目次
魅力的なフォルムや威嚇的なトゲ、手のひらサイズから楽しめるサボテンは、いまや園芸好きにとってはマストなグリーンです。そんなサボテンですが、その人気の割には、株の増やし方や株を増やすメリットについて、あまり世間の人に知られていないようです。 そこで今回は、
サボテンによく似た植物に多肉植物という分類があります。どちらも棘をもった植物であるため混同しがちですが、実は微妙に異なる植物です。サボテンと多肉植物の違いは、刺座と呼ばれる、棘の付け根にある白い綿毛の部分をもつか否かで分類できます。この刺座があるのがサボテンで、刺座がないのが多肉植物です。
- サボテンの基本情報
- サボテンの増やし方〜挿し木・胴切り・実生
- サボテンを増やすのに最適な季節・気候・条件
- 挿し木・胴切り・実生に必要なアイテム・手順
- 増やしたサボテンの育て方
- 挿し木・胴切り・実生に向いているサボテンの品種
- 増えすぎてしまった子株の処理の仕方
について詳しく解説させていただきます。 「子株を使って株を増やしてみたい」、「大きくなりすぎたサボテンをサイズダウンしたい」、「種から育ててみたい」など、サボテンの株の増やし方にまつわる疑問について、出来るだけ細かくお答えしていきたいと思います。是非最後までお読みください!
関連記事:サボテンの育て方|初心者でも失敗しない方法や日常のケアを徹底解説
サボテンの特徴をおさらいしておこう
個性的なトゲを持ち、ユニークな形が人気の植物サボテン。そんなサボテンの増やし方について学ぶ前に、まずはサボテンの基本情報についておさらいします!サボテンの基本情報
植物名 | サボテン |
---|---|
科名/属名 | サボテン科/エキノブシス属 |
学名 | Cactaceae Juss |
和名 | シャボテン・仙人掌・覇王樹 |
特徴 | サボテン科に属する植物の総称 |
サボテンは乾燥している場所が原産の観葉植物
サボテンは、メキシコや北、中、南アメリカ大陸が原産地の観葉植物です。これらの地域の共通点は、非常に空気が乾燥していることです。また、日差しが強く、昼夜の温度差が大きいのもこれらの地域の特徴。サボテンのユニークな形状は、このような厳しい環境を生き抜くための防衛本能から生まれたと言われています。丸いものから柱のようなもの、綺麗な花を咲かせるものまで種類が豊富
サボテンは、筒形から楕円型、花を咲かせるものなど、その形状・色・大きさは数えきれないほど多種多様です。ちなみにサボテン科は独立した1科を持ち、園芸分野では他の科に属する多肉植物とは分けて考えられています。サボテンの花言葉は【情熱】【枯れない愛】
サボテンの花言葉で有名なのが、「情熱」と「枯れない愛」です。これらは、サボテンが砂漠などの過酷な環境下でも枯れずに生育することから由来しています。サボテンは棘が生えているものが多く、勇ましい雰囲気があり、そういった形状が「情熱」という花言葉の連想につながったのかもしれません。また開花時期になると、白・ピンク・黄・赤など様々な色の花を咲かせる種類のものがあるため、枯れない愛という女性的な雰囲気にもぴったりな植物ですよね。サボテンの風水効果は【邪気払い】【魔除け】
サボテンのように鋭く尖ったトゲを持つ植物は、風水的に、「邪気払い」や「魔除け」の効果があります。特にトイレやベランダなどに置くと、悪い気を外に出す力や悪い気を寄せ付けない効果があると言われていますね。サボテンは自分でできる増やし方はあるの?
サボテンを自分で増やしていく方法についてお伝えします。サボテンは比較的数が増やしやすい植物で、初心の方でも手軽に増やしていく方法があります。増やしたサボテンは、大切な人への贈り物としても最適です!具体的な方法について見ていきましょう!結論:自分でできる増やし方は3種類ある
サボテンを増やす方法は、大きく分けて3つの方法があります。種類によっては、増やし方が限定されるサボテンもあり、全ての方法が全てのサボテンに適用できるわけではありません。挿し木
サボテンの株の上部や根元に出来た子株を切り取って発根させ、別の鉢として仕立てる方法です。カキコとも呼ばれています。胴切り
胴切りとは、柱サボテンなど、茎が太いサボテンを水平に切って、そこから発根させて株を増やす方法です。増やす目的以外にも、病気や根腐れの状態になったサボテンを助ける、あるいは育ち過ぎたサボテンの成長を抑えるために行われる方法です。実生(種から育てる)
種からサボテンを増やす方法です。実生のメリットは一度に多くの苗を育てることができることです。ただし苗床の管理が難しく、やや初心者にはハードルが高い増やし方です。しっかり手順を踏めば初心者でも簡単に増やせる
サボテンは、しっかりと手順を踏めば初心の方でも確実に増やすことができます。それぞれの方法に、適した季節や条件があり、手順もさまざまです。枯らさず増やせる方法を逐一追っていきましょう!それぞれの増やし方に適した時期から方法まで網羅して徹底解説
サボテンの増やし方について、徹底解説させていただきます。それぞれの方法に適した時期や方法、条件などを知り、サボテンの株を増やす楽しみについて知っていただけたら光栄です!サボテンの【挿し木】での増やし方
サボテンの増やし方の中で一番ポピュラーな方法が挿し木です。子株を切り取ることで、親株の負担を減らしたり、鉢の見映えがよくなるメリットもあります!挿し木の方法や成功させる秘訣についてまとめましたのでご参照ください。適期はサボテンの生育期にあたる4〜5月
サボテンの株分けによる挿し木を行う適期は、生育期の最中の4月〜5月です。というのも、暖かい時期は、サボテンの根が発根しやすく、別の鉢に植え替えた時に土との根付き(活着)がスムーズにいくからです。反対にサボテンの生育が止まる休眠期や活動が鈍くなる晩秋〜冬にかけては、根が土に張らず挿し木がうまくいきません。暖かく湿度が低い日に行うと成功率が上がる
冬を乗り越え、春になり、気温が20度を超えるような初夏になれば、子株から根が発根がしやすくなり、土にしっかりと活着することで、挿し木の成功率が格段と上がります。また、湿度が低い日は根が腐りにくいので、植え替え後に枯らしてしまうリスクも少ないです。梅雨の時期はサボテンの生育が停滞するので避ける
梅雨はサボテンが根腐れしやすく、サボテンの生育が停滞するため、挿し木を行うのを避けた方がいい時期です。30度を越すような暑すぎる時期も、やはり根の生育が鈍るので避けた方がいいでしょう。親株についている子株を切り離し、乾燥させた後に挿し木する
挿し木の子株のカット方法や子株の乾燥方法を説明します。作業中はトゲが刺さらないように、必ずゴム手袋などをつけて手や指を保護します。子株を切り離す際は、本体の親株を弱らせないよう、傷をつけないように注意しましょう!子株の切り離し方
子株のサイズが15〜20mmくらいになれば株分けが可能です。アルコール消毒したカッターかピンセットで親株から切り離します。コツは、子株の斜め上から根元ごとごっそり切り取ること。ちなみに手で簡単にはずれるものは、そのままもぎ取っても構いません。子株の乾燥方法
切り取った子株は、新聞紙などで軽く包み、風通しの良い場所などで保管します。この作業を通じて、子株を乾燥させながら子株の発根を待つことになります。しっかり乾燥させる(7〜10日)ことで、根腐れ防止につながりますよ!挿し木で必要なもの
- サボテン
- 厚めの手袋
- カッターナイフ
- 新聞紙
- アルコール消毒液
- サボテン・多肉植物用の土
- 小さめの植木鉢やビニールポット
挿し木の手順
- 親株から子株をカッターで切り取る
- 切りとった子株を新聞紙で包む
- 風通しのいい場所で子株を保管し、7〜10日ほど発根を待つ
- 子株の発根後、鉢に土を張り、根を下にして植える
- さらに1週間ほど様子を見て水やりを開始する
根っこが安定するまでは水やりを控える
水やりは、サボテンの子株の根がしっかりと土に張ってから行うようにします。というのも根っこが活着する前に水やりを行うと、高確率で根腐れを起こし、挿し木が失敗してしまうからです。根が活着したかどうかは、挿し木をしてから1週間ほど経過した後、変色や枯れがなければ大丈夫と判断して良いでしょう。サボテンの【胴切り】での増やし方
サボテンを育てたことがない人にとっては、聞き慣れない用語「胴切り」ですが、本質的には挿し木と大きな違いはありません。胴切りとは、太くなった親株の茎を水平に切って、そこから発根させて株を増やす方法です。胴切りに一番最適な時期は3〜5月
サボテンの胴切りの適期は、生育期の最中の3月〜5月です。冬越しをして暖かくなり、サボテンの根が活発に成長を始めてから行った方が、胴切りの成功する確率が高くなります。一方で、6月は梅雨時にあたり、根腐れを起こしやすいので胴切りは避けた方が無難です。それ以降の7〜8月でも胴切りは可能ですが、暑過ぎても根の生育は鈍りますので、出来るだけ早く行うに越したことはないでしょう。気温の目安は25℃以上
サボテンの胴切りの適期の目安は、気温にして25度以上まで暖かくなったころです。気温が暖かくなると根が活発に張るため、胴切りが成功する確率がグンと上がります。逆に、30度を超える様な酷暑になってくると生育は鈍くなってくるので、暑過ぎない初夏を狙って行うのが得策と言えるでしょう!寒冷地で胴切りする場合は1ヶ月遅らせて考える
北海道などの寒冷地においては、本州より気温が上がる時期が遅れるので、胴切りの適期の3月〜5月という基準もひと月ほどは遅らせて考えた方がいいでしょう。上記で説明した25度くらいに気温が達したタイミングで胴切りを行ってください!胴切りで必要なもの
- 厚めの手袋
- ハサミ
- カッターナイフ
- アルコール消毒液
- サボテン・多肉植物用の土
- 新聞紙
- 小さめの鉢やビニールポッド
胴切りの手順
- カットする胴体のトゲをハサミでカットする
- サボテンの胴体を水平に切る
- カッターで断面の周囲を削ぎ、乾燥後に起こる断面の陥没を防ぐ
- サボテンの胴体を新聞紙に包み、切り口を1週間ほど乾燥させる
- 用土にサボテンの胴体を挿して発根を待つ
- 数ミリ発根したら、鉢植えに植え替え、少しずつ水やりを開始する
胴切りを成功させるためのポイント
胴切りを成功させるのには下記の重要な3つのポイントがあります!!消毒したよく切れる刃物で水平に切る
サボテンの断面を傷めたり、病原菌が入るのを防ぐために、事前にナイフはアルコールか煮沸で消毒するようにしましょう!また水平に断面を切ることで、発根後の植えつけがしやすくなります。切り口をしっかり乾燥させる
切り口はしっかりと乾燥させます。というのもサボテンの胴切りで生じる切り口は大きく、ともすれば断面が腐りやすいからです。切ったサボテンを新聞紙などに包んでしっかり乾燥させ、表面に膜ができるのを待ってから、新鮮で小さめの粒の用土に挿すようにします。切り口から生えてきた根は大切にする
サボテンの発根までにかかる期間は、およそ1ヶ月〜長くて2ヶ月ほどと長期にわたります。一度出た根を折ってしまうと、その株からは2度と根が出ない可能性があり、せっかくの苦労が台無しになることも。注意点としては出た根はむやみに触らないこと。心配であれば、用土に挿す前に、空き瓶などに挿して発根を待ってから用土に挿すようにしましょう!サボテンの【実生(みしょう)】での増やし方
実生は種からサボテンを増やす方法のことです。他の方法に比べ、一度にたくさんの苗を育てることができます。細かい苗床の管理が必要なので敬遠されがちですが、湿度を保つなどの要点を抑えることで、確実に種の発芽、生育に成功します。実生に適した時期は温度を一定に保ちやすい5〜9月
サボテンの実生に適した時期は、常時25℃〜35℃の気温を保ちやすい5〜9月の時期です。それ以外にも湿度のキープや適度な日光などが整わないと発芽しません。実生する時は下準備が必要
サボテンの実生をする時には、事前に必要な道具を整え、土や種にあらかじめ下記のような下準備を施しておく必要があります。土を事前に殺菌しておく
実生に使う土は、殺虫剤などで殺菌を施す必要があります。なぜなら準備した用土をそのまま使った場合、長期間の多湿環境の中で、用土にカビや藻が発生する可能性があるからです。そういったリスクを回避するために殺菌をし、スムーズに発芽を行える環境を整えます。殺菌剤がない場合は土を洗って熱湯消毒してもOK
殺菌剤が用意できない場合は、土を洗ったり、熱湯をかけて消毒を行っても構いません。今回は熱湯消毒と殺虫剤を併用し、できるだけ発芽率を高める方法をご紹介します!実生に必要なもの
- お好みのサボテンの種(事前に稀釈した殺虫剤にひと晩浸けておく)
- プラスチック鉢(プレステラ90など)
- 腰水(底面吸水)用のバット状の容器
- サボテン・多肉植物用の土(ピートモス主体のものが良い)
- 1000倍に稀釈した殺虫剤(ベンレート、オーソサイドなど)
- やかん
- ラップ
実生の手順
- 土を鉢用の容器に入れて上から熱湯をかける
- 腰水用の容器に鉢を入れ、水で稀釈した殺虫剤を上からかける
- 鉢が1〜1.5㎝くらい液体に浸かるように殺虫剤を腰水用の容器に入れる
- 土を十分に冷やす
- 殺虫剤に浸しておいた種を1つの鉢につき10粒ほど蒔く
- 湿度を保つために鉢の上から空気穴を開けたラップをかける
- 50%の遮光ができる半日陰の場所で管理し発芽を待つ
- 発芽を待つ間、霧吹きや腰水をし、常に湿度を保つ
- 発芽したらラップを外し、外気にさらす
- 腰水を止め、上からの水やりに切り替えて芽が大きくなるのを待つ
- 発芽後しばらく経ち、苗が安定してきたら植え替えを行う
発芽したら元気な苗を植え替えて管理する
発芽後、苗がしっかりしてきたら、元気な苗だけを選んで新しい鉢に植え替えます。根腐れを起こしやすい梅雨や根が休眠する冬を避けて植え替えるようにしましょう。そもそも発芽後1年以内であれば、慌てて植え替える必要はありません。根が活着しやすい5月〜9月ごろの時期を待って、植え替えを行えば十分です。増やし方を実践したサボテンの育て方のポイント
増やしたサボテンを安定的に元気に育てる方法についてまとめました。特に新しい環境に移してすぐの頃は、サボテンにストレスが掛かりやすいものです。あらためてですが、土の選別や日光の当て方、水やりの方法など、サボテンの基本的な育て方に忠実になりましょう!水はけの良い土で育てる
増やしたサボテンは、水はけと通気性がよく、適度な保水性がある土を使うとよく育ちます。ただし初心者の方は、あれこれ考えず市販されているサボテン・多肉植物の土を使うのがおすすめです。ある程度サボテンの生育に慣れてきたら、赤玉土をメインに、水はけに優れたパーライトや保肥性に優れたパーミュキュライト、ピートモスなどをブレンドしてオリジナルの用土を作るのもおすすめですね!日当たり、風通しの良い場所で管理する
サボテンは1年を通して雨除けのある場所で管理します。また、基本的には風通しがよく日当たりのいい場所でよく育つ傾向がありますね。種類ごとに細かい違いはありますが、生育期が夏型のサボテンであれば、春から初夏にかけては屋外で直射日光に当てて育て、本格的に暑くなる7〜8月頃は屋内の日陰で休ませてあげます。気候が落ち着いてきたら、再び屋外に連れ出して日光に当てて育ててあげれば良いでしょう。直射日光の当てすぎには注意
ただし直射日光の当て過ぎは茎・葉・根が弱るので注意が必要です。とくに水やり後に直射日光に晒すと、水が溜まる根の部分が高温かつ多湿になり、傷んでしまうケースも。夏場、特に梅雨明け後は直接太陽が当たらないように注意してください冬場は5℃以下にならない場所で管理
多くのサボテンは夏型の生育型であり、冬になると生育が鈍くなります。最低越冬温度は5℃のサボテンが多く、それを下回る気温になったら、屋外から室内へとサボテンを取り込む必要がありますね。日中は暖かい窓辺で管理し、夜寝る時には冷気の忍び寄る窓辺から距離を離した場所で管理します。特に寒さが厳しい時期・地域にお住まいの方は、新聞紙やプチプチなどを使ってサボテンを防寒してあげる必要もありますよ!水やりの方法は季節ごとに変える
サボテンの水やりの方法も、生育型に沿って与えるようにします。たとえば夏型の生育型のサボテンであれば、春・秋にたっぷりと与え、夏・冬に控えめに与えるように、水やりの頻度・量を変えてあげましょう!春・秋の水やり:土が乾いたらたっぷり与える
サボテンの生育が活発な春・秋の時期は、土の表土が完全に乾き切ったら、鉢底から水が滴るくらいたっぷりと、しっかり水やりをしてあげます。夏の水やり:少量を土が乾いてから数日後に与える
酷暑の夏場はサボテンの生育が鈍くなる時期です。この時期は土が完全に乾き切ってからさらに数日置いて、少なめのお水を与えるようにしてください。冬の水やり:完全に断水してOK
11〜12月になったら休眠期に向けて徐々に水やりの量を減らしていきます。さらに寒くなり、気温が5℃を下回るような休眠期になれば、完全に断水するか、月に2回程度少量の水を与えるようにしてください。肥料は元気がない時以外は基本的に必要ない
サボテンは他の観葉植物に比べて成長が遅いため、それほどたくさんの肥料を必要としません。しかし鉢で育てる場合は、土の量やスペースが限られるため、必要な肥料分や微量要素が不足してしまうこともあります。とくに生育期においては栄養が不足しやすいので、月に一回程度、液体肥料を水やりの代わりに与えてあげて、栄養を補ってあげるのがいいでしょう。害虫は見つけ次第駆除しよう
サボテンは、他の観葉植物に比べて、若干害虫の被害に遭いやすい傾向があります。特にウチワサボテン(バニーカクタス)や柱サボテンは、通気性の悪い時期にカイガラムシやワタムシのターゲットにされることもしばしば。トゲやその根本、皮の溝などに付くことが多いので常に気にかけておくようにします。白い塊があったら要注意。すぐに殺虫剤を撒いて駆除し、虫の痕跡も歯ブラシなどでこそぎ落とすようにしましょう!水耕栽培に植え替えて育てることもできる!
サボテンは、水の入った容器に挿すだけで簡単に水耕栽培することもできます。土から水に移し替えるときは、土を綺麗に落とし、今ある根の下半分を思い切ってカットします。というのも、土に適していた根は水耕栽培には適していない根だからです。根をカットしたサボテンは新聞紙などに包んで、日陰で根が乾くのを1〜2日待ちます。しっかりと乾燥したら、根が1/3つかる程度の量の水を容器に入れ、水耕栽培の用意は完了です。 あとは水温が高くならないよう、直射日光の当たらない半日陰の場所でサボテンを管理するだけですね!紹介した育て方を実践しやすいサボテンの品種
これまで紹介してきた増やし方にぴったりなサボテンの品種を、いくつか厳選してお届けします!同じサボテンといえども見た目や個性が異なるように、その増やし方の適正もそれぞれ異なるようです。詳しく見ていきましょう!【挿し木】で増やすのにおすすめなサボテンの品種
子株を切り取って育てる挿し木は、サボテンの増やし方においても一番手軽な方法です。挿し木で育てられるおすすめのサボテンを8種ご紹介します!バニーカクタス(うさぎ耳サボテン)
バニーカクタスの特徴は、平たく丸い茎がウチワやうさぎの顔に見えること。生命力が強く、暑さ・寒さに強い特徴もあり、挿し木で簡単に増やせるサボテンです。水分をたっぷりと含んだ茎を子株に選ぶのが、このうさぎちゃんの挿し木の成功の秘訣です!銀手毬
銀手毬は、硬めの白いトゲに覆われた小型で群生しやすいサボテンです。1〜2月ごろに控え目で黄色みがかったクリーム色の花を咲かせるのもチャーミング。銀手毬は子株がポロポロと外れやすいので、簡単に挿し木にして増やすことができます。姫将軍
姫将軍(キリンドロプンチア)は、ウチワサボテンの仲間。姫将軍の名に相応しい、ギザギザを柱の周りにつけるユニークなサボテンです。成長すると葉の付け根から子株を出すので挿し木に向いています。セレウス
セレウスは、電磁波を吸収し、パソコンやテレビの前に置くと目の疲れや頭痛を取る効果があるという噂を持つサボテン。コンパクトな樹形でシンプルなお部屋との相性もバッチリです。セレウスは柱サボテンの仲間で、柱に子株が沢山できるので挿し木にしやすいです。老楽
ふわふわとした白い毛で覆われた見た目が可愛い老楽。その樹形はまるで年老いたエスキモーのよう。成長はかなりゆっくりですが、育ちきると4メートルほどの高さに育つこともあるそうです。老楽本体の脇から出てくる子株をとって挿し木にして増やすことができます!月世界
小ぶりな球状のフォルムが人気の月世界。丸い形の胴体にびっしりと白い棘を生やしています。春にはパールがかったピンク色の花を咲かしますが、どちらかといえばその後になる鮮やかな赤色の実の方が印象的です。月世界は、親株の周りに付ける球形の子株を切り取って挿し木にすることができます。ピンクサファイア
人工物と見紛うような毒々しい、いかにもサボテンといった感じのピンク色の花を咲かせるピンクサファイア。棘がないので育てるのに苦労が要らず、脇にたくさんの子株をつけるので、挿し木にして一気に株を増やすことができますね。白檀
ヘビのように匍匐するように茎を伸ばす白檀。トゲは多いですが柔らかく、ペットやお子さんがいても安心です。春から夏にかけては赤い花を次々に咲かせます。成長が早く仔ふきも旺盛。白檀の子株は簡単に取れ、挿し木にすれば比較的すぐに発根します!【胴切り】で増やすのにおすすめなサボテンの品種
胴切りで増やすのにおすすめなサボテンの品種をご紹介します。大雲閣
太い柱を高く伸ばし迫力のある姿が魅力の大雲閣。冬場に根腐れを起こし、茎が変色してしまうといった事態を起こしやすい特色もありますが、そういった異変にも胴切りで対応するすることができます。大雲閣は、カットした断面から有害な白い樹液を出しますので、胴切りをするときは必ず汚れてもいい服装、手袋などをして安全に作業をしてください。竜神木
短いトゲ、淡い水色のような木肌の柱が可愛い竜神木。テッカ種で希少性も高く人気のサボテンです。大変丈夫でサボテンの接木の台木としても使われます。3月ごろに白っぽい花が咲き、その後甘い濃赤色の果実になります。竜神木は、背丈が4メートルを超える場合もあり、胴切りで背丈を調整し、株を増やすことができます!柱サボテン
柱状に伸びるサボテンの総称を「柱サボテン」と言います。人が手を伸ばしたような面白い形は、植物に興味のない方でも一度は目にしたことがあるでしょう。柱サボテンの親株を胴切りすると切り口から新芽が出て、後にあのような姿に育ちます。定番のサボテンなので、胴切りして増やしたものを友人におっそわけしても喜ばれますよ!【実生】で増やすのにおすすめなサボテンの品種
子株を付けない品種や、希少価値が高く高額な品種などは、実生で育てて増やすのがおすすめです。実生で育てやすい定番のサボテンを3種ご紹介します!金鯱
サボテンの王様とも呼ばれ、丸いフォルムと鋭いトゲが黄金色に輝くことでもお馴染みの金鯱。日本に伝わったのも古く、おばあちゃんの家にあったという方も多いのではないでしょうか。こちらの金鯱は発芽率も高く、実生初心者の人でも比較的始めやすいサボテンです。適切な湿度管理、植え替えで、たくさんの苗を生み出すことができます。兜丸
テキサスからメキシコに自生する兜丸。トゲが退化して斑点のようになったものが8つ並び、表面には白い毛が生えています。ウニのような見た目でインパクト大!兜丸は、子株をつけず繁殖方法は実生のみなので希少価値は高く、ネットでも高額で取引されている人気のサボテンです。オプンチア
扁平な茎が特徴的なオプンチア属のサボテンは、品種が数多くあります。ちなみに挿し木のところでも紹介したバニーカクタスもオプンチア属のサボテンです。紫色のカラーが美しいサンタリタなどは希少価値も高く、既製品はおいそれと手が出せない金額です。 そこで注目したいのが安価で購入できる種です。メルカリやヤフオクなどを利用し、珍しいオプンチア属のサボテンの種を購入して、実生で育ててみてはいかがでしょうか?気づいたらサボテンが増えていた!サボテンって自然に増えるの?
サボテンの親株が大きくなり、脇から生える子株も増え、鉢が一杯になってしまった経験がおありの方もおられるのではないでしょうか。サボテンは成長が遅い植物ではあるものの、株が増えやすい植物でもあります。ここでは、増えすぎてしまったサボテンに対する対処法についてお伝えしようと思います。サボテンは環境によっては自然に増える場合がある
サボテンが自然に増えるとは、一体どのような状態のことを指すのでしょうか?自然と増えすぎてしまった子株のケースを具体的に見ていきましょう!生えた子株が自然と取れることで増える
しばらく放置していたサボテンの鉢、気づけば親株の横に、植えた覚えがないサボテンが植っているという現象が生じることがあります。これは、親株から生えていた子株が自然と地面に落ち、土に活着し、同じ鉢の中で独立して別の株として育ってしまった現象です。これ自体は自然現象なので全く問題がありません。そのまま同じ鉢で育ててもいいですし、別の鉢に植え替えて育ててもOKです。子株が取れずに増えすぎている場合は対処が必要
子株が増えすぎてしまう状態は、それ自体で親株を枯らしてしまうことは殆どないものの、見栄えが悪くなったり、親株から花が見られなかったりと、鑑賞の観点から考えると勿体ない状態です。地植えしている場合は特に増えやすい
地植えしている場合は、土のスペースに限りがないので、余計に子株が増えやすくなります。とはいえ庭のスペースにも限りがあり、他の植物たちとのバランスを考えると、あまり同じ種類のサボテンが増えすぎるのも困りものですよね。子株が取れずに増えすぎている場合の対処法
成育期を逃してしまい子株が取れなかった、あるいは、ズボラに育ててしまい子株が増えてしまったなど、増えすぎてしまった子株の対処法を考えていきます!切り取れる子株から切り離す
サボテンの子株は大きさが15〜20mmくらいになれば、親株から切り離せる適期となります。切り取れそうな子株があれば、どんどん切り取っていきましょう。その際は、前述した方法で挿し木を行ってください。切り離した子株を育てられるかどうかは、その子株が発根するかどうかに掛かっています。真夏や真冬以外であれば発根する可能性は高く、切り取った後の乾燥や温度管理などに気を配れば、少々発育期から外れていたとしても十分育てられるでしょう。子株が小さすぎる状態で切り取るのは枯れる原因になるので注意
サボテンの子株が小さすぎる状態で切り取った場合、親株に与えるダメージは大きくはないものの、子株を枯らさずに育てるのは至難の技かもしれません。しっかりと乾燥させて発根を待ち、発根後は小さめの鉢に植え替えて水やりをし、水分をしっかり吸わせて大きくなるのを待つのが良いでしょう。【まとめ】サボテンの増やし方を方法別に解説!適した時期から成功させるコツまで
いかがでしたか?サボテンの株の増やし方や株を増やすメリットについて、よく理解することができましたよね。 この記事のポイントをまとめると- サボテンを増やす方法は、挿し木・胴切り・実生の3つがある
- 挿し木・胴切りを行う適期は、気温が高くなる春〜初夏と秋
- 挿し木・胴切りは、湿気の多い梅雨や本格的な猛暑、休眠期を避けて行うと成功しやすい
- 種から育てる実生は、常時25℃〜35℃を保てる温度管理と多湿環境が必須である
- 切り取った子株や胴切りしたサボテンは、しっかり乾燥させる事で発根を促せる
- 発根に成功した子株や胴切りは、バランスのいい用土に植え、水分管理を適切にし、しっかりと活着させることで安定した生育が望める
- 増やしたサボテンは、強すぎない日光のもと、風通しよく、少なめの水分で育てるとよく育つ
- サボテンの品種によって、最適な株の増やし方は異なる
- 希少価値の高いサボテンも種は手に入りやすいので実生で増やせる
- 増やしすぎた子株は、見映えが悪くなったり、花つきを悪くするので早めに切り取る