食虫植物ハエトリソウも虫がわくの?原因から虫対策まで徹底解説

食虫植物ハエトリソウも虫がわくの?原因から虫対策まで徹底解説
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植物の中でも、虫を食べる植物があるのをご存じですか? ハエトリソウといって、緑のスプーンを2枚重ねたような葉がぱくっと虫をとらえる様子は見ていてびっくりします。独特な見た目が人気で、プレゼントで贈ったり、ハエトリソウを趣味で育てたりしている方も多いんですよ。 しかし実際に育てているうちに、ハエトリソウはどんな植物で水のかわりに虫を与えなきゃいけないのか、たくさん虫がわく場合はどう対策したらいいのか、色々疑問が出てくるでしょう。 そこでこの記事では
  • ハエトリソウの特徴と植生
  • ハエトリソウに虫がわく原因
  • 虫がわく環境でハエトリソウは虫対策になる?
  • 虫をまめに与える必要はある?
についてくわしく回答、解説します。ハエトリソウが虫対策に効果的かどうかについても解説していますので、ぜひ最後まで読んでハエトリソウの理解を深めて上手に育ててみましょう。

ハエトリソウ(ハエトリグサ)とはどんな植物

まずはハエトリソウの基本的な情報について理解を深めておきましょう。どんな環境で育ち、どういう生育をしているのかについて詳しくなると、自然と虫がわく環境がいいのか悪いのか、育て方もわかってくるでしょう。

捕虫葉を持つ食虫植物

ハエトリソウは、北アフリカ原産のモウセンゴケ科の食虫植物です。常に水に浸っているじめじめした湿地帯に自生し、暑さには弱い植物で、二枚貝のような葉に鋭いトゲがインパクトある観葉植物です。写真で一度は見かけたことがあるのではないでしょうか。この独特の葉は捕虫葉といい、感覚毛といわれるセンサーに虫が触れると素早く葉を閉じることができます。

捕虫葉の内側に2回触れると葉が閉じる

この捕虫葉の内側に片側に3本ずつ感覚毛という細い毛がびっしりと生えています。この感覚毛に虫や何かが2回触れるとぱたんと素早く閉じることができます。虫を捕食するためのすごい動きですよね。しかし閉じる動きはかなりのエネルギーを使ってしまうため、確実に虫を捕まえるために2回触れたら閉じるようになっています。

別名「ハエジゴク」

ハエトリソウは、虫を捕らえる様子から別名「ハエジゴク」とも言われています。捕中葉の内側が動物の口のように赤く、ぱくっとハエを捕まえるシーンはまさに食べているように見間違えてしまいますね。捕まえた虫は約1週間かけて消化されます。よく虫がわく環境で大きく生長したハエトリソウでは、複数の捕虫葉が虫を捕まえていることもあるそうです。

ハエトリソウを育てたら虫がわくの?

ハエトリソウを育てる前に気になるのは、育てているうちに虫がわくんじゃないか? という点です。虫を補食するためにニオイを出す植物なのか、それとも違うのか、分からない点がたくさんありますね。本当のところはどうなのか、具体的に確認していきましょう。

ハエトリソウに自ら寄ってくる虫はいない

結論から申し上げますと、ハエトリソウに自ら寄ってくる虫はいません。捕虫葉からわずかな匂いを出してコバエなどの虫をおびき寄せる種類もあるそうですが、園芸品種として流通している食虫植物はほぼ匂いがありません。 また虫も自分から好んで寄っていく習性がないので、適切に管理していれば虫がわく心配はないでしょう。

虫をひきつける匂いなどもない

観葉植物の中でもひときわ独特な食虫植物ですが、虫をひきつける匂いはありません。ツボのような捕虫葉のウツボカズラも同様です。ハエトリソウの自生する湿地帯は常に水がある状態ですから、匂いを発さずとも周囲に虫がいるので、他の草花のように匂いを出す必要がありませんでした。ご自宅で育てる場合にも、日当たりと風通しのよい場所で管理していれば匂いが気になるといった心配事もありません。

ハエトリソウに虫がわく原因は?

それでは、なぜハエトリソウを育てていると虫がわくといったイメージがついてしまったんでしょうか? 匂いもないのにハエトリソウに大量の虫が発生してしまったというお悩みもよく伺います。虫が発生する原因についてくわしくご紹介します。

原因はハエトリソウにはない

虫がわく原因は、ハエトリソウそのものではないケースがほとんど。植物自体ではなく、置き場所や土、管理の仕方に原因があります。 大きく分けて、用土や肥料に有機質が多いこと、そして枯れ葉を放置していることの2点が挙げられます。じめじめした場所が好きだからといって、何年も同じ植木鉢を使っていませんか? ずっと室内の日の当たらない日陰や風通しが悪ければ、他の植物と同じようにカビが生えたり、虫が繁殖したりしてしまいます。

土や肥料に有機質が多い

ハエトリソウが自生している湿地帯は栄養分の少ないやせた土地です。風景写真で見かける湿地帯は、堆積した植物と泥が主な用土になっていて、特に有機質の栄養が足りません。 一般的な花や野菜の培養土を使うと、有機質の栄養過多になってかえってよくありません。また肥料も逆効果なので与えないようにしましょう。栄養が多すぎると根ぐされしやすくなり、株が弱り腐ってきて、しまいには腐った匂いにひかれて虫がわいてしまいます。

枯れ葉を放置している

もう1つの原因が、枯れ葉を放置していることです。枯れ葉は虫にとって絶好の隠れ家と食料。放置していると虫がわく原因に。特に室内栽培は、空気がこもりがちになるため、ハダニやアブラムシは枯れた葉で大量に繁殖して株全体に広がり、炭そ病にもなりやすいので、こまめに取り除くようにしてください。

虫がわく環境でハエトリソウは虫対策になる?

さて原因がわかったら、次は虫対策についてご紹介します。ハエトリソウを育てているうちに虫がわくようになった、または発生しそうな環境で虫対策に効果があるのか確認していきましょう。

ハエトリソウは虫対策にはならない

先ほどもお伝えしたようにハエトリソウは虫対策にはなりません。ハエトリソウの鉢だけではなく他の植物の植木鉢についている虫を駆除する場合も同様です。駆除する方法としてハエトリソウを栽培しないでくださいね。 ハエトリソウが虫を食べて消化するまでにかなりの株の体力が使われます。そのため虫対策としては効果がほとんどなく、かえって市販の殺虫剤の方が効果が高いでしょう。

コバエなどの小さな虫に捕虫葉の感触毛が反応しない

実はハエトリソウの捕虫葉はある程度アブやハチなどの大きな虫じゃなければ捕まえられません。これは内側にある感触毛がコバエなどの小さい虫に反応しないため。虫ならなんでもいいわけではないんです。 観葉植物全般で被害のあるハダニ、アブラムシは感触毛に反応しない位小さな虫です。あくまで虫がわいたら駆除剤や殺虫剤を使って、虫対策にハエトリソウを購入、栽培するのはやめておきましょう。

たまたま感触毛に触れたものを食べているだけ

ハエトリソウの捕虫葉をよく見てみると、内側の感覚毛は3本生えているのがわかります。3本のどれかに2回触れたものをたまたま食べているだけなんです。他の種類の食虫植物も同じです。匂いで虫を引き寄せることもありませんから、ハエトリソウは形や色合いを楽しむ観賞用としっかり理解して、育てるようにしてください。

ハエトリソウは虫を食べないと成長しないの?

よく問合せで多いのが、ハエトリソウは虫を食べないと成長しないのかという疑問です。たまたま感触毛に触れたものを食べているだけなら、個性的に進化した捕虫葉の目的はなんでしょうか? ハエトリソウの捕虫葉が発達した目的や元気に成長するポイントに関して、回答していきます。

実は栄養の大部分は日光と水から得ている

ウツボカズラやハエトリソウなどの食虫植物は、実は栄養の大部分を日光と水から得ています。虫がわく環境で虫を食べているから元気と勘違いする人が多いのもここがあまり知られていないから。 虫がわく環境にせず、元気なハエトリソウを鑑賞するためには置き場所にくわえて、水切れさせないことが大切。春から秋にかけて生育期の期間は、腰水栽培にして鉢の下から常に吸水できるようにしましょう。鉢受け皿に1~2㎝くらい水を貯めるのがおすすめ。逆に休眠期にあたる冬は、水が腐らないよう定期的に受け皿の水を交換してください。

虫以外にもタンパク質があるものを食べる

ハエトリソウが虫を捕るのは、実は日光と水から得られないタンパク質を補うため。肥料の代わりですね。虫のほかにチーズやゆで卵なども消化できます。1㎝角に切ったチーズなどを捕虫葉へ入れてみてください。生育が活発な夏の期間なら約1週間で、休眠期の冬は約2週間前後で消化します。逆にタンパク質以外は消化できないので、殻だけが残ります。

ハエトリソウにたくさん虫をあげるべき?

肥料の代わりに虫を食べるから、たくさん虫をあげなきゃいけないのかな? と思う方も多いでしょう。このトピックでは、ハエトリソウに虫をあげる頻度や量についてもう一度確認します。ぜひハエトリソウを育てる上で参考にしてくださいね。

捕虫葉を動かすのはたくさんのエネルギーを使う

意外に思うかもしれませんが、ハエトリソウにとって1枚の捕虫葉をぱたんと動かすのはたくさんのエネルギーを使います。動く様子を見るのが趣味だからといって、頻繁に虫をあげるのはNG。株の体力を維持するためにも、もし与える場合は1~2ヶ月に1度くらいにしてください。

わざわざ虫をあげる必要はない

捕虫葉を動かすにはエネルギーが必要といった通り、実は虫をまったく与えなくても十分育ちます特に屋外で栽培している場合、自然と虫が引っかかることもありますから無理に与えると消化不良を起こしたり、葉と一緒に腐敗したりと、デメリットの方が多い可能性も。根から十分に栄養を吸収していますので、わざわざ虫をあげる必要はありません。

食虫植物ハエトリソウも虫がわくの?原因から虫対策まで徹底解説のまとめ

いかがでしたでしょうか。ハエトリソウに虫がわく原因や対処方法について、解説してきました。ここまで読めば、自分で育てる時はもちろんプレゼントにして贈る時も、ハエトリソウに関してくわしく伝えられますね。 この記事のポイントは
  • ハエトリソウは北アメリカ原産の食虫植物
  • 捕虫葉の中にある感覚毛に2回触れたら葉が閉じるしかけになっている
  • ハエトリソウは匂いもなく、虫がわく原因がない
  • 虫がわく原因は、用土や肥料のあげ過ぎによる栄養過多と枯れ葉を放置していること
  • 虫がわく場合、日当たりと風通しのよい屋外へ移動する
  • ハダニやアブラムシが発生した場合は、市販の殺虫剤を吹きかける
  • 水は鉢受け皿に1~2㎝水をためて吸水させる腰水栽培がおすすめ
  • 虫を消化するのは不足するタンパク質を補うため
  • 虫がわくからといって、わざわざ肥料代わりに虫を与える必要はない
でした。虫がわくイメージの定着しているハエトリソウですが、適切な環境であれば虫がわく心配もなく元気な姿を楽しむことができるでしょう。 最後までお読みいただきありがとうございました。TOKYO KOTOBUKIENには他にもたくさんの記事をご用意しておりますので、ぜひご覧ください。