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つるを伸ばしながら成長していくポトスは、インテリア性の高い植物です。リビングや寝室など、どんな場所でもお部屋をおしゃれに演出してくれますよね。 ポトスを育てている方の中には、「ポトスの数を増やしたい」「別のお部屋にもポトスを置きたいな」と考えている方もいるでしょう。そんな方にぜひ試してほしいのが挿し木です。挿し木で株が増やせれば、わざわざ新しい株を購入する必要がありません。 そこで、本記事では、
- ポトスの特徴
- ポトスの挿し木で準備するもの
- ポトスの挿し木の手順
- ポトスの挿し木を失敗しないコツ
- 挿し木後のポトスの管理方法
- 挿し木後のポトスの鉢上げ時期
- 挿し木以外のポトスの増やし方
について解説します。 本記事を読めば、ポトスの基本の挿し木方法が身につきます。「ポトスをたくさん育てたい!」という方は、ぜひ本記事を参考に挿し木に挑戦してみてくださいね。
関連記事:ポトスの育て方|室内での管理法から水栽培の仕方まで徹底解説ポトスってどんな観葉植物なの?
観葉植物の中でも人気が高いポトス。まずは、そんなポトスの特徴を確認していきましょう。東南アジアが原産地であるサトイモ科の観葉植物
ポトスは東南アジアを原産地とするサトイモ科のつる性植物です。代表的な品種である「府ゴールデン・ポトス」をはじめ、迷彩柄のような斑を持つ「ポトス・エンジョイ」やライムグリーン色のつやのある葉が特徴的な「ポトス・ライム」など、ポトスにはさまざまな品種が存在します。耐陰性があり乾燥にも強く育てやすい
ポトスはとにかく丈夫な観葉植物です。高い耐暑性と乾燥に強い性質から、初心者でも枯らすことなく育成できます。また、耐陰性もあるため、室内でも元気に育ってくれますよ。ただし、耐寒性は低いため、冬場のケアは必要になります。成長速度が速く管理が大変である
ポトスのもう1つの特徴が成長速度が速いことです。ポトスは生育旺盛な植物で、みるみるうちに根やつるを伸ばしていきます。伸びたつるを剪定したり、根詰まりや根腐れを起こさないように植え替えしたりなど、成長が早いポトスの管理には少々手間がかかることを覚えておきましょう。ポトスは挿し木で増やすことができるの?
観葉植物の繁殖方法の1つに「挿し木」というやり方があります。ここでは、本当にポトスを挿し木で増やせるのか解説します。挿し木で増やすことができる!
結論から言うと、挿し木によってポトスの株を増やすことは可能です。挿し木とは、株からカットした茎や葉を、土に挿して発根させる繁殖方法を指します。挿し木はよく育っている株から一部分をカットして発根させるため、種から育てるよりも成長が早いのが特徴です。繁殖力が高く、初心者でも増やしやすい
ポトスには強い繁殖力があります。ポトスの繁殖力の強さは、茎を水に挿しておくだけで発根するほどです。そのため、挿し木にも向いており、初めて挿し木に挑戦する方でも手軽に株を増やせます。剪定した茎だけでも挿し木できる
挿し木をするのに、特別な株や技術は必要ありません。自身が育てているポトスを剪定した際に出た不要な茎をそのまま挿し木に利用できます。もちろん、成功させるためにはいくつか覚えておきたいコツはありますが、挿し木は剪定のついでに簡単に挑戦できますよ。繁殖力がより強い時期に挿し木するとよい
挿し木はポトスの繁殖力がより強まる生育期に行います。理由は繁殖力が強ければ、発根させやすいためです。真夏を除いた5月~9月が挿し木を行うのに適しています。ポトスの挿し木で準備するもの
ポトスを挿し木する際には、いくつか事前に準備しておきたいものがあります。ここでは、ポトスの挿し木に必要なものを確認しましょう。挿し穂をとるポトス
挿し穂とは挿し木に使う茎を指します。前項でお伝えした通り、挿し木はもとの株から一部を切り取って繁殖させていく方法です。そのため、まずは繁殖させたい親株を用意しましょう。ハサミ
ハサミは切れ味が良く、清潔であることが大切です。切れ味が悪いと切り口の繊維がつぶれて、傷んでしまう場合があります。また、清潔でないハサミを使うことによって細菌が入ってしまうと、株が枯れてしまう恐れがあります。園芸用ハサミは100均などでも手に入るため、もし適当なものがなければ購入すると良いでしょう。水を入れる容器
この容器は挿し穂の水揚げに使用します。水揚げとは、茎内部に空気が入らないようにしたり、水を吸い上げやすくしたりするために、一定時間植物の切り口から給水させる行為を指します。容器は空き瓶やコップなど、切り口を水に浸しておけるものであれば何でもOKです。挿し木する容器
挿し木の容器には3号鉢がおすすめです。また、容器には土を入れる前に、排水性や通気性を確保するために鉢底石を敷いておくと良いですよ。挿し穂用の土
市販の挿し木用の土を使うと手軽に挿し木ができますよ。ホームセンターや園芸店で手に入れてみてください。発根促進剤
発根促進剤とは、発根のスピードを速めたり、確率を高めたりする薬剤です。挿し木の場合、挿し穂の切り口に塗っておくと、繁殖が成功しやすくなります。発根促進剤にはあらゆるタイプがありますが、挿し木で使うなら粉末タイプやジェルタイプが良いでしょう。中でも、「ルートン」は挿し木用の発根促進剤として有名です。ポトスの挿し木の手順
ポトスの挿し木は少ない手順で簡単に行えます。ここでは、挿し木のやり方について詳しく解説します。1.ポトスから挿し穂を切る
まずは親株から挿し穂を切ります。ポトスはすぐに成長してくれるため、挿し穂を取るときは根元の方からカットしてしまって大丈夫です。挿し穂をとったら、葉が1~2枚になるよう整えます。葉数を減らすのは、蒸散量を少なくするためです。蒸散とは、植物内の水分が葉から排出される現象を指します。蒸散量が多いと茎からの水の吸い上げが追いつかずに枯れてしまう可能性があるため、葉数はあらかじめ減らしておきましょう。また、大きい葉は半分にカットしておくと、さらに蒸散量が抑えられます。2.挿し穂の切り口を数時間水に浸す
挿し穂が準備できたら、水揚げを行います。挿し穂の切り口を水に浸し、数時間置いておいてください。挿し穂が乾燥によって枯れてしまわないように、ここでしっかり給水させることが大切です。3.鉢に土を入れる
挿し木を行う鉢に土を入れます。前項でもお伝えした通り、はじめに鉢底石を敷いておきましょう。また、茎の水分が奪われて枯れてしまわないよう、鉢に入れる前に土全体を湿らせておきます。土は鉢の縁から3cmほど下まで入れてください。このとき、縁ぎりぎりまで土を入れてしまうと、水やりの際に土や水が流れ出てしまうため注意しましょう。4.挿し穂の切り口に発根促進剤を塗る
挿し穂の水揚げが完了したら、挿し穂の切り口に発根促進剤を塗ります。発根促進剤の塗りすぎは、逆に挿し木の失敗のもとになってしまうため気をつけましょう。5.気根の少し上まで土がくるように挿す
挿し穂を挿すときのポイントは、気根の少し上まで土がくるように挿すことです。後の項で詳しく解説しますが、挿し穂は気根が残るようにカットします。この気根が土に埋まるくらいを目安に挿し穂を挿しましょう。6.たっぷり水やりをして完了!
挿し穂を挿し終えたら、鉢底からあふれるほどたっぷり水やりをします。注ぎ口が細いプッシュタイプの水差しを使用すると土を崩さずに水やりできますよ。ポトスの挿し木の失敗しないコツ
前項で解説した基本の手順に加えて、いくつか覚えておいてほしいコツがあります。ここでは、ポトスの挿し木を失敗させないコツを5つ紹介します。挿し穂を切る場所は気根の先
挿し穂を切る場所は気根の先と覚えておきましょう。気根は地表に出ている根のことで、茎にある節あたりに生えています。気根からは新たな根が、そして節からは新芽が出るため、挿し穂にはどちらも欠かせません。つまり、茎だけでは挿し木は成功しないのです。気根の少し先をカットし、挿し穂に節と気根を残すようにしましょう。もし、気根が伸びすぎてしまっている場合は、挿しにくくなってしまうため、適度にカットしておいてください。挿し穂の切り口を斜めに切る
指し穂の切り口が平らではなく、斜めになるようにカットします。切り口を斜めにする理由は水を吸い上げやすくするためです。切り口の表面積が大きい方が、茎が水を上手く吸い上げてくれるため、発根しやすくなります。冬場の挿し木を避ける
挿し木は冬場に行わないようにしましょう。冬はポトスの休眠期にあたります。成長が緩まる休眠期では、発根が上手くいかなかったり、発根しても弱弱しい株になってしまったりする恐れがあります。前項でもお伝えした通り、挿し木は繁殖力が強い時期に行ってください。挿し木用の用土を使うこと
挿し木用の用土を使うことは手軽なだけでなく、挿し木の成功率が高まります。市販の挿し木用の土には発根しやすくなるよう用土が含まれているためです。また、赤玉土や鹿沼土などとは異なり、挿し穂が挿しやすい特徴もあります。特に初めて挿し木を行う方は、挿し木用の土を使えば間違いありません。3号の容器で挿し木するとしばらく植え替えなくてすむ
挿し木には3号の容器が適しています。3号は直径9cmの大きさの容器を指します。挿し木では発根後すぐに鉢上げを行うのが一般的ですが、3号の容器であれば根が成長するスペースが十分にあるため、発根後もしばらくは鉢上げをせずに育成可能です。ポトスの挿し木した後のケア方法
挿し木を成功させるためには、挿し木後のケアも大切です。ここでは、ポトスの挿し木後に行ってほしいケアについて解説します。半日陰の置き場所で管理する
挿し木後は、半日陰の置き場所で管理しましょう。日当たりが良い場所だと葉の蒸散が活発になり、挿し穂が乾燥してしまう恐れがあります。特に、直射日光は挿し木後のポトスにさらにダメージを与えることになるため、くれぐれも気をつけてください。反対に、暗すぎても成長してくれないため、カーテン越しなどの明るい場所が適切です。気温の安定した場所に置く
置き場所の気温が安定していることが大切です。挿し木で発根させるためには、20℃前後の気温が保たれていることが必要になります。朝方や夜間に気温が下がってしまうと、発根が遅れる可能性があるため、なるべく安定した温度下で管理しましょう。また、通気性が良い置き場所だと、より発根しやすくなりますよ。水が乾いてきたら水やりをする
発根までは土が乾かないように注意してください。土の水分がなくなり、挿し木が乾燥してしまうと、発根しにくくなります。また、吸水力が弱まって、茎が萎れたり枯れたりする場合もあるため、土が乾いたらすぐに水やりするようにしましょう。挿し木した後のポトスはいつ鉢上げしたらいいの?
挿し木で発根が上手くいった後は、鉢上げを行います。ここからは、鉢上げの時期や方法について解説します。約2週間で発根しだす
ポトスの挿し木は、2~3週間で発根します。ただし、2~3週間というのは、温度や置き場所など、育成環境が適切だった場合の目安です。もし、2~3週間しても発根が見られないようであれば、管理方法を見直してみてください。新芽が出たら鉢上げできるタイミング
新芽は発根しているサインです。基本的には、新芽が出てきたタイミングで鉢上げを行います。しかし、前項でお伝えした通り、3号鉢を使用する場合は、急いで鉢上げする必要がありません。株の成長具合にもよりますが、数ヶ月はそのままでも大丈夫でしょう。鉢上げは通常の植え替えと手順は同じ
鉢上げの方法は、基本的に植え替えと同様です。以下に鉢上げの手順をまとめています。- 植え替え用の鉢に鉢底ネット・鉢底石をセットする
- 鉢の3分の1程度土を入れる
- 鉢から株を抜き、優しく土を落とす
- 植え替え用の鉢の中央に株を置き、縁から3cmほど下まで土を入れる
- 鉢上げ完了後、たっぷりと水やりする
ポトスの挿し木以外の増やし方
繁殖力の強いポトスは挿し木以外の方法でも増やせます。ここでは、「水差し」「株分け」について見てみましょう。水栽培したいなら水差しで増やす
ポトスを水栽培で育てたいならば、水差しで株を増やすのがおすすめです。水栽培と土栽培では、根の形状が異なります。そのため、挿し木によって発根させたものを水栽培にすると枯れてしまう恐れがあります。水差しは挿し木同様、親株から茎をカットし、水の入った容器に挿すだけなので簡単です。水栽培を試してみたい方は、水差しで発根させてみてください。大きい株なら株分けのやり方も
もしサイズが大きいポトスを持っているなら、サイズを調整しつつ株が増やせる株分けを行うと良いでしょう。大きく育ったポトスの株を鉢から抜いて、根鉢を手で割いて株を分けます。その後は、植え替えと同様の手順で、分けた株を植えれば株分けは完了です。「もう少しコンパクトに育てたいな」と考えている方は、ぜひ株分けにチャレンジしてみてくださいね。【まとめ】ポトスは挿し木できる?失敗しない方法からその後のケア方法まで解説
ポトスの挿し木について解説してきました。以下では、本記事の内容を改めてまとめています。- ポトスの挿し木は真夏を除いた5月~9月に行う
- ポトスの挿し木で準備するものは「挿し穂を取るポトス」「ハサミ」「水を入れる容器」「挿し木する容器」「挿し木用の土」「発根促進剤」の6つ
- ポトスの挿し木を成功させるためには、挿し穂を切る場所や切り方・挿し木の時期・使用する用土や容器に気をつける
- 挿し木後は直射日光が当たらない気温が安定した場所で管理し、土が乾かないようにする
- 鉢上げの目安は新芽が生えたときだが、3号の容器を使っている場合はこの限りではない
- 挿し木以外に水差しや株分けでポトスを増やせる