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ハート型の葉を高く伸ばして成長するフィカス・ウンベラータ。その洗練された風格は、インテリアとして大企業に貸し出されるほど人気の観葉植物です。 今回はそんなフィカス・ウンベラータの植え替えについて考察し、植え替えの意義や失敗しない植え替え方法についてくわしく解説させていただきます。 ご紹介する内容は、
- ウンベラータを植え替える理由
- ウンベラータの植え替えのタイミング
- ウンベラータの植え替えの注意点
- ウンベラータの植え替え道具&植え替え手順
- ウンベラータの植え替え後の管理方法
- 植え替えと同時に行うウンベラータの剪定作業
- ウンベラータの剪定道具&剪定手順
フィカス・ウンベラータの植え替えが必要な理由
地植えで育てる植物と違い、フィカス・ウンベラータのような鉢植えで育てる観葉植物の場合、別の鉢に植え替える作業が定期的に必要になってきます。その理由を以下にまとめましたので、ご自身のウンベラータの状態と照らし合わせてみて、実際の植え替えの判断の参考にしてください。栄養分の少なくなった用土を新しくするため
フィカス・ウンベラータを含め植物は、成長のために必要な水や栄養分を根から吸収して生きています。しかし経年にしたがい、土の中の栄養は成長のために使われたり、水やりの度に鉢の外へと流失したりして目減りしていくものです。とくに人為的に拵えた植木鉢の中の土の量は有限で、栄養も無限ではありません。そのため、植え替えによって定期的に土を補充し、失われた栄養分を補ってあげる必要があるのです。ウンベラータは成長速度が早い観葉植物のため
ウンベラータは大変成長が早い観葉植物です。およそ1年で20㎝ほども成長すると言われています。植物が成長がするのは、目に見える土から上の部分だけではありません。当然、土から下の根の部分の成長も著しく、2〜3年ほどで鉢の中が根で一杯(根詰まり)になってしまうほどです。根詰まりを起こすと元気ない原因に
ウンベラータが根詰まりを起こし、鉢の中が根でいっぱいの状態になってしまうと、根が呼吸できなくなり、二酸化炭素を酸素に変えて放出する働き(光合成)が阻害され、土中の空気が入れ替わらなくなってしまいます。このように、二酸化炭素を有機物に変えて成長するウンベラータのような観葉植物にとって、根が呼吸できる隙間を保つことはとても大事なことなのです。根腐れした場合も植え替えが必要
根詰まりによって土中の酸素が欠乏すると、土の中で酸素を必要としない嫌気性菌が増殖してしまい、根が腐敗する状態(根腐れ)を引き起こします。根腐れが起きると、根の吸水機能が損なわれ、葉や茎に水分と養分が行き届かなくなり、結果ウンベラータのような観葉植物が枯れてしまうことに繋がります。根腐れは株全体の腐れを引き起こす原因となりますので、一刻も早い植え替えが必要となりますね。ウンベラータの植え替えのタイミングはいつ?
ウンベラータの植え替えのタイミングはいつでしょうか?鉢底から根が飛び出している状態は目に見える形で植え替えが必要な時期です。それ以外にも、以下で説明するような生育の不良によっても植え替えが必要となってきます。 また、植え替えによって生育の新陳代謝を促すことは大事ですが、不適切な時期に植え替えを行うのは、ウンベラータに不要なストレスを与える行為でもあります。 以下のケースを参考に、ご自身が育てるフィカス・ウンベラータの植え替えの最適のタイミングを探っていきましょう!葉が落ちる【根詰まり】
春に新芽が出てくるかわりに古い葉が落ちること、それ自体はウンベラータの成長の自然なサイクルであり、特に問題視することでもありません。一方で新芽が育たず、ぽろぽろと下葉が落ちるようでしたら、根詰まりによる生育不良が生じている可能性があります。早急な植え替えを検討しましょう。葉の先から茶色く枯れた【根腐れ】
ウンベラータに定期的な水やりをしているのに、葉っぱの先から茶色く枯れた状態になるのは、根腐れが生じ、根の吸水能力が正常に機能していないからです。一度根腐れが生じると、根から株全体にかけて腐れが伝播していきますので、早急な植え替えが必要となります(※根腐れの場合は、植え替えの適期を無視してでも植え替える必要があります)。葉が垂れる【根詰まり】
ウンベラータの葉が垂れる原因は、日照不足や水分不足など、さまざまな原因が考えられますが、根詰まりもその一因です。根が呼吸できていない状態のまま、どれだけ水分を与え日に当てていようが、光合成による空気の入れ替えは行われないので、植物の新陳代謝は滞ったままです。そういった負の生育状態が、「葉が垂れる」という目に見える形で現れてきていると考えてください。植え替えによる根詰まりの解消で、そういった葉の垂れは自然と解消できるはずですよ!2〜3年に一度は植え替えをする
上述のような根詰まり・根腐れが起きてい元気なフィカス・ウンベラータの株でも、2年〜3年に一度は定期的な植え替えを行ってあげましょう。その理由は2つあります。ひとつ目の理由は、成長や経年劣化によって失われた土の養分を新しい土で補ってあげること。 もうひとつが、鉢を一回り大きいものに替えて、これから張る根のスペースを確保してあげることです。ウンベラータは成長が早く、1年で20㎝ほども生育し、丈が高くなる植物です。丈が高くなる植物ということは、それだけ土の中の根の蔓延る力も強いということです。次の植え替えをするまでの2〜3年の間に、根はどんどんと伸びて既存の鉢のスペースを埋め尽くしていくことが想定されます。 ですから、今仮に根詰まりが生じていなくとも、今後の根詰まりに備えてひと回り大きい鉢に植え替える必要があるのです!5〜9月の生育期に行う
フィカス・ウンベラータの植え替えの適期は、5月〜9月の生育期の間です。もっと具体的に言えば、気温が15℃〜25℃の間の、株にストレスがかかりにくい時期を狙って行うといいでしょう。 暖かく、風通しもいい時期に行うことで、根と土の活着(根が土に張ること)をスムーズに行うことができます。11月以降の秋〜冬は避ける
気温が15℃を下回るようになってくる11月以降の秋〜冬の時期は、フィカス・ウンベラータの生育が穏やかになり、根の動きも止まる時期です。根が伸びない状態で植え替えてしまうと根が土に活着しませんので、土からの養分や水分を根で吸い上げることが出来なくなり、不要な水分が溜まることになって、前述の根腐れを引き起こされますウンベラータの植え替えに必要なもの
ウンベラータの植え替えに必要なアイテムをご紹介します。植木鉢はサイズや排水性も重要ですが、なにより可愛いものを選ぶことをオススメします。というのもお気に入りの鉢に植えることで、ウンベラータに対する愛情が増すからです!ひと回り大きな鉢
現在起きている根詰まりを解消できるような(将来の根詰まりも想定して)、現在育てている鉢よりひと回り大きな鉢を用意しましょう。とはいえ大きすぎる鉢は、過剰な水分を溜め込むこととなり根腐れの原因となるのでNGです。鉢底ネット
鉢底石や土などが流れ出ないように鉢底の穴の上に敷きネットのことです。鉢底の穴が塞がるサイズにカットして使います。鉢底石
水はけと通気性を良くするために鉢の底に入れる石のことです。軽石や黒曜石などがよく使われます。水はけの良い土
ウンベラータの植え替えには、水はけのいい新鮮な培養土を使ってください(市販されている観葉植物用の土がおすすめ)。あらかじめ肥料成分が含有された培養土を使うことで元肥が不要になります。はさみ
ウンベラータの古い根や伸びすぎた根を切る時に使います。愛用の剪定ばさみでOK。事前に煮沸消毒かアルコール消毒を施しましょう。手袋
ウンベラータの切り口から出る白い樹液が手につくのを防ぐ必要があるので、ゴム手袋を使うのがおすすめです。失敗しないウンベラータの植え替えの手順
植え替えを行う前段階の準備として、1週間ほど前から水は与えず、土をしっかり乾燥させておきます(古い土を取り除きやすくするため)。準備が整ったら、以下を参考に実際に植え替えを実践してみましょう!1. 新しい鉢に鉢底ネット、鉢底石を入れる
穴に合うサイズにカットした鉢底ネットを鉢底に敷き、上から鉢底石を入れていきます。鉢底石はあらかじめ水洗いして、ごみや汚れを取っておきましょう。2. 鉢の1/3程度土を入れる
根株を鉢の中に入れる前に、あらかじめ鉢の中に1/3程度(鉢底石が隠れるくらい)土を入れておきます。3. ウンベラータを鉢から取り出し土を落とす
土がほぐれて、根株が取り出しやすくなるように、ウンベラータの鉢を外から手で叩いてあげましょう。根株がぐらぐらするようになったら、ゆっくり真っ直ぐ引き抜いてあげます。根が傷つかないように手でほぐしながら慎重に土を落とします。4. 黒ずんでいる根や伸びすぎている根を切る
根腐れや傷みの生じている黒ずんでいる根は、剪定ばさみを使ってカットします。また吸収能力の衰えたような古い伸びすぎた根もカットの対象ですね。古い根を切る際は新鮮な白い根を傷つけないように注意してください。5. 新しい鉢に入れて高さを確認する
根を整えたら、株を鉢の中に入れ、植える高さを確認します。木の部分をどの程度出すか、樹形のバランスを考えて高さを決めましょう。6. 残りの土を入れてウンベラータを固定する
植える高さが決まったら、片手で根元を持ったまま、新しい土を入れていきましょう。根元まで土を入れたら、根と土の隙間を埋めるように鉢の周りの土を割り箸でつつきます。 鉢を軽く左右に揺すってあげて、土が均一に混ざるようにするのがコツですね。割り箸で隙間を埋めたら少しだけ土の嵩が減っているはずですので、減った分の土を少しだけ足してあげます。7. たっぷり水を与えて完了!
ウンベラータを植え終えたら、たっぷりのお水を与えてください。目安は鉢底から水が滴るくらいです。水の色が土の色が混じった赤茶色から透明に変わるまで、しっかりと水を与えてあげるようにしましょう!ウンベラータの植え替え後の育て方
植え替え後、2〜3週間の間は、土に水分を吸わせ、根が土に張るのを待つ期間です。通常の生育環境とは異なる状態ですので、以下のポイントを参考に植え替え後の管理をしてください。直射日光を避けた風通しの良いところで管理
植え替え後すぐは、根が土に活着していない状態ですので、うまく根から水分が吸えません。そのため、根からの水分補給がない分、光合成による葉っぱの蒸散を必要最低限に抑える必要があります。普段ウンベラータを置いている場所より日陰になるような、直射日光を避けた、風通しのいい室内で管理するようにしましょう。土の表面が乾いたのを確認して水やりをする
根が水を吸い上げていかない分、土の中で水分が滞る状態が長くなるのが植え替え後の期間です。そのため、根がしっかりと張るまでは、植え替え時に与えた水以上の水やりは不要となります。土の表面が乾燥しきっていて水分が必要な状態でも、いつもよりは少なめの状態の水やりに留めるのが無難でしょう。2〜3週間経ったら、肥料を与える
2〜3週間経過を待ったウンベラータは、新しい細い白い根も伸び、土をしっかりと掴んだ状態となっていることでしょう。このタイミングで追加の肥料を与えて、ウンベラータの根の成長を促します。肥料の種類は土の上に置く緩行性の化成肥料がおすすめです。 この時期になってきたら、徐々に日陰から日当たりのいい場所にウンベラータを移してあげて、しっかりと光合成の働きを促してあげましょう! また、室内から室外へ移動させる場合は、直射日光による葉焼けには十分気をつけましょう。ウンベラータの植え替えと同時に剪定しよう
植え替えの適期は同時に剪定の適期でもあります。葉に張りがないような元気ないウンベラータの株は、古い葉や枯れた葉を剪定し、新芽に栄養が行き渡るようにしてあげるといいですよ!ちなみに、植え替えと剪定であれば、剪定の方を先にしたほうが株全体に与えるストレスが少ないと言われていますね。成長速度が早いため、時期を選べば同時にできる
ウンベラータは成長速度が早い観葉植物です。そのためウンベラータが成長期を迎える春から秋頃(5月〜9月)であれば、植え替えによる根のダメージの回復も早く、少々短めに刈り込んだとしても、すぐに別の場所から新芽をつけてくれるはずです。 逆に新芽がつく希望のないような冬(11月〜4月ごろ)に剪定するのは控えた方が良さそうですね。ウンベラータの剪定
剪定に必要な道具を用意して実際の剪定作業を行ってみましょう!ウンベラータは、枝を切り落とした方向に新芽が出てくる習性があります。また、切り落とした所からYの字に、上へ上へと伸びていく習性もあり、これら2つの習性を理解しておくと、成長後の姿がイメージし易くなりますね。準備するもの
- 剪定ばさみ
- 新聞紙
- ゴム手袋
- エプロン
- 癒合剤
剪定の手順
- 仕上がりの樹形やインテリアとの調和をイメージし、それに沿って剪定をする
- 各枝の葉を一枚だけ残して、古い葉をつけた枝を切る
- 切り口をよく乾燥させ、癒合剤を塗る
白い樹液には注意が必要!
ゴムの木の仲間であるウンベラータは、枝や葉のカットした部分から白い樹液がでてきます。この白い樹液はベタベタしているため、服や床を汚したり、肌が弱い人はかぶれたりする恐れもあります。必ず新聞紙などを敷いて作業し、汚れてもいいエプロンを着るなどして服や肌にかかるリスクを減らしましょう!当然ゴム手袋も必須です!【まとめ】ウンベラータの植え替え方法を解説!適した時期や失敗しないコツまで
いかがでしたか?今回は人気の観葉植物フィカス・ウンベラータの植え替えについて解説させていただきました。 この記事の要点をまとめると以下の通りになります。- ウンベラータを植え替える理由は土の栄養を補充するため
- ウンベラータを植え替える理由は根詰まりを解消し、根の自由な生育を促すため
- 元気なウンベラータでも、2年〜3年に一度は植え替える必要がある
- 根を活発に伸ばす働きを促すために、ひと回り大きいサイズの鉢に植え替える。
- ウンベラータの植え替えに適したタイミングは生育期の春〜秋
- 植え替えは、根を傷つけないように素早く正確に行うのがコツ
- 植え替え後しばらくは、ウンベラータを日陰で管理し、根の活着を待って日当たりの良い環境に移す
- 植え替えの適期(生育期)は同時に剪定の適期でもある