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テーブルヤシは、その名の通りコンパクトなサイズを保ちやすい、生育速度の穏やかな観葉植物です。また、「あなたを見守る」というやさしい花言葉、下向きに細長く伸びる涼やかな葉の雰囲気など、テーブルヤシの放つ魅力は、ストレスを抱えがちな現代の暮らしに彩りを与え、活力とリラックス効果を醸しだすことができるでしょう。こういった穏やかなテーブルヤシの性質ゆえ、世間一般では伸びた枝や葉の剪定は必要ないと言われています。ただし、これは他の植物と比較した場合、相対的に剪定の頻度が低いという意味で、何も投げっぱなしにして良いというわけではありません。では、どのようなタイミングで、どのような剪定を施してあげれば、テーブルヤシはすくすくと元気に育つことができるのでしょうか? そこでこの記事では、
- なぜテーブルヤシの剪定が必要なのか?
- 他の植物と異なるテーブルヤシの剪定方法
- 基本的なテーブルヤシの育て方
- テーブルヤシの株の増やし方
- 害虫対策など、生育上気をつけるべきポイント
についてまとめました。観葉植物にとって欠くべからざる行為=剪定。果たしてテーブルヤシの場合どのような剪定を行えば良いのか、この記事を通じて学んでいきましょう!!
テーブルヤシにも剪定が必要なのか
あくまで剪定が必要という立場から、テーブルヤシの剪定の是非についてこれから見ていこうと思います。どのような理由からどんな剪定が必要なのか、一つずつポイントを押さえていきましょう。結論:テーブルヤシにも剪定が必要です!
まず結論から言いましょう。テーブルヤシは剪定が必要な観葉植物です。残念ながらネットなどで流布されている、テーブルヤシは剪定の必要がないという生育法は誤りですよ。テーブルヤシも生き物ですから、適度な新陳代謝が必要で、古い枝葉は定期的に落とし、新芽の展開に切り替えてあげる必要があります。テーブルヤシは根っこが早く伸びる観葉植物です
地上から先の枝葉の生育は穏やかですが、その反面、地下で伸ばす根の張りには旺盛な特徴があります。テーブルヤシを育て始めて2年も経てば、鉢の底までびっしりと根が絡まっているような状態、いわゆる根詰まりを起こすこともしばしばです。こういった状態になると植え替えをしなければいけませんが、その際テーブルヤシは複数の根株に分散して育てること(株分け)もできます。この株分けに関しては後に触れることにします。ただし、他の観葉植物とは剪定方法が違います!
テーブルヤシは他の観葉植物と剪定方法が違うため、闇雲に切ってしまうとその後の生育にトラブルが生じることがあります。どういった点に気をつければ良いのか詳しい剪定方法を見ていきましょう。特殊な選定方法やその後のケアまで紹介します
テーブルヤシの剪定方法と、基本的な生育方法、注意しなければならないポイントについてまとめていきます。ぜひ最後までご覧ください。テーブルヤシの剪定がどうして特殊なのか
テーブルヤシは他の植物と新芽の付き方が異なるため、剪定方法が異なってきます。具体的にどんな風に剪定を施せば良いのかみていきましょう。ヤシ科の観葉植物は茎から剪定してはいけない
観葉植物の多くは、葉や茎が伸びてきたら、形や密度を整えるために剪定を行うのが通常の流れです。特に夏場の生育期前後は、テーブルヤシも緩やかではありますが成長します。葉が茂り、茎が伸びて見栄えの悪くなったテーブルヤシも、いつもの流れで剪定を行いたくなるものですが、ヤシ科のテーブルヤシは切った茎から新しい葉(新芽)が出てこないという性質があるので、基本的には茎を切るのは控えなければなりません。誤って間違えた場所を剪定すると枯れる可能性がある
新芽のつき方が異なるということは、間違った部分を剪定すると新芽がつかなくなり、最終的にテーブルヤシが枯れてしまう原因となります。テーブルヤシの剪定時期やタイミング
比較的生育が穏やかであるテーブルヤシですが、剪定時期は他の植物と異なるのでしょうか?詳しくみていきましょう。テーブルヤシの剪定は生育期の5月~10月に行う
テーブルヤシの剪定は、生育期にあたる5月〜10月の暖かい時期に行うのがおすすめです。樹形のボリュームを調整してバランスを整えたい場合は、剪定よりも株分けの方が適しています。テーブルヤシの剪定は葉が茂ってきたら行う
葉の茂りは風通しを悪くして病害虫の発生の原因となりますので、密になった葉を適度に間引いて風通しを良くしてあげます。間引く葉は、成長しきった外の古い葉から優先的に落とし、内側に芽吹いてきた新芽の展開に切り替えてあげましょう。テーブルヤシの剪定の方法
実際の剪定方法について詳しく見ていきましょう。他の植物の剪定手順とは若干異なるので注意が必要です。テーブルヤシの剪定に必要なもの
- 剪定ばさみ
- 手袋
- アルコール消毒液
テーブルヤシの剪定の手順
- 剪定ばさみをアルコール消毒する
- 葉焼けして茶色くなった葉先を切り落とす
- 葉焼けしていない葉先も剪定して形を揃えてあげる
- 成長点に気をつけて、外葉や枝下にある古い葉を剪定する
- 成長が終わり、他の枝葉に栄養を分けてあげたいような茎があれば、成長点を気にせず茎ごとカットする。
テーブルヤシの剪定の注意点
テーブルヤシは切るべき場所が他の観葉植物と異なるため注意が必要です。剪定する部位は以下の通りとなります。テーブルヤシの葉だけを剪定するようにする
テーブルヤシの場合、新芽をつけるのは葉の内側、茎と茎の境目からになります。誤って茎をカットしてしまうと、その下から新芽を付けることができなくなるので、基本的には葉だけ、それも古い葉の剪定に限定するようにします。また葉の厚みが薄いテーブルヤシは、日光による葉焼けを起こしやすいので、焼けてしまった葉先を落とし、緑の部分を残してカットします。その際、隣に並ぶ他の焼けていない葉先も揃えてカットしてあげると見映えが良くなりますよ。あとは病害虫に喰われて手の施しようがなくなった葉も落としてあげると良いと思います。切る場所は生長点の上側!
植物の細胞分裂が頻繁に行われる器官である成長点。他の植物は成長点を落としても生育ペースが落ちるだけですみますが、テーブルヤシの場合、成長点より下を切ると再び成長点が出てくることはありません。つまり新芽が付かなくなってしまうのです。全体的に葉や茎が古くなり、他の元気な枝に栄養を分けてあげたい場合は、茎ごとカットしてしまうのも有効ですが、まだ元気な茎は成長点より下を切るのはやめましょう。要するにテーブルヤシの生育状況を見極めて、ケースバイケースな剪定を心掛けることがポイントとなります。テーブルヤシ剪定後の育て方
剪定後も含めて、テーブルヤシの基本的な生育方法についてみていきましょう。他の植物とは育て方のポイントが異なる場合もあるので、園芸に慣れた方の目にも触れていただけたら幸いです。置く場所は室内と屋外で異なる
室内で育てるケース、屋外で育てるケース、双方ともに気候や環境に合わせた相応しい場所がありますが、共通しているのは直射日光を避けることです。室内での置き場所
葉っぱの厚みが薄いテーブルヤシは、他の観葉植物より日当たりにシビアにならないといけません。定番の半日影のカーテン越しが悪い訳ではありませんが、日差しの強さによっては葉焼けを起こしてしまったり、葉の色が薄く変色してしまうケースがしばしば見られるようです。テーブルヤシは耐陰性に優れていますので、直接日が当たる窓辺よりかは、窓辺から距離を離した棚やテーブルに並べてあげるのがベストです。日差しの弱くなった冬場においても、窓辺は冷気が忍び込みやすいので注意が必要です。また、エアコンの風が直接当たる場所は乾燥を招きますので避けましょう。屋外での置き場所
屋外においても直射日光が天敵となります。屋外で管理する場合、完全に葉焼けを防ぐためには日陰に置くだけでは不十分です。遮光ネットや寒冷紗(かんれいしゃ)を用いて日除けするのがマストとなります。また、気温が10℃以下になる晩秋ごろには、あたたかい室内での育成に切り替えてあげましょう。水やりは時期によって与える量が違う
お水やりは時期によって与える頻度と量が異なってきます。水やりと同時に葉水(霧吹きで葉の水分を補ってあげること)も重要です。春・夏の水やり方法
テーブルヤシの成育期にあたる温暖な気候下での水やりは、土の表面が乾き切ってから鉢底から水が滴る位たっぷりとあげるのがポイントです。与える時間帯は涼しい朝がおすすめ。蒸散(葉からの水分の蒸発)が盛んなこの時期は、こまめに葉水をして保水してやるのがコツです。葉水はハダニなどの害虫予防にもつながりますよ。秋・冬の水やり方法
テーブルヤシが休眠期に差し掛かる秋から真冬においては、土の表面が乾き切った2、3日後の土全体が乾いたタイミングで、やや渋り気味の量を与えてあげることがポイントです。その際、冷たい水で根が弱ることも考えられるので、与える水は35度前後のぬるま湯にしてあげると尚良しです。ちなみにエアコンなどで葉が乾燥しがちなこの時期も葉水は効果的ですよ。肥料は与える時期や量に注意が必要
テーブルヤシの肥料の与え方は状況によって変わってきます。例えば、植え替えや植え付けの際には、長時間ゆっくり効く緩効性の肥料を与えるか、あらかじめ肥料成分の含まれた培養土で育てるのがおすすめです。テーブルヤシの生育が活発になる春から初秋の時期は、2週間に1回くらいの頻度で、即効性に優れた液体肥料を与えて下さい。おすすめは水で希釈して使うタイプの液体肥料を水やりの代わりに与える方法です。成長がとまる冬場の休眠期は一切肥料を与えなくても構いません。 また、肥料を沢山与えると大きく成長するメリットがありますが、あくまでテーブルサイズで育てたいという方は頻繁に与えなくても大丈夫ですよ!病害虫の種類と対処法を知っておくといい!
害虫にも色々種類があり、それぞれ対処法が異なります。また、すす病(害虫の排泄物が撒き餌となり植物を)などの深刻な病害を誘発することもありますので、害虫がついてしまう前の事前予防に力を入れるようにしましょう。ハダニ
テーブルヤシにとりつく害虫で代表的なのがハダニです。葉に蜘蛛の巣のような糸をつけて繁殖します。体長が0.5ミリと小さく、葉の裏につくと目立たないのが厄介です。葉の色が薄く変色してきたり斑点が付いたらハダニの被害を疑いましょう。対策としては、ハダニの特徴である水に弱い特性を利用します。頻繁に葉水をして葉っぱの表と裏の両面を湿らせます。水の代わりに、牛乳と水を1:1の割合で割ったものや、10倍に薄めた酢を噴射してあげるのも効果的ですよ。それでも被害が収まらないようでしたらキンチョールなどの殺虫剤で駆除しましょう。アブラムシ
繁殖力が強く群生する特性のあるアブラムシもテーブルヤシの天敵のひとつです。幼虫、成虫ともに葉っぱや蕾に寄生して栄養を吸い取ります。前述の牛乳水の散布も効果がありますが、大量発生した場合は殺虫剤を撒くのが一番効果的です。カイガラムシ
カイガラムシは白い綿毛のような殻を背負っているのが特徴的な害虫です。葉や茎の部位に寄生し栄養を吸い取ります。成虫後は殺虫剤が効かなくなるという厄介な特徴があり、対策としては歯ブラシや刷毛を使ってカイガラムシをこそぎ落とすというアナログな方法が効果的です。ナメクジ
梅雨どきに大量発生し、旺盛な食欲をみせるのがナメクジの厄介なところです。特に屋外で生育されている方は注意が必要になります。一般的な退治方である塩の散布は植物を枯らすのでNGです。ピンセットや割りばしを使ってナメクジを取り除いてあげてください。ダンゴムシ
屋外の地面に近い位置で育てる方にとって脅威となるのがダンゴムシです。柔らかい花の芽や発芽したての株を狙ってやってきます。食べられる恐れは少ないですので、見つけ次第取り除いてあげましょう。バッタ
葉の硬さに関係なく葉をかじるのが大好きなバッタも屋外で育ててる方にとっては厄介です。見つけ次第、割りばしなどを使って駆除して下さい。【応用編】テーブルヤシの剪定と同時に株分けもする
テーブルヤシの剪定の目的は古い葉を落とすことでした。でも古い葉を落としただけではもっさり感が拭えない、美しくない、この葉の茂りはどうやって解消すれば良いのでしょうか?【株分け】を知ってますか?
株分けとは、成長した観葉植物の株を、複数の株に分けてあげることです。この株分けというやり方でテーブルヤシの葉の茂りを解消することもできますよ!このことで通気性も確保でき、害虫対策にもなりますね。剪定と一緒に株分けもするといい理由
剪定と株分けを一緒に行うことで、剪定だけでは行えないテーブルヤシの健康的な生育を促すことができます!根が密集することを防いでくれる
根がびっしりと絡まり合うように生えてしまった状態、いわゆる根詰まりの状態を起こしたテーブルヤシも、この株分けで根株を分割し、別の株に分けて育てることができるので、ただの植え替えより効率的ですし、余った株は大切な人へのプレゼントとしても最適です。根詰まりを解消し土の水はけがよくなると、根の酸素不足も解消できますよ!株数が減るので、その後の手入れが簡単になる
市販のテーブルヤシは、複数の株を合わせてひとつの観葉植物として売られていることがほとんどです。1回の剪定で大幅なサイズダウンが図れないテーブルヤシの場合、経年の成長で大きく茂った樹形をスッキリさせることが難しいです。そういった場合に株分けを行い、植物の根株からサイズダウンを行います。株が小さくなれば、それだけ茎や葉の数が減りますので、光合成の効率もよくなりますし、風通しもよくなり害虫対策にもつながります!株分けに必要なもの
- 分ける数分の新しい鉢(同じくらいか一回り小さいもの)
- 培養土
- 鉢底石
- 鉢底ネット
- ナイフor剪定ばさみ
株分けの手順
- 株分け先の新しい鉢底に鉢底ネットを敷く
- 鉢底石をまんべんなく敷く
- 培養土を鉢の1/3入れる
- 元々の鉢の根株を土ごと優しく引き抜く
- 根についた古い土を揉むようにして落とす
- 根を傷つけないように優しく引っ張って、2等分から4等分に分ける(ナイフやはさみを使っても)
- 株を鉢の中心に置いて土を鉢の縁の2〜3㎝下までかぶせる
- 鉢底から水が滴るくらい、たっぷりと水やりをする
- 根が伸びるまでは日陰で管理、新しい根が出てきたら少しずつ日光にも当てていく。
テーブルヤシの剪定に関するよくある質問
テーブルヤシの剪定に関するお悩みをQ&A形式でお答えします。Q. テーブルヤシを剪定したあとに葉先が枯れました。これは何が原因なんでしょうか?
A,原因は葉焼けだと思われます。 おそらく剪定とは直接の因果関係はないか。というのもテーブルヤシは、他の観葉植物と比べて、葉の厚みが薄く柔らかい特徴があります。そのため、強い西日や直射日光に長時間晒されると、簡単に葉焼けを起こしてしまうんです。耐陰性に優れたテーブルヤシは、日光がさほど必要ではありませんので、日差しが直接当たらない場所、例えば本棚や机の上などに鉢の場所を移動してあげると、葉焼けを解消できると思いますよ。 また、屋外で育ててらっしゃる方も同様で、軒先などの日陰ではあるけども、日だまりがあるような場所で育ててる場合、紫外線ですぐに葉焼けを起こしてしまうと思います。遮光ネットや寒冷紗を用いて、他の植物よりデリケートに管理してあげると良いと思います!Q. テーブルヤシの剪定で入れる土はどのような配合がいいんでしょうか?自分で作ってみたいと思っています。
A,テーブルヤシが好む水はけのいい土を目指してブレンドしましょう。 市販の観葉植物用の培養土で十分元気に育ちますよ。ご自身でブレンドされたいのであれば、観葉植物用の土2:赤玉土1:鹿沼土1の割合で混ぜて使いましょう。軽石を混ぜるのもおすすめです!Q. 剪定後に室内で育てていますが、その後新しい葉の色が薄いです。これは何が原因でしょうか?
A,日照不足が原因だと思います。 テーブルヤシは直射日光に当たると葉焼けしやすいため、明るい室内で育てるのがおすすめですが、暗すぎる場所では光合成が十分にできず、葉の色が薄くなりやすいです。葉の色が薄い場合は、明るい場所に移動させる必要があります。ただし、暗い場所に置いていたテーブルヤシを、日当たりのいい場所に移すと、急激な環境の変化で植物にストレスを与えてしまうことになります。まずは、窓際に近い場所に置いて1週間ほど光に慣らします。その後、レースカーテン越しの窓際に置くと濃い新芽が出てくるでしょう。【失敗しない】テーブルヤシの上手な剪定やケア方法を一挙解説
いかがでしたでした?テーブルヤシの剪定が他の植物のやり方と違うことに戸惑っておられた方も、テーブルヤシの特徴や育て方のコツを学ぶことで、どんな風に剪定を行えば良いのかイメージが湧きやすくなったのではないでしょうか?この記事のポイントは- テーブルヤシは古い葉を落としたり、葉焼けした葉先を整えるために剪定が必要である。
- テーブルヤシは新芽が葉の内側からつくため、成長点のついた茎を切り落とせない
- 葉の茂りは剪定ではなく、株分けで解消することができる
- テーブルヤシは葉焼けしやすいので日の当て方には注意が必要
- 株分けして通気性を確保することで害虫予防ができる