目次
"壁掛けのインテリアグリーンとしても人気のコウモリラン(ビカクシダ)は、成長して大きくなると株分けという方法で増やすことが可能です。株分けは初心者でも挑戦しやすい増やし方の一方で、植物を傷めないよう注意点もあります。 そこで今回は
- コウモリランの株分けに適した時期
- コウモリランの株分けに必要なもの
- コウモリランの株分けの仕方
- 株分けに失敗しないためのポイント
- 株分け後の育て方
コウモリラン(ビカクシダ)は株分けで増やすことができる
コウモリランはアフリカやオーストラリアなどの熱帯地域が原産の観葉植物です。土や水苔を使用して育てるため、鉢植え以外にも天井から吊るすハンギングや壁や棚にかけて飾る人も多く人気があります。コウモリランには18種類の品種があり、葉の大きさや伸び方が異なり価格も6千円台から1万円台と幅広いのも特徴。 コウモリランの楽しみ型は人それぞれの一方で、クローンをつくってお部屋のグリーンを増やすのもおすすめです。今回ご紹介する株分けという方法もコウモリランの増やし方の一つ。まずはコウモリランを増やす方法についてご紹介します。株分けと胞子で増やす方法がある
コウモリランには今回ご紹介する株分けという方法と胞子で増やす2つのやり方があります。株分けは名前のとおり一つの植物から株を切り分けて新たに育てる増やし方です。一方胞子で増やす場合はコウモリランの胞子葉と呼ばれるコウモリの羽のように伸びた葉裏についた胞子を削り取って、土に撒いて育てます。 ただし胞子で増やす方法は技術が必要で大きく育つまでに1年以上かかるため、初心者には難易度が高め。そのため室内でも簡単にコウモリランを増やしたい場合は、株分けで増やすやり方のほうが成功率も高いでしょう。今回ご紹介する株分けという増やし方は、コウモリラン以外の植物でも行われる方法です。注意点は他の植物を株分けにするときにも役立つため、ぜひチェックしてみてくださいね。コウモリランには2つの葉と成長点がある
コウモリランを管理・株分けするときに知っておきたいのが、2つの葉と成長点があるということです。コウモリランには胞子葉と貯水葉という2つの葉っぱが存在します。胞子葉とはシカの角やコウモリの羽に似ているといわれる伸びた葉の部分。貯水葉は株元を覆うように生えてる葉っぱのことで、水を溜めこみ栄養分を植物全体に届ける役割をします。また胞子葉の根元には表面がフサフサした綿のような成長点があり、新芽を出して新たな葉っぱを伸ばしていきます。コウモリランの株分けに適した時期
コウモリランの株分けをするときは、適切な時期に行わないと植物を傷めてしまう可能性があります。増やすための株分けもタイミングを間違えると枯らせてしまうため、これかご紹介する時期を守って、コウモリランのダメージを最小限にしましょう。5月~9月が適している
コウモリランの株分けに適した時期は5月~9月です。コウモリランは気温が20℃以上になると、生育が活発になります。そのため5月~9月の暖かい時期に株分けをすることで、ぐんぐん成長してくれるでしょう。ただし株分けは基本的に植え替えと同時に行います。そのため5月~9月の中でも、植え替えに最適な時期に株分けをすることをおすすめします。大きく生長し植え替える時に株分けをする
先ほど触れたように、株分けは基本的に植え替えのタイミングで行います。成長したコウモリランは伸びた根や土、水苔を入れ換えて通気性を良くするために、2~3年に1回のペースで植え替えるのが最適です。植え替えと同時に株分けをすることで、手間も少なくコウモリランへのダメージも最小限にできます。 コウモリランの植え替えは5月~8月の暖かい時期が最適。先ほど株分けの時期は5月~9月とお伝えしましたが、植え替えと同時に行うことを考えると6月~7月中旬の初夏がおすすめです。6月~7月中旬の初夏はとくに気温が安定しているため、植え替えのダメージを最小限にできます。ただし九州から南の地域など気候に合わせて、気温が20℃程度であれば8月~9月頃でも問題ありません。コウモリランの株分けに必要なもの
コウモリランの植え替え時期について確認できたら、ここからは株分けに必要なものをご紹介します。株分けに必要なものは清潔な刃物と鉢、用土や水苔です。株分けがスムーズにできるよう、それぞれ詳しく解説します。清潔な刃物
親株と子株を切り分けるのに必要な刃物は、清潔なものを用意しましょう。カッターでも問題ありませんが、他の植物をカットしたあとにそのまま使用すると病気に感染する可能性があります。植物をカットする刃物は必ず、洗って乾燥させたものかアルコール消毒済みのものを使用しましょう。植え替え用の鉢
株分けしたあとの植え替え用の鉢は、株の大きさに合わせたものを選びましょう。鉢は大きすぎると水はけが悪くなり、小さいと成長したときに根詰まりを起こします。株分けで切り分けた株の大きさに合わせたサイズの鉢を選びましょう。植え替えだけの場合は、一回り大きいものを選んでください。株分け後に板付けにする場合は、お好みで板やひもを用意しておきます。板付けのやり方は本記事の後半でご紹介しているため、よりおしゃれに飾りたい方はぜひ参考にしてみてくださいね。植え替え用の用土や水苔
植え替え用の用土や水苔は新しいものを用意しましょう。コウモリランに適した土の配合は「ピートモス8:パーライト1:軽石1」の割合が水はけが良いためおすすめです。水苔を使用する場合はあらかじめ前日から水に浸して、水分を含んだ状態にしておきましょう。水苔にも種類があり「AAAランク」以上のものがおすすめです。Aの数が多いほど不純物が少なく扱いやすい水苔のため、ぜひ参考にしてみてくださいね。水苔は園芸店やホームセンターでも購入できます。ネットショップでは1,000円程度から入手できて、豊富な種類から選べるためおすすめです。コウモリランの株分けの仕方
いよいよコウモリランの株分けで増やすやり方を解説します。コウモリランの株分け手順は主に3つです。切り分けるときには重要なポイントがあるため、株分けを成功させるためにもチェックしておきましょう。コウモリランを鉢植えや苔玉から取り出す
まずはコウモリランを鉢植えや苔玉から取り出しましょう。鉢植えから取り出すときは軽く土をほぐしてから取り出します。土が固まって抜けないときは、鉢を軽く叩くか割っても構いません。苔玉から取り出すときは縛っているひもをカットします。次に苔玉本体に切れ込みを入れて取り出しましょう。鉢植えや苔玉から取り出すときは、根や葉を傷つけないように注意して作業してくださいね。子株に3枚以上の胞子葉がつくように切り取る
コウモリランを無事に鉢植えや苔玉から取り出したら、いよいよ切り分け作業です。株元を覆っている貯水葉の下にある子株を、胞子葉が3枚以上付いた状態で切り分けます。親株と子株を切り分けるときは成長点を傷つけないように、少しずつハサミを入れて慎重に行ってください。 貯水葉が硬い場合は、カッターで切り分けても問題ありません。このとき茶色や黒ずんだ貯水葉もカットしたくなりますが、栄養分として分解されるためそのまま残しておきましょう。植え替えをする
親株を子株を切り分けたら、鉢植えや水苔に植え替えをします。鉢植えに植え替える際は鉢底に軽石を入れておくと通気性が良くなるでしょう。水苔は軽くしぼって隙間がないように埋め込む、もしくは巻き付けて固定してください。コウモリランの株分けに失敗しないためのポイント
コウモリランには2つの葉と成長点があるため、株分けの際には注意点があります。株分の仕方の中でも解説しましたが、失敗しないためのポイントを3つまとめました。株分けをしたあともしっかり成長できるよう、使用する道具や成長点、葉っぱの扱いには十分注意しましょう。刃物は清潔なものを使う
先ほども触れましたが、刃物は必ず清潔なものを使用しましょう。カットする部位によってハサミやカッターを使い分けることもあると思いますが、使う刃物はすべて消毒してから使用してください。植物の切り口は雑菌が入りやすく、病気に感染する可能性もあります。苔玉を切り分けるときに園芸用のハサミ以外を使用する方もいると思いますが、その場合もしっかりアルコール消毒を行ったものを使いましょう。成長点や根を傷つけないように注意する
切り分けるときは成長点や根を傷つけないように注意して作業しましょう。成長点は名前のとおりコウモリランの生育するために重要な部分です。そのため成長点を刃物で傷つけてしまうと、枯れてしまいます。また根もできるだけ傷つけないようにして残しておきましょう。元気ないい根は残っていたほうが生育がスムーズになるため、株分けや植え替えの際は慎重に取り扱ってくださいね。貯水葉は切らない
貯水葉は切らないように注意してください。貯水葉は茶色く枯れていても自然と分解されて、栄養分になり元気な葉っぱやいい根を育てます。ただし先ほどお伝えしたように大きく生えて硬くなっている場合は、カッターで部分的にカットしても問題ありません。コウモリランの株分け後の育て方
コウモリランの株分け後は株が弱っている状態のため、慎重に管理しましょう。せっかく株分けがスムーズにできても、管理が適切でないと枯れてしまいます。コウモリランの株分け後の育て方について解説します。植え付け後は1カ月ほど日陰で管理
植え替え後はコウモリランが株分けのダメージから回復する時期のため、1ヶ月は明るい日陰に置いて管理しましょう。とくに直射日光のダメージは受けやすいため、注意してください。株分けから1ヶ月すぎたらレースカーテン越しの明るい場所で管理すると元気に成長してくれるでしょう。 株分けから1ヶ月ほど経過したら、肥料を与えても問題ありません。コウモリランに肥料を与える際は貯水葉のポケット部分に緩効性肥料を入れるか、土に撒きます。肥料を与えるときは規定の量のみ与えてください。ただし肥料は4月から10月までの成長期にのみ与え、休眠期の冬場は控えます。肥料は園芸店やホームセンターで購入可能です。風通しの良い場所に置く
株分けしたコウモリランは風通しの良い場所に置いて管理しましょう。風通しの良い場所で管理すると、害虫予防にもなります。室内ではサーキュレーターを使用して空気を循環させるのもおすすめです。土の表面が乾いたらたっぷりと水やり
コウモリランは4月~10月の時期は、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。このとき貯水葉にもかけるように、水やりをしましょう。水苔の場合も同様に表面が乾いたらたっぷりと水やりをしてください。土や水苔の表面が乾かないうちに水やりをすると、過湿状態になり根腐れを起こす可能性があります。そのため水やりをする際は土や水苔の状態を確認してから与えてください。 ただし冬場は生育が緩やかになるため、10℃以下の場合は乾燥気味に水やりをします。冬場は土や水苔の表面が乾いてから、2~3日間隔を空けて水やりをしましょう。水やりのタイミングや量は季節によって異なる一方で、葉っぱや貯水葉の乾燥を防ぐために葉水は毎日しておきます。株分けしたコウモリランを板付けにするやり方
コウモリランは元々樹木などに着生する植物のため、水苔を使用して板付けという方法で育てられます。板付けにすると壁掛けのインテリアにもなるため、おしゃれにコウモリランを栽培できると人気です。板付けは写真映えもするため、絵画のように飾ることも可能。定期的に写真を撮って成長を記録する楽しみ方もできますよ。最後は株分けしたコウモリランを板付けにする方法をご紹介します。用意するもの
コウモリランを板付けにするときに用意するものは次のとおりです。- 板
- 水苔
- ひも
- ビニールシート
手順
株分けしたコウモリランを板付けにする手順は次のとおりです。- 作業する場所にビニールシートを敷く。
- 板の上に軽くしぼった水苔をコウモリランの大きさに合わせて、山の形になるように乗せる。
- 株分けしたコウモリランを水苔の上に置いて、ひもで巻き付けて固定する。
【まとめ】コウモリランの株分け方法を解説!必要なものから失敗しないコツまで
今回はコウモリランの株分け方法について詳しく解説しました。 今回のポイントは- コウモリランの株分けに適した時期は5月~9月の植え替えのタイミング
- コウモリランの株分けをするときは清潔な刃物と株の大きさに合わせた鉢の他に、水はけのよい新しい土、もしくは水苔を用意する
- コウモリランの株分けは葉っぱを傷つけないように鉢から取り出し、胞子葉を3枚つけた状態で子株を切り離して植え替える
- 株分けをするときは雑菌が入らないよう清潔な刃物を使用し、成長点と貯水葉を傷つけないように作業する
- 株分け後の1ヶ月間は風通しの良い明るい日陰で管理し、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをして冬場は乾燥気味にする