいて物思いにふけっているように見えることが由来してると言われています。切り戻しとは?その効果は?
パンジーの特徴が分かったところで、ここからは切り戻しやその効果について解説していきます。切り戻しは剪定方法の1つ
切り戻しは咲き終わった花を再び咲かせるために行う剪定です。作業自体は簡単で、芽や葉の少し上の位置をハサミなどで切除するだけです。基本的に枝が伸びて株のバランスが崩れてきた時や、花の時期が終わり少なくなってきたタイミングで切り戻しを行います。1ヵ月ほどでまた新しいわき芽が伸びてたくさんの花を楽しむことができます。切り戻しの3つの効果
切り戻しによって期待できる効果について見ていきましょう。風通しを良くしてカビや病害虫の発生を予防する
葉や枝が密になると湿気がこもり、カビや病害虫が発生しやすくなります。お手入れせずにいつまでも放っておくと、株が弱り生育に悪影響を及ぼします。定期的に切り戻しをすることで、株全体の風通しが良くなり病気などの被害を抑えることに効果的です。新しく咲く花に栄養を与える
咲き終わった花や不要な枝を残しておくと、植物のエネルギーが無駄に消費されてしまいます。適切なタイミングで切り戻しを行って、新しく成長する部分にしっかりと栄養を届けることが植物の健康につながります。花全体の見栄えが良くなる
植物を育てていると、一部の枝が伸びて樹形が不格好になってきます。特にパンジーのように花の時期が長い植物の場合は、こまめに切り戻しを行うことで花全体の見栄えを保つことができます。摘心との違い
「切り戻し」と間違われやすい剪定方法に「摘心」があります。ここでは両者の違いについて解説していきます。摘心は茎の先端を切る
摘心は、茎の先端近くのわき芽が出る位置から上の部分を切り取る作業です。まだ苗が小さいうちに摘心を繰り返し、わき芽の成長を促す目的で行う剪定方法になります。切り戻しは株の途中で全体的に切って整える
切り戻しは、主に花の生育期に伸びすぎた枝や茎を切り取ります。部分的に切るというよりは、全体的に切って株を整え見栄えを良くします。また花の時期が長い植物は、花が終わったら切り戻しすることで再度たくさんの花を咲かせることが可能です。摘心によって脇目を育てることができる
摘心を行うと、その場所から茎が分かれて2本になります。さらに作業を重ねるとわき芽が増えて枝葉にボリュームを出すことが可能です。主軸の成長を止めることで横方向に伸びる分枝の成長が促進され、より健康的で見た目にも美しい植物を育てることができます。何月からいつまで?パンジーの切り戻しを行う時期やタイミング
パンジーの花を長く楽しむためにも、正しい時期に切り戻しを行うことが大切です。いつまでに切り戻しをすると良いのか、目安となるポイントをまとめました。基本的に冬と春に行う
パンジーは夏の暑さに弱いため、切り戻しは冬と春の時期に行うのがベストです。冬は花がらが目立ち始めた頃に
10月の下旬ごろから咲いた花が、冬になって徐々に枯れていきます。花がら摘みでは間に合わず、株に花がらが目立ち始めたら切り戻しのタイミングです。春は茎が伸びすぎていたり、花数が減ってきた頃に
春の時期の切り戻しは、伸びすぎた茎が気になったり花数が減ってきたと感じたら行ってください。長くなった茎の他にも、葉が茂りすぎている場所があれば重点的に行います。遅くとも4月までに!5月や6月以降は避けるべき
パンジーの切り戻しはできるだけ涼しい時期に、遅くとも4月までには終えましょう。5月や6月以降は気温や湿度が高く、失敗してしまう可能性があるため注意が必要です。枯れたり痛んでいたりしたら行う
基本的に夏の時期は避けますが、花や葉が枯れたり傷んでいたりしたら切り戻しを行います。放置してしまうと株が弱る原因となるため、その都度部分的に取り除きましょう。ただし、大がかりな切り戻しの場合は、2~3週間ほど期間を開けて行ってください。パンジーの切り戻しのやり方
パンジーの切り戻しの適期やタイミングについて分かったところで、ここからは実際のやり方について具体的に解説していきます。パンジーと似ているビオラの切り戻しも同じ
パンジーと同じく冬のガーデニングに欠かせない植物にビオラがあります。両者は非常によく似た性質をもっており、育て方や切り戻しのやり方もほぼ同じです。適切なお手入れ方法で管理すれば、どちらも6月ごろまで開花を楽しむことができます。地面から3節目のすぐ上あたりで切る
パンジーやビオラを切り戻す際は、地面から数えて3節目のすぐ上のあたりをカットします。節とは茎から複数の葉が生える付け根のことを指します。切る場所を間違えると新しい芽が出ず、次の開花に繋がらないので注意が必要です。全体が徒長している場合、草丈が1/2〜1/3になるように切る
株全体が徒長して見栄えが悪い場合は、草丈が1/2~1/3になるくらい思い切って切り戻します。特に冬の切り戻しは短めにカットすることで、わき芽が良く伸びて花付きも良くなります。枯れた茎や花があれば一緒に摘み取っておきましょう。パンジーの切り戻しのコツや注意点
ここでは、パンジーの切り戻しを行う際に気を付けるべき注意点について解説していきます。気温の高い日や夏に行わない
先にもお話しした通り、パンジーは暑さに弱い植物です。植物にとって負担の大きい切り戻し作業が高温が重なると、ダメージが強く回復が難しくなってしまいます。パンジーの切り戻しは、夏以外の時期でも気温が高い日には避けるようにしましょう。清潔なハサミを使用する
切り戻し作業には、必ず清潔なハサミを使用しましょう。汚れたハサミには病原菌やカビ、ウィルスが付着している可能性があります。これらが切り口から侵入すると、パンジーが病気にかかるリスクが高まります。剪定バサミは、使用後はもちろん使用前にも一度水洗いすることをおすすめします。切る位置に注意する
「やり方」で説明した通り、パンジーの切り戻しは地面から数えて3節目のすぐ上あたりでカットします。間違った位置で切ると、最悪の場合新しい芽が出なくなり花が減ってしまいます。また、芽が出てもスムーズに育たず、再び花が咲くまでに時間がかかってしまうこともあるため注意が必要です。パンジーの切り戻し後の育て方
パンジーを切り戻した後は、株が早く回復できるように管理することが大切です。春から肥料を与え、水やりを増やす
秋から花を咲かせてきた株は、春の切り戻しの頃には勢いが弱くなっていることがあります。再びたくさんの花を咲かせるために、春から肥料を与えましょう。また同時に水やりの頻度も増やして成長を促します。もう一度切り戻しをするなら最低3週間はあける
切り戻し後、パンジーは新たな芽を伸ばすためにエネルギーを使います。十分に栄養を吸収し、回復するまでに3週間ほどの期間が必要です。適切な成長バランスが保たれ、より健康的に育てるためにも切り戻しの間隔は最低でも3週間はあけるようにしましょう。パンジーの切り戻しに関してよくある質問
パンジーの切り戻しに関連したよくある質問についてご紹介していきます。切り戻しの後に花が咲かない。これは失敗?
パンジーを切り戻しした後、株の状態によってはうまく花が咲かないことがあります。単純に株が疲れている可能性が高い
長い期間にわたって花を咲かせる植物は、その分多くのエネルギーを必要とします。そのため、パンジーを切り戻した後に思うように花が咲かない時は、失敗ではなく単純に株が疲れている可能性が高いです。また、12月~2月の低温期は花が少なくなる傾向があるので、それほど心配はいりません。肥料切れを起こさないことが大切
長く栽培していくうえで、肥料切れを起こすと株が疲れやすく成長に悪影響が出ることがあります。切り戻し後に上手く花が咲かないのも、養分が不足している可能性が考えられます。特にパンジーの開花時期には、花用の液体肥料などを与えて様子を見ることをおすすめします。ペチュニアの切り戻し時期はパンジーと同じ?
パンジーやビオラと一緒に寄せ植えなどに用いられる植物にペチュニアがあります。ここでは、ペチュニアの切り戻しについて少しお話ししますのでお手入れの参考にしてください。ペチュニアは暑さに強い
ペチュニアは丈夫で暑さに強い性質を持っており、春から秋にかけてが開花時期です。春に苗を植え付けると、梅雨前には満開になります。一般的にはここで切り戻しを行って、秋まで開花を楽しみます。3月下旬〜9月がおすすめ
ペチュニアの切り戻しは、基本的に3月下旬~9月がおすすめです。この期間中に2回行うとたくさんの花を咲かせることができます。1回目は梅雨入り前に、株が蒸れるのを防ぐ目的も兼ねて行います。また2回目は夏の満開後に行うと、秋にもう一度開花を迎えることができますよ。パンジーの種をまく時期は?
パンジーを育てるには、種まきと苗植えの方法があります。それぞれの適期やポイントを見ていきましょう。種まきは10月〜11月
パンジーの種まきは10月~11月が最適です。うまく育てる最大のポイントは温度管理で、発芽や生育の温度が20℃以下であることが絶対条件です。ポットやプランターに種まき用土などを入れて、種が重ならないようにまきましょう。年内に花は咲きませんが、早春から開花し3月ごろにはたくさん花が楽しめるでしょう。苗を植えるなら12月までOK
苗を植える場合は10月中旬~11月下旬が一般的です。植え付けの目安は最低気温が10℃以下になるころで、本格的な寒さが来る前に済ませるようにします。品種によって多少異なりますが、寒冷地でなければ12月までに植え付ければ問題なく育ちます。切り戻し後は挿し芽に挑戦しよう
パンジーを切り戻した後の茎は、挿し芽として使用することができます。比較的簡単な作業で増やすことができるので、是非挑戦してみてください。切り戻しした茎葉を活用する
伸びすぎて切り戻しした場合の健康な茎葉は、挿し芽に活用することで株を増やすことができます。傷んだ茎や徒長しすぎた茎はうまく育たないので、切り戻しの際はなるべく状態の良い茎を選ぶと良いでしょう。違う土に植えて発根させる
切り取った茎は最初に余分な下葉や花を少し取り除きます。余裕があれば、茎を1時間ほど水に浸けておくとその後の生育が順調に進み発根しやすくなります。ポットやプランターなどに土を用意したら、茎を挿して日当たりと風通しの良い場所に置きましょう。たっぷりの水を与えて管理を続けると、1ヵ月ほどで再び花を咲かせてくれますよ。パンジーの切り戻しまとめ
パンジーの切り戻しについて詳しく解説してきました。 本記事の内容は、- ヨーロッパ原産のスミレ科スミレ属の一年草で、開花時期は10月下旬~5月中旬と長い
- 切り戻しをすることで、株をカビや病害虫の被害から守り、新しい花に栄養を効率的に届けることができる
- 冬の切り戻しは花がらが目立ち始めたタイミングで、春の時期は4月までを目安に茎が伸びすぎたり花数が減ったりしたら行う
- 基本的には地面から数えて3節目のすぐ上のあたりを切り、株全体が徒長している場合は草丈1/2~1/3くらいまで切り戻すと良い
- 5月以降の気温の高い時期は避けることと、清潔なハサミを使って正しい位置で切ることに注意する
- 切り戻しの間隔は株の十分な回復を待ち、最低でも3週間はあけるように気を付ける
- 切り取った茎を活用して、挿し芽に挑戦するのもおすすめ