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育てやすさが人気のパキラですが、お家にやって来てから数年の経過で、思いよらないほど巨大化してしまうことがあります。天井に付く位に大きくなってしまって、お困りになった方もおられるのではないでしょうか?剪定の必要に迫られながらも、大きいパキラを切るのが惜しくて、或いはどこから手をつけていいのやら分からなくて、ズルズル放置してしまい、益々デカくなってしまったなんてこともよく聞く話です。そこでこの記事では、
- 巨大化したパキラの剪定方法
- 剪定の目的
- 剪定の種類
- 美しく剪定するためのコツ
- 剪定の基準・目安
- どこまで剪定していいか
- 剪定の道具・手順
- 剪定後の枝葉の活用方法
についてまとめました。大型パキラを剪定して、スッキリとした美しい樹形を取り戻すとともに、末長くパキラと付き合っていくためのコツを学びましょう。
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パキラが巨大化するってどういうこと?
パキラの巨大化とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか?地上に見えるパキラは、木質化(植物の細胞壁にリグニンが沈着して、組織が堅くなること)した幹の部分と緑の枝葉の部分で構成されていますが、そのどちらもが成長して大きくなった現象がここでいうパキラの巨大化です。葉が足のサイズより大きい30㎝、樹高が2m越え、そんな風に大きくなったら、威圧感も相当なもの、お世辞にも可愛いとは呼べなくなってしまいますよね。パキラは成長スピードが早い観葉植物
パキラは1年で50〜70㎝伸びると言われているほど成長スピードが早い観葉植物です。それもそのはず、自生地では最大で15mまで伸びる大型の植物で、日本のご自宅での生育でも、数年で2mほどまで大きくなります。また夏場などの成長期においては、新芽もどんどん芽吹いていきますので、気づけばびっしりと葉が生い茂ることにも。この旺盛な繁殖力こそ、初心者の方でも育てやすい人気の所以でもありますが、放っておくと天井を突き破らんばかりに育ちますので、定期的なケアが必要になります。巨大化したパキラのケアの方法や育て方のコツを紹介
巨大化したパキラのケアの方法や育て方のコツをご紹介いたします。コンパクトかつ美しいパキラに仕立てるには、いくつか注意すべきポイントがありますので、焦らずひとつずつポイントを抑えていきましょう。巨大化したパキラは剪定する
巨大化してしてしまったパキラは放っておくと、室内での生育が困難になってしまいます。必要以上の巨大化を防ぐには、思い切った剪定が効果的です。とはいえ園芸初心者の方は、剪定に対して苦手意識をもったり、必要以上に慎重になってしまいがちです。正しい剪定方法を学べば、そういった先入観も自然と払拭できますよ。
どうして剪定しないといけないのか
パキラの剪定の目的には、外見上の理由と生育上の理由の2点があります。生い茂った枝葉を間引くことで、美しさとともにパキラの健康を正常に維持することもできますので、積極的な剪定を心がけるようにしましょう。全体的なバランスが崩れる
枝がヒョロヒョロと伸びてしまったパキラ、よく見かけませんか?これは徒長と呼ばれる現象で、こういった部分が全体のシルエットを崩す主な要因となっています。また、横に広がりすぎてしまっても不恰好ですよね。場合によっては木の幹の部分が複数枝分かれして、鑑賞者におどろおどろしい奇怪な印象を与えてしまうこともあります。葉が密集して光が届かない
過度な葉の密集は、植物の成長に欠かせない光合成の働きを阻害してしまう原因となります。というのも葉が多すぎるとそれだけ影が多く出来ますから、光の当たり具合にムラができ、結果成長のムラにもつながります。とくに、パキラの枝を太く育てたい方は、枝にも光を当てる必要がありますので、不要な枝葉の間引きは必須となりますよ。パキラの剪定方法は2つ
剪定の目的や成長の進捗具合により、剪定方法は2種類に大別できます。それぞれの剪定方法の利点や方法を学び、シュチュエーションごとに適宜使い分けるようにしましょう。でかいなと思った葉や枝を切る切り戻し
伸びすぎた枝葉を切って短く切りそろえ、株のサイズを小さくする剪定方法です。切り戻しをする目的は、全体のシルエットの調整と植物の正常な成長を促すことです。外の葉を刈り込むことは内側の葉や幹にも光を当てることになりますので、植物をより生き生きとバランスよく育てることにつながります。幹ごとカットする丸坊主
でかいパキラを大元の幹からカットする剪定方法です。丸坊主にするおもな目的は、育ち過ぎた樹形を一度リセットし、好みの形に仕立て直すことです。また、パキラ全体が弱々しくなってしまったり、病害虫に冒されて手に負えなくなってしまった場合でも丸坊主は有効です。幹だけの状態から再び元気な葉を生い茂らせることも可能ですよ。パキラの剪定後をイメージする
剪定の失敗のリスクを減らすためには事前に完成形をイメージすることが大切です。パキラを俯瞰で眺めて、どこを刈り込めばいいか、次に伸ばしたいポイントはどこなのか、大雑把に把握しておくといいでしょう。余白や間を意識するとカッコよく仕上がりますよ。ポイント①:どこが巨大化しているのか
成長が進みすぎてる箇所に気を配りましょう。全体を眺め回し、葉が巨大化してないか、枝が間延びしてないかを確認します。ポイント②:葉が密集しているところはないか
葉が上下で重なり密になった箇所は、上の葉が下の葉に対して影を作り、光合成を阻害する要因になります。こういった密な部分こそ、積極的な剪定ポイントです。不要な枝葉を間引いて植物の生育をサポートしましょう。巨大化してるパキラのどこを切ればいいのか
巨大化したパキラはどこを切ればいいのでしょう?切っていい限界点はあるのか、何を目印にしたらいいのか、目安が分からないといった疑問にお答えします。結論:成長点がポイントです!
ズバリ、成長点が剪定のポイントです。成長点とは、幹や枝の表面にある節のポコっと出っ張っている部分の事です。この成長点は、植物の細胞分裂を頻繁に行なっている部分にあたります。成長点を活かすか殺すかで、その後の生育のスピードや繁殖規模をコントロールできるので、剪定の際には一番気を遣うポイントとなります。成長点といってもパターンは2つある
どの程度成長点を切り詰めるかによって、その後の生育のスピードに差が出ます。事前に現在のパキラの生育具合を把握し、剪定後のパキラをどのように育てたいか、どこを伸ばしていきたいか、イメージを膨らませてください。そうすることで、自然と成長点の切り方が決まってくるはずです。成長点の上で切る場合
成長点の2㎝くらい上を切った場合、その節から生える枝葉は新芽が付きやすく生育が活発になるといわれています。今後大きく伸ばしたい箇所は、成長点の上でカットするようにしましょう。ただし、成長点ばかり残してしまうと、再び巨大化する可能性大ですし、代わり映えしない樹形になりがちです。成長点の下で切る場合
成長点の下を切り、成長点を残さず剪定した場合、同じ場所から枝が伸びづらくなります。爆発的な生命力があるパキラの場合、ある程度成長点を間引いて、生育をコントロールする必要があります。成長点を残すべき箇所と、カットする場所の見極めをすることで、全体の樹形を美しく保つことができますよ。大型化したパキラの剪定にベストな時期と方法
巨大化したパキラはいつ、どのような方法で剪定をすればいいのでしょうか?剪定の適期と方法について学び、実践的な剪定方法を身につけましょう。剪定時期は5月~7月
剪定に相応しい時期は、パキラの成長期にあたる5月〜7月がベストだといわれています。この時期に既存の大きくなりすぎた枝葉や古い葉を剪定し、今後の植物の展開を、新芽や若葉に切り替えてあげると良いでしょう。反対にパキラの成長が止まってしまう冬の休眠期の剪定は控えるようにしましょう。というのもこの時期に剪定してしまうとパキラの再生まで時間がかかります。それが原因で枯れてしまうことはありませんが、葉の少ない裸のパキラを長い期間見続けるのは、精神衛生上よろしくありませんし、パキラへの興味を削いでしまう要因にもなります。巨大パキラを切り戻す方法
伸びすぎてしまったパキラの枝葉を切り戻し、イメージの樹形に近づけましょう。今後展開させたい枝葉だけを残して、不要な部分はどんどんカットする潔さが大事です。切り戻しに必要なもの
- 剪定ばさみ
- 手袋
- 癒合剤(切り口の傷の治りが早くなる薬剤)
- アルコール消毒液
- ティッシュ
切り戻しの手順
- 完成形をイメージする(絵に描く、写真を参考にする)
- 剪定ばさみをアルコール消毒液で消毒する
- 間延びした上に伸びる枝(徒長)を切る
- 枯れている枝葉は生え際から切り落とす
- 絡み合っている枝葉を間引く
- 俯瞰で見渡し、イメージにそぐわない部分はカット、全体を調和させる
- 切り口から出る樹液をティッシュで拭き取る(害虫予防)
- しっかり乾燥させてから癒合剤を塗る
巨大パキラを丸坊主にする方法
巨大化してしまったパキラを丸坊主にして樹形をリセットします。枝を切り落とすだけでなく、木質化した幹の部分も剪定することができます。今回は巨大化したパキラを想定していますから、次回育った時にでかいサイズにしない為に、成長点をある程度間引くことをおすすめします。また、樹高や枝分かれした幹を整えたい場合は、ノコギリを使って剪定しましょう。丸坊主に必要なもの
- 剪定ばさみ
- 手袋
- 癒合剤
- アルコール消毒液
- ティッシュ
- ノコギリ
丸坊主にする手順
- 剪定ばさみ、ノコギリをアルコール消毒をする
- 残すべき成長点を見極めて、全ての枝を切り落とす
- 木質化した幹を切る場合は、ノコギリを使って切る
- 切り口から出た樹液をティッシュで拭き取る
- しっかり乾燥させてから癒合液を塗る
剪定した枝や葉を挿し木にしてパキラを増やす
剪定した枝葉は挿し木という作業で新たに別の株元として育てることができます。こうして増やしたパキラは大切な人へのプレゼントとしても最適ですよ。剪定した枝葉を有効利用できる【挿し木】を知ってますか?
挿し木とは、増やしたい植物の一部を切り取って発毛(切り口から根を生やさせること)させ別の株として増やす方法のことです。挿し木が成功すると、最終的には市販されているパキラのように、木質化した幹を形成することもできますよ。剪定した枝葉を挿し木にする方法
剪定した枝を挿し木にしていきましょう。時間と手間がかかる作業ですので、根気よく付き合うことが大事です。そのかわり成功した時の喜びは何ものにも変え難く、癖になるほどです。挿し木に必要なもの
- 元の鉢
- 剪定ばさみ
- 3号くらいの鉢
- 挿し木用の土(赤玉土など、無菌で栄養分のない土)
- コップ
- 割り箸
- 発根促進剤
- 培養土(肥料成分の含まれた、水はけの良いもの)
挿し木の手順
- 挿し穂にする元気な枝を選ぶ
- 挿し穂にする枝を10〜20㎝の長さに剪定する
- 給水効率を良くする目的で切り口を斜めにカット
- 葉は2、3枚残し、あとは取り除く(不要な蒸散を防ぐ)*葉から水分が蒸発すること
- コップに水を入れる(発根促進剤を適量入れる)
- 挿し穂の切り口を1時間くらいコップの水につける
- 鉢に挿し木用の土を入れて、水で湿らせる
- 挿し穂をさす真ん中の位置を想定し、土に割りばしで穴をあける
- 枝に残った成長点の節を1、2個土に埋めるようにして挿し穂をさす
- 再度水やりをして、土と挿し穂を密着させる
- 2週間ほど発根を待つ
- 発根した挿し穂を培養土に植え替える
- たっぷり水やりをして、日当たりのいい場所で管理する
巨大化したパキラに関するよくある質問
巨大化したパキラに関する疑問にQ&A形式でお答えします。Q. 徒長したパキラは切り戻しと丸坊主のどちらがいいんですか?
A,基本的には切り戻しをお勧めします。徒長した部分を剪定し、全体を整えるようにバランスよく間引いてあげるだけで、じゅうぶん可愛いパキラに仕立てることができますよ。しかし、数年育ててきて、全体的に間延びし、植物も弱っているようでしたら、一度リセットする意味で丸坊主にしてあげるのもいいかもしれません。その際は冬の休眠期までには葉っぱを育てておきたいので、遅くとも9月ごろまでには剪定を終えるようにしてくださいね。Q. 枝は長くないので、パキラの葉はそのままでもいいですか?
A,徒長していなくても、パキラの葉はこまめに剪定してあげるといいと思います。自然状態に任せておいてもいずれ淘汰され、葉が変色し枯れるだけですので楽しくないと思います。小まめに面倒を見てあげることが観葉植物を育てる一番の楽しみかと。あとは、どういう見た目のパキラに仕立てたいか、まずは自分でイメージすることが大事です。インテリアとして重宝したいのであれば、可愛くしたいですよね。可愛くするためにはある程度間引いてあげる必要があるかと思います。それに葉が多いと無駄に蒸散されますから、全体的に元気のないパキラになりがちです。また、密集した葉は病害虫の温床となるリスクもありますから、適度に剪定して風通しを良くすることも大事ですね。Q. パキラの古い葉が新芽を邪魔しています。別に大きくはないですが、切ったほうがいいですか?
A,パキラは成長速度のはやい、繁殖が旺盛な植物です。仮に肥料をあげなくとも、成長期であればどんどん新芽が吹いてきます。冬の休眠期を除けば、新芽が芽吹いてから約2〜4週間で緑の葉っぱへと成長していきますから、今ある古い葉は定期的に切り取ってあげるといいと思います。刈り込みすぎて失敗したなと思っても、またすぐに成長しますから、そんなに神経質になる必要はないですよ。【巨大化】パキラが巨大化したときの対処法とその後のケアについて一挙解説のまとめ
ここまで巨大化したパキラの剪定方法についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?今回の記事で取り上げたポイントは- 樹高が高く葉っぱが生い茂ってしまった巨大パキラは剪定してサイズダウンを図る
- 剪定の際に気をつけるポイントは成長点
- 成長点を残すか切り取るかで、成長のスピードや繁殖規模をコントロールできる
- 剪定で葉の蜜な繁りを解消することは、光合成の働きを促すことや風通しを良くする意味でも重要
- 大規模な剪定の時期は休眠期を避け、夏場の成長期を目指して行う
- 剪定した枝葉は、挿し木として苗を増やせる
- 生命力が強く成長スピードがはやいパキラの剪定はデリケートになる必要がない